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表面に現れた町民の底力
上関町長選挙
               25年の苦難転換の意欲     2007年9月19日付

 無投票様相が続いてきた上関町長選は、告示1週間前になって祝島の山戸貞夫氏の息子、孝氏(30歳)が立候補を表明し、一気に町民論議が活発になってきた。町民のなかでは、「無投票を許すわけにはいかなかった」「初めから、推進も反対も上は同じで、町民を対立させる仕掛けが町を混乱させ衰退させた」「祝島も長島も町民の苦労は同じだった」などの声が強まっている。25年にわたり、推進派と「反対派」両方に加納派が機能し、町民を分断してきた構図に終止符をうつこと、町民の協力関係を回復し町を正常化させようとの論議が、大きく動き始めている。

 町民勝利へむけ論議活発化
 町内では、反対派が候補を出す力もなくなったとして、町民をあきらめさせ、柏原町政で中電が突っ走ろうという意図を打ち破ったことに強い喜びが語られている。同時に6対4といわれてきた推進、反対の得票比率を拮抗まで押し戻したなら中電の巻き返しは不可能になるとして、戦斗的な意欲が語られている。
 同時に候補が山戸氏の息子ということで、どんなインチキ候補が出ても4割は反対票として不動であるが、推進に投じてきた原発離れの多くの人が投じて拮抗状態にするうえでは最悪の人材であり、それをどう乗り越えるかに苦心している。
 選挙戦は、当初から「反対は崩れた」の雰囲気が振りまかれ、今月初めには「反対派」幹部連中が候補擁立断念を決めるなど、無投票構図で動いてきた。しかし、無投票で柏原推進町長を助けようという「反対派」の実権派の中心部分が原発を持ち込んだ加納派であること、推進のために町民を分断しいがみ合わせて、反対運動を破壊してきた事実の暴露が、祝島でも長島、室津側でも、25年を振り返りさめざめとした怒りとなって、強い共感を呼び起こすこととなった。
 とりわけ「反対が崩れた」と宣伝されてきた祝島で、島民の反対の力が噴き上がり、山戸氏側としては候補を出さなければいたたまれないという状況が生まれた。これは長島側も同じで、崩すことのできない町民の力を示すとともに、この選挙で町民が下から主導する選挙になってきたことを確信させるものとなっている。
 無投票を見越して「かりに選挙になっても楽勝で七割はとれる」とふれ回っていた推進派も大慌てを始めた。祝島の出馬決定の翌日の町内では反対派はその事実を知らされていないが、推進派にはすぐに知らされていた。「なんで早くお手上げしないのか」とか「無投票のはずだったのに、おまえたちがかき混ぜたからだ」などと怒り出す人物もいる。町民の推進離れは著しいものがあり、推進組織の側は動くものは減り、実態は崩壊状態にある。「反対派」幹部の裏切りだけが頼りだったことをまざまざと見せつけている。
 祝島の80代の老婦人は、「選挙をやるのは、当然のことだった。ずるずる無投票にして、反対をあきらめさせるというのは誰もが許さない。今度の様子を見ていて、反対の上の者が本物ではないことが余計にハッキリした。それと、祝島だけでなく長島でも反対の声は強いことにも、すごく励まされた。これまで、下が踏ん張っても上から崩されるということが続いてきたが、これまでの苦労を無駄にはさせられない」と語る。
 室津の70代の男性は、「今度の選挙は、負けるつもりだった反対派の幹部に、町民がやらせたんだ。中電も、反対を裏切らせる計画を相当に練って上関に乗り込んだんだろうが、上関町民をあまりなめてはいけない。幹部が裏切ったといっても、町民は絶対に負けてこなかったし、これからも同じだ。推進できて、騙されたと思っている人は多い。反対の崩れより、推進に見切りをつける人の方が増えているんだ」といった。
 四代の50代の婦人は「無投票といっているときは、まったくおもしろくもなかった。選挙になって、日頃表に出ることのない私たちの発言をする場ができて、楽しみになったと話になった」と語っていた。

 全町団結で打開へ わざと負けさせる仕掛・個人的感情越え
 しかし一方で、祝島でも長島側でも町民のなかでは「なぜ山戸の息子が出たのか」ということが、大きな問題となっている。山戸氏といえば、加納派の「隠れ推進派」として町民からはもっとも嫌われる存在であり、推進から反対に新しく流れようとする人たちを押しとどめる役割を果たす。反対を負けさせるような立候補だと評価されているからだ。
 祝島の婦人の1人は、「選挙になったのは良かった」と話しながらも「山戸さんの息子では」と苦い顔で考え込んでいた。
 「長島側ではだいぶ前からそうだというが、山戸さんなど反対の幹部の信用は祝島でも剥がれ落ちた。結局、住民のなかに反対と推進の溝をつくって、上は一緒になって騙してきたと話になっている。山戸さんの息子では、推進と攻撃されていた人たちが動くことができない。自分から票を入れないでくれというようなものですよ。でも、負けるための選挙だけは絶対にさせられない」と話す。
 「必死になって反対してきた」と語る住民は、「島の人間はこれまでも、反対といって人を動かしながら自民党へ投票させたり、加納派というのがまともな反対でないというのはみんなわかっていた。でも、本当をいうと“推進派”といって力ずくで攻撃される。“見ざる、いわざる、聞かざる”の状態できた。だが、今頃になって、そういう人たちが原発推進、補償金などといっている。こんな人を騙すようなことはいい加減に終わりにさせたい」といった。
 室津の80代の婦人は、「“反対が崩れた”といわれてきたが、全くのデタラメだということを選挙で証明しないといけない。町民は、中電がいても反対の幹部が裏切っても、いつでも4割の反対を示してきた。推進のなかには、今回は7割対3割にして、お手上げにさせるという人もいるが、今まで以上の力を絶対に出したい」と話す。
 また「選挙では、まともに動きもしないし、裏切るしでいつでも町民を疲れさせることばかりだった。インチキではなく、本物の候補が出れば1番いい。でも、かりに出せなくても、今まで山戸氏個人の応援などで票を入れてきた人はいない。誰でもいいから、反対を示すことが大事だ」と話す。
 別の男性は「山戸でも誰でも、町民は関係なくこれまでやってきた。誰が出ても4割はある。祝島の反対もあるが、長島側の隠れ反対は、24年で鍛えられてきて、そんなにヤワなものではない。信頼のない山戸の息子でこれまで以上の得票となれば町民の力が示せる」といった。
 上関の60代の男性は、「私はこれまで、柏原応援できたが、若い人は町外へ出ていき、町がつぶれようとしているのに役場はなんの心配もしない。今度も、小学校を統合して、火葬場をつくるという。柏原は、上関を墓場にするようなことばかりをやっている。推進も反対も上の方だけがいいことをしたことはハッキリした。上関には、加納支配を突き破って、新しい人間が表に出ることがきない構図が、長年つくられている。推進、反対、双方からやられることを覚悟のうえで、みんなが町のために自由に話せる機運が広がればいい」と語った。
 町民のために純粋に原発を撤回させ、町の正常化を図る候補が出るなら圧勝は間違いない情勢にある。しかし、権力、金力によるさまざまな謀略の構図ができており、出る釘をつぶす仕掛けは万全という体制。これを突き破るのは町民大衆の団結の力しかない。この力を強めるのは今度の選挙で最大課題である。
 町民のなかでは、4割はどんなインチキ候補でも反対の意思表示をしてきた。これが拮抗になるなら中電は巻き返すのは不可能になる。それにはこれまで山戸貞夫氏への不信と失望で離れた人、推進派から離れて原発終結を願う多くの人たちが反対に投じるようにするのが最大の焦点となっている。
 山戸氏出馬は町民の力が押したという面と、反山戸で反対派に流れるのを阻止して柏原体制を守るという面がある。選挙は候補者の人気投票ではない。中電が、反対派が嫌われるようにして推進派町政を守ることに対する町民のたたかいとなっている。どれだけの町民が、個人的な感情を乗り越えて、反対の票を増やし、町民を苦難のなかにおいてきた中電、加納派の意図を破って、町の正常化に接近させるか、町民の高い政治性がどこまで発揮されるか大きな注目点となっている。
 山戸氏は町民から嫌われることが、柏原町長や中電に認められることになる。票が増えたらその筋からしかられる関係になるのだ。

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