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破綻する自民党従米外交
ブッシュ政府にはしごはずされる
               民族主権放棄の無惨な姿     2008年8月18日付

 福田内閣は、対米従属外交をやればやるほど国内外で孤立を深め、アフガニスタン本土への自衛隊派遣問題、スーダンへのPKO(国際平和維持活動)派遣問題などで手直しを始めている。朝鮮民主主義共和国(朝鮮)との外交では、ブッシュ政府の政策転換によってはしごを外された格好となり、制裁一辺倒も行き詰まり打つ手を失って右往左往。国際政治では日本の国益に立った独自の外交というものがなく、アメリカの従属国という姿を広く暴露している。

 陸自のアフガン派遣も頓挫
 安倍前首相が昨年9月にみっともない投げ出しをやった要因の1つは、インド洋での米艦船への給油にとどまらず、アフガニスタンへの自衛隊派遣策動を強引に進め、ブッシュのご機嫌をとろうと突っ走ったことだった。年初めに、防衛庁を「省」に昇格させ、自衛隊の海外活動を「本来任務」とし、北大西洋条約機構(NATO)理事会で日本の首相として初めて演説、「自衛隊は海外活動をためらわない」とたんかを切った。
 その衣鉢を継いだ福田首相も就任早早、インド洋での米艦船への給油活動継続の根拠である「新テロ特措法」を衆院の3分の2の多数で強行成立させた。そして今年1月の施政方針演説では、「平和協力国家」に徹するとアメリカの「反テロ戦争」への貢献を強調した。政府・自民党内では、「特措法」のような時限立法でなく、自衛隊をいつでもどこへでも派遣できる恒久法制定の検討が進められた。
 ブッシュ政府高官やシーファー駐日大使、NATO事務総長らは、アフガンでの反米勢力の復活で死傷者が増大している、少なくとも1万の兵力増強が必要だと折にふれて訴え、日本にまずヘリコプターによる輸送支援ができないかとくり返し要求した。
 福田政府は6月、外務省と防衛省の調査団をアフガンなどに派遣した。自衛隊輸送ヘリによるアフガン国内の輸送活動、空自輸送機によるアフガンとタジキスタン・キルギス両国間の輸送活動などの検討項目があがった。それには恒久法の整備が不可欠であるが、自民、公明両党のあいだで武器使用基準などで歩み寄れず、立法は難しいとなった。
 政府がアフガン本土への自衛隊派遣を考えた背景は、来年7月に期限切れとなる「イラク復興特措法」の延長は、困難と見たことがあった。イラクかいらい政府が要請した形の国連決議は、外国軍のイラク駐留は年内で期限切れとなる。もし国連が延長しなければ、イラク派遣の空自の輸送部隊は今年末に撤退の可能性がある。それがもたらす日米同盟関係への影響を最小にするため、アフガン派遣拡充で穴埋めを考えたのである。
 だが、政府調査団の調査で明らかになったことは、アフガンで安全なところはなく、もし自衛隊が出れば自衛隊はもとより日本のNPO(非政府組織)も標的とされる状況であった。もし犠牲者が出れば、福田政府の致命傷となることはいうまでもない。
 政府・与党内の足並みが乱れ出した。アフガン派遣は論外で、インド洋での海自の給油活動の根拠である「新テロ特措法」の3分の2再採決についても、公明の太田代表は「現時点で私はきわめて慎重だ」と発言した。自民党外交・防衛関係議員間でも、「障壁が多すぎ与党内もまとまらない」(山崎拓・党外交調査会長)とか、「給油は止めるべきだ。アメリカ支援も限界だ」(加藤紘一・元幹事長)など「新テロ特措法」延長にも慎重論が出るようになった。
 8月初めの内閣改造後、党三役改選後は、海自の給油活動を再延長する以外の新たな対案を探るべきだという与党幹部の発言が相次いでいる。自民党の麻生幹事長と笹川総務会長がそろって、海自艦艇による日本の民間タンカーを護衛する案に言及した。古賀選挙対策委員長も17日のテレビ番組で、「(新テロ特措法の)衆院再可決ありきの臨時国会日程を組むべきでない。給油活動以外の国際貢献のあり方を含め、野党との協議に努力を傾注すべきだ」とのべた。太田公明党代表も「アメリカが大統領選後にイラクやアフガンをどう判断するか予測がつかない。日本で3分の2がいつまで続くか分からない」と語っている。
 こうしてイラクでの米軍給油、インド洋での米艦への燃料補給という自衛隊の「アメリカ貢献」が今や「継続か撤収か」という重大局面に立ち至っている。シーファー米駐日大使は、今月12日、林芳正防衛大臣を表敬訪問し、海自によるインド洋での給油活動に関し「日本が貢献していくことを希望する」とのべた。林防衛相は「アフガンで何かをしなければという超党派の合意がある」などと答えたが、継続するとは明言できなかった。

 対朝鮮政策 制裁一辺倒の外交破綻
 福田政府の従米外交の破綻を鮮やかに示しているのは、対朝鮮外交である。2002年の小泉訪朝で合意された平壌宣言は、何よりも日本が過去の植民地支配を清算し、両国の国交正常化を実現することが最優先であることを確認しあった。ところが、これにアメリカが横やりを入れ、核やミサイル問題の解決を最優先し、朝鮮に圧力と制裁を加えるべきだとした。具体的には、スパイ衛星の打ち上げ、ミサイル防衛(MD)配備、イージス艦の日本海配備など日本が朝鮮攻撃の先頭に立つことを要求した。06年の朝鮮によるミサイル発射実験では、日本が急先鋒となって国連で制裁決議を採択、朝鮮のミサイル基地への先制攻撃を公言し、戦争を挑発した。
 ブッシュ政府にとっては、拉致問題などどうでもよかった。肝心なのは、アメリカ本土防衛のために日本を盾にすることだった。小泉とくに安倍首相はそのアメリカの戦略を実行するために、「朝鮮叩き」の道具として拉致問題を騒ぎ、マスメディアも総動員して危険な排外主義を煽り、「制裁」と称して朝鮮との人的往来(在日朝鮮人を含め)から貿易交流まで、全面的にストップした。在日朝鮮人への抑圧・迫害もエスカレートした。
 一方、ブッシュ政府は朝鮮が06年に核実験を実施したことを契機に対朝鮮政策を転換した。もとより朝鮮を常時軍事的に包囲する政策を放棄したわけではないが、朝鮮が核の無能力化をすれば、朝鮮への「テロ国家指定の解除」と「敵性貿易国指定の解除」をおこない、軽水炉の提供やエネルギー支援の実施を表明、国交正常化につなげるとした。
 慌てたのは当時の安倍政府。ブッシュとの首脳会談で「テロ支援国家指定を解除しないで欲しい」と要求した。ブッシュは「拉致被害者は忘れていない」といったが、同席したライス国務長官は「その問題はアメリカの内政問題だ」とけんもほろろだった。拉致被害者家族が訪米して直訴しようが、福田首相が「拉致問題解決への協力」を何度訴えようが、アメリカの姿勢は一貫していた。
 イラクやアフガンで一敗地にまみれ「死に体」となったブッシュとしては、残り任期半年足らずとなった今日、せめて朝鮮問題ぐらいは外交成果として残したいわけである。哀れさんたんなのは、ブッシュにひたすら追随し、朝鮮人民に敵対し、六者協議の合意事項、例えばエネルギー支援も拉致問題が解決しないとして実行せず、他国から非常識だ、六者協議に出なくてよいといわれ、アジアはもとより国際的にも孤立してしまった日本政府である。独立国としての外交戦略もない、従属国のなれの果てである。
 凶暴な戦争政治をすすめてきたブッシュ政府であるが、アフガンやイラク人民の犠牲を恐れぬたたかい、中南米をはじめとするアメリカの新自由主義に反対する世界人民のたたかいによって、また西欧やロシアなどとの矛盾の激化によってすっかり破たんした。万事アメリカのいいなりで、日本の民族主権を売り渡してきた自民党政府の外交が破たんしている。

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