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開き直りで暴走する自民党
             「理解せぬ国民がバカ」と   2008年5月7日付

 岩国基地を巡る米軍再編問題や後期高齢者医療問題などの怒りによって衆院山口2区補選で大惨敗した自民党が、反省もせず「いい政策を理解しない国民がバカだ」と開き直りの暴走を始めている。参院で否決されたガソリンの暫定税率も衆院の再議決で強行。見切り発車した後期高齢者医療や介護保険制度改悪は批判が出ると「すばらしい制度だ」とごり押し。そして「国民の負担はまだ不十分」と消費税引き上げも急ぎ始めた。見境ない暴走に国民の憤激が広がるのは当然で、「自民党は国を潰す気だ」「国民の声を無視し続けるなら行動できかせるしかない」と各地で論議が活発化している。
 北九州門司区の商店街で、年配店主が客に思いをぶつけた。「テレビを見ていたら“福田首相が消費税を10月までにやる。これを自分の花道としたい”といっていたが何を考えているのか!高額所得者だけ減税して、税金をとるのは末端ばかり。米軍への思いやり予算も度が過ぎている。衆院補選であれだけ自民党批判が出たのに暫定税率は強引に通すし、日本を潰そうと考えているとしかいいようがない」と話す。普段は温厚な別の商店主も「自民党は国民を搾ることしか考えない。近所では杖突いてでも国会前に行って抗議しないといけないとか、反乱を起こさないとこの国は終わりだと話になっている」といった。衆院山口補選で噴出した「自民党政府を倒せ」の怒りは全国で共通している。

 消費税引き上げも策動 税率は10%の方向
 だが全国から300人もの代議士を投入した自民党は衆院補選結果について「議員数の300分の1だから国政に影響しない」と開き直り。町村官房長官は「国民全体の判断を山口2区の人にゆだねる性質ではない」といい、古賀選対委員長は「票差は予想の範囲内。国政への影響はない」とのべた。そして、国民の批判世論で参院否決に追い込まれていた、暫定税率を復活。4月末は1g120円台だったガソリン代を一気に160円台へおし上げた。ガソリンは暫定税率がない状態で1gあたり28・7円のガソリン税と消費税がかかる。これに25・1円の税金を上乗せし、ガソリンを1g入れるたびに約54円税金をとる体制にした。期間も今後10年間に延長した。
 暫定税率を復活させると福田首相は「政府税調で税制抜本改革に向けた議論を開始する」と今度は消費税引き上げに意欲を示した。税率は10%にする方向。
 自民党税制調査会小委員長の与謝野前官房長官は自著で「消費税率を10%に引き上げるところまで、国民は耐えていただかなければならない」とし、日本経団連も今夏にまとめる税制改革の提言に「消費税率の5%引き上げ」を盛り込もうとしている。

 年金や介護保険も改悪 農業潰す暴走も
 4月実施以来、国民を激怒させているのは後期高齢者医療である。衆院山口2区補選で「すばらしい制度」と宣伝して惨敗したが自民党はごり押しをつづけている。福田首相は「次回の年金天引き(6月13日)までに問題点を点検し緊急対策をまとめる」と表明。「骨格は必ずしも悪いわけではない」「これまでにない大きな改革で定着するまでに半年ほどの試運転が必要だ」と開き直っている。
 75歳以上の高齢者の実情は、生活費である厚生年金給付額が改悪で大幅減。以前は現役最後段階の賃金の8割を受け取っていたが、いまは6割程度しかない。加えて老年控除50万円の廃止、公的年金控除の削減、定率減税(所得税20%、住民税15%)廃止で大増税となった。この控除廃止は課税所得をおし上げ、国保料や介護保険料にはね返る。もし「現役並所得者」とみなされれば医療費患者負担は1割から3割に三3倍化。保険料は年金天引きの強制徴収である。山形市では少ない年金から強制天引きされて生活苦に陥った50代と80代の親子が無理心中する悲劇まで起きている。
 重病でも入院することすら危うい。全国で38万床の療養病床のうち介護用の13万床は全廃、医療用25万床のうち10万床を廃止する。約12万人の医療・介護難民が出ると予測されているが、自民党政府は2011年度末までに強行するとしている。
 介護保険も昨年から要介護度の切り下げを強行。これまで要介護1としていた高齢者のうち、認知症や身体機能の持病を抱える人以外は「自立の可能性がある」と要支援1にランクを下げた。その結果、介護を必要とする高齢者は十分な介護を受けられず、ヘルパーも仕事が制限されて収入が減り、事業所の縮小・廃止があいついだ。そのツケが個別家族に回される。必死で介護する家庭で「介護疲れによる心中」が起きている。これも政府は介護保険制度の不備を見直さず、7月から人件費の安いインドネシア人介護士を受け入れるとしている。
 生活関連では今年4月から65歳以上から74歳までの国民健康保険料の年金天引きを開始したが、2009年10月からはすべての年金受給者から個人住民税の年金天引きも強行する。
 厚生年金適用外となっているパートなど非正規雇用労働者(週労働時間30時間未満)の国民年金保険料も給与天引き制度を導入する方針。夫婦共働きなら免除されてきたパート婦人からも現行月1人1万4410円の国民年金保険料をむしりとろうとしている。
 市営・県営住宅も昨年、公営住宅法を変更したことで家賃が来年4月から全国で値上がりする。これまでの入居基準も一家の収入合計が「月20万円以下」だったが、「生活水準がさがった」といって「月15万8000円以下」にした。これを超すと収入超過で公営住宅から追い出す方向である。
 食生活の面でも小麦など穀物の値段が上がり、世界的な食糧危機が進むなかで約4割の減反を農家に押し付けている。「食糧自給を守れ」と農民が反対行動を展開している日豪FTA交渉も、6月に関税撤廃の事務作業に着手する方向だ。関税撤廃なら自給率が12%になると予測されているがごり押しする姿勢。一方でアメリカから入ってくる狂牛病肉の輸入は継続している。命の源である農業を潰す突っ走りも露骨になっている。

 「違反」なら罰金や懲罰 メタボも自転車も
 そして際立っているのは全国民に対する懲罰・監視制度の強行である。
 2008年度から導入した、「メタボ検診」なども、国の医療費を強制的に削減する内容。@40歳〜74歳にメタボ検診を義務付け成人病患者と予備軍を2015年までに25%削減、A病院在院日数短縮、B療養病床削減の3本柱で各都道府県ごとに目標をあげさせ、目標が実現できなければ診療報酬を削る。
 5月からはタバコ自動販売機での「成人識別カード・タスポ」も導入。「未成年者の喫煙防止」といい、タスポ申し込み者は少ないのに自販機の販売規制だけ強行実施した。
 結局、24時間対面販売のコンビニや量販店などに客は流れ、廃業するタバコ屋があいついでいる。
 2年前に実施した「駐車禁止監視員制度」も全国各地の商店街の客を追い散らしている。昼時に待ち伏せし、車を止めて食堂に入ると捕まえる「監視員」もいる。これも強い批判を無視し強行している。
 6月からは自転車利用者の取り締まりを強化する。警察庁は先月、自転車通行に関する「教則」改訂を公表(6月1日施行)。傘さし運転禁止なども盛り込み、「ヘッドホンを使いながら自転車に乗ったら検挙」「自転車で2人乗りしたら5五万円罰金」などが内容だ。自転車通行の罰則規定によれば、自転車の酒気帯び運転は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金。歩行者の通行妨害や交差点での信号無視が3カ月以下の懲役又は5万円以下の罰金。2人乗りや夜間に前照灯や尾灯をつけなかったら5万円以下の罰金、などとなっている。自転車通学をする高校生などからもむしりとろうとしている。

 「関係ねえ」と空自幹部 空自派遣も継続強行
 突っ走りの最たるものは衆院再議決で強行したインド洋への給油支援活動に続く、イラクへの航空自衛隊派遣継続のごり押しである。イラクでの空自活動は先月名古屋高裁が「バグダッドは戦斗地域にあたる」「憲法9条に違反する」と判決を下したが自民党側はクソ食らえという対応。町村官房長官は、「国に準ずる組織をどう理解しているのか、その辺に誤りがある」と非難。高村外相は「1人の人の意見。崇高なものであるかのごとく錯覚を与えて政治利用しようとするのは良くない。後生大事にすることはまったくない」とした。石破防衛相は「なぜ言及したか理解しかねる」とのべ、鳩山法相は「(違憲判決は)傍論にすぎない」とした。元文科相の中山成彬衆院議員は「変な判決。こんな判決が出るから憲法9条は改正しなければならない」と発言。空自トップの田母神航空幕僚長は「大多数は“そんなの関係ねえ”という状況」といった。公明党幹部は「KY(空気の読めない)判決だ」といっている。
 そして自民党政府は5日、イラクに派遣された空自隊員の扱いを取り決めた地位協定の締結に向けイラク政府との交渉を開始する方針を固めた。空自が参加する多国籍軍の駐留根拠である国連決議は12月末で期限が切れ、現在の地位協定は失効する。国際的にイラクから撤兵する動きが広がるなかで、空自はそれ以後も独自協定を結び、米軍支援を続けるというのである。
 それだけでなく4日にも高村外相がアフガニスタンを訪問。カルザイ大統領にこれまでの支援総額約14億j(1400億円)の年平均にあたる約2億j(200円)を上回る新規支援をすると表明している。「思いやり予算(在日米軍駐留経費)」についても参院で否決されたものを衆院の優越で強行し今月1日に日米政府間で新協定を結んだ。今年度予算では特別協定分1416億円、隊舎や家族住宅整備などの地位協定分667億円の計2083億円を計上。旧協定の期限が3月末に切れて生じた「空白」期間の光熱水料まで「日本が払う」とした。
 こうして自民党は強権を振りかざして、国民から徹底的に搾り上げ米軍に貢ぐ売国・亡国政治を強行している。それは民意をつかみ、動員することもできず、暴走するしかない自民党政治の衰弱ぶりを露呈している。自民党政府は国の主権者である国民の民意に逆らっても、国会の議席さえあれば何でもできると大きな勘違いをしているが、早晩破綻するのは必至となっている。

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