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米軍厚木基地の岩国移転
            広島湾が核攻撃基地に   2005年6月30日付

 米軍岩国基地(山口県)に厚木基地(神奈川県)機能を増設する問題をめぐり広島・山口両県の近隣市町で移転反対の動きが活発化している。山口県では岩国市、由宇町、周防大島町、和木町の1市3町の議会が反対決議を可決。広島県では大竹市、廿日市市、江田島市、大野町、宮島町の西部五市町が連名で国に反対の要望書を提出し、県民の基地増強反対世論の高揚を示した。とくに岩国基地増強は核攻撃機能の強化を眼目とし、周辺で上関原発計画も動いている。原爆を投げつけたアメリカは、被爆地広島近辺一帯を原水爆戦争の軍事拠点にし、核攻撃や放射能汚染にさらそうというのである。岩国基地周辺だけにとどまらず山口・広島県民全体の重大問題となっている。
  
 広島・山口の近隣市町が移転反対表明
 米軍岩国基地に反対する自治体の動きが米軍基地対岸にある広島県西部の五市町(大竹、廿日市、江田島、大野、宮島)の動きで活発化した。5市町は「岩国基地の近隣自治体の住民を代表して、厚木機能の岩国移転に断固として反対する」との要請書を21日に国に提出。翌22日には5市町を代表して中川大竹市長が岩国市長と会談し「共斗」を呼びかけた。このうち4市町は沖美町にNLP誘致の動きがあった03年にも反対文書を国に送り、白紙撤回に追いこんだ。今回は旧沖美町をふくむ江田島市が加わったことで五市町連名の反対要請となった。広島ではこのほか、藤田広島県知事、秋葉広島市長などが「容認できない」との姿勢をとっている。
 山口県内では20日にはじめて由宇町議会が全会一致で反対決議を可決し、和木町(21日)、岩国市(23日)、周防大島町(23日)の議会があいついで反対決議を可決した。
 ただ、井原岩国市長は「基地の機能強化に反対」といいながら「市主導の運動はしない」ともいい、行動は岩国基地の沖合拡張工事を推進している。
 二井山口県知事は「地元の意向を尊重する」と「原発方式」の態度。県民世論をうかがいながら「地元の意向を尊重する」と厚木基地の岩国移設受け入れを狙う姿勢で、沖合拡張工事と連動した愛宕山開発などは県の事業として強行している。

 基地の内外で二重基準
 米軍岩国基地周辺では9・11テロ事件以来、核・生物化学兵器攻撃の演習がひんぱんにくり返されるなか、原水爆戦争準備に憤りが強まっている。
 テロ事件直後に米軍基地内では化学兵器攻撃想定演習がおこなわれ日本人従業員、米兵、米兵家族など全員を対象にひとりずつガスマスクをつくり着用講習をした。さらに米兵の家族500人以上が参加して、国外に脱出する手つづきなどの訓練をする、非戦斗員退避訓練(NEO)が定期的におこなわれるようになった。いずれも米軍基地が核・生物化学兵器で攻撃を受けたとき米兵やその家族の安全を確保し、迅速に国外へ逃がす訓練である。昨年からは岩国基地内を13のゾーンに分け、生物化学兵器に対応する新防衛態勢も導入された。こうして米軍基地が核兵器で狙われ原水爆戦争の戦場となることを想定し、米兵と米軍家族だけがすぐ逃げ出せる準備が着着とすすめられている。
 他方で岩国市民には「テロ防止」をかかげた武装米兵による24時間の監視体制が敷かれた。米軍基地の正門や各ゲートには車の進入を阻む防壁と監視塔を増設し軍用犬を連れた武装米兵が市民を監視した。
 米軍基地の外は自衛隊や警察が担当し、いまでも警察がパトカー、白バイ、2人組自転車、2人組徒歩などで巡回。県当局にいたっては迅速に米軍物資が国外に退避できるように岩国港など全県の港にフェンスをはりめぐらし、最近は「防犯」をかかげて自治会を動員した地域パトロールを開始した。それは、いますすめる方向がどれほど岩国市民と敵対するものであるかをものがたっている。
 市当局は「毒投入の早期発見」を口実に浄水場に金魚を入れ、県当局は「国民保護計画」を具体化し「風上にむかって逃げる」とか「タオルで口をおおって逃げる」などと「国民保護」態勢を具体化している。そうした米軍基地の中と外で違う二重基準の対策に地域住民が怒り「米兵は国外に逃げるからいいだろうが、住民はどこに逃げるのか。見殺しなのか」と防衛施設局を追及する声が出るのは当然だった。そのなかで防衛施設局が動いて最近、米軍基地正門近くにきれいな公園を避難場所として建てたが「ごまかしでしかない」と批判が高まっている。

 アジアに向け出撃基地
 現在進行している岩国基地沖合拡張工事は08年度完成予定で進行している。魚介類の産卵場だった藻場や干潟をつぶし、そこに長さ2440bの滑走路を増設し滑走路2本体制にする。空母が接岸できる大型岸壁(水深13b、長さ360b)も建設し、航空基地に加え軍港にもする。そこへ厚木基地所属の空母艦載機部隊を配備し、NLP(夜間離発着訓練)をくり返す態勢をつくる計画である。とくに空母艦載機であるFA18ホーネットは核兵器搭載機。厚木基地移転では70機以上を配備しようとしている。
 さらに米軍は五月に、空母を佐世保基地(長崎県)沖合に配備し、その艦載機部隊約70機も岩国基地に飛来させる構想を示し、米軍宿舎をつくることも要求した。そうなれば空母2隻分の艦載機部隊を受け入れる大増強となる。
 それに米軍普天間飛行場所属だった「空飛ぶガソリンスタンド」と呼ばれる空中給油機部隊15機まで岩国基地に配備する。それは広島県、山口県内海全体を軍事優先海域にし、原爆を受けた広島湾一帯を、原水爆戦争の出撃拠点にするものである。
 日米政府はこうした計画を2月に決めた「共通戦略目標」にもとづいて具体化してきた。そこでは「中国の軍備増強」「北朝鮮の核」などの「脅威」を列記し、アジアでの戦争を想定している。世界最大の核保有国であり軍事国家であるアメリカが、みずからの核は放棄せず「核保有宣言をした北朝鮮にすきを与えない」「中国は軍事予算をふやし、台湾海峡の緊張を高めている」といい、「北朝鮮」と中国に原水爆戦争を仕かける体制であった。
 いま小泉政府が、北朝鮮の拉致問題に加えて、「韓国」には竹島問題、中国には尖閣諸島、靖国神社、教科書問題などを利用して排外主義をあおっているのも、意図的な挑発であり、アメリカの戦略によるものである。岩国の米軍が退避訓練をくり返しているのはこうした軍事挑発の行き着く先としての報復攻撃を想定した動きであり、日本が報復攻撃にさらされることを示している。

 上関原発が攻撃の標的
 このなかで山口県では137万`h二基という最大級の原発建設計画が進行していることは、岩国基地増強とならんできわめて危険な動きである。
 1991年のアメリカのテロ事件でもスリーマイル島原発が標的にされたが、原子力施設が軍事攻撃の標的にされたのはそれがはじめてではなかった。
 1981年にイスラエルがイラクのオシラク原発を攻撃し、91年の湾岸戦争では米軍がイラクの原子力施設を攻撃し完全に破壊した。いずれも建設中の原子炉であったり、運転停止中の原子炉で大規模な放射能汚染にはつながらなかったが、戦時に原子力施設を標的にすることには変わりはない。またソ連崩壊で独立国となったウクライナの政府高官は「ウクライナに近いロシア領で原発が稼働している。ウクライナは、これらの原発を射程に入れたミサイルを持っている。したがって核兵器を保有しなくてもロシアに抑止力が働いていると考えられる」と1995年に公言。これもロシアが軍事攻撃を仕かけるなら、報復措置として原発にミサイル攻撃を仕かけるということである。このように核兵器を保有していない国でも、国家として明確に原発を標的にした軍事戦略を持つ国はある。
 原発がミサイル攻撃の標的にされるなら、その被害はアメリカによる、広島、長崎への原爆投下を上回る甚大なものとなることは明らかである。この時期に山口県では中国電力の上関原発の新規計画が計画されている。
 小泉政府がアメリカに盲従し、イラク戦争に自衛隊を派遣し、朝鮮、中国などアジア諸国に戦争挑発をくり返しており、日本の原発が標的として狙われる危険性はきわめて高い。
 こうしたなかで米軍岩国基地撤去、上関原発白紙撤回の課題が、山口・広島、さらには瀬戸内海全域の存亡にかかわる問題として重要になっている。アメリカのたくらむ原水爆戦争をおしとどめる力として、全県民の世論を大結集することが重要になっている。

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