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「働く場作れ」と全市で沸騰
新自由主義先端の下関
               職なく若者は市外へ流出    2011年2月21日付

  働こうにも職がないほど悲惨な状態はない。それは生きてゆくことができなくなることだ。日本全国で失業率は4・9%、完全失業者数298万人(昨年12月末)という状態が続いており、下関市内でもそれが多くの市民にとって切実な問題になっている。地元中小企業が若者を雇って育てようにも仕事がない。その下での消費購買力の落ち込みは商業にも影響を与えている。「世界的な経済情勢だから仕方がない」では済まされない問題であり、「働く場をつくれ」というのは失業者だけでなく全市民的な課題となっている。
 下関市内の20代の看護師は、「高校を卒業して働いていた20歳の妹が、どうしても転職したい事情があって職安に通っているけど、全然仕事がない」「福利厚生も私たちのときと違って悪くなっている。妹も下関に住んで働こうと思っているが、このままでは下関を出ていかないといけないのだろうか」と深刻な表情で語っていた。
 「安岡地区で職場を首になったり、親の介護で都会から帰ってくる40代、50代が増えているが、帰ってきても働く場がなく、親の年金で生活しなければならない状況がある」「今年市大を卒業する友人の子は就職先が見つからないままだ」「友人の息子が50代で突然首になり、次の仕事が見つからず精神的に落ち込んでしまっている」など、多くの市民が近くに失業者を抱え、切実な問題として語っている。
 ハローワーク下関の統計では、昨年12月末段階での有効求人倍率は0・79倍と前年同月と比較して若干改善しているとしており、市も「今年は大学生を昨年よりも多く採用した企業が何社もあると聞いており、改善方向に向かっている」との認識を示しているが、「昨年より厳しくなっている」というのが市民の実感だ。求人数は増えていても生活できるような職がないこと、「実際に面接に行ったら、採用するつもりはないといわれた」「書類選考で落とされて、面接まで行き着かない」など、ハローワークからの依頼で求人は出すが、新たに人を採用する余裕のない企業がかなりあり、数字にはあらわれない実態があると指摘されている。
 採用する地元企業も「今年は新卒者の求人を出さなかった。採用できる状態ではない」と語っている。
 ある鉄工業者は、「下関で雇用の問題が一番大きいことはわかっているが、雇う側もかなり厳しい実情だ」と語る。急速に仕事が減り始めたのは昨年からで、昨年夏には仕事がないため、国の休業補償をもらい2ヶ月間従業員を休ませた。「日給制なので1日1万円として1ヶ月22日働いて22万円。そこから保険や源泉などを引いたら手取りは15、6万円程度だ。国の制度は65%払ったらいいということだったが、それでは従業員が生活できないから85%払うことにして、足りない分は負担した」と話す。今年に入ってからも仕事がなく、人を増やせる状態ではないため求人も出していない。
 鉄骨をつくって現場にとりつけるまで、現場作業者九人では仕事が集中すると大変だが頑張ってもらっている。「手が足りないときには同業者同士で仕事を回し、互いに支え合いながらやっている。最近は九州の仕事の方が多く、市内の仕事はほとんどない状態だ。今一番年上が74歳で若い人が30代。一人前になるのに5年はかかるから、本当は毎年雇って育てていかないといけないが、その下が続いていない。仕事を回してほしいというのが一番だ」と語っていた。
 別の鉄工業者は、「数年前から厳しい状態が続いており、今も従業員に強制的に休んでもらっている状態だ」と実情を語る。「大手企業の下請で仕事をしているが、最近大手は競争見積もりをするから、ちょっとした値段の違いでも安い方に回る。しかし、従業員の生活を守っていけないような安値で仕事をとるわけにはいかない」と語る。市内の鉄工関係でも中国や東南アジアなどの外国人労働者が増加していることを挙げ、「外国人を使うと安いというが、2、3年して仕事を覚えた頃になると帰ってしまう。そして本国に帰って覚えた技術で仕事を始めるから、人材を育てない日本の技術力はあっという間に追い越されてしまう。国は“お金がない”というが、日本人が失業して収入がなくなっているから国にもお金が集まらなくなっている。みんなが働けて給料をもらえて初めて国全体が潤ってくるのに、消費税や税金を上げることばかり考えて、“国民に仕事があるように政策をうとう”という発想がない。このまま政治家に任せていたら大変なことになる」とぎりぎりした思いを語っていた。

 地元の仕事地元に回せ 市外発注に怒り

 鉄工関係のある部門では組合として中尾市長に「地元の仕事は地元に回してほしい」との陳情書を提出したが、最近また市外業者が仕事をとっていったことが話題になり、市外発注をくり返す中尾市政への怒りが語られている。
 清掃関係の企業では、最近欠員補充で新たに40代の人を正社員として採用した。1人募集をかけて来たのは4人だったが、「履歴書を見てびっくりした。派遣などの非正規で何度も首を切られた経験をしている人ばかりだった。そして“どうなりましたか”と真剣な様子で電話して来ていた」と職のない状況を実感したことを語った。清掃関係は仕事が減るような業種ではなく常に忙しいが、人を増やす余裕はなく、ぎりぎりの人数で回している。
 上下水道工事を請け負っている業者の夫人は、「中尾市長は市内発注を増やすといっていたが、去年の4月から7月までまったく仕事がなかった。それでうちも社員の社会保険料の支払いに困ってやめてもらった」と話す。11月頃にやっと仕事が出てきたが、もうそのときには人手がなく仕事が請け負えなかった。「今、上下水道工事が請け負える業者は市内で18社程度に減っている。“このままでは市内のあちこちの道路で水が噴き出しても、手当をする業者がいなくなるのではないか”と業者間で話されているほどだ」と語り、市民生活が守れなくなっている現状を指摘した。
 こうしたなか市内の商店主の生活も深刻度を増している。ある八百屋の店主は「最近まったく客が来なくなった。今まで貯金をつぎ込んで商売をしてきたが、貯金もなくなるから首をつるか、エジプトのように暴動を起こすかという状態まで来ている」と語る。近くの果物屋も撤退した。「本当に成り立たなくなっている。景気が少し安定したというがまったくウソだ」と語気を強めた。
 理容店の婦人は「顧客の高齢者は病気や亡くなったりして来なくなり、若い人は安いところに行くし、以前は子どもを連れてきていた人も安いチェーン店に行ったりと出費を控えるようになっている。お客が1日1人も来ない日が1ヶ月に何日もあるようになった」と語る。今まで貯金でどうにかやってきたが底をついてきて、「店を閉じても働くところはない。どうしたらいいのだろうか」と語っていた。
 下関市に仕事がない深刻な状況について、多くの市民は「このままでは下関はつぶれてしまう」と危惧(ぐ)している。世界的にもリーマン・ショックで新自由主義が破産したが、オバマ政府、そして菅内閣はさらにTPPや消費税増税の超新自由主義で地方切り捨てに拍車をかけようとしている。そのなかで中尾市政は、公約破棄をくり返し、市役所建て替え200億円、駅前開発150億円など相変わらずハコモノ巨大利権事業を突っ走り、市外発注をやめず、市民球場などの公共施設まで市外大手に運営させて、一層市民を苦しめようとしている。「農林水産や造船・鉄工などの地場産業を保護せよ」「雇用をつくれ」の市民の大運動を起こすときにきている。

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