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破綻顕在化するアベノミクス
国内景気にトドメさす効果
                外資に利潤提供しただけ     2014年9月10日付

 世界的に金融政策が破綻しているもとで、「アベノミクス」といって安倍政府・日銀だけが量的緩和の大盤振る舞いをくり広げてきたが、日本経済の指標は軒並み大不況突入をうかがわせるものになってきた。この間、黒田日銀が金融市場に膨大なマネーを注ぎ込み、海の向こうでは逆にFRB(米連邦準備制度理事会・米国中央銀行)が量的緩和を縮小したおかげで米国金利が上昇してドル高=円安が進行し、日経平均株価だけは急上昇してきた。円安によってガソリン高、食料品高など物価高騰を招き、さらに消費税を五%から八%に増税したことで国内消費は急激に落ち込み、人人がモノを買わないため過剰在庫が積み上がって企業は設備投資を控えるなど、散々な結末を迎えようとしている。
 
 日銀マネーはニューヨークへ

 8日に内閣府が発表したGDP(国内総生産)改定値は、年率換算で前期比マイナス7・1%と東日本大震災直後のマイナス6・9%を上回るものとなった。速報値ではマイナス6・8%と少なめに見積もっていたが、9月1日に発表された法人企業統計を加味した結果、設備投資が速報値の2・5%減から5・1%減と倍以上に引き下げられ、さらにGDPのうち6割を占めている個人消費が速報値の5%減から5・1%減に引き下げられたことが反映した。個人消費すなわち家計支出を年率換算にするとマイナス19〜20%近いもので、すさまじい落ち込みを見せている。
 その後、7月の消費支出についても総務省は前年比5・9%減少していると発表し、6月の3・0%減以上の数値を叩き出すなど、深刻な消費不況に陥っていることをあらわした。7月の白物家電の国内販売高は前年比15・9%減という衝撃的な落ち込みぶりとなった。新設住宅着工戸数も同14・1%減、全国スーパー60社の売上高も同2・1%減となった。一方で消費者物価指数は3・3%上昇した。
 8月の統計として明らかになっているものでは、ビール大手各社の推計で販売数量が前年比10%減となり、6、7月に続く落ち込みぶりとなった。日本自動車販売協会連合会は8月の国内新車販売台数が前年同月比で9・1%減少しボーナス商戦が低迷していることを明らかにした。GDPのマイナス7%というのは大不況突入といってもおかしくないほど大幅な景気後退を示しているが、これが7〜9月期になっても持ち直す兆しがないことを各種統計が示している。消費税を増税したから景気が冷え込んだのではなく、もともと不景気だったところに増税でトドメがさされ、いっきに坂道を転げ落ちることとなった。
 甘利経済財政・再生相は「実質賃金がプラスになっていないので買えないのではなく、買う余力はあるけれどあえて買っていない。10%(消費税増税)に向けて節約しているという反応が感じられる」「10%に上がるのではないかということで、小物に対して財布の紐がしまっている」のだと苦し紛れの弁明に追われた。そして、集中豪雨など天候不順が続いたから消費活動が落ち込んだという見解をあらわした。
 経済指標は「アベノミクス」なり、この間の経済政策の結末を正直に物語っている。このなかで、年内に消費税10%への増税を決めようとしているのが安倍政府である。自民党幹事長に就いた谷垣禎一は「8%から10%に持っていけない状況が生まれると『アベノミクスは成功しなかった』と見られる可能性がある。既定方針で頑張ってもらいたい」と発言するなど、アベノミクスの面子のために増税するという本末転倒な発言をして物議を醸した。
 景気は回復しているどころか、ますます悪化して中小零細企業や商店の倒産があいついでいる。円安政策によってガソリン高や食料品の高騰、小売商品の値上げが頻発し、そこに増税が加わって消費者がモノを買わない。税金や保険料など国民負担ばかり増え、一方で給料は上がらず、消費に回す金がないからにほかならない。

 米国の金融緩和縮小 円安政策が株高を演出

 ここまできて、安倍政府が実行してきた経済政策は何だったのかを問わないわけにはいかない。「アベノミクス」は投資先を失ってさ迷っていたヘッジファンドの小銭稼ぎに利用されただけだった。為政者にとって唯一の自慢が株価で、この間、日経平均株価は民主党政府時期よりも2倍近くに跳ねあがったが、それは「安倍政府の登場」以上に、米国が金融緩和を引き締めたことでドル高=円安に向かったのが大きな要因だった。日銀はマネタリーベース(金融緩和の指標)を2年で2倍にすると豪語し、今年度末にはその残高は約270兆円にもなるといわれている。ところが国内金融機関の貸し出しは伸びず、国内には循環しなかった。
 その大部分は在日外銀が安い円資金として国内で借り入れ、その円をそのまま金利の高いニューヨークの本店に送り、そこから米国のヘッジファンドや金融機関、証券会社に貸し出されてウォール街の投機資金として運用していたからである。円キャリートレードといわれるもので、金利差分が彼らの丸儲けとなった。米国が自国の都合でリーマン・ショック以来続けていた金融緩和を縮小し、その身代わりで日銀が投機資金の供給役を請け負った関係を暴露している。そして日銀が供給するマネーで外資が日本株を買い、ドル買いしたことによって円安となった。
 円安で大喜びするのはトヨタをはじめとした大企業である。しかし輸出は伸びたかというと、輸出入の差額をあらわす貿易収支は13年度は13・7兆円と過去最大の赤字を記録した。財務省が発表した14年上半期(1〜6月)の貿易赤字額も7兆6000億円で、半期ベースでは過去最大となっている。一方で円安によって食料品を筆頭に消費者物価は確実にアップしたが、それに見合う賃金上昇などなかった。今年4〜6月期の雇用者報酬は前年比で実質1・8%減で、あれほど大企業や連合が「ベースアップ」「安倍首相に頼まれた!」と騒いでいたが、ほとんどの人間が恩恵など被っていないことをあらわした。
 もともと不景気で「失われた20年」などといっていたところから、ハーメルンの笛吹きのように安倍晋三が再登板し、何とも知れない雰囲気で「アベノミクス」をメディアが持て囃して“好景気”を捏造していた。しかし「高支持率」と同様に嘘のメッキは剥がれ落ちている。

 調子付く大盤振舞い 増税でさらなる破綻へ

 目下、日本社会を大不況のどん底にいざなっているのが安倍政府である。調子に乗った大盤振る舞いは改まる気配がなく、海外に外遊に出かけてはODAをばらまき、来年度の防衛予算は農業予算の2兆円強を上回る5兆円に達しようとしている。歯止めがかからず予算規模は過去最大を連発し、借金総額は15年度末には1143兆円になるといわれている。長期政権になって毎年100兆円の借金残高を膨らませるなら、すぐに1500兆円、2000兆円と国家債務は膨らんでいくほかない。
 「国にカネがない」といって消費税や国民負担の直接収奪を強めながら、多国籍企業と化した大企業は法人税減税の恩恵を受け、みな海外移転して生産拠点を移していく。消費税が上がれば輸出企業は戻り税で還付金がもらえ、逆に儲かるというインチキも既に暴露されてきた。破綻した米国経済の尻拭い係のような真似をして国内を散々に疲弊させ、しまいには集団的自衛権を発動して日本の若者に「米国の国益のために死んでこい!」という。TPPによって日本市場を丸ごと外資に売り飛ばすようなことにも躊躇がない。後は野となれで、日本の国益などまるで念頭にない為政者の姿を暴露しており、そのいい加減さを隠しようがないところまできている。
 政治は口からでまかせで「福島は完全にコントロールされている」といってみたり、「わたしが最高責任者」だから憲法解釈も変更できるとうそぶいたり、「国民の生命を守る」ために集団的自衛権の解釈変更をして米軍の戦争を肩代わりするとか、願望による突っ走りや虚言癖が目に余る。国民から見たときに、生活を破綻させた戦犯、疫病神が安倍晋三であるが、このような男を持ち上げて首相に祭り上げ、多いに利益を懐にしてきた米国、外資、大企業の存在から目をそらすわけにはいかない。
 国際金融資本の息継ぎに利用された「アベノミクス」はあっけなく終焉を迎えようとしている。日本社会を食い物にしていくものに対して、全国的な政治斗争を組織していくことが切望されている。

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