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武田恵世医師の講演 D
風力発電の不都合な真実
                          (2014年7月4日付

 風力発電被害の病名としては、振動音響病、慢性騒音外傷、風力発電症候群がある。いずれも原因として騒音だけでなく、低周波音、超低周波音に注目している。
 内耳をはじめさまざまな内臓器官が共鳴、振動して、平衡感覚受容器のバランスを乱してさまざまな症状を引き起こしている。低周波音は音としては聞こえないけれども、内耳は感知して、内臓器官が共鳴することによって症状が出ている。たとえば鼓膜がなくなった人に骨伝導という方法で音を伝えたりする。そういうことが被害を及ぼしている。遅発性のてんかんやガンをもたらすと警告する学者もいる。

 何`離れればいいか? イギリスは4キロ余

 では、風車からどれぐらい離れればいいのか? 800`hの風車の場合(安岡沖に計画されている風車の5分の1)、アメリカでは800b、フランスやカナダでは1・5`。イギリスでは4`以上離すべきだとされており、これは妥当な距離であると思う。山間部では3・2`離すべきだとされている。
 また、軍事施設から10`以内に風車を建設してはならない、という規定がある。ニュージーランドでは8`離れた場所でも低周波音や振動が感じられたというケースがある。ニュージーランドは南極に近く、非常に風の強い場所だが、そんな影響もあるようだ。
 事業者の中部電力子会社・シーテックの部長さんと話をした。この会話で風力発電機に対する疑念が決定的になった。私が「風力発電は発電が不安定ですね」というと、「そのとおり。実は中部電力からはこれ以上接続するなといわれている」といった。実際、北海道や東北では接続制限を実施したり、蓄電池を義務化している。十分すぎる発電をすると、送電を切っている。次に採算性について、「採算があいませんね」というと「その通り。しかし補助金をいただくので…」。
 三重県職員に対しては、所長がもっとはっきりいっている。「発電しなくてもいいんです。建設さえすればいいんです。採算はあうんです」。私は驚いてNEDO(独立行政法人新エネルギー産業技術総合開発機構)という経産省の外郭団体に「事業者から出た申請金額は妥当なものか、調べるんですか」と聞いてみると、「実は調査したことはございませんし、調査する予定もございません」、こういうのだ。
 この制度は幸い現在はなくなっている。ただし、再エネ賦課金という新たな優遇策がとられている。
 被害対策として最近では夜間停止、夜間避難という具体策がとられるようになった。夜間避難とは何かというと、町がアパートを借りて、寝る時間になるとマイクロバスで住民を迎えに来てアパートに連れて行き、朝になるとまた家に送る。また、時間停止というのはストロボ効果などのつらい時間だけ止めるというもので、風の強い時間帯は止めている。発電効率のよい風の強い時間に止める風力発電というのも変な話だ。

 低周波への苦情が増加 風力発電増加に伴い

 愛知県の足助病院の柏野進先生が調べた資料だが、風力発電の導入量が増えるにしたがって低周波音の苦情も増加している。複数の風車があると騒音が重なって、非常に強くなる場所があり、そこに家があると非常に被害が大きくなる。ある音響学者は「低周波音は聞こえない。聞こえないから被害などありえない」というが、実は感知はできている(アノイアンス)。そこから不定愁訴↓自津神経失調↓健康影響になっていくようだ。
 日本騒音制御工学会でも健康被害が起こっていることは認めている。この学会は盛んに「気のせいだ」という学者の多いところだが、被害は認めている。被害は森林・農地ほど大きい。
 同工学会の「風力発電施設の騒音・低周波音に関する検討調査業務報告書」のなかで、苦情の発生は2`まで分布していると報告されている。これを悪い業者は「2`までしか発生していません」というが、違う。調査を2`までしかしていないのだ。これは安岡に計画されているものよりかなり小さな風力発電機の話。出力が大きくなればなるほど苦情の数も多くなることを環境省も調査している。日弁連はとくに真剣に調査している。
 世界の環境学者による予防原則というのがあり、それは「ある行為が人間の健康あるいは環境への脅威を引き起こす恐れのあるときには、たとえ原因と結果の因果関係が立証されていなくても予防的措置がとられなくてはならない」というものだ。
 つまりストレス(たとえば風力発電所)があると、最初は警告期でホルモンが分泌して交感神経が興奮する。原因となんとかたたかおうとする。しかし疲れ果てて自律神経失調症、精神障害が起こる。この間に不眠というのが非常に重要な役割を果たすわけで、寝ることでかなりの病気が治り、疲れもとれるが、それができないのだから深刻だ。睡眠障害に関連する症状として、頭痛、イライラ、興味の喪失、疲労、体重の減少などが起きてくる。
 実は風力発電の被害を「気のせいだ」というのは音響学者だけで、医師でそういうことをいう者は一人もいない。柏野先生は結論として、環境省の調査報告によると風力発電所設置の広範な地域で健康被害が発生しており、風車の大型化にともない近年急増している、とのべている。
 2010年に全国の被害者が集まって集会をおこなった。当時の代表だった加藤登紀子さんが当時の増子経済産業副大臣に「補助金制度が元凶になっているので、これをすべてやめてください」といった。政府は補助金制度は翌翌年から一応やめた。しかし理由は「再エネ賦課金制度に移行するから」ということで、要望を受けたからやめたと素直にいわなかった。
                                                 (つづく)

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