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破局に向かう世界経済
                働く者を貧乏にした結果     2008年9月12日付

 世界的な経済破綻になろうとしている。昨年8月にアメリカのサブプライムローン問題が表面化して以後、世界的な株安と通貨の暴落が止まらない。日米欧をはじめ、ロシア、中国、インドなどの新興国や東アジア諸国も軒並みで、「9月危機」が叫ばれている。金融危機の中で、信用収縮がすすみ、企業倒産が激増している。倒産と失業の嵐が吹き荒れる中で、物価は高騰し、人民は暮らしていけない。10数年前、「社会主義の崩壊」を叫んだが、資本主義が明らかに崩壊している。失業も貧困も戦争もない社会が切望されるところとなっている。

 コントロールできない米国
 震源地となっているのはアメリカで、投機で暴れ回ってきたファンドや金融機関が破綻寸前の状態に陥っている。メリルリンチ証券もシティグループも倒産の危機に瀕している。リーマン・ブラザーズも株価を45%も下げるなど、下げ幅がすさまじい。3月に破綻に追い込まれたベアー・スターンズのほか、すでに今年に入って11件の金融機関が破綻した。企業倒産も相次いでいる。ジェイ・ロックフェラーがオーナーをつとめているゴールドマン・サックスだけが唯一独り勝ちしている状態。
 何カ月か前に“デカップリング”などといって、「新興国市場が世界経済を牽引するのだ」と呑気に主張していた経済専門誌なども論調がコロコロ変わっている。中国株も暴落しており、“最強説”がささやかれたロシア株も下落を続けている。
 経済動乱のきっかけとなったのは、サブプライムの破綻である。国際通貨基金(IMF)の幹部がドイツ国内でおこなった講演のなかで、サブプライムローンをきっかけにした世界の金融不安の影響により「世界の金融システム全体での損失額が約1兆1000億j(約118兆円)に達する」と述べた。この損失は当初の予想を超えて、拡大するばかりとなっている。
 米政府は550兆円もの負債を抱える住宅金融公社ファニーメイ、フレディマックの2社を延命させるため、公的資金注入という動きに出ている。ところが救済される2社の株価は止めどなく大暴落しており、ファニーメイが0・73j(89・6%減)、フレディマックが0・88j(83%減)と紙切れのようになっている。1年前には70j近い株価だったものだ。公的資金注入、すなわち米国民への負担転嫁であるが、何兆円投入したら救済されるというメドすらない。問題を先送りすることにしかならず、「金融市場が大荒れになるのを一時しのぎしたに過ぎない」とも指摘されている。
 この2社が世界中にばらまき各国金融機関や中央銀行が保有している債券の総額は約170兆円にものぼる。両社が破綻した場合、世界中の経済が連鎖的に危機に追い込まれ、ドル暴落の引き金になることから、米政府が懸命な救済策に出ている格好だ。
 日本国内の主要銀行はこのサブプライム債券を、農林中央金庫が約5兆3000億円保有しており、三菱UFJが約2兆8500億円、日本生命が約2兆9000億円、第一生命が約1兆3000億円で、合わせて約14兆円を保有しているとされている。ほかにもこの債券を買い取らされていた年金運用団体や共済組合、各種金融機関が大損害を被ることになる。
 住宅価格が上がっていくことを前提にして、貧乏人に住宅ローンを組ませ、それを証券化し、格付け会社なるものが高い格付けをし、世界中に売りつけるという究極の詐欺商法であった。サブプライムに限らず、世界中には同様の金融派生商品の取引残高が5京円ほどあるとされている。これらに波及したら、世界の経済は吹き飛ぶことになる。

 止まらないドルの崩壊
 米政府がなりふり構わぬ対応をとっても、ドル崩壊はとまらない。
 世界各国の金融当局が保有している外貨準備高に占める米ドルの比率も低下し、3月末時点で63%、ユーロ建てが27%、英ポンドが5%、日本円が3%となっている。2001年に73%だったのから10%も下落している。円の比率も6%から3%に半減した。これら外貨準備のうち通貨構成が確認されているのは円換算にすると475兆円にものぼり、300兆円近くがドル建てということになる。ドル価値が下がって紙切れになると、膨大な損害を被ることになる。
 1兆8088億jと、世界最大の外貨準備を保有しているのが中国で、そのうち6〜8割をドルで運用しているといわれている。ロシアは5900億j超の外貨準備のうち米ドルとユーロをほぼ45%ずつ保有するなど、リスクを分散させている。8〜9割を米ドルが占めているとされる中東でも、ドル建ての比率を減らしてユーロなどの通貨建てに組み替える動きがある。ドル離れが進み、基軸通貨としての地位が揺らぎはじめていることをあらわしている。世界的な外貨準備のドル比率が低下すると、当然ドル相場がさらに下落して、米国債の買い手がいなくなることを意味している。
 世界がドル離れしているもとで、買い支えているのが日本である。財務省が5日に発表した八月末の外貨準備高は、9967億4100万j(約108兆円)にもなる。93年からうなぎ登りに上昇しはじめた外貨準備高は、2000年代に入ってからは政府・日銀が史上空前の「円売りドル買い」介入をやって急増した。買い込んだドルはほとんどが米国債(米国財務省が発行する借金証書)に化けて、資金は再び借金大国・アメリカに還流する仕組み。
 ドル安が進行しているので、日本がつかまされたドル建て外貨は、急激に価値が目減りしている。10円のドル安でも、一瞬にして10数兆円が吹き飛ぶ。保有している米国債は「対外資産」というよりは紙屑同然で、アメリカがこのまま国家破綻してしまうと、借金踏み倒しのような事態になる。保有残高の詳細について、日銀は「為替安定」を名目にしていっさい公表していない。
 ドルに限らず、各国通貨の暴落も止まらない。ユーロ安も歯止めがかからない。韓国ウォン、タイのバーツなどアジア各国の主要通貨も対ドルの為替相場が下落している。韓国では1997年のアジア通貨危機の再来まで懸念されている。昨年末に比べると2割近くウォン安が進行した。そのため韓国の金融当局はドルを売って自国通貨を買う為替介入を繰り返している。7、8月だけで韓国の外貨準備高は150億j(約1兆6000億円)減っているので、それだけのドルを売り飛ばして大規模介入を実施したと見られている。

 米国債も崩壊の危機に
 株が崩れ、ドルが崩れ、今後は米国債がいつ崩れはじめるかが注目されている。世界恐慌への号砲である。
 一連の動きが物語っているのは、アメリカ経済の崩壊が急ピッチで進行していることであり、抱きつき心中のような格好で世界経済までも巻き込んでいることである。それまで高金利のアメリカ(ドル)に張り付いていた資金が逃げ出して、ドルはますます暴落し、ドル支配の権威が剥落する過程で、同時にインフレがひどくなっている。
 米国は借金大国で、歴史的に経常赤字を抱えながら世界経済を牛耳ってきた。増え続ける経常赤字のもとで、経常赤字額を上回る外国からの資本流入によって、ドル、ITバブル、住宅バブル(サブプライム)などの資産価格の上昇を人為的につくり出してきた。赤字を穴埋めして、余った資金は国外に投資して儲けるというやり方。
 日米の関係では、低金利を強いられた日本からは資金が逃げ出し、高金利のアメリカ市場へと向かうシカケとなった。「円キャリー・トレード」など、アメリカの金融資本が日本のメガバンクなどから低い利率の資金を借り入れて、ただ同然で奪われたこの資金をハゲタカファンドが借り入れて、日本企業乗っ取りなどの資金にするのだから、ふざけている。米国債の買いとりなど含めると、日本からアメリカに総額で500兆円ちかい資金が出ている。
 そして、日本のメガバンクも保険会社も、大手は軒並み株式を外資に握られ、食品からアパレル、不動産にいたるまで、日本企業は買いあさられた。郵政民営化で350兆円の資産も市場開放され、運用顧問にはちゃんと米外資が名前を連ねた。“貯金箱”のように都合よく抜き取られ、一方では日本国内で医療や福祉をぶち切ったり、生産人民の生活がままならないほど貧しい状態をつくりだし、消費税を増税するとか、財政再建などといってきた。

 架空の市場創出が破綻
 07年8月にサブプライムローン問題が表面化したのち、米国政府が利下げを重ねて市場にマネーを供給したが、それらは株式などの金融市場には流れず、原油や穀物などの商品先物市場に雪崩を打った。
 株価の下落などによって金融商品で投機資金を運用しても利益が出なくなったからだ。損失を被った巨大銀行救済に動けば動くほど、さらにドル安になり、インフレを懸念した投機資金が商品市場に流入。エネルギー・食料を中心とした投機に火がついて、人間の生命の源である商品でギャンブルをやりはじめることとなった。
 最近では、景気減速を懸念して、投資家やファンドは商品市場から売り逃げて国債買いなどに転じている。原油先物価格は7月中旬に1ヲ=147jの最高値をつけたのち、100jを割るところまで下落している。
 このような状況は資本主義の固有の矛盾がつくり出しているものである。資本は互いの競争に打ち勝つために、労働者を生きていく限界を超えるほどに搾る。その結果、一方には1つの国家財政をはるかに超えるほどの大富豪がうまれ、その一方には食っていけない数10億の貧乏人が増える。貧乏人が増えるから消費購買力がなくなり、商品は有り余って、恐慌になる。アメリカであってもコントロールできなくなる。この過剰生産危機が進行する中で、有り余る資金によって、各国でバブル経済をつくり、架空の市場をつくってしのいできた。それがアメリカ本土のITバブル、住宅バブルにいたって、とうとうパンクしたわけである。
 収奪者が収奪されなければ、世界の収奪される働くものが生きていけない世の中になっていることは疑いない。

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