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法人減税穴埋め消費税増税
政府税調答申
              日本国民を税金奴隷に   2007年11月23日付

 消費税をはじめ大増税するのだと、自民党政府や財界、民主党も加わって大合唱を始めている。この大増税は、参議院選後に一気にやろうという算段だった。ところが自民党の歴史的惨敗に直面し、これを大連立発足で乗り切ろうとしたものの、民意に縛られた民主党も下手な動きはできず、立ち往生。総選挙を前にして自民党政府は、今のところ2008年度税制改正での消費税増税は見送る方針を示しているが、税制をどのようにしようとしているのか近年の国民大収奪のすさまじい実態と合わせて見てみた。
 政府税制調査会は20日に総会を開き2008年度税制改正の答申をまとめた。3年ぶりに消費税率の引き上げを主張し、企業の税負担(法人税)については「国際的動向に照らして引き下げが必要」などとした。時期や税率について明記することは避けた。
 また、ガソリンなどにかかる揮発油税の暫定税率(30年間も“暫定”税率が続いている)は維持すること、所得税関連では配偶者控除・特定扶養控除(教育費がかかる16歳以上23歳未満の子どもがいる世帯を対象)、給与所得控除、公的年金等控除の見直し(縮小)、退職金課税の強化、相続税の基礎控除引き下げなどで課税を強化することなど、国民収奪の課税項目がずらりと列挙された。
 2000年以後、高齢者が狙い撃ちされてきたが、サラリーマンなどにも拡大されるすう勢だ。サラリーマン給料からは各種の控除があり、総所得額から一定の控除額を差し引いた残りの金額に課税していたが、この控除額を小さくして課税対象額を増やすことで大増税をする目論見になっている。
 金持ち優遇税制として批判の的になっていた証券優遇税制については存廃を打ち出したが、これは自民党内部で反発があり、今後の動向しだいで“再延長”にもなりかねない。12月から来年にかけての“ねじれ国会”での審議がどうなっていくのか注目されている。

 使い道は借金財政の穴埋め 内閣府試算でも
 目下の論議の中心は消費税である。さんざん医療・福祉・介護を切り捨てておいて、「社会保障財源に必要」などと主張している。与党は基礎年金の国庫負担割合を、2009年度までに2分の1に引き上げる(現在、基礎年金の財源は3分の2を加入者が支払う保険料でまかない、残りの3分の1を国庫負担としている)から必要なのだと展開している。国庫負担といっても税金なわけで、新たな財源として消費税を充てるというもの。
 一方の民主党は、「全額税方式への移行」を主張し、目的税にせよといっている。基礎年金給付を全額税金でまかなうという論旨で、その財源に消費税を充てるという。どちらの政党も、食いつぶしてしまった年金財源のことは棚に上げて、消費税増税でまかなうという主張には共通性がある。
 ところが、消費税の引き上げは、法人税を引き下げるための穴埋めであり、アメリカから巻き上げられた末の借金財政の穴埋めが最大の眼目である。増税したカネがなにに使われるかというと、内閣府の試算でも明らかにしている使い道として、財政再建分すなわち政府の借金膨張を抑えるために7割が回されることにもなっている。

 消費税を16%にせよと要求 経団連会長
 消費税増税を叫んでいるチャンピオンは経団連などの財界で、2010年代半ばまでに16%まで引き上げろと騒いでいる。そして法人実効税率を30%程度まで引き下げろと主張している。経団連の御手洗会長は「消費税増税で法人税の減税分をカバーすればよい」と放言。独占企業集団の負担を減らして国民に転嫁するという、盗人猛猛しい要求をくり返している。
 法人実効税率を現行から10%程度引き下げると、約4兆数1000億円の課税を大企業は免除されることになる。消費税は1%上げただけで2兆5000億円もの増税になるとされ、企業負担の軽減を穴埋めするために、「当面は2%増税」という論調で進行してきた。アメリカ並みに法人税率を下げ、外資が国内に乗りこんで食い物にするための前段準備ともいえる。
 なお“金持ち優遇税制”として問題視されてきた証券優遇税制は廃止するといっていたら、11月初旬に、米国のサブプライムローン問題で激震が走ったのをきっかけに、自民党税制調査会は再延長の方針を固めた。株式市場を底上げするとして03年から5年間の時限措置として導入されたものだが、自民、公明が昨年末の与党税制改正大綱に07年度中に順次切れるのを1年延長にした経緯がある。この金持ち優遇税制が導入された時期の日経平均株価は1万円を大きく下回っていた状況だったが、最近は1万5000円台で推移している。つまり、上層にジャブついた余剰資金でボロ儲けをやっている。
 また、今年度は将来的な法人減税も見据えた第1段階として「減価償却制度の見直し」がおこなわれ、5000億円規模の企業減税となった。不足分財源は07年からの所得税定率減税の全廃による増税で補う格好となった。
 厚生労働省が通常国会で法制化をめざしていた「ホワイトカラー・エグゼンプション」も水面下に潜っただけで、いつ浮上するかわからない状態。一定以上の年収のホワイトカラー(サラリーマン)を対象に残業代を全廃にすることも画策している。経団連などは「年収400万円以上」を適用条件として叫んでおり、全労働者の45%が残業代をもらえない事態となる。「ただ働き」を法制化するといっている。

 気づかれぬ様収奪する手口 ガソリン税と同じ
 政府の財源は所得税、法人税、消費税の3つが大きな比重を占める。そのなかで、近年は企業が従業員給料を削減しているために所得税は伸びていない。そして消費税も購買力が落ちていることで頭打ち。経済界の主張に沿って法人税を下げるためには、その他を上げなければ釣り合いがとれないのである。そこで、もっとも手っ取り早く、財務省が「1%上げれば2・5兆円の税収が得られる魔法のつえ」などといっている消費税に目をつけている。
 消費税が導入されたのは1989年で、初め3%だったのが5%に跳ね上がってきた。この19年間で、約170兆円もの巻き上げをやっている。97年に消費税率が5%になってから、毎年の税収は12兆〜13兆円で推移している。姑息なのは、04年には、わざわざ税込み価格を表示する「総額表示」が義務づけられたことで、店頭の価格に税額を紛れ込ますやり方に変わっている。いくら税金がかかっているのかわかりにくい格好で、抵抗感を薄めるというもの。これはガソリンなどとも似たやり方だ。仮に、1リットル150円のガソリン価格を分解した場合、消費税が7円、揮発油税が48・6円、地方道路税が5円、石油石炭税が2円、合計して63円も税金が含まれているなど、気づかない。
 ちなみに道路特定財源をめぐってもっとも焦点になっている揮発油税(1リットルにつき48・6円)は、暫定措置として本来の2倍の上乗せ税率が施されており、来春に適用期限を迎える。もともとは24・3円だったので、30年続いている「暫定」を解除すれば、春からガソリンは25円ほど安くなる。ところが税収入を死守したい国土交通省は、最近になって「道路整備中期計画素案」を発表し、全国の道路網を素晴らしいものにするのだといい始めた。権力内部では一般財源に流用したい政府と「道路族」と呼ばれる人種の間で、人から巻き上げたカネの奪い合いを勝手にやっている。暫定税率を延長するためには租税特別措置法を年度内に成立させなければならないので、これもねじれ国会がどう扱うのか注目点になっている。揮発油税は現在、年間にして2兆8000億円も吸い上げている。本来の税率よりも2・5倍にしている自動車重量税は5500億円にもなる。

 気狂いじみた増税ラッシュ 所得税も定率減税も
 この1、2年、6月になると役所の窓口には、住民税の通知書を見て驚愕(がく)した人人が殺到する事態が続いている。2004年度税制改正で65歳以上が対象だった「老年者控除」が廃止されるなどし、前年の3〜4倍に跳ね上がっただけでなく、住民税アップにともなって、国民健康保険や介護保険の保険料も連動して引き上げられ、とくに年配者を襲った。
 小泉政府からの5年間で、「配偶者特別控除」と「老年者控除」が廃止され、定率減税が昨年になって半減した。この施策によって国が庶民から巻き上げた増税額は3兆9000億円(年間にすると約8000億円)にもなる。追い打ちをかけるように、今年は所得税・住民税の定率減税が全廃。総額にして年間で約1兆6500億円規模の増税となった。年収500万円のサラリーマン世帯を例に見ると、定率減税半減だった頃の所得税・住民税の合計が14万9500円。全廃になると16万4600円に増えた。これに、政府がもくろんでいる「配偶者控除全廃」「特定扶養控除減額」「給与所得控除減額」が08年以降に実施された場合、45万9000円にまで跳ね上がる計算となる。所得税は約3倍、住民税は3〜4倍となる見込みだ。
 近年の推移を振り返ってみると、すさまじい大収奪をやっていることがわかる。小泉内閣以後の国民負担増の経過をさらにさかのぼって見てみると、2002年7月に医療制度改革関連法案が制定され、サラリーマンの健保本人負担が2割から3割になり(2003年4月から実施)、70歳以上の自己負担限度額は引き上げられて、原則1割になった(2002年10月から実施)。同年の雇用保険法等の改正によって雇用保険料は2005年度から引き上げられ、児童扶養手当の全部支給所得限度額は引き下げられた。
 03年には発泡酒やたばこ税の税率を引き上げて約1900億円の増税。また、65歳以上の介護保険料を引き上げた。「介護地獄を解決しましょう」といって2000年にスタートした介護保険制度は、結局、保険料は増えるのにサービスは切られる一方。老人病院からは追い出され、特養も金がない人間は入れず、さらに療養病床の削減によって完全治癒できていない患者までが叩き出される始末にもなっている。
 04年4月からは、消費税が免税となる課税売上高の上限が1000万円(従来は3000万円だった)に引き下げられ、課税対象となる中小の事業者が個人事業者で88万人、法人では48万社増えた。年収1000万円の漁師や、農民からも巻き上げるようになった。この増税額が、約5040億円。同年に所得税・住民税にかかる老年者控除を廃止したことで390億円の増税。年金制度改正によって厚生年金保険料率が引き上げられ国民年金保険料も引き上げられた。また、生活保護の老齢加算が廃止された。
 05年は前述した定率減税の半減によって1兆2520億円の増税。介護保険法の改正によって、施設入所者の食費、居住費を全額自己負担にして、保険給付費を3000億円削減した。生活保護、母子加算の縮減もおこなわれた。
 06年は所得税、住民税にかかる定率減税の廃止によって、1兆3060億円の増税。また、たばこ税をさらに引き上げて940億円の増税。また医療保険制度改正によって、70歳以上の現役並所得者の自己負担額を2割から3割に引き上げ、療養病床に入院している高齢者の食費・居住費の引き上げもおこなった。高額療養費の自己負担限度額も引き上げ、さらに2008年4月からは70歳以上高齢者の自己負担額について、70〜74歳は1割から2割に引き上げることも決定した。そして、介護保険料は再び引き上げられた。社会保障をぶち切って、気狂いのような増税ラッシュになってきたのである。
 また、超低金利政策によって、庶民が銀行に預けたお金の利息収入は、300兆円超も巻き上げられてきた。本来預金者がもらうべき利息が、ただ同然で銀行や大企業に渡り、社会の上積みに「困る」ぐらい金がじゃぶついた状態を生み出した。これほど国民から吸い上げて、みなが貧乏にならないわけがない。

 戦時国家作り直結の大増税 米軍再編には3兆円
 近年法人減税や、労働法制改悪などの規制緩和で、史上最高の利益をむさぼってきた大企業集団であるが、彼らの意図が社会保障うんぬんにないことは明らかである。グローバリゼーション、すなわちアメリカへの身売り政策を動かしながら、日本人を黒人以下の税金奴隷にしようというのである。
 また、憲法改定、戦時国家づくりとつながった増税であり、三菱重工などは2000年以降だけでも約2兆円を上回る防衛庁からの軍事関連受注で潤っていたり、山田洋行どころではない。あらたに総額1兆円を超える自衛隊戦斗機(1機250億円)の配備だとか、一連の「防衛費」に巨額の財源が注ぎ込まれ、売国政府はさらに、米軍再編によるグアム移転では、「3兆円出しますよ」と平気で進言したりしている。米軍住宅1軒につき6000万円ものカネを「わしらが出します」というのである。また、インド洋での自衛隊の給油活動ではわざわざ高い値段の燃料をアメリカから買い、それをアメリカの艦船に給油し続けている。
 民主党との大連立が不調に終わった11月中旬になって、福田首相は消費税増税を見送ると方向転換。解散・総選挙後に持ち越すすう勢が強まった。民意に縛られた民主党ともども、国民の監視の目が強まるなかで、振る舞いに往生する格好にもなっている。諸諸の暫定税率にせよ、消費税にせよ、全国民的な世論と運動を強めることが求められている。

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