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武田恵世医師の講演 C
風力発電の不都合な真実
                          (2014年7月2日付

 現在、風力発電所は全国的に夜間停止という措置がとられていると思う。それが最初に実施された愛媛県伊方町は、民家から300bしか離れていない。青山高原でも稼働当初、被害が発生した。民家から1・7`離れているが、安岡沖に計画されている風力発電よりも小さな発電機だ。約2`の集落でも被害が発生していた。
 ところが山間部なので、騒音が雲に反射するスカイレフレックスという現象が、逆転層になると起こる。海辺でも起こる。そして山びこのように反射するのと、直接の音もある。非常に大きな被害が出ている。ところがシーテックは「止めることで失う電力は膨大だ」といい、数カ月間放置して、「すぐに対処する」という当初の約束を守らなかった。最近やっと夜間停止と、各家に二重サッシをつけるという対応をした。
 静岡県東伊豆町の例だが、動悸がして落ち着かない、音は聞こえないが戸や置物が震え出す、という被害が1・5`ぐらいのところでたくさん起こっている。低周波音あるいは重低音の特徴的な現象だ。航空灯も結構まぶしい。また山に夕日が沈む頃、この辺はストロボ効果による風車の影で大変なことになっている。
 当初、業者は健康被害をなかなか認めなかった。被害者の証言がある。「私は生まれたときから渓流の横に住んでいて、滝の音は気にならない。ただ風車の音はたまらない」(1・2`地点に住む住民)。ただ、風車は安岡の半分の大きさだ。そして、「年をとって耳も聞こえなくなってきたが、風車の音だけはこたえる」「国道と線路の横に家があってその音は気にならないし、一時だが、風車の音はずっとでつらい」「恐ろしい音が地面から柱を伝って入ってくる」。
 高齢になると高音域から聞こえにくくなってくるが、低音域は結構聞こえる。そのために高齢者ほど被害が深刻になっている。

 景観で不動産価格下落 イギリスでは最大12%

 風力発電所ができることで不動産価格の下落が起こっている。イギリスの研究で、風力発電施設の視覚的影響が不動産価格に及ぼす影響について調べたところ、20基をこえる大規模風力発電の場合、2`以内の不動産価格は最大12%下落した。
 ただ、風車は40`離れても視認ランクはレベル2の「おおよそ見える」。完全に見えなくなるのはもっと先だ。青山高原でも同じで、たとえば40`離れた奈良県でも割とはっきり見える。伊勢湾の反対側からでもよく見える。
 東伊豆町では信じられない例があった。土地が売れないので、「タダで譲ります」という看板を出したが、みな信用しない。仕方がないから「50万円」といったら、やっと売れたという。1000坪ぐらいあったようだが……。
 被害者の証言だ。「いつまでたっても着陸しないセスナ機」「止まらない夜行列車」。私たちはセスナ機に乗っても、夜行列車に乗ってもだいたい寝られる。それは、いつ止まるかわかっているからだ。ところが、風力発電機はいつ始まるのか、いつ終わるのかがわからない。それを我慢しろというのは非常に過酷すぎる話だと思う。大きな音がしていて雨戸とか置物も震えているが、環境基準はクリアしているから我慢して寝ろ、というのは非常に過酷な話だ。足利工業大学で風力発電をつくっている牛山泉先生も「木擦音、つまり木の葉が擦れるぐらいの音であっても、重大な睡眠障害に発展する恐れがある」といっている。

 密閉すると強くなる音 サッシが逆効果にも

 風力発電機の音の特徴だが、パルス音、つまり断続的な音であるということ。三重サッシにしてもあまり変わらない。私も測定に行ったが本当だ。そして強風時よりも、風が緩いときの方がつらいということもある。風向に関係なく遠くまで届く。部屋を密閉すると強くなる。サッシが逆効果になることもあるのだ。家具、雨戸、ガラス、部屋、関節も共鳴振動するようだ。寝るときにはつらい部屋とましな部屋があるということだ。つまり部屋自体が共鳴振動しているということだ。
 風力発電機による健康被害は、世界中で同じような距離の人たちが同じような症状を訴えている。主な症状は、不眠と船酔いに似た症状。不眠というのをバカにしてはいけない。眠ることでほとんどの病気は治る。ほとんどの疲れはとれる。それができないというのはかなり重大な問題だ。
 特定周波数に原因を特定しようとする専門家もいる。しかし私は、風力発電機の起こす現象全体を総合的に見る必要があると考えている。ガンとか、私の専門の歯周病とか、特定の原因だけに限定するのは無理だ。非常に多くの原因が複合的に関与して病気が起こる。インフルエンザがいい例だ。同じウイルスを吸い込めば、みな同じような症状が出るわけではない。気温や湿度、いわゆる体調、他の病気の有無など非常に多くの複合的要因が重なって発症する。症状を起こすのはのど、鼻、口、胃腸、関節など人によって違い、程度もさまざま。「風力発電機による健康被害は個人差があるから、あれは気のせいだ」という音響学者がいるが、逆にいうと個人差のない病気なんて私は知らない。
 もう一つ、事業者がよくいうのが「環境基準」だ。環境省ははっきりいっている、環境基準、参照値というのは、「受忍」つまり我慢しなくてはならない基準ではありませんよ、と。ところがそれを知らない事業者と知識のない自治体は強いことをいう。
 世界中の被害者の一致した話だが、「いくら事業者が“被害が出れば補償する”“きちんと対処する”といっていても、建ってしまったらおしまいだ。事業者も行政も因果関係を認めようとはしない」といわれている。
 しかし因果関係は明らかだ。被害者宅に泊まった多くの人が同じ症状になるし、風力発電機から十分に離れると治るという共通点があるのだから。      (つづく)

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