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破綻した米国の金融支配
住宅バブル崩壊でドル暴落
                原油や穀物も買い占め商法     2007年11月30日付

 油代が高騰し、穀物高騰でさまざまな食料品が値上がりをしており、農漁民や中小業者、低賃金と税負担、医療や福祉の切り捨てなどで苦しむ庶民の生活を直撃している。なぜこんなことになっているのか。日本の財界や政府が親方と仰ぐアメリカの金融機関は、住宅バブルが崩壊して膨大な不良債権を抱え、そのインチキ債権を買い込んだ世界中の金融機関も不良債権を抱えて大あわてとなっている。金融機関を救うために低金利でもうけさせようとするが、そうすると高金利をあてにしてアメリカに集まっていた資金が逃げ出し、ドルが暴落する。世界中の人民があまりにも貧乏になって購買力がなくなった結果、資本を再生産に投じることができずに、余剰資金が有り余って、金融投機で稼いできたが、それがいまや大パンクをしている。

 世界中の金融機関がパンク
 不況で庶民にはカネがなくて、欲しいものも買えないのに、物価は上昇する。供給に対して需要が少ないのに物価は上がるというのは経済の常識をこえたことである。原油や穀物価格の急騰は、アメリカにおけるサブプライムローン(貧乏人への住宅融資)がパンクし、それを金融工学と称するインチキ手法で債権にして世界中に売り、それがパンクしたからである。そこから世界的金融不安が高まり、株式や不動産の投機に向かっていた世界の余剰資金が、人が生活するのに不可欠な石油や穀物などの商品投機に向かったからである。昔、悪徳商人が米を買い占めて高値で売りつけ、打ち壊しにあったりしたが、そのような生活必需物資の買い占め、高値売りつけが世界的にあらわれているのである。
 さらに、ドルが暴落を始め、紙切れに近づいており、インフレになっているからである。
 この要因である、米国金融支配の崩壊とドル安は、サブプライムローン問題がきっかけとなった。
 低所得者層を対象にした住宅ローンで、返済能力のない人人に不動産価格の上昇を信じこませて資金を貸し付けその住宅ローンを貸し付けた金融機関は、ローンを証券化して売り出し、債権を回収するというものだ。その証券を投資ファンドや投資銀行に販売し買い取った投資ファンドはこの証券を担保に金融機関から融資を受け、さらに自己資本の10〜20倍もの証券投資をおこなっていた。証券が低格付けローンを適当に組み合わせたことで高い格付けを得て、そこへの投資が全世界的規模に広がるという構造だ。
 元元が、住宅バブルをつくって、そのアブクの上に、金融工学と称するインチキが働いて、この虚構のマネーゲームは大崩壊、世界中の金融機関がパンクしたのである。

 40兆超す危機も 影響は広がる一方・深刻な破綻債権
 サブプライムローンの市場残高は約1兆4000億j(約154兆円)とされている。そのうち現在までに破綻している債権が約800億j(約9兆円)で、破綻すると思われている延滞債権が、約2000億j(約22兆円)といわれている。政府保証がついていない中高所得者向けのサブプライムローンも約600億j(約7兆円)が破綻債権とされている。それらをひっくるめた総額は「最悪の場合40兆円をこえる」という指摘もある。
 米メリルリンチは7〜9月期決算で、サブプライム関連の損失が79億j(約9000億円)に膨れあがり、22億4100万j(約2500億円)の赤字に転落。米大手銀行・証券10社の直近の四半期決算だけでも、関連損失の合計が230億j(二兆六三〇〇億円)にもなった。そのうちシティグループなど7社が減益あるいは最終赤字となった。国際通貨基金(IMF)は、金融機関などに最大2000億j(約23兆円)の損失をもたらすと試算している。しかし専門家の多くが、リスクがどれだけあるのかは見当がつかず、把握すらできないほどの状況を指摘しており、これからさらに深刻化すると見られている。
 ECB(ヨーロッパ中央銀行)は948億。(約15兆4000億円)の緊急通貨供給をおこなったほか、米連邦準備制度理事会(FRB)も、940億j(約10兆4000億円)の通貨供給をおこない、2度にわたって利下げをおこなった。日本では株価下落と同時に円高が進むこととなった。日銀も通貨供給を増やして、欧米中央銀行と歩調を合わせた。世界にまたがって銀行や証券会社、投資家が損失を抱えた。
 張本人であるアメリカは各銀行の損失を消すためには利下げをせざるをえない。ところが、これほど巨大な損失は利下げだけで補填することなど到底できず、しかも利下げによって、高金利の米国市場に集まっていた各国マネーは逃げ始め、ドル相場が下落し始めた。にっちもさっちもいかないのである。
 米国は大借金大国で、歴史的に経常赤字を抱えながら世界経済を牛耳ってきた。90年代になると、高金利で外国資本を引きつけて、その金でバブルを謳歌していた。増え続ける経常赤字のもとで架空のバブルが持続できたのは、ドル、ネット関連株、住宅などの資産価格の上昇を人為的につくり出して、経常赤字額を上回る外国からの資本流入をさせ、それが資金繰りを下支えし、対外債務を抑制していた。しかし財政赤字、経常赤字という「双子の赤字」はブッシュによるアフガン侵攻やイラク戦争の膨大な戦費によって、さらに増加していた。
 米経常赤字は3カ月ベースで約2000億jとされ、外国からの対米証券投資が1カ月に670億jをこえると資金繰りがトントンになるといわれている。外国資本が引き揚げたら、アウトなのである。ところが、サブプライム問題が発覚した7月以後は、利下げや金融破綻に嫌悪してドル安に陥り、大量に資本が逃げ始めた。ちなみに現在、この急な資金不足を補っているのが、日本の銀行や産油国とも見られている。日本の国際収支統計では、それまで3カ月合計平均で9000億円程度の資本流出だったのが、7〜8月は2兆3000億円と過去最大の流出になっていることも取り沙汰されており、米銀に短期の資金提供を増やしており、その分が国内に回らないと見られている。

 ドル価値は大下落 原油や穀物に向う投資・崩れる基軸通貨
 ドルを中心とした金融資本主義の破綻と、基軸通貨の崩壊が露わになっている。ジャブついたカネは金融商品を避けて「インフレに強い資産」として原油や穀物市場などに流れやすくなった。投資マネーは明らかにドル離れして、金や原油、穀物などの資源に向かい、それらの価格が急上昇しているのである。
 99年初頭のドル建て原油価格は、1バレル=12・5jだった。2002年には20j台で推移した。それが最近では100j目前まで迫っている。今年11月初旬のドル建て原油価格は1バレル=95・93jにもなっている。近年の推移を見てみると、ドル安の傾向はサブプライム問題にかかわらず04年から始まっており、そこからの原油価格の上昇はすさまじい。なお、11月初旬のユーロ建て原油価格は、66・13ユーロになっている。九九年初頭の時点では、1ユーロ=1・1721jだったわけで、現在のドルとユーロの価格差は、ドル価値が下がっていることを物語っている。
 原油取引はドル建てでおこなわれるのが通例だった。これはその他の穀物市場でも似ている。ところがドルが下落すると産油国の石油輸出収入も目減りすることになるので、それを補う価格釣り上げの取引にもつながっている。OPECでは、ドルを排除することすら俎(そ)上にのぼっている。
 金は1トロイオンス=1000jごえが叫ばれるまでになっている。金価格は、99年につけた安値からドル建てでは3倍に跳ね上がっている。ユーロ建てでは、2・2倍。1971年のニクソンショックの金ドル交換の停止、その後の変動相場制移行までは、金1オンス35jであった。ドル紙幣は30分の1になったのである。

 あふれる余剰資金 社会の上層だけに・はびこる投機集団
 1971年のニクソンショックは、第2次大戦後の金融システム「ブレトン・ウッズ体制」の崩壊を意味するものであった。国際的な通貨である金とドルの交換を停止し変動相場制に移行した。アメリカはベトナム戦争でにっちもさっちもいかなくなって、1975年には無様な撤退をして、政治的な権威は失墜したが、経済面でも膨脹する戦費でドルが力をなくしたのである。
 そして1975年には世界恐慌が襲い、1980年にも世界恐慌となった。アメリカはIT通信技術と金融技術に力を入れ、軍事と金融で世界を支配しようとしてきた。85年にはレーガン政権のもとで「プラザ合意」でドル安・円高を決めるなどし、日本に対しては「内需拡大」を要求。アメリカでは金融工学といわれるマネーゲームのテクニックを発達させた。
 90年代末にはアジア経済を破綻させたことで有名なヘッジファンドという投機集団が倒産を始め、2000年に入るともてはやしてきた「IT」バブルが破綻、その後もサブプライムローンのような住宅バブルをつくって架空の景気をつくり出してきた。
 今回の問題は、とんでもない金融派生商品に世界的規模の投資が殺到するほど、世界に余剰資金が溢れていること、金融機関や大企業のもとには膨大な資本が蓄積されていることを表している。その金に投機集団がまぶりついて、世界をまたいだ金融ギャンブルをやって焦げ付かせ、今度は原油や穀物相場、信用力が高い金などに投資先を乗り換え、相場の暴騰を引き起こしているのである。原油(実需との関係で見るなら1バレル=40j台が妥当とも見られている)も穀物も実需では説明がつかないほどの高値であり、「金融商品」と化しながら動乱に向かっているのである。
 物は有り余って売れず、再生産のために資本が投入されるわけでもなく、巨大資本や投機集団による利ざや稼ぎだけがはびこってきた。この架空のマネーゲームが破綻をきたして金融大恐慌に突入する。これらの問題の本質は資本主義経済につきものの過剰生産危機であり、社会の上層にはますます富が蓄積するのに、圧倒的な労働者の側の貧しさが増大して物が買えないという、資本主義の根本的な矛盾に根源がある。

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