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著しく衰退したアメリカの力 
本紙記者座談会・戦後61年の情勢
              日本人民の世論大転換    2006年7月28日付

  小泉政府発足から5年間がたった。その間、人民生活は大変化をきたしており、大衆世論も大きな転換が起きている。戦後社会を彩った「豊かさ」とか平和とか民主主義とかの欺まんが崩壊して、とんでもない貧困と抑圧と戦争の世の中になってきた。朝鮮ミサイル問題の騒動にあらわれたように、日米同盟が新段階に入り、現実に戦争をやるところへ来ている。一方ではアメリカの指図どおりの規制改革を進めてきた。大きな世界の発展とかかわって日本社会はどうすすんでいるのか、第2次大戦と戦後の出発、90年代の米ソ二極構造の崩壊、そして現在とどう進んできたのか、人民とその敵の関係はどうなってきたのか、人民の進撃方向はどうか、大きな視点から現状を見るために、記者座談会を持って論議してみた。

  小泉政府の5年間 「豊か」の欺瞞崩壊 
 司会 小泉政府の5年間で、大衆世論はどうなってきたか、からどうだろう。
 A ミサイル問題をめぐって本紙が「暴支膺懲の失敗を繰り返すな」のキャンペーンを張ったが、まったく浮かなかったし、ひじょうに強い共感を得た。本紙号外は山口県内をはじめ、広島に10万枚超がまかれた。敗戦から出発して、知らないうちに戦争をやるところへ来たことへの強い警戒の世論が噴き上がった。商業マスコミが煽ったが、世論は踊らなかった。むしろなにかやるたびに騒ぎ動員していく朝日新聞などメディアへの批判がそうとうに噴き上がった。
 いわばメディアファシズムが暴露されている。小泉自体が総理になれる自民党内の基盤はなかったが、マスコミが騒いで世論を動員した。去年の衆院選もひどいメディア選挙だ。次期総理は安倍晋三というが、支持基盤が国会の中にあるわけではない。しょぼくれていたのが訪米しアメリカの高官が「安倍でいけ」とやったことで自民党が右へならえの流れとなった。そしてメディアが安倍が高支持率とやって支えてきた。
 安倍の場合、あまり見識も度量もなくて、アメリカがいうことは無条件に聞いて無鉄砲に突っ走るところを見こまれたのだとほとんどの者が思っている。憲法、教育基本法、共謀罪、消費税さらには武力参戦など突っ走らせようというのだろう。竹中を大臣にしたり、商売人の宮内に規制改革の旗を振らせたり、総理をだれにするかとか、日本の政府の人事権は日本にはなくてアメリカにあるというのが人人の問題意識となった。
 
 社会的規制壊し貧困化
 B 重要な特徴は貧困化だ。経済大国などといっていたが世界有数の貧困国になっている。あまりの進行具合にさめざめとなってきた。市場原理といって金儲け優先、株投機天国で突っ走って社会的規制を撤廃していくなかでの貧困化だ。働く現役世代、若年世代の半数以上が不安定な非正規雇用になってしまった。パート、アルバイトや人材派遣の使い捨てだ。若い者の多くが、自立した生活ができない。結婚ができないし子供が産めない、家を建てるメドなどとてもない。30歳前後になって非正規雇用から正規雇用に転換するのはものすごく困難だ。するとずっと不安定雇用のまま人生を送る。これは大変なことだ。人間の再生産ができない、労働力の再生産ができない、というのは日本社会はつぶれるということだ。社会の発展性がなくなってしまっている。
 40〜50代の現役労働者は病気をすれば家庭崩壊、ホームレスか餓死のコース。正規雇用の就業状況をみても、殺人的な労働で、体が持たず命を売り渡す状態。まさに賃金奴隷の状態だ。農業も、漁業も商店もぶっつぶしてしまう。教育も医療や福祉など社会的に保障されるべきものをみな自己責任、営利原理で切って捨て、社会的な保障がない社会になってきた。
  社会的な安全規制も緩和されて事故や労働災害はひどい。JR西日本の事故、ブリヂストンの工場爆発事故などひどい状態だ。アメリカに脅されて狂牛病肉を輸入する。国民が健康を損なうのをわかっていてやる。パロマやトヨタ車リコールのような欠陥商品が増えている。国民の生命と安全を保障しない社会になっている。
  ゼロ金利をつづけて300兆円余りの利息を預金者から巻き上げ、不良債権であえぐ銀行を儲けさせた。税金も、企業の国際競争といって法人税を引き下げ、その分を消費税で補った。所得税も高額所得者は減税し、低所得者の方ばかり増税した。貧富の格差をワザとつくる政策をやってきた。そして大企業が史上最高のボロ儲けをし、ホリエモンや村上のような詐欺師のような投機屋が、自民党中枢や日銀総裁などとグルになってボロ儲けして勝ち組といってもてはやされる。
 C 「豊か」という戦後の欺まんが剥がれ落ちた。民主主義で平和な世の中ではないというのが全般の世論になった。繁栄も平和も、一番の根幹は独立が問題だ。実は戦後ずっとそうだったのだが、小泉になってその構造がひじょうにはっきりした。
 
 アメリカ守る盾が日本 テロ事件以後露呈
  テロ事件以後、海外軍事行動に乗り出しはじめた。アフガンには給油支援でインド洋に海上自衛隊を派遣し、イラク戦争では陸上自衛隊や航空自衛隊を派遣した。国内ではミサイルを配備したり、ミサイル発射機能をもつイージス艦や原子力潜水艦を配備するなど、米軍と自衛隊が一体化して攻撃する体制が強化されていった。
 米軍再編は、沖縄の負担軽減などというがそんなものではない。米軍司令部をもってくることが一番の目玉で、米軍が自衛隊基地を自由使用するし、港湾や空港、道路、自治体や企業、病院など戦時には米軍が優先的に使用するというものだ。米軍の司令部機能を持ってきて、自衛隊を米軍の一方面軍として統合して傭兵にする。外国軍に指揮されて戦争をやる日本という哀れな状態だ。
 A 北朝鮮問題が煽られているが、そもそも核開発・ミサイル問題は米朝関係の問題だ。日朝問題ではない。アメリカが日本を基地にして核攻撃の包囲網をつくっているからそれに対抗している関係だ。それなのに日本が「脅威だ」と前面に躍り出て、「先制攻撃するぞ!」という。アメリカの代理戦争だ。日本が矢面にたってアメリカを守る盾になる役を買って出るという馬鹿げた話だ。アメリカがミサイルを撃てば日本が攻撃される。
  グアムに大切な司令部は下げて、ミサイル配備した日本から攻撃する。報復は当然日本が引き受けアメリカ本土は安泰というバカげた関係だ。アメリカのために戦場になるという哀れ惨憺たる事態だ。
 B この間の世論の変化で、「アメリカは日本を守るわけがない」「米軍を日本が守る関係だ」という世論が強まった。それが岩国の住民投票などであらわれた。テロ事件が起きれば市民に銃口を向けるし、米軍は核攻撃などの事態を想定して本国に逃げ帰る練習をやっている。全国的にも自治体首長らが「米軍はきてくれるな」と言いだした。これはかつてない世論の変化を基盤にしている。
 A 「そうはいっても日本はアメリカの“核の傘”に守られて、軍事費に金を使わずに経済成長した」という意見が以前はかなりあった。しかしソ連の脅威が崩壊して説明がつかなくなった。北朝鮮がミサイルをぶっ放すといっても脅威とは思わない。現実の力関係として逆だからだ。今度の号外でも、「制裁されているのは日本国民の方だ」という論調に反響が大きかった。自治体などは予算で締め上げられて合併強要で経済制裁そのもの。“独裁国家”はよその国の話ではない。「日本の政府は国民のいうことなど聞かない」「アメリカの言うことしか聞かない」というのが全体の世論になった。
  戦争の接近ということでは、あの第2次大戦で空襲をやり原爆を落として、さんざん非戦斗員を殺した連中が、その日本を動員して同じ事をやろうとしている、イラクでもやり、世界でもやっているという怒りが戦争体験世代から広がっている。
 
  アメリカ賛美の虚構瓦解 第二次大戦の欺瞞剥落
 司会 戦後61年たってどうしてこんな社会になったのか、第2次大戦は何だったのかから考えなければならないという世論が強まっている。
 A 峠三吉の原爆展をやるなかで、沖縄では沖縄戦の真実について、全国では空襲体験や戦地の体験をほとばしるように語る。それをまとめたパネルを見ることで、若い世代がひじょうに響いている。第2次大戦から現在の社会を考えようとしている。
  第2次大戦についての欺まんが崩壊している。とくにブッシュのアフガン戦争やイラク戦争まで来て、「アメリカは平和で民主主義」という虚構がガタガタ崩壊している。原爆や空襲体験者は無条件でアメリカの爆弾の下にいるイラク人民の側から物事を見ている。「日本では占領軍が来ても鉄砲を撃つものはいなかった。イラクは立派だ」という意見を言う。
 A ある傷痍軍人が、原爆展追加パネルの「米軍がマニラや長沙の街を焼き払った」というのを見て、「これが敗戦後はいえなかったんだ」と熱を込めて語っていた。スマトラでも島の形が変わるぐらい艦砲射撃をやり、一番犠牲になったのは現地住民だったのだという。沖縄戦も住民は日本軍が殺したような空気がつくられてきたが、東南アジアでも実際にはかなりの住民は米軍が殺している。このようなことは隠されている。このようなことが山ほど埋もれている。
 C 戦時中の検閲、言論統制はひどかったというが、戦後のアメリカ占領軍の検閲や言論統制はもっと巧妙でひどかった。検閲してないふりをして検閲している。原爆や空襲の悲惨さを語ってはならないとか、いわゆるプレスコードで規制し、どこを検閲したかわからないように自主的に規制させる。手紙なども開封して調べた。第2次大戦と占領時のアメリカの犯罪などは徹底的に隠され、美化されてきた。朝日や日経が騒ぐ“天皇メモ”というのはその辺の真実に触れられるのを恐れているのではないか。戦後支配の欺瞞が暴露されることへの危機感だ。
 A 天皇発言で朝日などが、敗戦直後に占領軍記者の質問にたいして天皇が「真珠湾攻撃は東条が天皇の意志に反してやった」とか「憲法に先立って戦争放棄をいったのは、天皇だった」といったなどの宣伝がされている。あの戦争が軍部だけでできないことは明らかだ。軍は天皇が統帥権を持った天皇の軍だった。三井、三菱などの財閥が戦争をけしかけて、大儲けをしたし、メディアが「暴支膺懲」とか「鬼畜米英」とか「日本には神風が吹く」とか大宣伝しなければ、人人を駆り立てることはできなかった。長崎で話が出ていたが、三菱に学徒動員で行っていた人が、戦地に送る缶詰を作っていたが、最後は中に石を入れていたという。“どっちみち撃沈され沈没するのだからいい”と三菱はやっていたという。財界もすごく儲けた。彼らもまた“平和主義者”になりすました。
 アメリカ側も天皇を頭とする戦争指導者どももグルになって、戦争は東条英機などの軍部にすべての責任をかぶせて、自分たちは“平和主義者”になりすましてアメリカに忠誠を誓うことで支配の地位を温存した。戦争で大きな役割を果たした内務省とか、商業新聞などもみな、何の責任もとらないままそのまま戦後に生き延びた。まんまと戦争責任を回避した連中が、アメリカの手下になってまた戦争をしようというわけだ。
 
  狡猾に動いた天皇 軍部だけに責任押しつけ戦争責任を回避
 C 天皇とか宮中グループとか近衛文麿あたりが平和主義者扱いなわけだが、もっとも狡猾に軍部を利用した部分だ。統帥権は天皇にあったわけで、軍の大将も任命していた。天皇の軍隊だから、命令抜きに戦争をやると大犯罪になる関係だ。
 A 近衛文麿は戦争拡大で役割をはたしている。日中戦争をはじめたときも近衛内閣だ。日米開戦は日本軍が南進策をとって、米英仏蘭の植民地を略奪する行為に踏み切ったことで決定的となった。それをやって日米開戦の準備をしたのは近衛内閣だ。いざやるぞというときに東条英機にかわった。近衛は逃げた。理由はもし負けたときに天皇に傷が付くというものだった。近衛は日米戦争が負けるのははじめからわかっていたといっていたとされるが、はじめから負けた後に軍部に責任を負わせる事を計算していたのだ。
  日本の支配階級は太平洋戦争に突入する以前、あの広大な中国大陸に無謀な戦争を仕掛けて、中国人民の抗日戦争によってさんざんにうち負かされていた。朝鮮、満州に100万人以上、中国大陸に100万人の軍隊をおいて勝つメドがないばかりか、敗北は確定的となっていた。陸軍のなかでは撤退計画もつくられていた。
 極東ミュンヘンというのがある。米英仏が日本をソ連攻撃に向かわせるという策動だ。日本の支配階級は北進(ソ連戦)か南進(米英仏の植民地略奪)かが迫られた。日本は1939年ソ連に攻め込みノモンハンで精鋭といわれた関東軍が木っ端みじんにやられていた。とても歯が立たないことを思い知っていた。そして南進論の採用となった。
 米英仏は同じような働きかけをナチスドイツの側にもやって、ヒトラーの方はそれに乗ってソ連に侵攻し崩壊した。日本の支配階級の判断は、中国で負け、ソ連に負けたのでは、支配の権威は崩壊し、日本で革命が起きることへの恐怖である。事実独ソ戦をやったヨーロッパでは、東欧で一連の社会主義国が生まれた。
 A 日経新聞が近衛発言をあつかっていたが、「日米開戦のはじめから負けると思っていた」といっている。負けると分かっていた太平洋戦争になぜ突入したのかということだ。当時、海軍の山本五十六などは「太平洋戦争は1年しかもたない」と断言していた。日米開戦のもっと裏の目的は、「アメリカに降伏する格好に落ち着かないとたいへん」という打算が働いていたということではないか。当時の支配階級はアメリカの力量、国力なども知り尽くしていた。
 C 天皇や宮中グループは戦前からイギリス派だ。英国皇室との関係が深く、尊敬している関係だ。海軍などもイギリスの影響下だった。自分たちは英米派ということで、戦前からこれらの国との関係は密接にしていた。軍事的にも経済的にも依存関係があった。
 太平洋戦争は、開戦一年余りのミッドウェー海戦からガダルカナル島の陥落まで来たら敗戦は確定的となっていた。四四年のサイパン陥落で東条内閣は倒壊した。戦争指導部のなかでは降伏論があがった。しかし「もう少し戦果があがってから」といって戦争をつづけさせたのは天皇であった。
 サイパン、テニアン島陥落で本土空襲が可能になった。東京をはじめとする本土空襲、沖縄戦でさんざんに破壊され、広島、長崎の原爆まできて無条件降伏となった。戦死者はこの時期にもっとも悲惨なこととなった。南の島では、食糧も弾薬もなく取り残された兵隊が病気と餓死で死んでいた。そして武器も食糧も持たされず、潜水艦が待ちかまえるところに何千人が輸送船に乗せられ丸腰のまま殺されるのにまかせた。本土では鬼畜米英、本土決戦を叫ばせ、国民が殺されるのにまかせた。
 このような悲惨なことが、天皇を頭とする支配階級が、自分たちの地位を守るため、日本人民が天皇の戦争責任を迫り、アメリカの占領に抵抗するのを押しとどめるため、日本人民を足腰が立たぬほど打ちのめすためであったとしたら、立派に説明が付く。その後の経過はそのように進んだ。近衛は45年2月の天皇にたいする上奏文のなかで、「米英は国体の変革を求めていないが、恐るべきは人民の革命」といっているのだ。
 
 明け渡された日本 軍解体だけで支配構造温存し米国の下請に
 B 天皇は敗戦になるとサーッと平和主義者の格好をしてアメリカ占領軍についていった。戦争放棄を提唱したと宣伝されるが、武装解除は鉄砲が自分たちに向くことを回避するためだったというなら説明できる。アメリカも反乱はないと信頼しきっているから、マッカーサーが来日したのも45年の8月末だ。外国軍が占領するわけだから、通常はイラクのように抵抗があっておかしくない。それが天皇の側から武装解除したことによって、鉄砲弾一つ占領軍に撃ち込むこともなく国が明け渡された。
 A 福田主幹が講演で「アメリカはわずか10万程度の軍隊で日本を植民地支配している。満州だけでも日本軍は50万〜60万おいていた。これは考えないといけない」といっている。抵抗する日本を武力占領しようと思ったら、100万人の軍隊では足りない。沖縄を占領するのに米軍は50万人連れてきたぐらいだ。
 これができたのは、日本の支配階級がいかに売国的であるかを示すものだ。軍隊は解体させたが、独占資本集団、国家機構、各種政党、マスメディアなど、丸ごとアメリカ占領軍の下請け機構になった。それが60年たったいま、世界でも稀にみる従属国家になった要因だ。
  列強がアジアを植民地にしていくなかで、日本だけは明治維新によって徳川封建支配体制を打倒し独立を保っていた。高杉晋作が上海に行って、これではいけないと痛感し、徳川幕藩体制を打倒する革命をやった。それがアジアでは権威があった。ところがいまや逆転してしまって、日本はすっかり骨抜きになって、戦前に植民地だったアジア各国のほうが元気よく抵抗している。韓国のことを傀儡(かいらい)政権といっていたら、日本のほうがよっぽど傀儡政権だった。
 戦後のアメリカがやった日本資本主義の再編をはっきりしなければならない。それが現在をつくった基本構造だ。天皇制軍隊の解体、財閥解体、農地改革、労働改革など、いわゆる民主化といわれるものがなんだったのか。独占ブルジョアジー・支配階級は、戦後しばらくは首をすくめていたけれども、アメリカに従属して生き延び、すぐに息を吹き返した。
 
   泥沼となる米国支配 2極構造崩壊から現在
 司会 情勢を語るうえでつぎの大きなテーマが90年代の米ソ二極構造から現在までどうなってきたかということではないか。
 D 第2次大戦以後の世界では、社会主義国はソ連1国であったのが、東欧、中国、朝鮮、ベトナムなど一連の社会主義陣営が誕生して米ソ2極構造ができた。アメリカは資本主義世界では絶対的な力を持っていたが、その後ベトナム戦争敗退までいって、アメリカの戦後支配構造はガタガタになっていった。ドル危機から七一年金ドル交換停止、変動為替相場制への移行など相当の崩壊状況に陥った。そして七五年恐慌が襲う。
 アメリカはこの危機のなかでニクソンドクトリンを打ち出し、中国の抱き込みをはかった。ここで中国が裏切って、いわばベトナム人民がまさに勝利するというときに、ベトナム革命を売り飛ばしてアメリカに投降する道をすすんだ。世界の人民の反米斗争の拠点を放棄するわけだ。アメリカも弱体化するが、中国の裏切りにより世界の社会主義革命、民族解放革命も甚大な打撃を受けた。
 アメリカは、80年代にレーガン・サッチャーによる新自由主義の構造改革をやりはじめる。軍事とともに、情報、金融などの優位性をうち立てていく。自分の国は双子の赤字をふくらませながら、世界中の金をかき集めて、その金を運用して利ザヤを稼いでいく。
 B アメリカはベトナムの教訓から軍事力で社会主義をつぶすことはできないとみた。アメリカは、正面の軍事ではなく、経済的な実利をついて社会主義国を内乱でひっくり返せとなった。市場原理主義を武器にした社会主義攻撃をやっていく。70年代80年代の、中国の改革開放路線、ソ連のペレストロイカなどが対応している。市場経済導入で、社会主義国内部にブルジョアジー、投機分子をつくっていった。そこに米英仏などが自由・民主・人権のスローガンで内乱をしくんだ。アメリカにいった留学生などを先頭にして、アメリカのVOA放送などが大騒ぎをして天安門事件を引き起こした。それは戦争に匹敵するものだった。天安門事件で、あれはアメリカの謀略だと報道したのは本紙だけだった。その後の経過は正しかったことを示している。
  カーターの“人権外交”以来ソ連にたいしては平和共存でやりましょうとモーションをかけ、ポーランドやハンガリーなどには外資が入って、市場経済を浸透させた。89年になると政変を組織して、国家体制を転覆させるところまでいった。市場原理主義と、2大政党制による「民主主義の政治体制」を浸透させて、最後に反革命の政変を組織して、転覆するという動きになった。
 B 東欧、ソ連の崩壊まできて、アメリカをはじめとする西側は「社会主義の崩壊、資本主義の勝利」を叫んだ。しかしここまで来てはっきりしたことは、帝国主義の腐朽と衰退であり、資本主義の断末魔といってよい状況になった。
  社会主義が崩壊して91年には湾岸戦争をやり、アメリカの1極支配を誇示した。その後の世界はアメリカの1極支配で好き勝手のように見えたが、それが今ではすっかり行き詰まっている。軍事面ではテロ事件を口実にアフガン、イラク戦争を引き起こしたが泥沼に入るばかりだ。ベトナム戦争の二の舞いになりそうだ。経済では新自由主義で市場をこじ開けさせ、各国の国民経済を破壊するものだが、これが全世界的に破たんをしはじめている。テロ事件になる前から、各国の農業者などのWTO反対の国際的な斗争が盛り上がってきた。

   盛り上がる反米斗争 中東や中南米先頭に
 B 中南米の変化が大きい。アメリカの裏庭として、70年代からIMF体制が敷かれてきた。ところがブラジル、メキシコなど累積債務でむちゃくちゃになって、IMF反対斗争が70年代末から80年代初頭にかけて起こる。90年代には新自由主義を押しつけたが、10年もたたずに破たんした。99年にはベネズエラのチャベスが大統領として登場し、「アメリカに頼らないで南米共同体をつくろう」「ボリバル革命をやろう」と盛り上がっていく。ブラジルもウルグアイもアルゼンチンも呼応していく。キューバとも結んで南米共同体として中米にも影響を広げようとしており、アメリカの米州自由貿易圏に対抗しようとしている。これにアメリカは手が出ない。
  アジア諸国は通貨金融危機の影響が大きかった。97年にヘッジファンドにやられた苦い経験がある。それまでは経済成長が持ち上げられていた。それが一夜にしてひっくり返された。とりわけタイ、マレーシア、「韓国」、インドネシアなどは怒った。IMF管理でその後も市場原理主義でひどい目にあっているわけだが、反米世論が渦巻く要因になった。
 A 現在では、中国を中心に共同体的思考をもって進んでいる。少なくともアメリカにたいして抵抗している。だからこそアメリカはインドを抱きこんで中国を包囲しようと必死だが、インドも昔からソ連とアメリカのバランスの上でやってきただけに、いいなりにはならない。人口は10億をこえ国力もある。ハイテク技術は世界一。教育水準も高い。
 B 「韓国」もアジア全体と歩調を合わせて動いている。彼らの経済的利益からもそうなる。ミサイル問題でも日本と距離を置いているが、それはつまりアメリカとの距離でもある。中東・アラブ・イスラム圏は新自由主義への抵抗感が強い。
  新自由主義はいまや破たんしている。世界中が破たんしているなかで、最後に日本が追いかけている。だからアジアでも世界でも権威がない。原爆を投げつけられた国がなぜあれほどアメリカにくっついていくのかと。
 B 世界1極支配ということでやってきたが、それに対抗してEUが多極化を叫ぶようになっているし、ロシアも中国も主張している。背景にはアメリカがイラクで大失態を演じていることが影響している。たいした力を持っていないことが暴露されたわけだ。中央アジアではウズベキスタンから米軍基地が追い出され、キルギスだけは残したが、何十倍も基地使用料を上げられたりしている。
  イラク戦争を見てもアメリカの力は衰退している。90年代初頭に「2つの紛争地域で同時に戦える能力を備える」といっていた。しかし一つの紛争地域ですらめいっぱいだ。イラク戦争というのは、そういう意味で多くの人を目覚めさせた。
  沖縄戦に50万人、ベトナム戦争のときには、50万人の兵力を投入していた。そして負けた。イラクは13万人でアップアップだ。兵隊が集まらずに州兵まで動員して、大型ハリケーン・カトリーナがきたら国内はムチャクチャになった。それほど力を失っている。朝鮮戦争のときでも30万人は動員している。兵器ばかりはいくらでも新型にするが肝心の人間がいないのだ。
  アフガンも反抗をはじめて引き揚げたいのに増派せざるを得ない。NATOを使おうとするが機能しない。そういうガタつきのなかでハマスやヒズボラが元気になる。アメリカだけでは軍事的に対応しきれないから、イスラエルや日本を焚きつけて動員しているわけだ。東のイスラエルは日本という関係だ。あんな風に戦争をしかけていく国にしたいのだ。情けない話だ。
  日本のメディアは知らせないが、世界的に人民の反米斗争はひじょうに大きなものになっている。アメリカは歴史的に見ると弱体化しているから凶暴になっているのだ。
 
  裏切り者潮流が障害 米国の手先の姿暴露
 司会 こうした情勢のなかで、人民運動を破壊してきた修正主義裏切者潮流の問題だ。
 A ミサイル問題でも北朝鮮制裁を主張するのが「日共」修正主義集団だ。アメリカの手先の戦争協力者の姿が暴露されている。根がアメリカの占領歓迎、アメリカ型個人主義、民主主義の権化なのだ。
 B これも第2次大戦の評価とかかわっている。戦後日本共産党の中枢も、アメリカ占領軍を解放軍とみなす誤りを持っていた。1950年の朝鮮戦争が始まる時期に開始された原爆反対の斗争に反対した。これをずっと引っ張っている。親米だし、反人民なのだ。これは国際的な潮流であり、第2次大戦でソ連が反ファッショ統一戦線の戦術をとったが、ドイツナチスとたたかうとして米英仏を友とみなして屈服していった流れだ。ソ連のなかで、第2次大戦が接近するなかで、ソ連を守るために全世界のプロレタリアと人民は尽くせという形で民族利己主義が発生し、世界の革命をつぶし、アメリカに敗北していった。人民の力のある斗争をやるには、このインチキを取りのぞかなければならない。
  最近、50年代後半から60年代はじめに、CIAが自民党中枢と社会党右派つまり民社に資金提供していたことが公表された。60年「安保」を前後する時期だが、あの時期の労働運動の分裂は直接にアメリカの指図だった。60年代には、原水禁運動の分裂があったが、それがアメリカの指図であったことも明らかだ。
 A イデオロギー的な洗脳もすさまじかった。労働組合の幹部や学者などがアメリカに連れて行かれ、「アメリカ民主主義万歳」となっていった。

  社会主義が流れに 日本でも中南米でも
 C アメリカは「社会主義は崩壊した」といって資本主義万歳の新自由主義という。日本でも、医療とか福祉とかは切り捨て、教育も営利、大学も利益を出すかどうかで、社会的に保障すべきものを、「自己責任、自己負担」といって切って捨ててきた。
 A イラクのフセイン政権は、いろいろ問題はあったにせよ、教育・医療は無料制度にし、企業は国営企業で、一定の社会主義的な制度を導入していた。アメリカからしたら新自由主義、市場原理主義に対立するものとして、社会主義的なものが憎たらしくてやれない。
  ロシアではエリツィンが社会主義制度を打ち壊してしまったが、プーチンになってからは“強いソ連”への揺り戻しみたいな事態が起きている。ユコスという最大の石油会社の頭目を逮捕したほどだ。勝手に私的な利潤追求ばかりすることは許さない、とやった。成金の億万長者どもが制裁されていった。
 中南米を見ても、徹底した市場原理主義か社会主義かの相克だ。新自由主義が襲ってきたときには、天然ガスや石油などのエネルギー、水にいたるまでみな民営化され、多国籍企業が入ってきて支配する。その結果、人民生活がズタズタに破壊される。チャベスが出てきて、国有化に戻そうとする。まだ所有権まではとっていないが、そのかわり企業は金を出せ、とやっている。共同体所有として資源・石油、天然ガス、電力、鉄道を握り、共同体的な相互補完機能を構築していくとなっている。社会主義を志向しており、それがみんなを幸せにする道として支持されている。
  日本社会を見ても、株投機とか大企業とかが自由競争といって労働者や中小業者を締め上げたりするのがよくて、医療や福祉、教育といったものを社会化して無料にし、平等にするのが「社会主義的だから嫌だ」という勤労者はいない。日本社会においても、生産労働を尊重するかどうか、私的利益優先ではなく社会的な利益を優先するかどうか、すなわち資本主義か社会主義かが鋭い対立になっている。小泉は市場原理改革でアメリカの植民地のようにしたが、この日本でも大きな揺り戻しがくることは明らかだ。
 B 小泉などはアメリカ一辺倒で日本を売り飛ばす道しかないかのようにしているが、日本民族はそれほどバカではない。日本人民の敵はだれか友はだれか、第2次大戦と戦後社会がどのように進んできたかのなかからしっかり見据えて、大きな進路を見いださなければならない。日本人民の基本的な要求は、生活の擁護であり、民主主義と平和であるし、健全な民族的人民的文化の発展だ。それを実現するためには独立が最大の課題だ。

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