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反対派選挙惨敗が仕組まれる
上関町議選
             争点鮮明に町民運動が力   2010年1月15日付

 上関原発建設を最大争点とする上関町議選挙は、鋭い様相となっている。中国電力は無理に無理をかさねて原子炉設置許可申請を出したが、祝島は漁業補償金受けとりを拒否し、土地問題も山積したままで、工事は頓挫している。祝島が補償金受けとりを拒否したら原発は終わりとなる。中電と町民の力関係でいえば推進・反対の力は逆転の様相となっている。しかし選挙は陰謀じみた仕かけが動くのは毎度のことで、町議選は反対派議席惨敗の仕かけが働いている。それを突き破って町民が勝利する道はどこにあるか、上関の現状分析と共に考えてみたい。
 選挙戦の立候補予定者の様相を見ると、「反対派が消滅して、みんな推進になった」の筋書きで進展している。推進派のある幹部は「今度の選挙は9対3、良くいけば10対2」といっている。上から見た選挙構図からすると反対派惨敗の構図なのだ。
 第一の特徴は、「反対派組織」の側が対決姿勢が乏しいどころか、自から引いていることである。リーダー格であるはずの山戸氏が引退して、2、3年前に東京から帰ってきた労組活動出身といわれる山根氏に交代。さらに、「日共」職員や元県職書記・高島氏といった外部勢力が早早に出馬を表明し、「反対派組織」がそれを承認したことが大きな特徴となっている。
 定数12にたいして「反対派」は当初、地元からは祝島の山根・清水コンビに上関地区の柏原町政与党・岩木基展議員の3人に絞り、プラス外来者2人を加えて5人の候補といっていた。「よそ者で選挙になるわけがない」というのが町内の常識であり、推進派九議席を最初から保障するという体制であった。
 その後、前回2票差で落選した白井田地区の村田喜代子氏がプラスされて地元からは4人。「反対派組織」の枠外から立候補して前回151票で当選した戸津の田中氏が出るなら5人となる。これでよくいって反対派は4議席か5議席で、推進派に8議席か7議席を保障することになる。
 町民のなかで話題になっているのが、反対派の「よそ者」2人の選挙活動がサマになっていないことで、「本人たちに立候補する意志があるのか?」と語られている。室津住民のなかでは既存の反対住民のなかでも「高島は顔馴染みになろうと室津住民に溶け込もうとする姿勢すら見えない」という声があり、「高島に投票する」という人は見あたらない。同じように上関地区でも「(日共)田中は“骨を埋める”といっているが、何をして食っているのか?」「小柳票を受け継ぐといっているが、日共票と小柳票は違う」と語られる。
 祝島から高島氏に票を回す可能性があると見られているが、室津で票がなければ死に票となる。長島側の他の候補も危機ラインにおり、当選する可能性のないのが出て死に票が分散すれば、反対派は共倒れすることになる。「10対2」もあり得ることとなる。
 対する推進派は、現職八人に新人3人の総勢11人が立候補の動きを見せている。現在、もっとも活発に動き回って目立っているのが推進派の新人3人である。旧式推進派は旧式選挙方式で、「ド派手な実弾三銃士があらわれるんだろう」とも語られている。
 室津の海下氏は漁師になって日は浅いものの、漁協代表として登場している。後ろ盾になっているのが祝島崩しに躍起になった県漁協・森友専務(室津漁協から抜擢)で、祝島や八島にも遠征して精力的に挨拶回りをしている。祝島では環境調査の迷惑料20万円を受け取った23人などを意識的に回った模様。大西一治・瀬戸内海区調整委員会会長(県漁協上関支店)の飲み仲間である、反対派転向の推進派が連れて歩く一幕が見られた。
 役場退職者の河村氏は故河本広正(反対派リーダー)氏の親戚筋にも触手を伸ばしている模様で、片山元町長など親戚筋や役場同期グループが本気になっている。上関地区の嶋尾氏は福浦地区の反対派をとりこみ、「惣津の反対一族を崩せる」候補と目されている。
 推進派新人3氏の特徴は、町民のなかの旧式推進派議員に批判的で、原発離れしている中間層部分や、旧来の反対票の取り込み要員として、中電や県中枢から取り立てられたと見られている。それ自体、推進派が瓦解していることの反映となっている。

 窮地に立つ中電側の大芝居 諦め誘うのが狙い

 反対派候補を個別に見ると、村田氏は前回133票で上杉氏の選挙にあった祝島からの支援票がなかったことで落選という結果になった。今回、祝島の支援票が高島氏に流れるなら落選の可能性大と見られる。柏原町長の与党として批判された岩木基展氏は、小柳前議員が引退し、その全面バックアップをもらったはずが、過去最低の177票の危機ラインだったのが前回選挙だった。小柳氏が「日共」候補を擁立したなかで、どうなるのか未知数。
 戸津の田中氏については、前回はノーマークから奇跡的な当選をしたが、今回は潰しが加わる趨勢。同じ反対派の村田氏や岩木氏が戸津で挨拶回りをはじめ、「反対派組織」側から枠外候補へのバトルもある。さらに推進派からも右田議員などが浸食しはじめ、圧力が加わっている。
 こうしてみると、2人を当選させて100票ほどの余裕がある祝島の反対票の配分次第では、長島、室津側全滅の可能性もあるということになる。推進派が豪語する10対2である。
 選挙は推進派、反対派の票が6対4で推移してきた。町議選挙における推進派候補の全有権者数にたいする総得票数の比率の推移を見ると、12人が立った94年の選挙で62%、98年が無投票。9人にしぼった02年の選挙では61%だったのが、06年には9人が立って57%と、次第に減ってきているのが特徴だ。反対票の4割は、どんな候補が出ても変わらなかった。自分たちの意志表示であり、候補の人気投票などとは見なしていないのである。今回はこれまでにもまして、一方では推進離れが著しいこと、他方で中電職員や外部の土建屋といった町民なりすましの関係票が150票というインチキがあるなかでの選挙となる。
 以上のように、上関町の町議選挙は意味深い様相となっている。1998年に推反談合の無投票を演じてみなを驚かせたが、今回の選挙はそれに劣らぬ「反対派」惨敗シフトが動いている。選挙は毎度の如く謀略と陰謀であり、町民の意志がストレートに反映しない仕掛けがつくられてきた。これは、選挙の議席そのものが目的ではなく、選挙惨敗を演出して、漁業補償金受けとりを拒否する祝島に「全町の反対派は壊滅」「やっても無駄」のあきらめを誘うための、窮地に立った中電側の大芝居である。

 原発建設問題が最大の争点 町民が町取戻す斗い

 この選挙の第一の特徴は、原発という争点をそらすことである。第二に、中電など外部勢力が奪ってきた町を、町民の手に取り戻すかどうか、町民が主人公になった大衆的な世論と運動が主導するかどうかの対立である。そして議員になったら自分の好き勝手ではなく、町民が議員候補者に言うことを聞かせる関係にし、そのための議席を拡大するかどうかである。
 昨年来、田名埠頭で祝島住民による埋立阻止行動が盛り上がったのをはじめ、祝島が漁業補償受け取りを拒否して、全町的に強い共感を呼んできた。祝島の運動の質が昔とは変わってきているのを全町民は見ている。
 祝島の漁業補償の問題も、中電だけが押しつけているのではなく、二井県政が矢面に立って、漁協合併を強要したり、補償金受けとりのために「国税が受けとらなくても税金をかけるといった」などのウソ八百の脅しをしたり、最高裁も「七漁協の契約に祝島も拘束される」などとインチキな表現をし、要するに上関原発は国策として国、県が権力を使ってごり押ししていることを目の当たりにしてきた。
 そして、原発は漁業を中心に発展する上関町をつぶしてしまうこと、さらに原発は単に祝島の生活の問題だけではなく、全瀬戸内海の漁業を壊滅させ、日本人が魚食ができなくする、日本社会全体の大問題である。さらに岩国には空母艦載機の移転をやるなかでミサイルの標的になる原発をつくったら、チェルノブイリ原発事故を見るまでもなく国土を廃墟にするものである。したがって原発に反対することが真の国益であり、デタラメな国策を引っ込めさせなければならない、という世論が強くなった。
 そして、島だけが反対すればよいというのではなく、農漁業も製造業も教育も医療もつぶされていることに反対して国の立て直しを求める全町、全県、全国と団結すること、とりわけ米軍基地に反対する岩国、被爆地広島と団結することが頼りであり、大きな力になることが確信となってきた。
 中電側は選挙戦において、原発をめぐって全瀬戸内、国全体の命運と関わった上関町をどうするか、この中心の争点をぼかして、個別利害だけ、親類縁者の選挙の色彩を強め、選挙を有利にしようとしている。

 全町団結を広げ力の結集を 町の様相一変へ

 第二は、選挙は権力や金力の圧力がもっとも力を発揮する場である。それを打ち破る力は、争点を鮮明にして大衆的な世論と運動でたたかうことである。推進派町政は、町民の代表ではなく中電の代理人となって自分だけがよいことをしてきた。売町政治であり、町民の町ではなく中電の町にされてきたのである。
 ここで「反対派」の側が、「日共」集団とか、自治労・県職に雇われていた人物とかが、選挙に乗り出すというのは、町民の町にするという町民の要求を逆なでするものとなっている。自治労というのは地方自治という概念から付けた名称である。町民を押しのけて選挙に出て推進派選挙を助けるというのでは、「自治反対労」か「二井労」になったのかとの非難を呼ぶことは必至である。「日共」集団も最近の党大会にアメリカ大使館を呼んで自慢するという調子で、各地の首長選ではしばしば票割り候補を立てて自民党を助けることをやってきた。民主党政府の頭ごしに、その御主人であり、原発推進の本場であるアメリカに直接の売りこみをやっている。上関でもやるのかということになる。
 町民主人公の選挙というとき、もっともたたかっている祝島の婦人を中心とする島民が、全町を回って、争点を訴え、全町民との団結を広げることが最大の力となる。それは選挙における反対派惨敗の構図を打ち破り、町の様相を一変させる力になる。
 反対派議員団は現在惨敗の危機にさらされながら、以上のような全町民を団結させる活動をやったためしがない。町民の力に乗っかって自分がいいことをしているだけという評価は定着している。そういう「推進派か反対派かわからない」という町民の評価が、惨敗の危機を深めさせている。立候補予定者は、町民のいうことを聞いて、原発の争点を全町的にはっきりさせ、町民の団結と協力のために動くのかどうかが、注目されている。
 中電は祝島に漁業補償を受け取らせ、土地を買収するためには、だましてあきらめさせる以外にない。そのための反対派惨敗の大芝居である。したがって選挙の焦点は、町民が敗北感を抱く結果になるのか、勝利の実感を抱く結果になるかが最大問題となっている。議席でいえば、6対6になったら局面は大転換であるが、あと議席が7対5でも9対3でも局面にはたいした変化はない。それ以上に選挙を通じて、町民のなかで国策である原発に反対し町を取り戻し、国を守るという力がどれだけあるかを確信することが重要である。

 

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