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広島・長崎市長事件の波紋
              “被爆市民への圧力”   2007年4月27日付

 伊藤一長・長崎市長銃殺事件は、同じ被爆地の広島市でも大きな波紋を呼んでいる。広島の被爆市民にとって、地元の秋葉市長に比べてもはっきりとアメリカに抗議を突きつけてきた伊藤市長の銃殺事件は、単なる犯人の「個人的恨み」として片付けることはできないと受けとめられている。長崎市長選が終わるや、商業メディアは銃殺事件の追及報道をパタリとやめ、捜査当局ももっぱら犯人が主張する「個人的な動機」を説明するだけであることも不審がられている。

 秋葉市長の態度に注目
 広島市では、秋葉市長が県警に身辺警護を依頼し、公務中の警備態勢を強化するなど「防御体制」に入っており、各種の平和団体もトーンダウンした。
 被爆市民のあいだでは、憲法改定を中心に、米軍再編、自衛隊の海外活動の本来任務化、ミサイル配備、国民保護計画などの一連の戦争政策のなかで起きた長崎市長銃殺事件が、なによりも被爆市民の声を封殺する圧力となっていること、「被爆市民が黙っているわけにはいかない」と怒りをともなって語られている。
 南区在住の男性被爆者は、「これまで平和を訴えてきた被爆地の市長が殺されたのに、なぜ広島の平和団体の抗議の声が低いのかと思う。伊藤市長の葬儀の日に被団協の集会がやられたくらいで、なぜか静かだ」と、腑に落ちない様子で語った。
 「伊藤市長の殺され方は、原爆でなにもわからず殺されたものと全く同じだ。あんな殺し方は絶対に許せない。“単独犯行”とは犯人のいっていることであって、警察当局は納得のいく真相解明をすべきだし、しないのならグルということになる。この事件で核兵器廃絶の声を上げなくなるのではいけない。私たちはこれからも被爆の真実を伝えていくし、遺志を継ぐといった秋葉市長が、今年の平和式典でどんな平和宣言をするのか注目したい」と話した。

 戦争するための1番の脅し
 80代の婦人は「裏のある事件だということはわかりきっている。憲法改定をやって戦争にもっていくためには1番の脅しじゃないですか」と語り、「前の戦争でも、天皇陛下や財閥は、アメリカと手を組んで、あれだけの国民を犠牲にした責任を、手を汚した1部の軍部にだけなすくりつけた。自分たちは、“平和主義者”のように国民を騙したじゃないですか。また戦争になろうとして、みんなおかしいと感じているけど、そんな背景は隠されている。今回の事件も真実が知られたらまずいのでしょう」と腹立たしさをにじませて語った。
 七〇代の男性被爆者は、「伊藤市長は自民党のなかでも安倍や小泉とは違う良識派だったと思う。地元を飛び越えて、海外で“平和活動”をする秋葉市長とも違う市民派の市長。それに比べて、アメリカに“原爆をなくせ”“戦争をやめろ”と主張する政治家が、日本にどれだけいるか。食えなくなって恨むのなら、規制緩和をしたり、日本の金をアメリカに貢いで日本を食いものにした小泉、竹中だ。あれこそ国賊だと私らは思う。なぜ伊藤市長を殺したのか」と疑念を口にした。

 イラクと同じアメリカ手法
 「イラクのフセインは、地元の資源である石油の利益の2、30%は地元に落とせと主張して、アメリカににらまれて処刑された。その後のイラクの油田は、モービル、エプソンなどアメリカの石油メジャーが独占した。長崎の事件も背景が似ている。久間防衛大臣は三菱と利権関係にあるし、その三菱は市長選挙で横尾候補をやっている。バックには、アメリカがいるのではないか」と指摘した。
 伊藤市長とともに海外で原爆の犯罪を訴えた経験を持つ80代の被爆婦人は、「あの市長さんは、秋葉市長のようにいばるのでなく、庶民の側に立って応対する人で“元気ですか?”と気さくに声をかけてくれたり、一緒に写真を撮ってくれる親しみ深い市長さんだった。国際会議では原爆で黒こげになった子どもの写真を出して“この子になんの罪がありますか!”と涙ながらに訴えられた。本当に残念で…日本にとっての損失ですよ」と目に涙を浮かべて話した。「謀略ですよ。どうしてあんな市長さんが殺されないといけなかったのかはっきり解明してもらいたい。これは被爆した市民への圧力だし、広島や長崎の市民が黙っていてはいけないと思う」と、熱を込めて語った。

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