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平和願う子供や親が歓迎
『礒永』下関公演第2回実行委
              礒永作品が戦争反対の力に     2015年9月9日付

 11月7日におこなわれる『礒永秀雄の詩と童話』下関公演の第2回実行委員会が5日、下関の福田正義記念館で開かれた。7月25日の第1回実行委員会以後、市内各所にポスターが掲示され、PTAやスポーツ少年団指導員、教師、退職教師、被爆者や戦争体験者、文化関係者、自治会、商店主など各界各層四八人(九月四日現在)が実行委員として名を連ねている。第2回実行委員会ではこの間のとりくみの反響が出しあわれ、戦争に反対し平和を願う市民の意識と結びついて礒永公演が歓迎されていることが明らかにされた。戦後70年たった現在、全国各地で安保法制に反対する世論と行動が噴き上がる状況下での下関公演の意義が熱く語り合われた。
 
 11月公演に向け取組交流 日本の歴史と文化を取り戻す

 最初に劇団はぐるま座がこの1カ月あまりのとりくみの反響を報告した。現在までにポスターが市内全域の公民館に掲示されたのをはじめ、自治会掲示板、理美容店、飲食店や商店、事業所などに700枚が掲示され、チラシが自治会を通じて回覧されたり、老人大学や理容組合役員会、読み聞かせグループの会合、遺族会など各種の集まりで配布され、公演内容のPRが予定されている。全小・中学校のPTAにも案内が届けられるなど、世代をこえた市民への働きかけが進んでいることを報告した。
 そのなかで遺族や遺児が、死んだ戦友のために詩人を志した礒永秀雄の生き様に共鳴し、亡くなった兄や父親への思いとともに二度と戦争をくり返してはならないという思いと安保法制に対する強い危惧を持っており、「戦後70年たっているが、日本人が大事にしてきた文化や誇りを取り戻す、今がその時だ。この公演でその思いを広げていってほしい」「アメリカの尻馬に乗って戦争に突っ込んでしまったら大変になる」と語っており、戦争を知らない世代に戦争の真実と体験者の思いを伝えていくことに力を注いでいきたいとのべたことを紹介した。若い世代も「(チラシの『修羅街挽歌』の抜粋を指し)亡くなった人たちの会話なんですね。僕たちも、今のままだと戦争に行くようになるかもしれないので、しっかりしないといけないですね」(ガソリンスタンド・30代男性)と語り、ポスター掲示や前売券を預かるなど積極的に行動している様子が報告された。
 また、共働きや1人親世帯の子どもが通う児童クラブでは、童話『鬼の子の角のお話』の紙芝居の上演が16校で決定し、8月後半には11校(12クラブ)で実施したとのべた。子どもたちが食い入るように見ただけでなく、指導員が「子どもたちは実際の体験者の声を聞くことが少なく今戦争のことを勉強していくのは大事なことだ。毎日殺人事件が起こっているなかで、人の命の尊さや思いやりなどをどう学んでいくのか。このような方法はとても嬉しい」「戦後70年の関連番組が連日放映されているが、子どもたちにはテレビや報道を鵜呑みにせず、自分できちんと考えて判断できる人間になってほしいと思う」と語るなど、現在の教育への切実な問題意識と結びついてとりくみが進んでいることが報告された。またとりくみを通じて、はぐるま座が創立60周年を期して下関に拠点を移したことが広く市民に知らされるなかで、「下関に根を張って恒常的に市民の文化・教育の向上のために献身してほしい」という期待も寄せられているとのべた。
 実行委員長の海原三勇氏は、児童クラブなど教育関係者の反応が強いこととかかわって、8月の人民教育全国集会で「教え子を戦場に送らない」と戦争を阻止する教育を広げていく思いを父母や教師が交流した内容が、礒永公演のテーマと重なったと語り、親世代に広げていく基盤があると確信を語った。また「今安保法制に反対する行動が広がり、国会前のデモも世界のメディアが取り上げるほどになっている。まさに全国民の意識が変化しているなかで、公演のとりくみはいいスタートを切ったと思う」と挨拶した。
 続いて人民教育同盟の小学校教師は、広島に学ぶ小中高生平和の旅に参加した子どもたちに報告集を配ると親たちが「朝四時までかかって読み終わった」「こういう運動に協力したい」と衝撃を受けていると語り、「今回の礒永さんの公演は、今親たちが抱いている戦争に対する危機感や思いに響く内容だ。親や子どもたちに積極的に訴えていきたい」と意気込みを語った。
 下関原爆被害者の会の婦人は、はぐるま座団員とともに地元の小学校に『礒永』公演と被爆体験を学ぶ学習の宣伝に行くと、校長が『礒永秀雄の詩と童話』の本を2冊購入して職員室で回覧するなど、受けとめが真剣だった様子を報告した。
 下関市民の会の婦人は、10月4日の安岡沖洋上風力発電反対のデモ行進の宣伝と同時に礒永公演のポスター貼りを進めており、「礒永さんの生き様を話しながら掲示をお願いすると、安保法制の問題もあり“戦争は絶対いけない”という思いを語って協力してくれている」と報告した。また「安岡風力反対の運動にも、礒永公演は響く内容だ。もっと宣伝していきたい」と意欲を語った。
 その他、市内各所で目立ちはじめたポスターを見て「行ってみたい」という反応が出されたり、下関市役所「原爆と戦争展」でポスターを見た20、30代の母親世代が関心を示し「大事な内容だ。行きたい」と反応するなど、市民に求められている内容だと反響を交流した。
 その後、礒永公演のとりくみの意義についてさらに論議が深まっていった。元大学教授の男性は、「安保法制やTPPなど日本のアメリカ属国化が進んでいる。小学校からの英語教育というのもその一つの現象だ。そのなかで、演劇や朗読を通して日本語の美しさを伝えていくはぐるま座のとりくみは、基本的な文化活動であり有意義だと思う」とのべ、公演へ期待を寄せた。そのうえで19世紀に旧オーストリア帝国の属国であったチェコスロバキア出身の作曲家・スメタナが、自国語が話せず苦労し葛藤したという事例をあげ、現在の日本の現状を重ねて「日本語が危ないのではないかと思う。言葉を失うのは文化、歴史を失うことになる。私は科学論文を英語で書いていたが、日本人の感性は英語であらわそうにも表現することはできない。大学でも英語で講義をするような動きがある。日本が底なしの沼に落ち込んでいる気がする」と指摘し、文化を通じて戦争に反対し、日本民族の誇りを取り戻していこうという今回のとりくみの意義深さを強調した。
 それに呼応して北九州の小学校教師は、「教師として日本語の大切さを痛感させられた。今1年生にも英語が指導されているが、“わからない”と子どもの反発がすごい。一方で“死ね、消えろ、殺す”という言葉も飛び交っている。礒永さんのように美しいものを感じとったり、間違ったものに立ち向かえる子どもを育てることが“教え子を戦場に送らない”ことにつながる。このとりくみを通じてそういう論議を広げていきたい」とのべた。
 「日本人であって正確な日本語が話せないのになぜ英語教育なのかだ。スマホが普及し人間関係が希薄になるなかで、子どもたちが人間関係をつくっていくうえでも美しい日本語を学んでいくことは非常に重要だと感じる。沖縄の基地問題、安保法制、英語教育にしても根底では全部つながっている問題だ。礒永さんの公演のとりくみは、日本の現状を変えていく意味でとても奥深い内容があると改めて感じた。さまざまな市民が今回のとりくみに興味をもっており、広範囲に宣伝していく核ができたと思う」(実行委員長)、「前回の実行委員会以後、市民の期待が大きい。市民自身が“やらないといけない”という切実さを持っている。児童クラブの子どもや指導員の反応を見ても普遍性がある。礒永さんは現代の人人の糧になる芸術を追求されてきたが、その内容が戦後70年たって市民の戦争反対の意識や経験と深くつながって論議が進んでいる。とりくみが市民自身の運動となって広がるよう貢献したい」(長周新聞社)と発言があいつぎ、戦争を押しとどめる運動に役立つ公演に発展させようと意見を交わした。
 劇団はぐるま座は1カ月あまりのとりくみの反響や実行委員会の連名、前売券取扱所などを掲載した「下関公演実行委員会ニュースbP」を発行している。それを活用しながら、今後さらに市民各層にとりくみの輪を広げていくことを確認した。
 最後に海原実行委員長が、「多くの人が“来てよかった、見てよかった”と思えるようにするのが私たちの責務だ。礒永さんの作品を広げて、市民の心が入ったとりくみにしていこう」と呼びかけて閉会した。


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