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「違反なら罰金」の懲罰社会
                メタボも喫煙も駐車も      2008年4月9日付

 財界と政府による監視・統制の強化、罰金・懲罰社会の押しつけが社会問題になっている。「メタボ検診」をはじめ医療費削減を目的とした都道府県ごとの「医療費適正化計画」と懲罰診療報酬の導入、そのほかにも「駐車禁止監視員制度」実施による市街地の空洞化、「未成年喫煙禁止」を口実にしたタバコ自販機による監視、「成人識別カード・タスポの導入問題をとおして、実情を見てみたい。

 目標未達成は診療報酬減 メタボ検診等
 小泉改革で「毎年、社会保障費の自然増分を2200億円削る骨太の方針」を立てて強行してきたが、いまや削りようもなくなり、舛添厚生労働大臣自身が「もはや限界、やめたい」と発言する事態となった。ところが、これをさらに強行するために、2008年度から後期高齢者医療制度を見切り発車させ、都道府県ごとの「医療費適正化計画」の初年度としてスタートさせた。
 「医療費適正化計画」は、「メタボ検診」として知られる高血圧症、高脂血症、糖尿病など内臓脂肪の蓄積に起因する成人病該当者および予備軍を、2008年度を起点として2015年度までに25%減少させる目標が1つである。
 2012年度までに都道府県ごとの目標数値を設定。「メタボ検診」を40歳〜74に義務づけ、国が金を出すのではなく健康保険を使って特定健康診断、特定保健指導をおこない、25削減するというもの。
 第2の目標は、「平均在院日数の短縮計画」で、2006年の全国平均在院日数34・7日を、最短の長野県の26・7日に近づけることを目標としている。8日間の開きを、2012年度までに3分の1短縮して32・0日とし、2015年度には2分の1まで短縮して30・7日にする。
 これは急性期病院だけの在院日数ではなく、すべての入院施設の平均在院日数の目標で、長野県のように予防医療と受皿となる福祉政策が日本一の県を目標に、全都道府県の目標数値を設定するのはむちゃくちゃである。この目標を達成するための受皿もなく、患者の病院からの短期間追い出しが、空前に激化することは歴然としている。
 第3の目標は療養病床の削減、再編である。全国で医療用23万床、介護用13万床の計38万床あった療養病床の6割・23万床を廃止、医療用15万床だけとする。マスコミは一時、「20万床残す」かのような報道をしたが、政府はなに1つ明言していない。
 これが何万人もの介護・医療難民を巷にあふれさせ、悲劇の続出を招くことは目に見えている。
 国は、@「メタボ検診」によって成人病患者と予備軍を25%減らす、A病院在院日数を短縮する、B療養病床削減・再編の3つの柱による「医療費適正化基本指針」を作成、都道府県の計画作成の指針とする。そして2010年度に推進状況の評価をし、2013年度に実施結果を評価するとしている。
 この評価のうえで、医療費削減計画を「都道府県において公平に推進する観点」から「合理的であると認めた場合」は、「国は特例診療報酬を設定できる」としている。
 すなわち、「医療費適正計画」が進まない都道府県の医療機関に対して、懲罰的な診療報酬を設定する。
 下関市内の急性期総合病院の医師は、「まったくむちゃくちゃだ。国民の医療の必要に応えるのではなく、“小さな靴に合わせて足を削る”医療政策だ。懲罰的診療報酬は医療機関をつぎつぎにつぶし、救急医療をはじめ医療崩壊を全面的なものにする。半世紀に渡る医療費削減策がおいそれとは解決できない医師不足を招いた。なんの反省もなく強権で削減を強行する。医療政策を転換する政府に変えなければ、国民の悲劇は輪をかけたものになる。医療界は腹をすえるべきだ」と強調した。

 5月にタスポ導入 成人識別を口実に・たばこ自販機に
 たばこ自動販売機での「成人識別カード・タスポ」の導入が山口県では5月1日から始まる。これに対し、大きな反発が起こっている。たばこを買うにも、機械の監視のもとに「成人」であることを証明するカードを示さなければならない。
 下関市内のAたばこ販売店店主は、「なんでここまでやるのか、との反発は強く、スムーズにはタスポ申し込みは進まない」と語る。「これで、たばこ消費も一段と減って、廃業に追いこまれる店も多い。たばこ税収を上げるために、これまでさんざん売らせてきて、国の勝手にもほどがある」と怒る。
 お客からは、「“未成年の喫煙禁止のため”というが、こんなことでなくなるのか。どこからでも手に入れる。大企業から政府、役人と、金もうけ第一で好き勝手をやり、社会の道徳も秩序もあったものではない。未成年だけを取り締ってなにが解決するか」との声があがる。
 A店主によると、先行実施した鹿児島県や宮崎県のたばこ店仲間によると、「完全になくなるわけがない。かえって、タスポを使って非行がグループ化する恐れさえある」という。
 現実は、監視や取締り強化だけが一人歩きし、タスポに対応する新型自販機、電子カード・タスポをつくる大手メーカーが全国の市場でボロもうけしているだけである。
 「成人識別カード・タスポ」の導入は、3月から鹿児島と宮崎で先行、第1次として5月から山口県など21道県、第2次が6月から大阪府、京都府など15府県、第3次が、7月から東京都など9都県となっている。
 これら全国に設置されている、ばく大な数のたばこ自販機が、すべて成人識別の監視機となる。まさに大規模な監視システムが導入されるが、こんなことで未成年の喫煙禁止が実現するわけもないことは、社会の現実が示している。
 下関ではさらに、江島市長が唐戸地区を「禁煙地区」として、歩きながらたばこを吸うと、「罰金」をとる条例をつくった。このため、唐戸地区のたばこ店はタスポ導入とあわせ大打撃を受ける。

 商店街では大迷惑 2年前には駐禁監視員制度導入・客を追い払う
 2年前に強権実施した「駐車禁止監視員制度」の導入は、全国各地の既存商店街で、「2万円の罰金をとられたら生活は破たんする」と、買物客を追いちらし、商店街の空洞化に拍車をかけている。同時に「大きな駐車場を持つ大型店の手先」として、大型店出店自由化のもとで、地元中小商店をなぎ倒している。
 下関では江島市長が唐戸、豊前田、グリーンモールの商店街を、「駐車禁止取締重点地区」に指定した。
 このため、「駐車禁止監視員」が午前、午後、夕方と回ってくる。「駐禁監視員が来た」との声に、多くのお客が店からとび出て行く。まったく商売にならない。
 グリーンモールの商店主B氏は、「2年前の駐禁取締監視員の導入で、お客を追いちらされ、売上はがた落ちした。借りていた店舗の家賃が払えず、借店舗を閉めた。一緒に働いていた息子も働きに出た」と語る。
 続けて「グリーンモールは都市計画による区画整理でつくった。きちんと車寄せのスペースもつくられている。救急車や消防車が通らないような渋滞はなかった。“駐禁取締り”の美名で、地元の店をつぶし、地域を疲弊させるだけだ」と怒りをこめて強調した。
 長門市場の商店主C氏は、「駐車禁止監視員の巡回と、大型店の影響でかつて庶民の市場であった長門市場、スーパー長門は見るかげもなく荒廃した。高齢者宅に配達していた鮮魚店もなくなり地域の住民も困っている。それほどの混乱もないのに大都市なみの駐車禁止監視員を導入し、下関をだめにしているだけだ」と語る。
 唐戸地区の商店主D氏は、「市営駐車場を民間委託して、30分無料の地域振興策もホゴにした。そのうえに駐車禁止監視重点地区とし、監視員がしょっちゅう回ってくる。客を追い払われ、店舗を借りて営業することは困難。“もち吉”の唐戸店が閉めたのもそのためだ。下関は大型店野放しで地元商店への影響は大きいのに、駐車禁止取締監視員の導入で空店舗が増えている。江島市長はなんでも中央直結の一番乗りで下関をだめにしているが、大型店規制条例をつくるのが先ではないか」と語る。
 「自由化」は独占・大企業が私的利潤の追求を社会的に必要な規制をとっぱらって好き勝手にボロもうけする一方で、管理・統制の強化、監視と罰金・懲罰によって、労働者、中小商工業者、都市勤労市民の生活権、医療を受ける権利をも奪っている。こうしたなかで社会変革を求める世論と行動は戦後最大のマグマとなって渦巻いている。

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