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  籠池吊るしだけでは片手落ち 
森友学園問題 証人喚問
国有地払い下げの主犯誰か
                        2017年3月24日付

 いつも出てくる安倍昭恵

 
衆・参予算委員会で23日、国有地払い下げ疑惑の当事者である学校法人森友学園の籠池泰典(本名・康博)理事長の証人喚問がおこなわれた。不可解な国有地の払い下げについて首相夫人や政治家の関与の疑いが高まり、全国的な大注目のなかで籠池理事長本人が国会での証言を申し出て、偽証罪に問われる縛りをかけた証人喚問となった。喚問では、タダ同然の国有地払い下げという動かぬ事実を前にして、各党の利害が絡んだ質問がくり広げられたが、これまで「交渉記録もない」「記憶もない」で逃げ続け、関係者の国会招致を拒み続けてきた安倍政府の答弁とは大幅に食い違う事実が明らかになった。真相解明のためには籠池1人の招致だけでなく、迫田前理財局長、松井一郎大阪府知事、安倍昭恵首相夫人など関係する当事者の証言聴取なしには検証しようがない。責任のなすり付けあいは今後、各省庁、大阪府、私学審議会にまで波及する様相となっている。証人喚問の証言から明らかになった事実関係の要点をまとめた。

 登場人物をみな証人喚問せよ

 午前10時から始まった参議院予算委員会での証人喚問で、冒頭、籠池理事長は要旨以下のようにのべた。
 「教育者としての私の思いについて、安倍首相や昭恵夫人、大阪府議会の先生方をはじめ、多くの関係者の皆さんにご理解をいただいていた。だが、これまで応援してくれていたと思っていた方方がてのひらを返すように離れていくのを目の当たりにして、どうしてこうなってしまったか? という思いがある」
 「新設小学校の名前については、以前から私の教育理念に共感していただいている安倍首相に敬意を表したいと思い、当初は“安倍晋三記念小学校”とするつもりだった。昭恵夫人に相談し、理解をいただいたと思っていたが後日、昭恵夫人から“首相の名を使うことは遠慮してほしい”との申し出があったので瑞穂の國記念小學院へと変更した。昭恵夫人に名誉校長に就任してもらった平成27年9月5日の講演のさい、控え室としていた園長室で、私と対面したとき、同行していたお付きの方に席を外すようにいわれた後、私と2人きりの状態で“1人にさせてすみません、どうぞ安倍晋三からです”といって寄付金として封筒に入った100万円をくださった。昭恵夫人は“まったく覚えていない”といわれるが、私たちには大変名誉な話なので鮮明に覚えている」
 「土地の取引については、小学校建設用地である豊中の国有地の存在については、不動産屋から紹介を受け、これはすばらしい場所だと思い、小学校のために土地を確保したいと思った。国有地ということで平成27年5月29日に定期借地契約を締結した。その年の買い上げの条件として10年だったものをもっと長い期間へ変更できないかとの思いから、私たちの教育理念に賛同している昭恵夫人に助けてもらおうと考え、昭恵夫人の携帯に電話をした。平成27年10月のことだ。留守電だったのでメッセージを残した。すると後日、内閣総理大臣夫人付の谷査恵子さんという方から連絡をもらった」
 「この問題が国会で議論されるようになってから、妻のところに昭恵夫人から“ご夫妻が今大変なことは想像つきますが、主人(安倍首相)にとっても大変なことに巻き込まれたということも理解いただきたい”とか、“私がかかわったということは、裏でなにかがあるのではと疑われないように”という口止めともとれるメールが届いた。あんなに私たちの学校の開校を楽しみにしてくれていて、“考え方に非常に共鳴している”とか、“森友学園の先生の教育に対する熱意はすばらしいということを聞いている”と総理もいわれていたのに、どうしてなのか割り切れない。私だけにトカゲの尻尾切りで罪を被せようというのではなく、その他の関係の方方を国会に呼んで事実関係を聞いていただき、真相究明を進めていただきたい」。これを受けて証人喚問が始まった。

首相から100万円の寄付  関与した政治家名も

 参議院での質問者は、自民党(35分)では山本一太(予算委員長)、西田昌司、民進党(28分)の福山哲郎、公明党(15分)の竹谷とし子、「日共」(10分)の小池晃、「維新」(8分)の浅田均、希望の会(5分)の山本太郎、無所属ク(5分)の松沢成文。衆議院では、自民党(35分)が浜田靖一(予算委員長)、葉梨康弘、公明党(25分)が富田茂之、民進党(38分)が枝野幸男、「日共」(12分)が宮本岳志、「維新」(10分)は下地幹郎だった。
 質疑のなかで籠池氏は、昭恵夫人から寄付100万円を受けとったときの状況について「講演会前のひとときの間に園長室で話をしたさい、昭恵夫人の方から封筒を鞄の中から出して、“どうぞ”ということでいただいた。金子が入っていた。“これはいいんでしょうか?”というと、“安倍晋三からです”といわれた」「その日は土曜日だったので中身を確認し、100万円であることを確認して金庫へ入れた。月曜日に郵便局へ職員が持って行き」、当初は振り込み用紙の振り込み人欄に職員が「安倍晋三」と書き込んでいたが、会計士から忠告を受けて「森友学園」と書き換えた経緯など、詳細にわたって証言した。その振込用紙はすでに学園側がネット上で公開しており、郵便局長の訂正印が押された修正テープの下に「安倍晋三」の文字が記されている。
 さらに、「講演料として10万円を先に準備しており、“感謝”と書いたお菓子箱と一緒に(昭恵夫人が)持ち帰った」ことや、安倍首相からの寄付については「帰られて5、6分後に昭恵夫人から電話があり、寄付については“黙っていて”といわれた」ので、「内閣総理大臣であるご主人からということでは問題があるのではなかろうかと推察」し、これまで伏せていたことも明かした。
 「安倍晋三先生には敬愛以上のものをもっていた」が、2月8日に国有地の売却額の公開を求める提訴が起き、財務局や国の方向性や推移を見ていたものの、2月23日の国会で安倍首相が「籠池さんはしつこい人だ」いわれ、「てのひらを返すように、この学校潰しになってきた」ことから、「何が動いているのか」「事実関係を解明しないといけない」と思うに至り、首相から寄付を受けた事実を公表するに至ったとのべた。
 これまで安倍首相は「これだけ多額の寄付を私自身がおこなうことはあり得ない」「妻にも確認をとったが、領収書などの記録もなく、寄付はおこなっていない」と断言しており、大きく食い違っている。
 テレビ等で一部の評論家が語っている「講演料として渡そうとしていた100万円の受けとりを固辞されて、寄付金にしたのではないか?」という推論については、「事実は小説よりも奇なりです」と一蹴した。
 さらに、政治家の関与として、「こんにゃく(100万円)」を渡されそうになって断ったと自供した鴻池祥肇元防災相のほかに、「維新の会」を立ち上げるさいの府議会議長であった畠成章大阪府議会議員(故人・自民党)には松井一郎知事の実父とも昵懇であったことから府行政への働きかけをしてもらい、大阪選挙区の東徹参議院議員(日本維新の会総務会長)、柳本卓治参議院議員(自民党)、北川一成元国交副大臣(自民党)などにも設置認可や土地の取得にかかわる口利きを依頼したと明かした。
 また、「顧問弁護士になったことはなく、相談を受けたこともない」「10年前に関係を断った」と主張する稲田防衛大臣については、当初から夫婦ともに顧問弁護士であり、今回の国有地売買問題についても「昨年1月に夫の稲田龍二事務所に相談に行った」旧知の間柄であるとのべた。
 安倍首相夫人から100万円を渡されてからまるで「神風」のようなスピード感で開校に向けた動きが進んできたが、2月8日からの急転直下で、このままでは「17、8億円」もの負債を抱える絶望的な立場になったことも明かし、「設置認可適当で進んでいたものが、途中でひっくり返るのは、行政当局の指示があり、トップのサジェスチョン(示唆)が」あったからだとのべ、「はしごを外した」認可権者である松井大阪府知事については、「担当者を処分しただけで済まされるのだろうか?」とその責任に言及した。

昭恵氏秘書からFAX  財務省への働きかけ

 喚問のなかで、新たに明らかになった事実は、安倍昭恵氏のかかわりが相当に深かったことだ。安倍・籠池夫人の間では、「2月中は22回ほど。3月は15、6回」ほど携帯メールでやりとりをするなど、ひん繁に連絡をとりあう昵懇の間柄であることも明らかになった。
 籠池氏は、2015(平成27)年11月15日に首相夫人付秘書である谷査恵子氏(経済産業省から内閣官房総務官室に出向)から受けとったFAX文書を提示し、読み上げた。内容は、籠池氏が昭恵夫人に相談した国有地の借地契約に関する要望への回答。昭恵夫人はこのときすでに新設小学校の名誉校長(同年9月5日に就任)になっており、それにかわって公務員である秘書が回答していたことになる。
 文書には、「先日は、小学校敷地に関する国有地の売買予約定期借地契約に関して、資料を頂戴し、誠にありがとうございました。時間がかかってしまい申し訳ございませんが、財務省本省に問い合わせ、国有財産審理室長から回答を得ました。大変恐縮ながら、国側の事情もあり、現状ではご希望に沿うことはできないようでございますが、引き続き、当方としても見守ってまいりたいと思いますので、何かございましたらご教示ください。なお、本件は昭恵夫人にもすでに報告させていただいております」と記され、「内閣総理大臣夫人付 谷査恵子」の署名とともに携帯番号とメールアドレスが明記されている。
 さらに2枚目には、「先日頂戴しました資料を基に、財務省国有財産審理室長の田村嘉啓氏に問い合わせを行い、以下の通り回答を得ました」とし、①10年定借(定期借地)の是非、②50年定借への変更の可能性、③土壌汚染や埋設物の撤去期間に関する資料の扱いなど、籠池氏が要望した各項目ごとに財務省から得た回答を列記。「④工事費の立て替え払いの予算化について」は、「一般的には工事終了時に精算払いが基本であるが、学校法人森友学園と国土交通省航空局との調整にあたり、“予算措置が付き次第、返金する”旨の了解であったと承知している。平成27年度の予算での措置ができなかったため、28年度での予算措置をおこなう方向で調整中」と記されている。
 この要望内容は、籠池氏が国有地の借地契約の期間を延ばしてもらうために昭恵夫人へ電話をしたが、海外出張に出ているため繋がらず留守電に入れたところ、「地元秘書の谷氏」から直接送られてきたものだという。「28年度の予算措置を調整中」と回答した工事費の立て替え払いは、年度替わりの4月早々に支払われていた。
 籠池氏は、「直接昭恵さんにご連絡をすることもあったが、谷さんともやりとりしていた」と明かしており、「昭恵夫人は政治的」な存在であり「財務省に多少の働きかけをかけていただいた」とも語った。
 これを受けて安倍首相側は、FAX文書は「ゼロ回答」の内容であり、「口利きはなかったことを裏付けている」(菅官房長官)と主張しているが、これまで安倍首相が「私や妻が関係していたことになれば首相も国会議員も辞める」とまでいって全面否定してきた「国有地払い下げへの関与」そのものにほかならない。さらに、閣議決定までして「首相夫人は私人」と政府見解を統一したが、実際に夫人にかわって「要望の国への伝達」をしていたのは首相夫人付きの公務員であり、一連の動きは名実ともに「公人」としての行動であることも明らかになった。
 ここからまさに「神風が吹いた」(籠池氏)かのように、翌年3月14日には土地代の8億1900万円の値引き算定がおこなわれて土地代がタダ同然になり、6月20日には定期借地から売却へと変わり、残りの土地代1億3400万円も、頭金2787万円を収めた後は金利1%の10年分割払い(毎年1100万円程度)にする便宜が図られるなど、各省庁をまたいでトントン拍子にことが動いていった事実は、背景に大きな政治的な力が働いていなければ説明は付かない。提示された事実は、これまでの安倍首相夫妻の見解とまったく食い違っており、昭恵氏自身を国会招致して証言を聴取しなければことの真偽は解明できない。

全貌解明へ注目集まる いまだ諸関係は不明

 また、籠池氏は、国有地売買にかかわる一切の交渉を、校舎の建設工事を施工していた中道組から紹介を受けた酒井康夫弁護士(建築が専門)に一任し、8億円の値引きについても同氏より報告を受けただけで、その理由についても把握していないとのべた。
 この酒井弁護士から「このままでは私学審議会の認可が下りない」「申請をとり下げた方がよろしい」とアドバイスを受け、3月10日に大阪府への設置認可申請をとり下げたが、「それによって大阪府に対する賠償請求もできなくなり、土地は国へ返却する」流れになったことについて「これが公権力によるものなのかわからない」と不信感をあらわにした。
 また、財務省理財局の嶋田課長補佐から「10日間身を隠してくれ」という要望も酒井弁護士を通じて伝えられ、「(それに従って)沈黙していたら、籠池個人へのレッテルが流れ、それまでは“(認可申請を)通しましょう”といっていた大阪府も“なかなか難しい”となってきた。大阪府の課長が同席した実地視察でも、家内が(携帯電話の)写真をかざした、かざしてないなど暴言が出てきた。公権力が人権的な圧力をかけてきた」と一気に「籠池切り」が強まった経緯を語り、申請とり下げた直後に酒井弁護士は「(籠池氏が)マスコミによく出るから」「よく取材を受けるから」という理由で代理人を突然辞任して雲隠れしていることに疑念をあらわした。
 酒井弁護士は、辞任した後に「財務局から“身を隠してくれ”という連絡を受けた事実はない」と籠池氏とは真逆の発言をするなど、守秘義務を負う弁護士としては常軌を逸した不可解な行動をとっていること、土地払い下げにおける8億円値引き交渉に直接かかわりながら、ブラックボックスを抱えたまま辞任した酒井弁護士の証人喚問も必須であることを浮き彫りにした。
 自民党や公明党議員の質問は、森友学園側が補助金申請時に3種類の工事請負契約書をつくって工事金額を水増ししていたことや、財源も土地もないのに学校の認可申請をしていたデタラメさ、安倍首相から断られた後も「安倍晋三小学校」の名前の入った振込用紙を使用していたことなど、籠池氏がいかに詐欺師で非常識な人間であるかという点に論点を絞ったが、そのことは逆に、そのような人物に前例のない便宜を図ってまで国有地をタダ同然で払い下げ、学校設置認可を与えていた国、行政側の異常さを浮き彫りにするものとなった。この異常さこそ追及されなければならない。
 一連の「愛国ビジネス」の受益者であったはずの籠池理事長が、切り捨てられることに危機感を感じて反撃に転じ、それによって雲隠れしていた迫田前理財局長(現・国税庁長官)、武内良樹前近畿財務局長(現・財務省国際局長)があぶり出されるように国会招致することが決まった。追い詰められているのは安倍政府側で、内閣支持率は下がり、世論に包囲されている。迫田前理財局長にせよ、安倍昭恵、松井府知事、酒井弁護士なども、参考人招致ではなく、偽証罪を問われる証人喚問にかけ、公開裁判をしなければならない。すでに積極的に加担していた事実が露呈しており、「騙されて認可した」では説明は付かず、諸関係についてまだまだ全貌は明らかになったとはいえない。真相解明まで国会の動向に全国的な注目が集まっている。

 

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