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行政が労働者奴隷化の前面に
下関江島市政・生活できぬ建設労働者
             ダンピング入札をやめよ  2004年10月30日付

 下関市と契約した、警備会社の経営者が雲隠れし、労働者が賃金未払いで困っている問題が、広く問題になっている。江島市長のダンピング入札政策で、この警備会社も予定価格の50%ほどでむりな落札をしており、これは建設業界など市の仕事を請け負う業者と労働者にとっても同じだと深刻に語られている。下関市の公共事業で働く建設労働者が、失業、半失業状態になり、極端な低賃金やサービス残業を強いられ、職を二つかけ持ちしたり深夜労働をするなど、人間的な生活ができない状態にある。市内の労働者の奴隷的な労働と困窮生活の旗振りを行政がしているのである。江島市政は、アメリカに心の古里を持っているような市長であるが、その親分である安倍晋三元自民党幹事長、その親分の小泉首相の構造改革の先頭を切って出世をめざすというところから、今年6月から条件付き一般競争入札と電子入札に加えて最低制限価格をとりはらい、ダンピングをさらに激しくさせた。労働者が生活を守るためには、ほうっておいてもつぶれそうな企業内だけで問題を考えてもどうにもならない。極端な労働者搾取政策の旗を振る国政と、それを実行する市行政にたいして、産業的、地域的に団結してたたかうことが求められている。地域労働者の生活を破壊する江島市長のダンピング入札政策をやめさせることは重要な課題となっている。

  倒産や賃金遅配に拍車
 下関市役所庁舎と駐車場の管理・警備をおこなう全国総合パトロール(本社・下松市)は、警備員に8月分からの賃金支給をせず経営陣が蒸発した。市立水族館の管理と合わせダンピング落札が、経営を行きづまらせる大きな要因となった。それは警備員にツケが回されて、二カ月分のただ働きをさせている。
 社会保険者証は返却を求められ、公共料金をはじめ支払い請求は矢のように催促がくる。子どもが寝静まってから、妻と頭を突きあわせて資金繰りをするが答えはいつも同じ、待ったなしの状態となっている。
 市立水族館の元警備員たちも、「正社員だったがこき使われてきた。給料は10万を切るぐらいだったが、残業しても手当は一銭も出ない。五時間の仮眠時間があるが、仮眠室もないし眠ることができない。市が出している指示書をもとにシフト表を組むと、警備員10人を雇っても、月に3日しか休めないことになる」と、まともでない市当局や海洋アカデミー財団のやり方に怒りをあらわにする。
 市発注の公共事業全般でおこなわれているダンピング競争は、建設労働者の家庭に深刻な影響を与えている。下請などに入る土木作業員Tさんは、朝から夕方までは建設現場に入り、週三日夜は9時から深夜3時まで代行タクシーのアルバイトに入っている。会社からの給料は、日給月給で一日1万円。雨がつづけば仕事がなく、手取りは10万円を切ることもあるうえに、最近は遅配がつづく。「嫁さんも働きに出ているけど、それでもやっていけない。結婚したばかりなのに、会社が倒産して失業者になった作業員もいる。やめたらほかに働くところがない」と、職を二つかけ持ちして体はボロボロだが、日が昇ればまた、引きずるようにして現場にむかう。
 下関市内のある下請では、中年の建設労働者が子ども5人を養っていけないからと、社会保険加入をやめてその分受けとる給料をふやすことにした。さらにそれでもやっていけないからと、高校を卒業したといって息子を連れてきていっしょに働くことになった。ところが現場でサインが必要になり、まだ中学校を出たばかりの16歳であることがバレてしまった。工事現場では若年労働が制限されているのだ。
 道路工事にたずさわる20代の建設労働者は、「自分たちはこれ以上カットできないぐらいの給料しかもらってないけど、まだ独り身だからいい。家庭を持っている人などは気が気じゃないのではないか。“自由競争”といって自由じゃない。大きいところが仕事をとっていく。“倒産”とか聞くけど人ごとじゃない。落札率が50%台では、会社は利益をとらないといけないから、どこをへらすかというと人件費だ」
 「最低制限価格はないといけないと思う。自分の会社は水道工事の指定業者だが、土木などがはじめから75%から65%でたたきあいをやる。こっちは道具なども持っていないからリースしないといけないが、大きいところは道具もそろっているから仕事もとっていく」と、実情をのべる。

  建設業全般に及ぶ賃金低下 技術継承もできぬ状態
 ダンピングによる賃金低下は建設業全般におよんでいる。10年まえには大工一人が一日1万6000〜1万8000円だったが、いまは半値の1万円まで下がっている。1万円ではやっていけないから、早朝の6時から夜の8時、9時まで現場に入っているという。さらに勤めていた工務店や建築会社からリストラ「合理化」されているから、社会保険や各種保険はなく、現場まで自家用車で行くしケガでもすればだれも面倒を見てくれない。「へたをすればホームレスになる崖っぷち」といわれる。
 左官も一日1人当り2万5000円だったが、いまは一匹親方なら同1万5000〜1万8000円。土木作業員は同1万5000円前後が、6000円〜1万円と半値以下にたたかれている。長時間労働、サービス残業もあたりまえで、はらわたまで煮えくりかえる思いをしながらも、やめれば失業者の群に加わるしかないからと、唇をかみしめながら働いている。
 下関市内で土木、建設業にたずさわる市民は、約1万2500人(2000年国勢調査)で、就業人口約12万5000人のうち一割を占める。家族もふくめると3万人以上の市民が、なんらかの形でかかわっているといわれ、資材関係や運送などすそ野はさらに広がる。建設業が就業人口に占める割合は、10年まえと比較してもほぼ変わっておらず、1995年と比較すると0.14%ふえている。台風や地震など災害復旧や老朽化した学校、福祉施設の改築など、建設労働者は必要とされている。
 さらに地元業者はダンピングで経営を悪化させ、新卒者を教育するだけの余裕もない。下関中央工業高校の土木科、建築科は、10年まえは9割近い学生が建設業関係に就職していた。今春の卒業生で建設業に就職したものは約80人のうちわずか数人だった。建設業界では技術の継承もできず、ベテランの使い捨て状態にある。

  生活破壊する行政・甘い基準作り全労働者絞る役目
 このような江島市政のダンピング政策が、直接の受注業界の労働者の搾取をひどくするが、それが基準になって市内全体の業種の労働者の地位を引き下げる役割をはたしている。行政が労働者の生活を保護する役目ではなく、資本の先に立って生活破壊をしているのである。労働者の状態は、とくに派遣労働者を解禁してからひどくなったといわれているが、小泉になってそれが極端なものになっている。
 なぜ地元中小業者がダンピングに走るのか。ある建設業の50代経営者は、「仕事をとらないと銀行が貸さない。建設業は仕事が担保になっているから、赤字がふえていくとわかっていても、ダンピングをしてとる。毎月の銀行への受注報告で落ちていれば、つぎを貸さないといわれる。そうすればすぐに倒産してしまう」と、金融機関のしめつけが背景にあると指摘する。金融機関もつぶれて外資につぎつぎに乗っ取られているが、これもアメリカ主導の金融自由化政策で、中小つぶし、労働者搾取の強制をしている。
 それまでは一業者でもダンピングをはじめれば、業界全体がたたきあいになるため、指名入札制度がもうけられ一定の条件がつけられていた。ところが2001年4月に小泉内閣が発足して、「構造改革なくして景気回復なし」「痛みをともなう構造改革」と叫んで、地元の横須賀市で電子入札をはじめた。ついで安倍内閣官房副長官(当時)の地元・下関市では、江島潔市長が2002年8月から全国2番目で、条件付き一般競争入札および電子入札を導入した。
 貸し渋りや貸しはがしで、金融機関からいつ融資を引き揚げられるかと戦戦恐恐としていた地元業者のあいだで、たたきあいがはじまった。最低制限価格は75%ではりつき、経営を行きづまらせる業者もあいついだ。さらに今年6月からは、市がダンピングのボーダーラインにしてきた最低制限価格も撤廃することを決めた。地元中小業者は痛みだけで先がまったく見えない、底なしのダンピング競争にたたきこまれることになった。
 今年6月から9月まで4カ月間に、下関市が発注した500万円以上の公共事業を見てみると、91件(総額・約27億3000万円)であった。このうち地元中小業者が入っている1億円未満の工事は、件数では81件と9割を占めているが、金額ベースで見ると5割(13億5000万円)となっている。一件の入札に37社が殺到してたたきあいとなったケースもあり、落札率は平均76.8%だった。
 市役所が材料費、労務費、経費を合計して出したものが予定価格だが、それの半値しかない落札率が51.5%のものまで出ている。75%を下回っていたものが41件にのぼっており、半数以上の工事は撤廃された最低制限価格以下だった。「材料コストはどこで仕入れてもそう変わらないはず。ダンピングに秘密はない。なぜ安いかというと人件費を容赦なくぶった切るからだ」と、ある経営者は話す。生活できなくなっている建設労働者の賃金は、手渡されるずっとまえの入札のときに、市当局の電子入札によってたたき売りされているのである。

  発注は大手ゼネコンが独占 地元排除する江島市政
 一方でゼネコンや大手がおもな1億円以上の発注は10件だったが、金額ベースでは12億円を占めている。全体件数で一割強しかない公共事業が、予算額では44%の税金をぶんどっていることになる。このうち金額、件数ともめだつのは神鋼環境ソリューション、神鋼電機など神鋼関連会社である。終末処理場の工事などで4件、2億3000万円を落札し、落札率の平均は96.8%と満額にかぎりなく近くなっている。神戸製鋼所は自民党・安倍元幹事長の出身企業であり、神鋼関連会社に発注された下関市の工事および管理費は、わかっているだけでも4年半で約204億円にのぼる。
 さらにいままで地元業者がおこなっていた数千万円規模の公共事業まで、ゼネコンや大手企業がとっていくようになった。「台風で食べ物がなくなったクマが、山から人里におりて人や農作物を襲っているが、ゼネコンが小さな工事までとるようになった」「小・中学校の校舎など、いままで地元業者がやっていたものまで、首長とただならぬ関係を持ってゼネコンしか入れないような“条件”をつける。規制緩和どころか規制強化をしているではないか」と、地元の建設業者は怒りをあらわにする。
 「ゼネコンが仕事をとったといっても、東京から社員がスコップをかついで来るわけではない。結局、現場で働くのは地元の建設労働者で、おいしいところだけゼネコンが吸っていくというもの。建設業も二極化しており、低賃金で社会保険も労災、失業保険もない下請や孫請だけの業者と、ゼネコンのように資格や実績をもってピンハネをする大手企業に分かれてくる」とある経営者は語る。バブル破たんで大借金をかかえたゼネコンの不良債権を金融機関が回収するために、公共事業を独占し、地方の中小業者をつぶしにかかっているのである。どっちにしても、利益を吸い上げることができるのは、労働者が生産活動をするからである。労働者がいなければ、ゼネコンも存在できないし、江島市長も大きな顔をすることはできない。
 市民の多数は労働者である。労働者の困窮は市民全体の困窮である。江島市長の労働者生活を破壊するダンピング政策にたいして、市内全体で企業をこえて労働者が団結する方向を実現し、中小業者とも団結して、撤廃させる世論と運動を起こすことが必要になっている。それは直接関係する労働者だけでなく、新卒青年の就業機会をつくることであり、市内全体の活性化のために不可欠である。

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