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持久縄跳びも全員達成
上宇部小6年生
             「皆の為」で頑張る団結の力   2012年3月19日付
 
 「何事も学年全員ができるようになる」という目標を、教師集団の結束した指導のもとにとことん追求してきた宇部市立上宇部小学校の115人の6年生。1学期には鉄棒の逆上がりや水泳の25b、2学期の運動会での倒立や55人でつくる七段ピラミッド、音楽祭のとりくみ、3学期には縄跳びの七分間持久跳びを見事に全員が達成させて卒業式を迎えた。体育を中心に知育や徳育の各面で成長し、苦手なことから逃げ出さずに頑張り抜く精神力や「みんなのために」と仲間と団結する力を培ってきた子どもたちの堂堂とした姿に、父母たちは心から喜び、この教育方向に対する絶大な支持と感動が寄せられている。
 
 生活態度変え勉強にも意欲

 2学期の運動会や音楽祭を終え、上宇部小の伝統行事である縄跳び大会に向けて、6年生は11月28日から縄跳びの持久跳びの練習を始めた。「学年+1分間」縄跳びを跳び続ける持久跳びは、1年生であれば2分間、6年生であれば7分間の縄跳びをひっかからずに跳び続けるもの。
 6年生を担任する4人の教師たちは、鉄棒の逆上がりや水泳、運動会のとりくみなどを通じて「けっしてあきらめない」「努力は必ずむくわれる」ということを身体を張って教えてきた。また子どもたちのなかでは、得意な子はできない子を助け、「全員達成」という大きな目標に向かって一丸となって頑張る力をつけてきた。しかし持久縄跳びの全員達成という目標は、鉄棒の逆上がりとは違う難しさがある。持久力と身体のバランスや跳躍力、それに跳び続ける気力が問われるため、教師たちは全員達成の目標は容易ではないと見ていた。
 毎日の朝練や、中休み、昼休み、放課後と練習が始まるなかで12月末までに86人が達成。2月の終わりであと2人となった。1人はなかなか4分の壁がこえられず、もう1人は1分、2分でひっかかってしまう。教師たちもこの子たちをどのようにして達成させるか悩んだ。他の子どもたちは毎回応援に出てくる。体格が大きく、苦手なことから逃げる傾向があった2人の子どもたちに「努力すればできるんだ」「この壁をこえることはこの子たちにとっていい経験になる」と、教師たちはもう一度構え直して叱咤激励し続けた。何度も何度も跳ぶなかで、跳び方は上達し時間も延びていったが、達成はなかなか難しい。しかしついに3月8日、最後の男の子が目標を達成した。その瞬間、子どもたちみんなが一斉に駆け寄って抱き合う姿に教師たちは涙したという。
 全員が達成するまで最後まで励まし指導し続ける教師と、それに応えてあきらめずに立ちむかう子どものあいだに固い絆が結ばれている。最後に目標を達成できた子どもの母親は、「この持久跳びがなかったら自分の子どもは1生縄跳びが跳べないままだったと思う。上宇部小でよかった」と喜び、教師の熱い指導に謝辞を語っていたという。
 女性教師は、「私のクラスに5年生のとき跳べなかった子がいたが、今年は跳べるようになった。その子がもっと高い目標をかかげて練習に励んでいる姿を見て、子どもというのはできなかったことができるようになると大きな自信になって、より高いものを目指そうとする。すばらしい力を持っていると思った」と感動的に語った。
 またクラス全員による八の字跳びもドラマの連続だった。3分間に300回をこえることを目標に、得意な子が苦手な子の背中を押して助け、手に豆をつくりながら縄を回し続ける子など、クラス全員が一丸となってとりくんだ。なかなか記録が伸びずクラスの空気がどんよりしたときには、どうしたら跳べるか話し合ったり、全員で円陣を組むことで気合いを入れて意志統一した。子ども同士で切磋琢磨しながら苦労や葛藤を乗り越え、縄跳び大会の当日を迎えた。
 八の字跳びのラストスパートでは、少しでも数多く跳ぼうと回す方も跳ぶ方もどんどんスピードアップし、息がぴったりと合っていた。参観していた親たちも手に汗握って見守った。子どもたちの心が一つになり、体育館にはどのクラスも一丸となって数を数える声が響き、2階席からは父母の声援が飛びかうという感動の縄跳び大会となった。

 働く者の後継ぎ育てる 大目標で一致し教育

 6年生を担任した女性教師は、当初は子ども同士のケンカや女子特有の陰湿な人間関係が色濃かった様子をふり返った。それが1学期の鉄棒実践、運動会の組み体操や応援のとりくみ、また心を合わせた音楽祭などを「みんなのために頑張る」「最後まであきらめない」「全員で目標を達成する」という目標で団結してやりきることで、この1年間で子どもたちの体力、精神力、人間関係が激変したことを誇らしげに語っている。そして子どもの成長を通じて親同士、教師と親の信頼関係が強いものになっていったという。
 別の教師は「今“人間関係づくり”とかさまざまにいわれるが、このとりくみをすれば子どもが育つ」と確信を持っている。体育を中心にした一年間の実践を通して、子どもたちは自分の生活習慣を変え、勉強への意欲も増すなど、相乗効果となってあらわれた。
 六年生の四人の担任教師たちは一年間子どもたちにいい続けてきたことがある。「一生懸命がんばる子がヒーローだ」「できないことは恥ずかしいことではない」「みんなのことを考えろ」。さまざまな問題にぶつかるたびによいことはほめ、悪いことはしかり、成長をともに喜んだりと、4人で6年生全員を育てていくことを重視した。
 そして「大人になって社会に出たときに、働く者の後継ぎになれる子ども、みんなのために頑張れる素質をもった子どもを育てる」という大目標で一致して教育してきた。
 上宇部小学校では、鉄棒でも縄跳びでも、子どもを放課後に残してでもできるまで鍛えようという雰囲気ができている。「教師全体でフォローする。教師全体に子どもを鍛えていこうという空気」があり、教師集団の固い結束が子どもの成長にとってひじょうに重要であると語られている。クラスで生徒指導上の問題が起こったときも、一人で抱えこまず教師集団が助け合い解決するという雰囲気がつくられており、「子どものために一枚岩になる」教師集団の結束に誇りが語られている。
 17日におこなわれた卒業式では、精神力はもちろん1年間で腹筋、背筋も鍛えられた子どもたちの凛とした立ち姿が見られた。6年生全員による「巣立ちの言葉」で、彼らは次のようにふり返っている。「手に豆ができても成功するまで何度も練習した鉄棒逆上がり」「たがいの力を出しあい信じてみんなで成功させた55人ピラミッド」「みんなと心を一つにして納得のいく音色を奏でた音楽祭」「115名全員達成しみんなで喜び合った7分間持久跳び」「クラスの心が一つになった八の字跳び」「くじけそうになったとき、いつも励ましてくれた仲間。うれしいとき一緒に喜び合った仲間、一人ではできないこともみんながいたからやり遂げられた。みんなと一緒に感じたあの感動、達成感、今でも忘れません」。
 上宇部小学校でとりくまれてきた教育実践は、「子どもを鍛えてはいけない」「頑張らないのも個性だ」と、教師の指導性を否定し教育を崩壊させてきたここ20年来の文科省の教育改革をうち破り、子どもたちをめざましく成長させている。個人バラバラの個別競争教育に対置する集団主義教育として、山口県内をはじめ全国的に注目され、展望を与えるものとなっている。
 
 縄跳び大会の父母の感想

 ▼素晴らしい縄飛び大会をありがとうございました。毎朝運動場で練習している姿を見ていましたが、まさに雨が降ろうが雪が降ろうが、みんなあたりまえのように集まって練習していました。なかには運動が苦手な子もいたでしょうが、仲間の応援があるおかげなのか、みんな頑張っている姿はとてもすてきでした。ここまで子どもたちを盛り上げて下さった先生方には本当に感謝いたします。また最後の合唱も本当に美しい声が出ていて感動しました。入学したころは小さくてわんぱくだった子どもたちがこんなに大きく成長したのだと思うと嬉しいような寂しいような。卒業式がとても楽しみです。
 ▼小学校最後の縄跳び大会…7分間の持久跳びは、文字通り手に汗握って見守っていました。「がんばれ! がんばれ!」心の中で必死に呼びかけた言葉が、いつしか実際の声となってあらわれ、気がつくと隣のお母様も「がんばれ、あとちょっと!」と声に出していらっしゃいました。一分跳ぶのもきついのに、七分間も……本当にすごいです。たとえ、ひっかかっても、ずっとみんな跳んでいましたよね。胸がジーンとしてしまいました。がんばる姿……美しかったです。
 長縄跳びは、まさしく感動でした! 最初の円陣も、他のクラスのお母様方が「うわ、かっこいい!」とおっしゃるくらい…。腕が痛いだろうに、一生懸命縄を大きく回す2人、友だちの背中を絶妙なタイミングで押し出しサポートする子、だれかがひっかかってもいやな顔ひとつせず、すぐに気をとり直し復活させるみんなの力、ストップウオッチを片手に全身で数をカウントされる先生…どれをとっても、胸の熱くなる光景でした。なかでも本当に素晴らしいと思ったのは、ラスト20秒! だれもが「1回でも多く跳ぶぞ!」という、この上なくいい表情で、気合いがみなぎっていました。ものすごい早いテンポで跳んでいましたよね。最後ジャンプしながら喜ぶ先生と子どもたちに、体育館に差し込む光が反射して、とてもキラキラ輝いていたのが印象的でした。歌の発表も素晴らしく、案の定涙・涙でした。
 ▼1年生から毎年頑張った縄跳び大会は、その学年での子どもたちの大きな成長を感じさせてもらいました。毎日、練習に励んだ成果のたまものではないでしょうか。失敗しても仲間を応援し、再度チャレンジする姿は素晴らしく思いました。八の字跳びはテレビでしか観たことがなく、実際に子どもたちが跳んでいる姿を観ると“あっぱれ!”という感じでチームワークのプレーで最高でした。たくさんの感動をありがとうございました。先生方には、本当に愛のある教育、ご指導をいただき、子どもたちが心も身体も大きく成長することができました。また、中学生になっても活躍してくれることと思います。
 ▼5年生、6年生と日増しに成長を遂げる子どもたちを見てとにかく一言でいうなればブラボー!!縄跳び大会もさることながら、ここ2年間の子どもたちの経過は、目を見張るばかりでやはり日日の努力の賜物ですね。2年まえはできなかったことも、着着とこなせるようになった子どもたち。生まれてまだ12年これだけ物事ができるようになったなんて…。40年近く生きてきた親の私たちでさえ、できないことが山ほどあるというのに、年だからと諦めてはいけませんね。幾年になっても子どもと一緒に努力ですね。上宇部で培った努力→達成→感動をこれからも忘れず、個個の成長につなげてくれればなと思いました。世界一すばらしい上宇部6年生でした。感動です。心の揺れ動く多感な時期の子どもたちの心を一つにさせ、よくぞここまでと思う気持ちでいっぱいです。先生方の一言一言が子どもたちが壁にぶつかったとき、きっと力になってくれるのでは? と思いました。
 親の一言より、恩師の一言とはよくいったものだと思えることがしばしば。それほど幼少期、青年期の記憶はすごいものです。そんな時期に先生方と出会えた子どもたちはなんてラッキーだろうと…。子どもの努力もさることながら、その努力を支える先生方のご尽力はいかばかりかと思うと、とてもありがたく、また尊いものだと感じました。わが子同様ここまで愛おしみ育んでくださいましたこと、心よりお礼申しあげます。感動をありがとうございました。

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