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武田恵世医師の講演F
風力発電の不都合な真実
                          (2014年7月9日付

  最後に洋上風力発電について。

 洋上風力発電も被害大 先進の欧州で問題に

 洋上は、年中風が吹いて安定した発電ができるというのは本当か? 気象観測船というのがあって、太平洋上のある一点に船を置いて観測している。年中風が吹いて安定しているかどうか。気象観測船の玄界灘でのデータだが、平均風速は4b。風力発電は風速12bをこえないと定格出力にならないにもかかわらず、9月で12bをこえたのは1日だけ。平均すると全然だめだ。もう一つ、はるか南の海上、太平洋のど真ん中にある南鳥島の測候所のデータだが、最高の場合はときどきこえているが、風速12bを平均風速でこえる日はほとんどない。だから、「洋上は年中風が強くて安定している」というようなデータはない。
 では、なぜつくるのか? それは高い固定買取価格が目的だ。洋上風力だけが36円で、陸上の風力の1・5倍ぐらい。それに加えて各種の補助・助成が出る。それから超低利融資が開発機構から受けられる。そして企業のイメージがよくなる。どうもこうしたことを狙ってつくるようだ。前田建設工業の財布はほとんど痛まずにつくれるようだ。
 日本の洋上風力発電はNearshore、つまり沿岸といわれるものだ。一般的に洋上風力発電というのは最低10`離れていないとそう呼ばない。だが日本では海辺にあれば「洋上」というらしく、ちょっとでも海にかかっていたら買取価格がどーんと違ってしまう。狙いはこれではないかと思われる。
 洋上風力の盛んなヨーロッパではどんな被害が起きているか。とくにイギリスやスウェーデンでは論文が出ている。たとえば、探査や建設工事、風車の回転などの騒音があると、魚が出血したり、浮き袋が破裂したり、音声コミュニケーションを阻害したりする。また海流や波も変化するので、基礎工事によるものだが底質が変化する。海流によって波がゆっくりになって泥質化しきつくなると砂礫化する。浸食されるところと堆積するところが出る。濁りや化学物質もたくさん出る。これはまだ未評価だ。そして海底によっては、電磁場が変化することで筋収縮の攪乱、定位および探索行動の阻害になる。つまり魚は逃げる。生息地の喪失は当然だ。

 海が変化し魚は逃げる 魚礁になるというが

 洋上風力は魚の生息地をつくるということがいわれる。海のなかに基礎をつくるので魚礁になり、漁獲されない海域ができるので魚が増えるという話もある。ストロボ効果によって大きな影がチラチラするので捕食動物が来たと思って逃げるということもあるようだ。乱気流によって波、気温、水温が変化する。安岡沖の洋上風力発電事業は、杭を打って浸食防止用のブロックを周りに置くそうだから、海は浅いが影響はかなりあると思われる。
 実際の被害として、減ったものは大型の魚類、底生魚類、ボラ、キス、鯨類、アシカ類だ。減る可能性のある種類としては、イカ、タコ、スズキ科、タイ科、稚魚、サメ、エイ、表層魚類(トビウオ・イワシなど)がある。増えたのはイガイなどの着生貝類、フジツボ類、海藻類、外来種が増えたそうだ。増える可能性が高いのは海藻を食べるアイゴ類のようだ。こういった調査もおこなわれている。
 以上の結論だが、風力発電は「CO2排出を削減できるか?」、できていない。「自然環境に優しいか?」、酷すぎる。「人間生活への悪影響」、これも酷すぎる。「利益が得られるか?」、会社はわかりませんが私のような一般人が出資して利益を得るのはまず無理だ。「将来性は?」、明らかにない。欧米でも絶望的だ。「成功例はあるか?」、教えてくれないが、あるとしても非常にまれだ。だから私の結論としては、出資どころか決して進めてはならない。出資しなくて本当によかったと思う。
 風力発電所建設の真の目的はなにか。どうも発電ではないようだ。固定買取価格と、低利融資、優遇税制(所得税は最初の3年間は半額以下。県によってはゼロ)、イメージが良くなる。だから青山高原は山かげであろうが建設して、故障しても2年以上放置している。発電実績が悪くても増設だけはする。これは税金と電気料金(再エネ賦課金)の無駄遣いにすぎない。この後始末は一体どうするのか。

 水力と地熱には可能性 使える自然エネルギー

 自然エネルギーの本来のあり方としては、本当に電力需要に応えうるものを、自然や人間生活を脅かさずに、電気利用者の財布を痛めずに、税金に頼らずに、導入するものでなくてはいけない。風力発電、とくに洋上風力は絶対に進めてはならないものだと思う。
 よく質問があるので最初にいうが、使える自然エネルギーだなと思うのは水力発電と地熱発電だ。これはコントロールできるから、電力の消費量にあわせて増やしたり減らしたりすることが可能。「(風力に)蓄電池を使ったらどうだ?」という質問があったが、蓄電池はあるが非常に高価なのであまり使えない。
 中部電力の川越火力発電所の技術者が非常にいいことをいっていた。「私どもは風力発電所やメガソーラーはないものとして発電している。あんな不安定なものはあてにできないでしょう」と。「じゃあ蓄電池はどうか」と聞くと、「4Uh(4000`h)の蓄電池は1億円も2億円もしますよ。4Uh程度なら、私がここの蒸気のバルブをちょっと緩めるだけですぐ出せます」。なるほど、こういうことだ。                                   (おわり)

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