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恥ずかしい政治家の乞食根性
地に堕ちた二元代表制
              公益性放棄の集大成    2016年10月5日付
 
 号泣県議に限らず、全国津津浦浦の議会に同じ穴のムジナたちが山ほどいることが明るみになっている。富山市議会の集団辞職を皮切りにして、地方議員たちによる政務活動費の不正請求や領収書偽装などが連日のように報道され、巷では「どこの街の議員も似たようなものだろう…」と周囲にいる市議や県議の顔を思い浮かべながら話題が広がっている。本来は地域や社会のために身を粉にして働くべき議員というのが、当選すると「先生! 先生!」といわれて威張り癖だけがついてしまい、特定の企業や個人の利害貢献者として口利きを生業としたり、せっせと税金に寄生して執行部に飼い慣らされていく   。こうした光景が珍しいものではなくなった。「地方自治」「二元代表制」等等、建前の世界ではいくらでも綺麗事を並べることはできる。しかし、一皮剥いた実態は大概が汚れたもので、国政や県政、市政を問わず、周囲が恥ずかしくなるほどさもしい乞食根性が蔓延し、政治腐敗が深刻なものになっている。
 
 さもしさ感じさせる小銭稼ぎ

 全国的に暴露されている一連の不正請求や公金横領が示しているのは、少しでも税金に寄生して身銭をはたきたくない、公金で世話をされて当たり前という感覚だ。公金は公共のためにあるのではなく、自分たちがたかるもの、消費するものと見なしていることがある。議員だけでなく、こらえきれずに手を出して免職になる自治体職員もいる。財政規模にもよるが、とりわけ地方都市では行政が民間企業とは比較にならないほどの予算額や執行権を持たされ、首長になると下関の中尾友昭のように「これだけの年間予算を動かせる経営者がこの街にいますか!」等等と自慢しはじめる者までいる。その周囲にゾロゾロと群がっていく構造のなかに議員がおり、生活基盤からして行政依存型である。そのなかで政務活動費は第二の給料といわれ、いわば小遣い感覚で浪費される傾向が支配的だ。
 豊洲問題もさることながら、大型箱物事業をやればゼネコンや大企業、あるいは政治家がつかみどりをしていき、膨大な公金が利権に費やされる。巨悪もあんなことやこんなことをしているのだから、賛成マシーンをやらされている僕たちだって…といわんばかりの世界が議員たちのなかに蔓延していることを感じさせている。地方公共団体というのが「公」のためにあるのではなく、私企業や特定の個人を満たすために存在していると見なし、私物化することへの抵抗感がまるでないことに今日的な特徴がある。
 「公共の福祉に資する」等等の建前は飾り物になり、公共性とか公益性に規制されるのではなく、もっぱら個人や団体の小銭稼ぎや利権獲得のために地方自治体が侵食される。国家は大企業や金融資本の食い物にされるか下請機関のように成り下がり、地方公共団体も同じように特定の政治家や利害関係者、権力をとったものの身内がイイ事をするために奉仕させられるというものだ。公共性を投げ捨てていること、広く大衆の役に立つために行政なり政治があるという根本的な精神を喪失していることが、今日の政治腐敗の根底に横たわっている。公共性に対する考え方や態度が転倒し、きわめて寄生的な風潮がはびこっていることを暴露している。
 それで端くれたちが及んでいる行為が領収書の偽装であったり、あまりにもみすぼらしいことから世間は言葉を失っている。政治家といえば壁や塀など私有財産をはたいてみんなのために奉仕する名誉職と見なされた時代もあった。いまや「事を為す」等等の志はどこへ置き忘れたのか、私有財産をため込むことばかりに精を出している。そして尊敬される対象ではなく薄汚れた者の代名詞のように見なされ、「政治家になりたがる者にはろくな奴がいない   」ということが世間の相場になった。
 腐敗議員や首長が特定の地域だけにいるのではなく、普遍的に存在している事実は、統治機構全般の腐朽衰退がひどいものになっていることを示している。特定医療法人に現金をもらって辞職した都知事、公金でファーストクラスの海外旅行を満喫したり家族旅行に勤しんでいた次の都知事、政治資金の不正が発覚しては辞職していく大臣たちなど、カネに汚い者が政治や行政を司り登場してから降板するまでのサイクルが短期間化して首だけがすげ替えられる。ところが「世に盗人の種は尽きまじ」で、後から後から盗っ人猛猛しい者があらわれる。さらに、こうした汚職や公金横領の犯罪が等しく罰せられない不条理もまかり通り、ヤクザの使い走りをして小遣いをもらっていた甘利明が無罪放免で息を吹き返したりもする。行政を取り締まる議会がチェック機能を失い、取り締まるべき捜査機関も相手によってさじ加減を変えるというのでは、腐敗は野放しである。
 「地方自治」は地域や地方の運営について住民の意思に基づいておこなうこととされてきた。そして、行政が暴走することを阻止する役割を果たすために議会があり、「二元代表制」によって住民を代表して執行部を監視し、両者は緊張関係にあるというのが建前だ。しかし実際には下関市の例を見るまでもなく、批判している素振りをしている「日共」集団にいたるまで政務活動費は全額使い切るのが常で、公営住宅や生活保護利権を執行部に世話してもらうことで貧困層の固定票を得たり、右から左まですっかり飼い慣らされている。実質的な「一元代表制」で議会はあってないに等しい。
 最近発覚している幾人かの端くれたちが横領を摘発され、辞職したところでトカゲの尻尾切りにしかならない。国政、地方政治にいたるまで全般的に貫かれている腐敗の根は深く、上から下にいたるまで公共を私物化する政治のなれの果てをあらわしている。
 議員や首長、行政で働く公務員に至るまで、建前の綺麗事ではなく公共性を優先し、全体の奉仕者としての役割を果たすか否かが分かれ目で、まさに公共性を取り戻す課題が全国共通のものになっている。恥ずかしい政治家の乞食根性と地に墜(お)ちた二元代表制の姿を浮き彫りにしている。

 後絶たぬ政務活動費不正 富山市議会初め地方議会、国会も
 

 地方議員の政務活動費をめぐる不正が次次に発覚している。2年前の2014年、兵庫県の号泣県議の不正受給が発覚し、本人の異常さも含めて大注目を浴び、同時に政務活動費のあり方が問題視され始めた。この1、2カ月のあいだにも富山市議会をはじめ政務活動費の不正受給が次次に発覚している。
 この間、世間を唖然とさせたのが富山市議会議員たちの政務活動費の不正請求だった。3日までに議長を含め12人が辞職する異例の事態に発展している。辞職者は自民党会派のほか民進党系会派もおり、不正請求額は約3300万円に上る。議員報酬とは別に視察や研修などに対して支払われるのが政務活動費だが、公表の義務がなく実態が不明であることが問題になってきた。
 今回明らかになった手口として目立っているのが領収書の改ざんや偽造で、業者側の出した領収書に数字を加筆して請求したり、白紙の領収書をもらい自ら書きこんだり、開いていない市政報告会会場費、買ってもいない茶菓子代などで偽の領収書をつくったりと、程度の低いものが大半だった。実際には飲み代、選挙費用、選挙事務所の改修費、香典、ゴルフのプレー費などに消えており、それらが明るみに出た議員が辞職に追い込まれている。市政をチェックする市議会のはずが、なにもチェックがないことをいいことに信じられないほど大胆な手口で架空の請求をくり返していたのだった。そのうえ、問題発覚前の6月には月額60万円の議員報酬を70万円に引き上げることを議会の賛成多数で通しているから、富山市民の怒りは少少ではない。
 辞職騒動の渦中にある富山市議会の他にも地方議員の政務活動費の不正受給は後を絶たない。
 9月21日、民進党富山県連代表の県議が、架空の印刷費を計上して政務活動費約130万円を不正請求していた疑いが発覚し、同日午後に辞職願を提出している。収支報告書によると、2014~15年度にかけて、3回にわたり会派広報紙の印刷代として計約130万円を請求していたが、領収書を発行した富山市の印刷会社によると、入金記録はなく、営業担当者が県議側に白紙の領収書を三3枚渡していたことがわかっている。なお、同じ富山県議会の民進党会派では、別の議員も、計37万5000円を不正に受けとったことが発覚し9月20日に辞職している。
 4日には同県高岡市で無所属と民進党の議員でつくる会派の代表が、カラ出張で政務活動費を不正取得していたことが発覚した。
 千葉県議会では8月末、昨年度に団体で海外視察に行き、その費用に政務活動費(政活費)を充てた千葉県議の三グループ(計25人)が、帰国後、グループごとに全員が同じ体裁で同じ文面の視察報告書を提出していたことがわかった。一部の視察参加者が書いたものをコピーしているといい、今回に限ったことではなく長年常態化していたようだ。視察に充てた昨年度分の政務活動費は計922万円。指摘に対して「(報告書のコピーは)法的には問題ない」と居直っている姿に「報告書すら書かない者が海外視察に行くべきではない」と県民の怒りを買っている。
 宮城県では9月26日、県議会議長である自民党県議が政務活動費の約10万円で私用のマッサージチェアを購入していたことが明らかになった。議員の説明によると、2013年9月にパソコンとデジカメを約20万4000円で購入し「お品代」とだけ書かれた領収書を添付して政務活動費を請求し10万円を受けとった。しかしこの領収書は実はマッサージチェア購入時のもので、パソコンとデジカメを買ったさいの領収書は見つかっておらず虚偽報告の疑いがもたれている。この議員は「事務手続をした妻が間違えたのだ」といっており、パソコンとデジカメを20万円で購入したこと自体は事実なのだとのべている。なお、宮城県議会では前議長も政務活動費を自宅の水道代に充てたなどの不正が発覚したことで6月に辞任している。
 山形県でも9月20日、自民党の県議(6期目)が政務活動費の不正な支出があったとして辞職願を提出している。この議員は、2012年8月に山形県大江町の食堂で県政報告会を開いたさいに、茶菓子代など計45万円を政務活動費で賄ったと報告していた。しかし報告された参加者「450人」よりも実際の参加者は少なかったうえ、政務活動費では禁止されている酒を振る舞っていたことも明らかになった。また同県議は2013~15年の収支報告書にコピー用紙やペンなどを購入したとしていた領収書について、実はトイレットペーパーや野菜の苗などを購入していた疑惑も発覚している。辞職願を提出した20日の記者会見では「記憶違いや解釈の仕方などで結果的に多くの人の不信を招いた。けじめをつけなければいけない」などのいい訳を続け、結局なにも説明しないまま逃げた格好になっている。
 また、奈良県議会でも自民党所属議員が領収書を偽造し政務活動費を不正に支出していた疑いがあることがわかった。収支報告書によると同議員は、四年前にお茶や菓子などの代金として政務活動費から7万6800円を支出。しかし、領収書を発行したとされる食料品店は存在せず、架空の領収書をつくった疑いがもたれていた。この議員は他にも、コピー機のない公民館で大量のコピーをしたなどの報告をし、2013年度は約19万円を不正に支出した疑いがあると地元メディアが明らかにしている。これら不正に請求した政務活動費の一部については返還しているが、「事務を任せていた知人が事務処理に一部不手際があった可能性が出てきた」と見苦しいいい訳をして逃げようとしてきた。しかし今月1日になって一転し、自ら領収書を偽造したことを認め辞職した。
 岐阜市では3日、廃業した飲食店の領収書に自ら金額を記入し政務活動費30万円を不正に受けとっていた自民党の市議が辞職願を提出した。この市議は、支援者らに提供するコーヒー豆を知人経営の飲食店から仕入れていたが、この店が廃業した後も店の領収書に自ら金額を書き込み、政務活動費を不正に請求していた。13回分にあたる7万円は市に返還されていたが、同市議は辞職前の3日、他にも20万円余りを不正申告したことを明らかにし、そのうち約5万円を返還した。
 大阪・阪南市でも、市議会議員が偽造した領収書を使って政務活動費を不正受給した疑いが指摘されたほか、3日には新たに別の議員にも不正疑惑が持ち上がった。この市会議員は2015年7月、島根県と山口県を「視察のため」に旅行したさい、同行した妻の宿泊代などを含め計2万7540円を1人分として収支報告書に記載し提出していた。報告書を修正し、妻の分の宿泊費を返還するとしている。

 国会議員も都知事も… 開き直る本人

 地方議員に限ったことではなく、国会議員の政治資金問題もこの間続出している。
 8月に明らかになったのは防衛相の稲田朋美で、自身の政治資金管理団体「ともみ組」の2012年~14年分の収支報告書に添付された領収書のなかに、「金額」「宛名」「年月日」が同じ筆跡の領収書が大量に存在することが発覚した。それらの領収書は自民党議員の政治資金パーティーの会費の支払いの証明として稲田氏側がうけとったものだが、筆跡鑑定の結果「ともみ組」の収支報告書担当者が記入したものだということが判明した。3年間で計260枚、約520万円にものぼる。
 領収書は公的書類であり記載できるのは発行者側だけで、白紙の領収書をもらって勝手に金額を記入する行為は刑法の文書偽造罪にあたる。重大問題であるにもかかわらず、大手マスコミも報道しないほか、政治資金を監督する立場にある高市早苗総務相の事務所は「政治資金パーティー当日の受付は大変混み合うこともあり、面識のある議員や秘書様などの場合には、当方に代わって金額や宛先などを記載していただくことを了解し、(白紙の)領収書を渡すこともある」などと回答しており、稲田氏を擁護するものとなっている。
 そして稲田氏自身が「他の議員事務所もそうしている。これは自民党政治資金パーティーの慣習だ」と開き直っている。
 また、記憶に新しいのは6月に辞職した舛添要一元東京都知事で、欧州視察など高額な海外出張費や公用車を使って別荘を行き来していたこと、政治資金で美術品を購入したり家族同伴のホテル宿泊費、漫画の購入など次次に問題が発覚し、説明責任も果たさぬまま辞任した。他にも、2度にわたる現金授受疑惑で今年1月に辞職に追い込まれた元経済再生相の甘利明、元農水相の西川公也、ドリル大臣こと小渕優子やうちわ大臣こと松島みどりなど、政治資金問題やスキャンダルも連続して発覚してきた。
 8月10日には東京都議会で2015年度に交付した政務活動費の収支報告書と領収書の写しを公開したが、政治資金をめぐる舛添要一前知事の公私混同問題を激しく追及した都議たちにも疑問が残る支出が出てきて問題視されている。
 また、不正ではないものの、自身の携帯電話の料金を政務活動費で払おうとして問題になったりと、人の金を浪費することには遠慮がないくせに自分の懐から出すことは固辞する浅ましい姿を見せつけている。
 全国市民オンブズマン連絡会議が都道府県や政令指定都市など計114議会を対象におこなった政務活動費支出に関する調査(2015年度)によれば、ホームページなどで領収書を公開したり公開を予定したりしているのは20議会にとどまっている。
 国会にしろ地方議会にしろどこも似たもので、要は発覚するかしないかの違いしかない実態が浮き彫りになっている。

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