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「自衛」どころか自爆の道
欺瞞に満ちた新安保法制
               正々堂々と目的のべよ     2015年5月27日付

 26日に安保関連法制の国会審議が始まった。5月の訪米で米議会に対して「夏までに成立させる」と安倍晋三が宣言してきたもので、自衛隊が米軍の下請軍隊になって地球規模で出動し、身代わりになって武力参戦に踏み込むものである。戦争に動員する法案を「平和安全法制」と名付け、武力参戦の道を「積極的平和主義」と叫ぶなど、口にすることとやろうとしていることが真反対で、欺瞞に満ちた手法によってデタラメな暴走劇をくり広げている。第2次大戦で320万人の国民が犠牲になり、その癒えない傷痕を胸に刻んで人人は戦後70〇年の歩みを重ねてきた。新安保法制は武力参戦を否定した戦後の枠組みを大きく変えるもので、より対米隷属の関係を深めて命まで差し出し、世界的に孤立していく道にほかならない。
 
 民族的利益投げ出す売国政治

 今度の安保法制は自衛隊の海外での武力行使を巡って、その地理的制約をとり払い、米軍の戦争の片棒を担いで武力参戦することを中心に据えている。有事に至らない場合でも、自衛隊が米軍や他国軍を支援するために出動できるよう自衛隊法を改正し、さらにいつでも派遣できるように恒久法を整備し、米軍や他国軍への弾薬の補給・輸送、戦闘機への給油なども可能にするものだ。
 イラク派兵で自衛隊が活動した時期に定めていた「非戦闘地域」のくくりをとり払い、「(その瞬間に)戦闘がおこなわれていない現場」へと拡大しようとしているほか、米軍に対してこれまで認められなかった武器弾薬も供給できるようにしようとしている。前線だけが孤立したのでは戦闘など成り立たず、戦地では常に食料・武器の供給が欠かせない。そのため、自衛隊が米軍を前線まで運んだり、攻撃のための弾薬類を運ぶ「後方支援」を担うというものだ。相手国からすると、みずからの領土や領海に侵入して攻撃を加えるのが米軍で、その手助けをして攻撃を支える自衛隊も仲間と見なすのは当然で、「後方支援」云々のくくりなど何の意味もない。糧道を断つために攻撃が加えられるのは避けられない。
 20日の党首討論のなかで安倍晋三は、「武力行使を目的として海外の領土や領海に入っていくことは許されない」と詭弁を弄しながら、しかし機雷除去は新三要件に合致すれば例外とする考えを示した。機雷除去が現実問題になっているのはペルシャ湾以外にはなく、かねてから米国が自衛隊の派遣を迫ってきたものだ。イラン側から見ると米艦などの侵入を防ぐため自国防衛の意味で機雷を設置するわけで、それをとり除いて米艦に制海権を握らせる行為はたちまち敵対行動と見なされることは疑いない。
 さらに国会審議が始まろうかという25日には、中東・ペルシャ湾での機雷除去に加えて、敵基地攻撃も可能とする見解を示した。「誘導弾などの基地をたたくことは、法律的には自衛の範囲に含まれ、可能という国会答弁がある」「敵基地攻撃については、新三要件の中でも方針は変わらない」(菅官房長官)という主張で、「後方支援」どころか敵基地への直接の武力攻撃を想定している。戦闘においてどちらが先に仕掛けたか否かなど関係ないことは、柳条湖事件を契機にして日中戦争に突っ込んでいったかつての経験を見ても歴然としている。一発の銃弾によって泥沼の戦闘に引きずり込まれていくことは明らかで、そのために武力行使を可能にするというのが新安保法制に貫かれている明確な目的である。

 邦人の命危険にさらす

 こうした事態を動かすにあたって、安倍政府の国会答弁や主張がペテンに満ちたもので、脳味噌の回路を疑うような大嘘を平然と口にし、デタラメな国会審議をくり広げている。自衛隊員のリスクについて問われれば、「私たちは合理的な整理をし直したということであって、リスクとは関わりはない」(安倍晋三)「今後の法整備により、隊員のリスクが増大することはない」(中谷防衛相)といい、むしろ安保法制によって国民の生命が守られ、抑止力が高まるのだと詭弁を弄す。そして、自衛隊が活動している場所で戦闘が起きそうになれば、活動をやめて撤収するといい、「ただちに撤収するから巻き込まれ論はありえない」「米国の戦争に巻き込まれるという批判は的外れ」(安倍晋三)などと主張している。
 「戦争」と「平和」という真反対の言葉を入れ替え、「平和安全法制」なのだと主張し、自衛隊が地球の裏側まで出ていって、米軍の軍事作戦に加わることを「積極的平和主義」といい、何もかもが180度ひっくり返っているのである。終いには、あれほど「戦後レジームからの脱却」を叫んできた者がポツダム宣言について「私はつまびらかに読んでおりません」とのべて人人を驚かせた。まともな為政者ならできないことを背後の米国や米日独占資本が安倍晋三を代理人にしてやらせていること、無知だからこそ突っ込める暴走であることを示した。
 戦後レジームの根幹は対米従属であり、より隷属関係を深めることを「戦後レジームからの脱却」と叫んでいるのもペテンである。その実際行動は、武力参戦を否定してきた戦後の国是を覆し、アメリカの国益のために武力参戦するものにほかならない。現憲法が米国に押しつけられたものであるから「自主憲法」を制定するのだというのも、次なる憲法はよりアメリカの要求をとり入れて軍事行動を可能にするというのだから、これも「自主憲法」など大嘘である。そして訪米すると日米軍事同盟の強化やTPPの推進などを約束して、大喜びで英語で演説してくるのである。戦前回帰をもくろむナショナリストなどではなく、より対米従属を深化させる親米派、売国派であることを暴露している。
 新安保法制は「日本人を守る」どころか、むしろ世界各地の紛争に米軍になりかわって首を突っ込み、日本列島が標的になる危険性を高める。イスラム国の日本人人質事件では、本来標的にならなくてよかった者が標的になり、首相の中東での振舞が引き金になって邦人が首をはねられた。中東地域ではその後も邦人が足を運べない状況がつくられ、邦人の生命を危険にさらしている。「テロに屈しない!」以前に、もともと標的にならなくてもよいのにアメリカやイスラエルに肩入れしたおかげで邦人が標的にさらされる状況をつくった。
 同じように、今後世界で「米国の敵は日本の敵」といった調子で武力参戦し、戦闘の矢面に立たされるなら、自衛隊員の生命はいくつあっても足りない。危険にさらされるのは海外の戦闘地域に連れていかれる自衛隊だけでなく、恨みを買って日本列島を標的にする危険性も呼び込む。南沙諸島における米中の覇権争いに日本を動員し、中国と軍事的に対峙させたいのも米軍で、対日要望書である『アーミテージ・レポート』などで具体的に明記してきた。仮に武力衝突がエスカレートすれば、標的にされるのは沖縄や日本国内の米軍基地である。アジア近隣諸国と平等互恵の関係を築いていく道を投げ捨てて、どこまでもアメリカに利用されて邦人の生命を危険にさらす道にほかならない。

 独立平和の全国行動を

 第2次大戦後に世界各地で戦争をしかけ、侵略に次ぐ侵略をくり返してきたのが米国で、その尻にくっついて武力参戦することは「自衛」ではなく、自爆である。アメリカが原爆を投げつけ、沖縄戦や全国空襲によって幾多の生命を奪い、戦後70年にわたって日本を単独占領してきたのは、「日本を守る」ためではなく侵略支配し、アジアで覇権を打ち立てる盾にするためだったことは戦後の全歴史が教えている。「不沈空母」どころか、いまや地球のどこへでも駆り出していくのが集団的自衛権行使であり経済的な利潤だけでなく生命までも差し出させようとしている。
 リーマン・ショックまできてアメリカの衰退は隠せず、世界で市場争奪や覇権争奪はますます激しいものとなっている。このなかで、資金もないが兵力も動員できないのがアメリカで、日本を身代わりとして戦争に動員することを求めている。日本の独占資本も国内の工場を閉鎖して海外に移転し、国内で貧困と失業を深刻なものにしながら、海外権益で生き延びようとしている。この海外権益を守るために、独占資本みずからの死活的利害をかけて軍事力の動員を求めている。こうした米日独占資本の手先になって、ペテンをくり返しながら暴走しているのが安倍政府である。しかし、「米国の国益のために死んでこい!」と正々堂々とのべる度胸などない。日本人の生命を危険にさらし、その責任を負うような覚悟などなく、内心は国民世論の猛烈な反発を恐れながら姑息に改憲を先送りし、大嘘を並べて目先の強行突破をはかっている。
 武力参戦の道に踏み込むこととセットで、この間、国内においては民主主義の破壊が顕著なものとなり、聞く耳なしの政治で支持率17%の安倍政府が突っ走り、東日本大震災以後の原発再稼働、TPPを強行し、沖縄の辺野古移転についても一切聞く耳を持たずにみなアメリカの意向を貫いてきた。
 アメリカのためには国民の生命や安全など民族的利益をみな投げ捨てていくことに対して、独立、民主、平和、繁栄を求める全国的な世論と行動を強め、欺瞞を引きはがして日本社会の命運をかけた斗争に挑んでいくことが切迫した課題となっている。

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