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一方に金余り、他方に食えぬ人民
               食料や燃料を投機の具に    2008年8月20日付

 燃料や食物の値上がりが襲っている。働く者は給料がまともでなく、年寄りは年金が削られ、税金は上がり、公共料金は巻き上げられるなかで、物価が上がったのではやっていけない。燃料の高騰で漁師は沖に出られずストライキ。トラック輸送や船舶輸送の現場への影響も深刻。農業や漁業、国内流通もマヒする有様。サブプライムローンが破綻して、世界の投機資金が、買わなければ食っていけない食料や燃料を買い占めて世界の経済を食いものにしているのである。世界中で資金が有り余った結果、働く者が貧乏になっている。幕末期の悪徳商人がコメを買い占めて打ち壊しにあったが、ハイカラを装ってきた資本主義経済がそれと同じようになっている。

 生活脅かす物価値上げ 購買力は落ちる中
 日本国内ではガソリン価格が1g=180円台を突破し、8月1日からはガソリンや卵、9月からは家庭用チーズが4・5〜20%さらに値上がりし、ビールもサントリーが先陣切って3〜5%値上げを発表。10月以降は輸入小麦が20%ほど、値上がりする見通しになっている。日清製粉は9月からさらに6〜25%の値上げをする。食べ物から日常生活の必需品にいたるまで、値上げラッシュはまだまだ止まらない。
 普通車に乗っている人は軽自動車に乗り換え、クーラーを使わず窓を全開して走行。あるいは軽自動車からバイクへ、バイクから自転車へと生活を切り詰める。新車販売台数も伸び悩んでいる。マンションが建設ラッシュであったが、これも買い手がおらず、国内のデベロッパーは次次と破産している。車にせよ、家にせよ、その他の工業製品にせよ、買う人間がいなければ経済が鈍化するのは当たり前である。とりわけ24歳以下では非正社員の割合が5割近くに達する状況で、貧困化した若者の購買力が落ち込んでいるのは当然だ。消費行動だけでなく、結婚も子育てもできないほど搾られている。地方切り捨てのさなかにある田舎は車がないと生活圏の移動がままならないので、弱り目にたたり目である。
 中小企業は資材が高騰するのに入札はダンピング競争。農漁業も燃油高騰分を価格に転嫁できず廃業の淵に立たされている。政府は食料生産を保護するという国益を守る姿勢すら見せない。そして農漁民が汗水流して預けた金は農林中金がサブプライムで焦げ付かせたりする。
 人人の購買力が落ちて買い手はいないのに物価は上がる。買い手が少なければ物価が下がるという常識は通用しないのだ。こうして、どうやって食っていけというのかという状態になっている。
 ヒト、モノ、カネの動きを、1年前と比較してみると、株式売買は21・3%減(東証一部月間代金)、投信販売も49・8%減(公募株式)、その分定期預金残高は4・6%アップ(都銀、地銀)する動きになった。政府が株式や投信など博打打ちを奨励して国民資産の拠出を促してきたが、明らかに敬遠する流れとなった。
 産業活動を見ると、7月の航空貨物輸出は前年比5・2%減、工作機械受注は8・9%減、自動車生産10%減、鉱工業生産指数は1・6%減となっている。夏場の人人の過ごし方も、海外旅行、国内旅行がめっきり減って、駅前レジャーや近場のプールが大賑わいとなった。
 米国発の金融ショックが襲う直前、02〜07年の5年間だけで国内総生産は、22兆円増えていた。ところが同時期の労働者の賃金はトータルで約5兆円減少し、増税で約5兆円が巻き上げられた。そして社会保障の負担額は約4兆円を国民がかぶった。老人は、病院から追い出され、75歳以上は「早く死んでください」と突きつけられた。
 もともと好景気とは無縁なのが国民生活。「史上最高益」の大騒ぎをやっていたのは大手金融機関や大企業だけで、利益は社会全般には配分されず、株主配当や役員報酬など一部分の儲けが格段にアップ。その向かう先だったサブプライムなどの金融投機も破綻して、今度は腐るほど有り余った余剰資金が、人人が食っていくためには買わずにはおれない食料や燃料まで買い占めてつり上げる、投機の対象としてしまった。
 そして政府は、世界的な投機資本を規制して、まともな人間の生活を守るというのではなく、投機による物価高騰は仕方がないなどといっている。もはや、政府の体をなしていないのである。
 こうして日米欧では実質GDP(域内総生産)がマイナス成長に陥っている。世界では貧乏して食っていけない者が増えているのに、生産は過剰だというのである。新自由主義などといって、企業が儲けのための競争にうつつをぬかし、労働者を搾り上げた結果、購買力が落ちて、資本の側が恐慌を来して弱り果てているのである。資本主義世界は人人を養うことが出来ず、無政府状態を呈している。

 暴れ回る投機資本 次なるバブル強権的に創る・世界を食い物
 サブプライムローンの破綻が明らかになった昨年夏以後、米連邦準備制度理事会(FRB)は5・25%だった政策金利を2%まで下げ、ブッシュ政府は大手金融機関の救済とあわせて減税策を打ち出すなど、景気減速を押しとどめるために躍起になった。その結果、ドル安が進行し、投資家の資金は金利の高いユーロや穀物・原油市場などへ移って価格を釣り上げはじめた。
 約1年間でコメは2・6倍、トウモロコシが2・3倍、小麦は1・4倍に跳ね上がった。世界の原油価格の指標とされる米WTI原油先物相場も2・2倍の1バレル=140j台に達した。中国やインドなど新興国市場が株式市場の好景気を引き継いで世界経済を牽引するのだと吹聴されたが、すぐ行き詰まり、食料や原油に投機資金が張り付く関係だった。インフレは世界中を襲ってベトナムでは26%の物価上昇率を見せている。日米欧で4%近い上昇となった。
 発端となったアメリカ経済は、サブプライムにとどまらずクレジットカード、不動産融資など問題はすそ野に広がる趨勢。ドル安も止まらない。3月に証券大手のベア・スターンズが経営破綻したのを契機に大手銀行の株も急落し、減益となっている。シティ、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェースなどの株価は年初来で20〜40%も下落。地銀株も足並みそろえて下落し、破綻が相次いでいる。7月には住宅ローン大手のインディマック・バンコープも破綻して取り付け騒ぎが起きた。
 政府系住宅金融大手2社がばらまいた債券額は、総額約530兆円に達し、そのうち約160兆円は海外の金融機関が保有していることも明らかになっている。ローンを証券化した紙切れ同然の空手形をよくもこれほどばらまいたものである。
 メリルリンチはサブプライムの焦げ付きによる損失だけでも約4兆5000億円。シティ・グループの昨年からの証券化商品の評価損による損失額は約5兆4000億円に達した。損失は底なしで、国際通貨基金は「サブプライムローンの損失は全世界で102兆円に達する」と予測している。増資や公的資金注入によって乗り切ろうとするもののコントロール不能状態になっている。
 投機資金によってもたらされた原油高で、自動車販売も影響を被り、ビッグ3は減産を進め、労働者の首切りなどを敢行している。6月の新車販売数はGMが18・2%減。フォードが27・8%減。クライスラーが35・9%減。自動車企業の株価も、軒並み下がりはじめた。米証券大手のメリルリンチはGMの投資判断を「売り」に変更し「経営破綻もあり得ない話ではない」と指摘している。米航空6社も軒並み赤字にあえいでいる。トヨタも影響を被り、対米輸出拠点である九州では1割減産するために派遣など雇用の調整弁を容赦なく切り捨てている。
 企業のリストラが加速し、4〜6月の人員削減数は全米で27万5000人。四半期ベースでは前期よりも37%増えた。通年にすると100万人を超えるペースだ。金融機関から事務職、肉体労働者に至るまで全産業分野にわたっている。外食産業のスターバックスは全米の600店舗を閉鎖する方針を打ち出し、従業員の1万2000人を削減するとしている。サブプライムローンに引っかかった貧乏人は、家を追い出されてテント暮らしをしている。
 アメリカンスタンダードで世界中に押しつけてきた経済ルールも放棄して、会計ルールを粉飾可能なものに変更したり、なりふり構っていられないのがアメリカ。しかしいくらルール変更しても基軸通貨のドル離れは止められず、世界各国が心中しかねないものとなっている。90年代のアジア金融危機でタイ、インドネシア、韓国などをIMFの管理下、すなわちアメリカの金融植民地にしてきたアメリカであるが、金融戦争を仕掛けた側がいまや大破綻をきたしている。
 そしてG8などを開催して温暖化対策のために次は原発利権などといっている。ITバブル、住宅バブルが破綻して、つぎなるバブルを強権的につくり出すというものだ。

 独占は史上最高益 米欧の石油メジャー等・困る庶民と逆に

 ちなみに、空前の原油高で人が困っている折りに史上最高益を上げているのは米欧の石油メジャーで、米エクソン・モービルは四半期ベースの純利益だけで約1兆2600億円になったと発表した。英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルも約1兆2500億円となり、英BPも最高益を更新した。また、資源の寡占化も進行し、鉄鉱石は世界大手2社が世界の8割弱を握り、自動車の環境技術ともかかわるプラチナは大手4社が9割ものシェアを占めて価格支配をしている。
 食料の高騰では、バイオ燃料政策が大いに関係しているわけだが、世界が食料危機に瀕しているときに、温暖化対策といって食い物を燃やすのがアメリカの戦略。これも投機の具になって、アメリカでは食べるトウモロコシより燃やすトウモロコシの生産量の方が上回るほどだ。世界人口は1950年に25億人だったのが、2000年には60億人を超えた。そのうちの6分の1にあたる10億人が1日1j未満の収入で暮らす人人で、食うや食わずの生活をしているのに燃やすのだから、世も末というほかない。
 「株式市場から商品市場に投機マネーが流れて物価が高騰している」という。どうしようもないくらい行き場を失った余剰マネーが有り余っているのである。カネが有り余った結果、働く者が食っていけなくなっているのだ。
 世界をまたにかけて大暴れしている悪徳商人・金融投機資本を規制すること、このような連中を一掃する世界的行動なしには、目の前の貧乏も解決しない関係になっている。
 新自由主義の末期症状は深まるばかりである。物価高騰はたんに物価の問題だけではなく、社会の階級的な矛盾を先鋭化させている。

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