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核戦争阻止の斬新な運動台頭
原水爆禁止全国実行委
             沸騰する全国世論大合流へ    2013年4月1日付

 峠三吉の時期の原水爆禁止運動の再建をめざす原水爆禁止全国実行委員会は3月30日、下関市で全国会議を開き、今年の8・6集会に向けた運動の基本方向について確認した。アメリカの核戦略に呼応した自民党安倍政府による戦争挑発策動が強まる一方で、独立・平和・民主・繁栄の日本社会を望む全国民的な反撃機運は段階を画して高まっており、この間の実践の教訓にたって全国要求に応えうる斬新な運動を展開し、原水爆禁止の力強い勢力を結集することで一致した。
 はじめに事務局の川村なおみ氏が基調報告を提起した。
 今年の原水禁運動は、日米同盟強化を掲げて再登場した自民党・安倍政府が、アメリカの核戦略の忠実な下僕となって中国や朝鮮との緊張を高め、日本全土をアメリカの国益のための戦争の火の海にする危険性がいっそう高まる情勢のなかで、一方では、リーマン・ショックから東日本大震災、原発事故をへて戦後史が大きな転換点を迎え、独立と平和、繁栄の日本社会へと根本的に立て直そうとする国民的な世論と行動が勢いよく発展するなかでたたかわれることを明示。
 「核のない世界」の欺瞞も剥げ落ち、アフガン、イラクでの敗北のうえに北アフリカや中東での反米斗争に直面するオバマ米政府は、国内で深刻な財政危機に陥るなかで「アジア太平洋重視」戦略へと転換し、米軍をグアムなどに後退させ、日本全土を中国・朝鮮・ロシアに照準を定めた核攻撃基地として前面に立たせる米軍再編計画を推進してきた。在日米軍では、沖縄・辺野古への新たな米軍基地建設、岩国基地への艦載機部隊の移駐、オスプレイ配備、弾道ミサイルを追尾する「Xバンドレーダー基地」の配備など矢継ぎ早の軍事力強化、米「韓」軍による日本海での軍事演習も並行しておこなわれ、安倍政府は「日米同盟強化」を叫んでこれを歓迎し、尖閣諸島問題など煽って改憲、集団的自衛権行使、自衛隊の「国防軍」化を明言するなど戦争挑発を息巻いていると指摘。
 かつて日本支配層による中国侵略戦争での敗北と、それに乗じたアメリカの日本侵略戦争によって凄惨な苦しみを味わった歴史的教訓をもつ日本の人民として、「性懲りもなくアメリカの核の傘の下で、中国との戦争に乗り出す愚かな策動を阻止し、独立と平和の運動を大きく発展させることこそ民族の誇り」と強調した。
 さらに、東日本大震災、福島原発事故とその後の復興過程は、人民の生産活動を基盤とした生活にさまざまな規制を加えて土地を奪いとり、米日の大資本が土地や漁場を奪っていく資本主義の本質をむき出しにした露骨な姿を暴露しており、原発再稼働、生産の海外移転・工場閉鎖、大量解雇、農漁業の破壊、それら日本の産業を全分野に渡って根こそぎアメリカに売り飛ばすTPP(環太平洋連携協定)への参加と一体のものとして全国的な憤激を集めていることを指摘。
 そのなかで、広島・長崎をはじめ全国各地での原爆と戦争展、青年・学生による毎月の広島平和公園でのキャラバン展示活動は、この日本社会のデタラメな状況をもたらした根源として第2次世界大戦の真実にふれた衝撃、共感が一段と深いものとなり、戦後社会の根本的な見直し論議のなかで、アメリカの植民地支配からの脱却を求めて「安保」斗争のような全国的な政治斗争を志向する機運が急速に高まっていることを強調した。そして1950年8・6斗争の路線を継承する運動は、全広島・長崎市民を代表する最大の運動としての基盤を持ち、勤労人民の跡継ぎを育てる教育運動、劇団はぐるま座の文化運動など各戦線と結びついて力強く発展していることを明らかにした。
 提起を受けて、各地の活動家から実践報告と今年の運動への抱負が語られた。
 広島からは、昨年10月の本川小学校での原爆と戦争展に350人が参観し、被爆者、遺族、母親、被爆二世など30人が新たに協力者になるなど「戦争情勢を敏感に感じて、市民の行動意欲が強まっている」と報告。
 平和公園での街頭展示に訪れた学生の要望で被爆者が大学に出向いて体験を語ったり、教授からの招待で被爆体験を学ぶ講義がもたれるなど、学生、大学教員らとの協力関係が強まっていること、また、3月31日まで開催された五日市原爆展では「参観者から“安倍内閣になり国防軍発言や日中関係の緊張が高まっているが、こういうときだからこそこの運動を広げる必要がある”“原爆資料館も被爆直後の蝋人形をショックが大きすぎるといって撤去して真実を隠す方向になっている”と口口に語って協力者が増えている。被爆者も“腰をすえてやらなければいけない”と、要望があればどこにでも語りに出向いていく意欲を高めている。“若い人と一緒にやらなければ戦争は阻止できない”と語られており、八・六に向けて現役世代、青年との結びつきをさらに強めていきたい」とのべた。
 広島、長崎を担当する長周新聞の記者からは、「広島、長崎ともに被爆者の気迫がすごく、原爆展ではちゅうちょなく大胆に市民に協力を求めていく。この10年来の活動の発展のなかで“どんなに政府が逆のことをやろうとも、国民の意思を集めて行動すれば必ず日本を変えられる”と不動の確信をもっているしその訴える内容と気迫に共感して若い人が協力者になっている。学生や被爆二世の婦人が地域のポスター貼りに参加したり、大衆自身が行動するなかで全市民の思いを学んでいる。一方で(原水)禁・協の存在感がなく、今や北朝鮮問題では政府の制裁キャンペーンの先陣を切る存在だ。広島、長崎の市民を代表して戦争を阻止する勢力はこの運動しかないという期待が集まっている。長崎でも、商店主から“空き店舗を原爆展の宣伝に使ってくれ”といわれ、“黙っていてはいけない。自分たちのできることはやろう”と協力が集まっている」と報告した。
 また、「広島県内の大学にパネル冊子を普及して回ると教授たちも非常に反応が強い。パネル冊子を買い求め、“今の時期にこの運動の意義は大きい”“国連の核不拡散などアメリカの道具だ”とか、大学改革のデタラメさと結びつけてアベノミクスに対する批判も語られた。教育学部では平和教育の原点に立ち返ることの必要性と、市民と結びついて学生たちに真実を伝えていきたいという要求が語られている。昨年から大きく発展している情勢に認識を転換し、さらに大きなスケールをもってとりくんでいく必要がある」とのべた。
 沖縄からは、普天間基地の移設に反対する県民世論に対抗するように、度重なるオスプレイの追加配備、婦女暴行事件が多発するなかで、「次はミサイルが飛んでくる。基地は移設ではなく撤去せよ」の世論が強まっていることを報告。
 「安倍政府が、名護市辺野古への滑走路移転を強行しようとするなかで、県内全四一市町村長が反対を唱え、周辺の宜野座、金武、石川の3漁協が漁民大会を開いて反対を訴える動きもある。現在、那覇市の公設市場で原爆展を開いており、独立の問題として論議が発展している」とのべた。
 岩国の活動家からは、「反対を押し切ってオスプレイが配備され、“日本はアメリカの属国”“安保が問題だ”という認識が広がっている。極東最大の軍事拠点作りが進行中の岩国基地北口では連日ダンプカー500台が連なる異常な光景となっており、市民からは“巨大な地下施設が作られている”と語られている。オスプレイ配備反対の街頭演説をすると大人だけでなく、子どもたちからも激励されたり、市民が事務所に訪れて協力を約束していくなど、安保斗争時期のうねりを思い出させる高揚感がある」とのべた。
 愛知の活動家は、3月初旬に名古屋市の東別院会館での原爆と戦争展をおこない、広範な市民から協力が寄せられたことを明かし、「人人の全経験を明らかにしていくことで、堰を切ったように思いが語られる。マスコミによる北朝鮮制裁の煽りに対して、この原爆と戦争展は真っ向から対立軸を作っている。安倍が“改憲だ”と息巻いても、その売国ぶりは際立っており“二度と戦争を繰り返すな”という大衆世論は巨大な力になっている」とのべた。
 劇団はぐるま座の団員は、福岡県内での『原爆展物語』公演の感想では「禁でも協でもない運動なのがいい」「市民の側から、庶民の目線での運動がいい」など、この運動の質に対する期待が強いのが特徴であることを報告。「アメリカいいなりの政治が生活のすみずみにまで影響しているなかで、現役世代からも“あの戦争の目的はなんだったのか”という第2次大戦の性質について強い反響がある」とのべた。
 さらに、中学校教師が「今の子どもたちは挫折したら立ち直れないという問題に直面しており、原爆展のスタッフ集団が市民から怒られながらも、人人の役に立つために自分を変えて人人を束ねていく姿、その生き方を子どもに伝えたい」と学校公演を決めたり、広島県内でも禁・協勢力と一線を画して公演をとりくむなかで大多数の市民との結びつきが強まっていることを報告し「50年8・6路線を描いた作品の質で活動していくなら、人人から喜ばれ、運動が大きく広がっていくのが教訓だ」とのべた。
 また、新しい小作品「礒永秀雄の詩と童話」は、初公演となった宮崎県の中学校で中学生から衝撃的な反響を受け、「この詩精神が現代を憂う人人の魂に触れる感動を呼んでいる。戦争阻止の実態ある力をつくる公演活動をやり、八・六に結集していきたい」と決意をのべた。
 山口県の小学校教師は、「新しい年度を前に、異動によるお別れ会が開かれたが、これまで結びついてきた母親たちから“学校は変わっても原爆展でこれからも一緒にやろう”と激励された。鉄棒逆上がり、かけ算九九の実践も、若い教師たちが“自分たちがやっていこう”といきいきとした意欲に充ちている。戦争情勢といっても人人は明るいし、ますます行動的だ。この教育実践の基盤になったのは、被爆者、戦争体験者から学んだことが出発点だ。自分の側から情勢を見て人を利用するものと、働く人民の側、子どもの側から見るのとはまったく違う。情勢を悲観して評論しているだけなのか、大衆とともに立ち上がるのかが分かれ道だ」とのべた。
 福岡県の教師からも「若い教師がこの教育運動に心から魅力を感じている。鉄棒実践、かけ算などを通じて、子どもがお互いを思いやり集団的に変わっていくことを無条件に喜び、どんどん創意を発揮していく。その根底にあるのは、被爆体験に学び、戦争情勢に負けず、力のある教育をする側に立っているからだと思う。『原爆展物語』を見た教師からも“これまで教科書を教えているだけだった。もっと早くこの真実を伝えなければいけない”と宣言されていた。子どもの意識の発展もめざましいものがあり、この意識に大胆に働きかける年にしていきたい」と語られた。
 全国的な大衆世論の大転換の情勢とかかわって、さらに運動を発展させていく上での路線上の教訓として、大衆の力を信頼できず情勢を傍観するだけの非実践や、社会の片隅でとぐろをまく日和見主義潮流と一線を画し、その影響を一掃することが不可欠であることが強調された。
 「大衆がスッと行動に立ち上がっていくが、組織する側が顔つきからして暗いのでは人には受け入れられない。情勢が苛烈になればなるほど、自分の側か、大衆の側に立つのかの違いは鮮明になってくる」(退職教師)、「自己満足を基準にして口先だけで“情勢がいい”といって実践に結びつかない風潮は一掃するべきだ」(教師)、「口先だけで確信のないものはすぐに大衆から見透かされる。大衆の深部の願いに結びついていなければ、戦争情勢での鋭い大衆の問題意識には応えられないし、逆に正反対の効果を与えることになる」(はぐるま座)など、実践的に大衆の中に深く入ることでつねに立場を転換していく重要さが共通して語られた。
 また、「広島・長崎で最大基盤の運動を作るうえで決定的だったのは、禁・協の日和見主義と決別し、真っ向からアメリカの原爆投下の犯罪を暴いて大衆そのもののなかに大胆に入って論議していったことだ。被爆者も個人的な恨み辛みや同情を請うために体験を語るわけでなく、原爆投下から続く現代の戦争前夜にまで行き着いた情勢に怒りをもって語るし、責任をもって戦争阻止をやりとげる本物の勢力を求めている。自分の側から“都合のよい情勢”を求めて右往左往するのではなにも見えない。原爆展パネルや原爆展物語で描かれる質に立って、戦後支配の根幹を揺り動かすスケールをもって堂堂とした運動をやる以外に大衆と結びつくことはできない」と語られた。
 最後に、8月に向けて各地で活発な活動を展開し、8・6六集会に全国的に台頭する新しい勢力を大合流させることを確認して散会した。

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