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箱物利権やめ下関活性化せよ
下関市長選挙
            火だるま企業の食い物にするな   2009年2月27日付

 下関市長選挙の行方に注目が高まっている。4期14年も続いた安倍代理・江島政治からの抜本転換を求める世論は強く候補者にたいする視線も鋭いものになっている。各界各層にうっ積している市政要求を聞いてみた。

 深刻な人口減や少子高齢化
 中心市街地で商売を営んでいる男性は人口減少、少子高齢化の抜きん出た数字に驚きを隠せない。人口20万〜50万人の全国84都市のなかで、02〜07年3月末までの5カ年の統計で、人口減少率が多い方から6位、65歳以上の高齢者割合が多い方から2位、9歳以下の子どもの割合が少ない方から4位であることを指して「“一将功なり損なって万骨だけ枯れた”と以前書いていたが、なぜこんなことになったのか考えないといけない。産業が育っていないからだ。若者が食っていけないから流出していくし、年寄りが残される。この悪循環を何とか断ち切れないものか。箱物行政にうつつを抜かしている場合ではない」といった。
 最近は市役所周辺でもビルや商店などの解体作業が目立つようになった。「歯抜け」のような寂しい光景がある。下関駅前から唐戸に至る市街地の空洞化は歩けばだれもが実感する。この10年来で銀行は14から8、生命保険は10から7へと店舗閉鎖や流出が相次いだ。
 中心市街地では、人口減少が旧市全体をしのぐスピードで進行している。平成12年から、平成18年までの期間に、この地域だけで6・7%も減少した。一方で、高齢化率はわずか6年間で27・4%から32・1%へと4・7%も急上昇するなど、老人が多いと思われている旧郡部をしのぐペースだ。3人に1人が65歳以上の高齢者で、30万都市の中心部で“過疎高齢化”の現象が出てきている。
 竹崎町に住んでいる男性は、廃屋や独居老人世帯が増えており、高台の独居老人の家には散髪屋が出張で髪を切りに行ったりしていること、宅配をしていた魚屋がシャッターを閉めたため、老人たちが弱り切っている実情を語っていた。「民生委員さんが走り回っている姿には頭が下がる。スーパーや大型店も郊外に広がって、若者の住居も郊外に移る。すごく偏った街になりつつある」といった。高台のお年寄りが、道路沿いにできたマンションに移り住んでいるのも特徴で、「ガラガラ・マンション」のほかに「お年寄りマンション」と呼ばれる居住区まで出現。不動産流動化のおかげで、家賃の支払い先がコロコロかわって大変なのだと話されている。

 商店街潰す大型店出店
 そして、郊外には川中・伊倉地区、椋野地区に区画整理された広大な土地が出現して、大型店が県内最大規模のショッピングモールを建設している。「民間開発」の体裁ではあっても、区画整理というのは認可事業であり、行政が意図をもって進める事業である。川中地区には300戸のアパート群やマンション建設なども進行中。下関市には固定資産税が入って財政が潤うという理屈であるが、無謀すぎる開発によって困窮しているのは地主である。相続税が億単位でかけられたり、数百万円の固定資産税で家計が火の車になったりしている。農地だったのが商業地になり、近隣の住宅地も商業地に引っ張り上げられる格好で地価が上昇し、税額も跳ね上がった。
 不動産に詳しい男性経営者は、「高度成長のような人口が増加している時代なら、郊外へと広がっていくことは理解できる。しかしいまは逆だ。なるべくならコンパクトに都市を形成していくのが普通なのだが…。開発業者の利権で突っ走るとろくな結果にならない。業者は巨額の工事費を区画整理組合に要求するだろうが、特に椋野の土地は売れる見込みが少なく、最終的に地主が土地を巻き上げられないか心配だ。区画整理した新しい土地にライフラインを整備するだけでも、行政負担は大きいものだ。議会、行政ふくめて都市計画の方向性をきっちり定めなければ、デタラメな事態になる」といった。
 この開発にともなって大型店がさらに出店する結果となった。川中地区にはイズミ、椋野地区にも他の大型店が出てくるとなると、市内の小売業のなかで大型店が占める売場占有率は8割を超えると見られている。小売業では、平成9年には3381億円あった売上が、平成19年には2925億円と456億円(13・5%)も落ち込んでいる。郊外へと人口移動を促進するだけでなく、一層各地域の商店街や市街地が寂れる関係にもなる。まさに「市街地のスクラップ&ビルド」といわれる由縁だ。
 そして都市開発利権の後始末なのか、新市庁舎を川中・伊倉区画整理地に隣接する勝山地区に移転するといっていたのが江島市長で、今回の市長選では友田・香川の安倍派コンビは移転建設賛成。中尾氏が建て替え撤回を掲げて争っている。「30万都市で、しかもいまの下関に副都心がどれほど必要なのか?」の声もある。下関版サブプライムローンのような様相を呈しており、どうしていくのかが今後大きな問題になってくることは疑いない。火だるま企業への公金注入、下関版ニューディールなどといってやりかねない状況への危惧もある。

 電子入札やめよの声も
 「箱物やめろ」の世論はすごい。14年を振り返ってみると、唐戸市場80億円、海響館123億円、奥山清掃工場110億円、リサイクルプラザ60億円、し尿処理施設26億円、社会教育複合施設65億円と大型公共事業が相次いだ。沖合人工島には750億円もの巨額の投資をおこない、何に使うのかもわからないのに国土交通省も大盤振る舞いしてきた。関連する道路など含めると1000億円を超える公金が投資されてきた。岩国から下関に至る国道が見違えるほど整備・拡張されている事実と合わせて、不気味な都市改造のゴール地点は軍港化だという指摘も決して大袈裟なものではない。
 230億円の新市庁舎移転建設や70億円を投じる『下関駅にぎわいプロジェクト』など、今後も目白押しである。しかし“箱物行政”で潤ってきたのは市外大手や安倍・江島グループといわれる企業、たかっている政治家どもで、食いものにされた分下関は寂れ、市民生活は困難になった。
 中小企業の経営者は「一括発注で市外に出される仕事は、過大見積もりが噂されるものが連続した。彦島のし尿処理施設は60億円で建設するといっていた計画が、批判を受けて20億円で建設される始末だった。40億円もだれが抜こうとしていたのかだ。薄汚れた利権構造が存在しているし、関わった連中が逮捕されないことがおかしい」といった。
 地元企業が頭にきているのは、大型箱物は市外大手が受注して、下請けまで市外から連れてくる一方で、地元企業が請け負う公共事業はダンピング合戦を強いられてきたことだ。「大型公共事業は過大見積もりのくせに97〜99%台を叩き出す。しかも入札ではなくて、評価方式という実質“随意契約”で決まっていく。私らは電子入札のおかげで50%台(採算ラインは75%といわれている)まで叩き合うハメになった。どれほど難儀な思いをしてきたことか」といった。
 市内の建設業者のなかでは最近、零細なある建設会社の経営者夫婦が夜逃げしたことがヒソヒソと語りあわれていた。元請けから工事代金を踏み倒されて経営難に陥り、銀行にも融資を渋られて、やむなく危ないお金にすがりついた末の出来事だったという。「踏み倒し」や、おかしな手形をつかまされた、寝首をかかれたとかの話がザラで、殺伐とした状況がある。
 「江島市長や安倍事務所は対抗する会社は入札排除して叩きつぶしてきた。そして最後にはみんながダンピングに追い込まれて“勝手につぶれなさい”とやられた。零細なところほどしわ寄せが押しつけられている。赤字の仕事を請け負って会社が続くわけがない。市外にばかりカネを流すから地元が潤わない。こんな歪んだ事態は解決してもらわなければ困るし、75%にみんなが札を突っ込む“おみくじ方式”の入札制度も早急に改めてほしい」と語っていた。
 別の業者は「全国的にも稀に見る箱物行政のおかげで地元が潤っているならまだしも、逆だからたまげる」という。巨大な道路や箱物が山ほどできたが潤ったのはゼネコンや一部企業だけで、肝心な産業が育たずに地域全体が寂れてきた。「社会教育複合施設は石川県の真柄建設グループが一括受注して潰れた。施設の運営会社まで広島県の業者で、これと関係が深い原弘産が倒産したらどうなるのだろうかと心配している。新博物館の受注に失敗したプランハウスが倒産したが、安倍・江島周辺の企業が箱物を成長の原資にしようとしていたのではないかと疑いの目を向けている」とも話していた。

 教育費増の要求うっ積
 小学校に通う2人の子どもを抱えた婦人は、「市長は下関の財政について自分がたくさん使っておいて“硬直化している”という。世の中が不況でたいへんな時に、新庁舎や駅前開発などで散財するなんて、頭がどうかしている。新しい市長は箱物をやめて、トイレットペーパー代くらい出してもらいたい」といった。学校現場からは「ペンギン御殿、犬猫安楽死施設よりも、下関の子どもたちのために予算を出してもらいたい。トイレットペーパー代もテストのプリント用紙代も父母負担にしている自治体など見たことがない。イスや机もボロボロだし、箱物をやめればすぐに解決することだ」という声も多い。
 母親の1人は「子どもが2〜3人というわけではなく、100人以上いる旧市内までいっせいに統廃合する必要はない。経営効率だけで教育を考えていることが問題で、子どもをいかに育てるかという視点が欠落している。だから川中中学校の教科教室をメンツでごり押ししたりする。“全国初”など、子どもたちには何の関係もないではないか。市教委の姿勢について思うのは、とにかく聞く耳がないことで、これは江島市政の悪しき弊害なのでは」といった。
 保育園児を持つ母親は「公園の遊具が破れたまま放置されているものが多すぎる。公園で子どもを遊ばせられない街になっている。230億円もかけて市役所を建て替えることを考えると、こういう小さなところから市内を整備してほしいと思う」といった。

 地域医療守れの声切実
 豊北町に住んでいる男性は、滝部病院が経営縮小して救急病院ではなくなることを危惧している。「豊北町の住民が頼りにしてきた病院で、たいへんな問題だ。小串の済生会まで行くことになるのだろうか…。学校はなくなる、病院もなくなる、銀行や農協も店舗閉鎖で田舎の暮らしがままならなくなっている。合併して何もよかったことがない。元の町に戻してほしい」といった。
 病院関連では中心市街地も決して例外ではなく「中央病院(市立)がなくなるのではないか」と医療関係者の間で大話題になっている。下関市は近年流行りの独立行政法人化を準備している。これは、要するに財政的に「お荷物」なので民間に経営を丸ごと放り投げるというもの。久留米医大が循環器科に派遣していた医師を引き揚げたり、看護婦には非公務員化するため退職勧奨に近いようなことをやっており、辞めていく人も少なくない。民営化された場合、儲けにならない産科、小児科などがどうなっていくのか、救急医療はどうなるのか心配され、「いずれなくなるのではないか」と医療現場は危機感を抱いている。
 市内の総合病院に勤めている医師の1人は「済生会病院が安岡に移って、今度は国立病院が長府に移転する。そうなるとお年寄りの多い中心市街地には中央病院と厚生病院が残るが厚生病院も身売りの話が出ておりどうなるかわからない。中央病院から腕の良い医師が去っていく趨勢で、それに看護婦も辞めさせるではチームプレーが成り立たない。病院崩壊のような事態にならないことを願っている。下関市はPETとか高額機材を入れるのは熱心なのに、どういうつもりなのだろうか。市民本位で考えないと、たいへんなことだ」と語った。別の総合病院の関係者も中央病院の動向を気に掛けていた。「済生会、国立、中央、厚生病院の4つの総合病院で下関の医療をカバーしてきた。これが3つになって大丈夫なのだろうか…」と、心配そうに語った。
 市長選が争われるなかで、市民が市政にたいして思っていること、要求、危惧している事は山ほどある。市長になりたい者が調子の良いことばかりいっているというのでは話にならず、郷土下関が衰退してきた原因を取り除いて、市民の様々な要求を実現させること、下関をどうするのか、政策論議を活発に起こして候補者に立場を迫ることが求められている。

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