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反米斗争の発展恐れガザ侵攻
            世界各国で大規模な抗議     2009年1月7日付

 イスラエル軍は昨年12月27日、ハマス(イスラム抵抗運動)が実効支配するガザ地区に対する空爆を開始し、この3日から地上侵攻に踏み切った。目的は、反米・反イスラエルのハマスを消滅し、パレスチナ人民の民族独立運動を根絶やしにすることである。イラクやアフガニスタンの侵略戦争で惨敗したうえ、金融恐慌までひき起こして世界一極支配の夢を打ち砕かれたアメリカは、全世界で勢いよく発展する反米の世論と斗争に恐れおののいている。戦後60年余りにわたって中東地域の焦点だったパレスチナで、民族の独立と解放をめざす人民が勝利することをなによりも恐れ、手代のイスラエルを使ってつぶしにかかったものだ。だが、それは世界人民の怒りをかきたてて墓穴を掘ることにしかならない。

 パレスチナ人3000人を殺傷
 アラブで「ガザ虐殺」と呼ばれる今回のイスラエル軍の侵攻ですでに発表されただけでも500人を超えるパレスチナ人が殺害され、3000人近くが負傷した。死傷者の約25%が、子どもであった。
 イスラエル軍はアメリから供与されたF16戦斗機や攻撃ヘリでミサイルやロケット弾、2000O爆弾を投げつけている。子爆弾をまき散らし、不発弾が地雷ともなるクラスター爆弾や、高熱で人体を焼き尽くす白リン弾など大量殺傷兵器も使っている。海上からは艦砲射撃もおこなっている。
 ガザの行政機構、公共施設、発電所、病院、寺院、大学、民間住居はがれきの山と化している。イスラエルは「ハマスの軍事拠点をつぶす」ことを攻撃目的にあげていたが、すでに目に見える拠点はなくなったといっている。彼らがもっとも恐れているのは、ガザ市内の地下に縦横に張りめぐらされた地下道にある拠点である。イスラエル軍があえてそこに踏みこむならば、ハマスのいうように「墓場」である。いかにアメリカ製の武器で武装しようと、人民の金城鉄壁を打ち壊すことはできない。2006年のレバノン侵攻の惨敗の歴史もある。また鬼畜にもまさるイスラエル軍の蛮行は、パレスチナ人民の斗志を固めさせている。
 ガザ地区はイスラエルに隣接し地中海に面した面積360平方`余り(東京都23区の約6割)の地域で、150万人のパレスチナ人が住んでいる。
 06年のパレスチナ議会選挙でハマスが圧勝して、パレスチナ自治政府を組閣したのち、アメリカは民意を認めず、ハマスを「テロリスト」と決めつけて一切の交渉も拒否してきた。一時は選挙に敗れたパレスチナ解放機構(PLO)の主流ファタハとの連立政府をつくったが、ファタハが一方的にもう1つの自治区ヨルダン川西岸に臨時政府をつくってご破算となった。
 07年7月、ガザ地区は実質的にハマスの実効支配下に入った。イスラエルは同地区のイスラエルやエジプトとの境界線に電流を流した鉄条網を張りめぐらし、経済封鎖を実施した。電力やガス、水の供給から生活必需品の供給までストップし、兵糧攻めにしてガザ地区住民を屈服させようとした。ファタハ指導部の親米分子もそれに加担し、ハマス指導部の暗殺などにも手を貸して、パレスチナ人民から見放された。
 今回のイスラエル軍のガザ侵攻に対して、ファタハの支配するヨルダン川西岸の各地で抗議デモが展開され、パレスチナ人民が一体であることを示した。
 ファタハ指導部は1990年代、アメリカの「中東和平」の陰謀に加担し、「パレスチナ自治」を与えられることとひきかえにイスラエルを承認し、共存していく裏切りの道に転げ込んだ。彼らは自治政府の椅子と資金をもらい、アラブ諸国からの支援金まで懐にして腐敗をきわめ、人民から唾棄される存在となっている。パレスチナ自治政府の現議長アッバスはその代表格である。彼の任期はこの一月九日までである。議長選挙をやれば、ファタハの敗北、ハマスの勝利は必至のすう勢である。ファタハが敗れれば、アメリカ、イスラエルがパレスチナ人民を抑圧・支配する仕かけが大きく崩れることとなる。
 他方、イスラエル政府も首相のオルメルトが右派勢力からスキャンダルをあばかれ、すでに辞任を表明、死に体となっている。今年二月の総選挙で右派勢力が勝って実権を握るためには、ハマスに対して強硬姿勢を誇示しておかなければならない。
 今度のガザ侵攻の直接の動因はファタハを助け、イスラエルの政治危機を救うことであった。ブッシュはこの戦争はハマスが仕掛けた、ファタハを支持しなければならないとあけすけに語っている。
 だが、次期大統領のオバマは昨年六月、「イスラエルとアメリカは一心同体だ。私がホワイトハウスの主になったら、イスラエルの安全を守り続けるという、揺るぎない約束を果たす。その手はじめに、イスラエル軍が質的な軍事的優位を備えるための援助を惜しまない」とのべた。アメリカ支配層の中東戦略に変わりがないこと、引き続きイスラエルを手駒にしてパレスチナの民族解放運動を弾圧し、石油利権を独占していくことを表明している。

 中東の支配を狙う米国
 1948年にアメリカがイギリスと組んで、国連決議でユダヤ人国家イスラエルをパレスチナに建国した。その目的が戦略資源である石油の宝庫・中東地域をアメリカが確保するため、イスラムのアラブ諸国のど真ん中にユダヤ人国家をつくり、分割支配することだった。その眼目は独立と自由を求めるアラブ諸国人民の解放運動をつぶし、思いのままに中東を支配することだった。
 そのために、イスラエルはアラブ諸国と四度の戦争をやった。1991年の湾岸戦争、03年のイラク侵略戦争のいずれも中東の石油権益を独占するために、アメリカに楯突く国を懲らしめるためだった。イラクのフセイン政府がイラン・イラク戦争ではアメリカに支持されていたのに、パレスチナ人民を支持したことでつぶされたのだった。パレスチナ問題は戦後ずっと中東地域の矛盾の焦点であり、パレスチナ人民を支持するかが試金石であった。
 ブッシュ政府が大うその口実で始めたイラク戦争は、アメリカの中東一極支配の目的をとげられなかった。「反テロ」を掲げたアフガン侵略も今や国土の半分以上を、アメリカに転覆されたタリバンら反米勢力に支配される羽目となった。今年9月、「リーマン・ショック」で顕在化したアメリカ発の金融恐慌は、今や1930年代の大恐慌にまで発展する勢いとなり、新自由主義にとどまらず資本主義体制そのものの大破産を露呈することになった。
 中南米に端的に見られるように、アメリカの支配をうち破り、各国の自主と独立を基礎に協力し、地域統合をはかる潮流がとうとうたる流れとなっている。アメリカ支配層の指図によるガザ侵攻は、そうした反米潮流を押しとどめようとする愚かな悪あがきにすぎない。

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