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医者にかかれぬ後進国か
小泉ー安倍の医療改革
              国民皆保険制度崩壊させる    2007年7月13日付

 小泉―安倍と続く市場原理による医療改革の6年、国民のための医療=国民皆保険制度は崩壊に直面している。医療費患者負担3割、高齢者医療費負担1割(現役なみ所得者2割)の強行によって低所得層は病気になっても医者にかかれない。高い国保料が払えない世帯から保険証取り上げを義務化、手遅れによる重症化はもとより、命を奪われるケースが全国で続発している。病院の医師不足は産科、小児科、麻酔科をはじめ内科、外科と各科におよび、病院閉鎖や診療科廃止があいつぎ安心して子どもを産み育てられず、医療を受けられなくなっている。「小泉・安倍は “殺す” と直接手を下さないだけで、国民をどんどん殺している」(下関・肺気腫患者)、「アメリカいいなりの市場原理が日本の医療を破壊した。参院選で自・公民政府に審判を下すべきだ」(下関・急性期総合病院勤務医)との憤りが渦巻いている。
 医療費患者負担3割の影響について下関市内の内科開業医は、「開業医への通院件数は、ほぼ戻っているが、問題は多忙な現役世代の患者で、夜間急病診療所に“売薬を飲んだがなおらない”と、しばしばかけこむケースが目立つ。ほとんど重症化しており、即入院のケースも少なくない。また、入院治療をすすめても“通院でなおしてくれ”と敬遠する患者が一段と増えた。国民が安心して医療を受けられなくなったことは歴然としており、参院選で自民党政府の責任を問わなければならない」と指摘する。
 民間研究機関・日本医療政策機構(代表理事・黒川清政策研究大学院大学教授)が今年1月におこなった「日本の医療に関する2007年世論調査」によると、低所得層(世帯年収300万円未満)では、「具合が悪くても医療機関に行かなかった人」の割合が40%に、「病気になったときに医療費を払えない不安を持つ人」が84%、さらに「現在の医療制度が貧富の差に配慮していないと考える人」が72%におよんでいる。
 医療費3割負担とあわせて、入院給食患者負担や高額医療費制度改悪による患者負担限度額の引き上げが、大きく影響している。
 「病院から、まだなおっていないのに、管をつけたまま追い出された」との反発は、巷にあふれている。「医療改革」による診療報酬の改悪で、政府は患者の早期追い出しをはかった。政府は入院日数標準を決め、この標準をこえると入院時医学管理料や看護料などの診療報酬を大幅に引き下げる仕組みとし、病院が患者を早期に追い出さざるをえなくした。
 さらに病気療養中の高齢者が入院する医療型病院に対し、入院日数が180日をこえると診療報酬を75%しか支払わない制度改悪をおこなった。このため、25%分=月約5万円の差額負担が困難な患者を療養型病院から追い出した。
 このうえに、2011年までに全国で約38万床あった療養型病床を15万床に削減、約6割にあたる23万床を廃止する方針をうち出した。山口県では、1万700床ある療養病床のうち6460床が廃止対象となっており、「医療難民」があふれることは必至。
 「県民の健康と医療を考える会」(山口県医師会など16団体で組織)は、小泉―安倍政府の「削減ありき」の計画を排し、山口県に対し医療現場と協力し、医療の原点に立ち返り、実際にもとづいた政策をとるよう要求している。

 手遅れで死亡する人も 保険証取上げで
 小泉―安倍による「聖域なき構造改革」は以上のように国民のための医療に大なたをふるった。1年以上、国保料が払えなかった世帯から、保険証をとりあげ、「資格証明書」を発行することを義務づけた2000年の国民健康保険改悪は、国民の医療を受ける権利を奪う、きわめて冷酷なものである。
 2006年6月1日現在、小泉改革による貧困と失業のかつてない増大のもとで、高い国保料が払えない世帯は、全国で480万5582世帯にのぼり、保険証をとりあげられ「資格証明書」を発行された世帯は、35万1270世帯、保険料の1部を払うことで3カ月間などの短期保険証を発行された世帯は、122万4649世帯に達している。
 山口県下を見ると国保料が払えなかった世帯は、4万4833世帯、保険証をとりあげられ「資格証明書」を発行された世帯は5218世帯、短期保険証を発行された世帯が7699世帯にのぼっている。
 全国保険医団体連合会の調査によると、保険証をとりあげられ「資格証明書」を発行された世帯の受診率は、一般の国保世帯の113分の1程度と、事実上、医療を奪われていることを示した。保険証がなく、手遅れとなって死亡した人は2005年以降の2年間だけで、少なくとも29人にのぼる。
 共同通信社が2005年末発表した調査によると、2000年後の6年間で保険証がなく手遅れとなって死亡、表面化したものだけで11人に達している。そのケースの1つ、短期保険証を交付されていた北九州市の30代の婦人は、甲状腺疾患と糖尿病をわずらっていたが、短期保険証の更新ができず、治療が中断し、2001年に症状が悪化し死亡した。体調が悪くアルバイトも思うにまかせず、短期保険証更新に必要な一定の保険料納付ができなかった。まさに、「直接手を下さない」が、殺人である。

 深刻化する麻酔医不足 山 口 県 下
 市場原理による効率1点ばりの医療政策で、病院勤務医は当直勤務明けも通常勤務という激務におかれ、医療ミスと隣合せの日常におかれている。このため、病院勤務医の不足は全国的に深刻化しており、産科医、小児科医、麻酔医の不足はとくに顕著であるが、内科や外科も専門分野の医師不足で、地域の病院の閉鎖、診療科の廃止があいついでいる。
 東北大学研究グループの厚生労働省データにもとづく調査によると、全国で約4万人の勤務医が不足している。とくに産科医不足で、この1年間に出産取扱いを休止したり、休止する方針を決めた病院は、全国で105カ所にのぼる。2005年12月時点で、出産を扱っていた1273病院(日本産婦人科学会調)の8・2%が、さらに減ることになる。
 山口県当局によると、山口県内の人口10万人当りの産科医数は7・4人、小児科医数は11・3人(2004年12月現在)。いずれも全国平均を下回り、中国5県でも最低である。
 産科で見ると、県央部の防府市には出産できる病院・診療所はなく、産科救急を専門とする県立中央病院に一般出産も集中、同病院の産科医の負担は過重となり、医師不足に拍車がかかることが懸念されている。
 また萩・阿武地区の産科救急は日赤山口病院が担っている。このように小児科・産科医の不足から、広域統合がされているが、病院に行くのに時間がかかり、「車の中で出産」という事態を招きかねない。
 とくに山口県下は、麻酔医の不足が深刻で、急性期病院で手術を思うようにできない事態となっている。下関市内のある急性期総合病院では「フリーの麻酔医が確保できないため、午前中の手術は1件しかできないという事態だ」と説明する。
 地域で安心して子どもを産むこともできない実情が全国的にも広がっているが、安倍・林直結の二井県政のもとで、山口県民も、安心して子どもを生み育てられず、手術も思うにまかせぬ危機に直面している。

 「参院選で鉄槌下す」 患者も医師も
 下関市内の肺気腫患者A氏は、高血圧症とあわせた治療を受けているが、3割負担で月約4万5000円の医療費負担、高額医療費制度で若干の金は返ってくるが、「これだけの負担を続けるのは困難。とくに自宅酸素治療用ボンベが2万4000円もかかる。患者団体の全国組織が安倍政府に助成を求めているが、なしのつぶてだ。税金も市県民税は倍化、介護保険料も大幅に上がったが、介護は制限ばかりで利用もままならない。国保保険証をとりあげるなど冷酷・凶暴だ。“殺す”と直接手を下さないだけで、多くの国民を殺している。参院選で思い知らさなければならない」と怒る。
 下関市内の急性期総合病院の勤務医は、「アメリカが対日年次報告で日本に市場原理改革を要求し、小泉、安倍が忠実に実行してきた。その結果、日本の医療は破壊されている。市場原理の効率一点ばりで、医師も看護師も激務、一方でアメリカ型訴訟社会をめざして弁護士の大量生産と裁判員制度を急ぐ。日本人本来の人間関係、医師と患者の信頼、教師と生徒・父母との信頼関係など、ずたずたに破壊した。勤務医が“やってられない”と辞め、不足するのは当然だ。アメリカいいなりの自民党政府に、参院選で鉄槌を下さなければならない。このまま行けば、日本はつぶされてしまう。現に戦争までアメリカにくっついてやろうとしている。こんなことが許せるか」と強調した。

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