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岩国基地、県民の重大問題に
               厚木移転・軍港の大増大    2005年3月24日付

 山口県では米軍岩国基地の大増強が重大問題となって浮上している。アメリカが米軍再編をすすめ、小泉政府が日米安保協議委(2プラス2)の具体化の一つの目玉として、米海兵隊岩国基地(山口県)への厚木基地(神奈川県)移転を実行に移しているからである。「まだなにも決まっていない」と煙に巻きつつ、実際には昨年九月に空母艦載機の米海軍部隊12機(220人)を岩国基地に配備していたことが明らかとなった。岩国では、合計二八〇〇億円をこす「思いやり予算」を投じて基地沖合拡張工事をすすめてきたが、これは基地被害の軽減などというペテンで、滑走路を増設するだけではなく、空母接岸可能な大岸壁をつくり、軍港も兼ねた巨大基地にする計画であることが明らかになりつつある。隣接する広島県大黒神島で操業中の漁船が米軍の監視船から銃を突きつけられる事件があったが、岩国市民はもちろん、周辺海域の漁業や船舶の通行なども平穏ではありえない。しかも、徳山港にしろ下関港にしろテロ対策といってフェンスをはり、米軍がわがもの顔で地域全体を自由に使用することとも結びついている。
   
 基地周辺は住民監視態勢
 米軍岩国基地周辺では「厚木移転」や「米軍再編」の話が出るまえから「厚木から戦斗機が飛んでくる回数がふえた」「戦斗機がひんぱんに飛ぶようになった」などといわれ、緊張が高まっている。とくに9・11テロ事件以来米軍による市民への監視体制がエスカレート。いまは朝鮮、ベトナム戦争時でもなかった二四時間体制の厳戒態勢がとられている。
 米軍基地正門や各ゲートには車の進入を阻む防壁がつくられ、迷彩服、ヘルメット、防毒マスク、銃で武装した米兵が軍用犬を連れて検問。基地中央に一つしかなかった監視塔も2カ所(し尿処理場と川下漁民の船だまり近くに)増設。市の浄水場は監視カメラや照明灯が設置され、浄水場内では「毒が入ってもすぐわかる」と金魚まで飼っている。
 県営岩国港では米軍の弾薬輸送が滞らないため、フェンスをはって市民の出入りを規制。米軍基地周辺は自衛隊が警護訓練をやり、警察はパトカー、白バイ、二人組自転車、二人組徒歩の四種類の仕方で監視態勢をとっている。
 こうしたなかで、買い物帰りの主婦が突然4、5人の米兵にとり囲まれて買い物袋の中を調べられたり、今年1月にも広島の江田島沖(大黒神島付近)で漁をしていた漁民が突然米兵に銃を突きつけられる事件も起きた。米軍岩国基地周辺は陸上、海上にとどまらず武装米兵が自衛隊・警察を従えて、住民を監視抑圧する体制が「テロ対策」の名で進行している。
  
 既に米海軍も配備 沖合拡張や愛宕山開発も
 岩国基地沖合拡張工事は08年度完成予定をめざして急ピッチですすんでいる。魚介類の産卵の場だった藻場や干潟をつぶして基地面積を782f(現在571f)に拡張している。そこに長さ2440bの滑走路を増設し滑走路2本体制にする計画で、はじめから厚木基地の2438bの滑走路1本体制にかわる計画であった。
 さらに空母や強襲揚陸艦など大型艦艇が接岸できる国内最大の岸壁(水深13b、長さ360b、2009年に完成)建設をすすめている。航空基地とともに軍港にするもので、米軍の空母が接岸・配備できる態勢となる。米軍は「西太平洋配備の空母を2隻体制にする(現在は横須賀に1隻)」という米軍再編計画を持っており、もう1隻を岩国に配備することすら想定される状況となっている。
 他方、先に白紙撤回となった大黒神島(岩国沖合13`)のNLP基地建設問題も、昨年六月にはまき返しで「大黒神島基地誘致推進既成同盟会」が沖美町(現江田島市)につくられ誘致運動が再燃している。岩国への厚木基地の移転は、広島県、山口県内海を軍事優先海域にしようとしている。
 これまでも、97年には普天間飛行場(沖縄宜野湾市)のKC130空中給油機の受け入れを表明し、02年にはファルージャ攻撃に参加した大型ヘリCH53Dの部隊も移駐させ空母関連部隊を配備している。こうして岩国基地は、滑走路2本による2倍化だけでなく、軍港機能をあわせた数倍化の増強計画となっている。
 そして昨年9月には海兵隊が米本土の部隊と入れかわるさい、海兵隊でなく米海軍を岩国基地に配備していた。海兵隊のFA18ホーネット戦斗攻撃機中隊所属の12機と違い米海軍の同型機は空母艦載機である。それは厚木基地移転を先行して実施していたものである。
 さらに、山口県と岩国市は沖合埋め立ての土砂採取の跡地・愛宕山に102f、1500世帯分の宅地造成工事をしてきた。売れるメドはないものを強行してきたが、これは厚木移転にともなう米軍家族(1000人以上)住宅を狙ったものであったとすれば理解がいく。

 行動は容認姿勢の岩国市長
 こうした状況について井原岩国市長は、「基地の機能強化に反対」と口でいいながら「事実がわからないため県と連携し情報収集に努める」と行動は容認の姿勢。国の財政支援とひきかえに厚木基地を受け入れることを想定して、あいまいな態度に終始している。二井山口県知事は「地元の意向を尊重する」との「原発方式」の態度。そして山口県、岩国市、由宇町などが国に事実確認をし、「いかなる決定もおこなわれていない」との回答を引き出すパフォーマンスをやり、県民の追及をはぐらかす役割を担っている。
   
 日本に司令部集約 自衛隊指揮し戦争
 「在日米軍再編」で米側が要求している最大眼目は、米陸軍第一軍団司令部をキャンプ座間に移転し、第五空軍司令部をグアムの第13空軍司令部と統合する計画である。それは米軍の司令部機能を日本に集約し、米軍を指揮するだけでなく自衛隊を指揮することになる。
 キャンプ座間にはたんなる米陸軍第一軍団司令部(ワシントン)の移転ではなく、陸軍以外の軍隊も指揮できる新司令部UEXを配置する準備をすすめている。陸軍だけを指揮する従来の軍団司令部と違いUEXは小規模な陸上戦から、海軍、空軍、海兵隊との共同作戦などあらゆる戦斗を指揮する。この司令部が在日米軍司令部を担当し、さらに自衛隊の航空総隊司令部を横田基地に入れるなど米軍と自衛隊の一体化をすすめる。
 沖縄の米軍普天間飛行場移転問題も「痛みを分かちあう」といって本土への米軍基地移転・本土の沖縄化の道具としている。小泉政府内では普天間基地のヘリポート機能は嘉手納基地やキャンプ・ハンセン(沖縄県)に移転、空中給油機機能は岩国基地か航空自衛隊の築城基地(福岡県)、新田原基地(宮崎県)、海上自衛隊の鹿屋基地(鹿児島県)に移転、物資集積機能は台湾まで約300`しかない下地島(沖縄県)に移転させる準備を開始している。まさに中曽根がいった日本全土の「不沈空母」化をしようというのである。
 日米政府はこのような計画を「2プラス2」で具体化している。先月、日米政府が国会論議もせずに決めた「共通戦略目標」は、「中国の軍備増強」「北朝鮮の核」などの「脅威」を列記し、アジアで戦争をやる体制をとることを明確にした。世界最大の核保有国であり軍事国家であるアメリカが、みずからの核は放棄せず「核保有宣言をした北朝鮮にすきを与えない」「中国は軍事予算をふやし、台湾海峡の緊張を高めている」といい、「北朝鮮」と中国を「不安定要因」として名指している。
 かつて侵略戦争をやり、1000万人をこえる犠牲を与え、そのあげくにうち負かされた中国、朝鮮、アジアにたいして、今度はアメリカが指図をして、ふたたび侵略戦争をやらせようというのである。先の戦争で1000万人が徴用され、320万人が殺され、家も家財道具も焼き払われた、あの戦争の二の舞いをするという愚かな道へ引きずりこもうというのである。

 国内の搾取抑圧強化の延長
 小泉政府は新防衛大綱で「海外活動が本来任務」と明記し、「防衛」のたてまえであった「国民保護」もかなぐり捨て「最大重視は日米同盟」と変更。「自衛隊」といいながら「本土防衛」も「国民保護」もやらず「米軍防衛が本来任務」と変えた。こうしたなかで山口県全体の港にフェンスがはりめぐらされ、空港などでも厳重なチェックがおこなわれるようになった。米軍艦船が好き放題に民間港に入港する一方で、住民には地域を総動員したテロ対策訓練などがおこなわれている。
 いま日本政府が、北朝鮮の拉致問題に加えて、「韓国」とのあいだで竹島問題、中国とのあいだで尖閣諸島近辺の石油開発問題などで緊張をつくり、靖国神社問題などをあおって中国や朝鮮にたいする挑発をやっているのは、アメリカの戦略によるものである。
 対外的な侵略と戦争は、国内における搾取と抑圧の強まりの延長にほかならない。小泉政府はアメリカの要求である「構造改革」を叫んで、アメリカ資本に都合がいいように国内制度を変え、農漁業も製造業も破壊し、金融資本をはじめ外資による大企業の乗っ取りもすすめている。その最大眼目は、労働者の権利のはく奪と極限的な搾取であり、失業と半失業をふやし、就業労働者には妻子を養えない家畜のような労働状態を押しつけている。
 岩国基地増強と米軍再編、「安保」の再編成による戦争への動員は、労働者、農漁民、中小業者など各層人民の生活を破壊し、いっさいの民主主義を破壊する攻撃を基本としている。米軍岩国基地撤去の課題が、かつての戦争と戦後60年の体験に根ざして、長年おおいかぶさってきたさまざまなインチキ勢力の欺まんをふり払って、平和で豊かな社会の実現を願い、アジア各国民族との友好連帯を願う県民各層の世論を力に束ねる努力が強力に求められる情勢となっている。

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