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上関原発撤回せよの全国連帯
              広島・岩国・漁民が呼応    2009年4月24日付

 中国電力の上関原発が1982年の公表から27年目を迎えるなか、国策とねばり強いたたかいを進めている上関町民と連帯し、全県全国でともに日本を廃虚にする国策とたたかう機運が高揚している。広島の被爆者、県内の漁民、米軍岩国基地撤去斗争をたたかっている岩国市民、豊北原発阻止共斗会議などから寄せられた声を紹介する。

   広島の悪夢を二度と再現させてはならない 広島市・被爆者 真木淳治
 岩国基地や上関原発の動きは、すべて広島につながっており、よそごととは思えない身近な問題だ。
 岩国では市長選以後、市長が艦載機部隊の移転を受け入れたり、最近では水面下で夜間離発着訓練(NLP)の施設もつくることがすすめられている。隣に被爆地があることになんの配慮もなく、アメリカの言い分がすべて通っていくことに広島市民としていいようのない憤りを感じている。
 原発に関しては、東海村被曝事故、柏崎刈羽原発事故などをみても、国のいってきた「安全第1」という建前がいかにいいかげんなものか明らかになっている。原発は、1度建ててしまえば、後から事故が起きても手の施しようがなく、将来にわたって負の遺産を残す。それは上関町だけでなく、広島を含めた近隣住民の生活をも脅かすことになる。「環境保護」というのなら、そんなものを建てること自体が大間違いであり、後悔することのないように今、徹底的に反対しないといけない。
 最近の自民党政治は、将来を左右する重大問題をきれいごとを並べてごまかして、既定事実のように進めていき、国民の声を聞く耳をまったくもっていない。「地球環境」とか「温暖化防止」と騒いでいるが、ある時は「二酸化炭素を抑制するため」といってガソリン税を存続させておきながら、今度は高速料金を値下げするなど矛盾だらけだ。
 ひとたび有事になれば、上関原発は米軍基地がある岩国とあわせて一大軍事施設とみなされ、格好の標的になる。ミサイル攻撃などを受ければ、県境もなにもあったものではない。広島湾全体を核戦争に巻き込むことは、広島市民として黙っておられない。
 一時的に補助金や交付金をバラまくのは、将来にもっと苦しい負担をかぶせるためのものであって、そんなことのために子どもや孫の将来をゆだねてはいけない。私たちも、各地で「原爆と戦争展」を開いて多くの人人に事実を知らせ、戦争をくい止めるためにはどうするべきか若い人たちと話し合っている。郷土を再び廃虚にさせないためには、国民一人一人が目を覚ます以外にないと思う。上関町は、おいしい魚がとれる好漁場として広島でも有名なところ。必要のない原発のために瀬戸内海の美しさや漁場を潰してはいけないし、ふたたび広島の悪夢を再現させてはいけないと思う。

 上関原発は他人事とはいえない重大な問題 広島市・被爆者 上田満子
 一時はおとなしくなっていた上関原発計画がまたも動きはじめたことに、広島市民として危惧(ぐ)を感じています。上関に原発をつくることは、魚の宝庫である瀬戸内海を死の海にすることになり、その沿岸で暮らす私たちにとっても他人事とはいえない重大な問題です。放射能は目に見えないので、人体にあらわれるまでその怖ろしさはわかりません。ですが、核は人間を一瞬にして焼き殺すだけでなく、1度放射能を浴びればその影響は何十年経っても命を脅かします。
 私は13歳の時に広島市内の自宅で原爆にあい、足と背中にヤケドを負いました。3歳の弟を守ろうとして追い被さった母は半身に大ヤケドを負って赤紫色に腫れあがり、ちょうど四谷怪談の幽霊のような姿になりました。弟も顔が3倍もの大きさに膨れ、2人とも数分前の姿が想像できないほどの別人に変わり果てていました。
 避難先でも、軍医からは「死ぬると分かっている人間につける薬はない」と相手にされず、看護婦をしていた従兄弟から薬をもらって治療したものの母と弟はどんどん衰弱し、17日後に弟が「きれいなまんまん(仏)さんが迎えにきた」といって静かに息を引き取りました。弟の大腿部のヤケドは膿んでウジ虫がわいていましたが、痛さをこらえながら亡くなった弟を思うといまでも涙が出ます。
 唯一の長男を失ったショックもあって母はそれから1週間後の同じ時間に亡くなりました。体中に小豆色の斑点ができて「もう長くはない」といわれていましたが、最後まで自分の容態よりも弟や残される私たちのことを気遣っていました。
 救護活動にあたっていた父も、ビールのような茶褐色の尿を出すようになり、歳をとってからS状結腸壊疽という腸が腐って穴が開く病気にかかり、人工肛門で15年生きましたが、これも放射能の影響でした。私は3度も流産し、母子ともに深刻な思いを経験しました。いまは自分の子どもや孫たちに被爆の影響が出ないかがいつも気がかりです。原爆にあったことで悲しく、悔しく、腹の立つことも多くありましたが、あの日に建物の下敷きになりながら「助けて」と叫びながら焼け死んでいった人たちのことを思えば耐えられないことはありません。原爆は広島市を廃虚にしただけではなく、その後も市民を苦しめ続けていることに怒りを感じます。
 アメリカは原爆を落とした広島のとなりに米軍基地をつくり、ここを前線基地にしようと狙っています。日本人がおとなしいからバカにしているのでしょうが、黙っていたら好き放題にされると思います。中電も広島に本社を置きながら「原発はクリーンエネルギー」と呆けたことをいっていますが、放射能の被害は温暖化どころではありません。なぜ金をバラまくなど汚い手を使ってまで原発にこだわるのでしょうか。私たち広島市民は、原発をつくることには絶対反対です。

 漁業者の声
 瀬戸内海全域殺す原発
 東和町・漁民
 もし上関原発ができれば、上関近海だけでなく瀬戸内海全域が死んでしまう。爆発でもしたら大島も直撃は避けられないが、何の補償もない。中電はもし本当に原発をつくるのなら、瀬戸内海中の漁民にも爆発した時に被害が及ぶ人全員に補償金を払わないといけない。いくら払っても足りるものではない。
 祝島の補償金が10億8000万円あるというが、はした金だ。所得税をごっそり持って行かれるだろうし、1000万を超えれば消費税もとられる。国は「金がない、金がない」といっている状態だから、飛びついて持っていくはずだ。手元に残るのはほんのわずかで、何の足しにもならない。原発は国策というが、国や県のやることはひどいことばかりだ。
 山口県は漁協合併がガンだった。何回も総会をやり直したり、汚いやり方だった。
 合併した漁協は、今でこそ漁師から年間9万6000円の出資金を搾りり上げているから黒字で通っているが、あと2年でそれも終わる。今は信用事業をやっても儲からないし、また理屈をこねて漁師から巻き上げるに決まっている。ノミよりもたちが悪いダニだと漁師はみんな怒っている。漁師はどんどん減っていくし、その影響で鉄工所や漁具をつくる業者も辞めていく。このままでは山口県の漁業は成り立たなくなる。
 国も同じ。大企業にはどんどん金を出して、返せなければ返さなくてもいいといった調子だ。そのうちの何割かでも漁民や農民のために使おうという考えは全くない。国も県も農民や漁民のことは1つも考えていない。そういう国や県が原発でもつくろうとしている。絶対つくらせてはいけない。

 祝島住民の斗いに共感 山口や防府でも
 中国電力の上関原発の建設をめぐる動きが瀬戸内海側の漁師のなかでも注目されている。祝島住民が補償金の受けとり拒否を決め、原発反対を貫いていることも共感されている。上関の原発問題は、よそ事ではなく瀬戸内海全体の漁業に大きく影響すること、それを上関周辺の海域だけの問題のようにして、中国電力や県が今にも原発ができるかのように煽っていることへ矛盾が語られている。
 山口市秋穂の漁師は、「1度、原発をつくってしまえば瀬戸内海は終わりだ。上関周辺の海域の漁師には補償金を配るというが、海はつながっており、なにか起きれば瀬戸内海全体に影響する。魚をとって生活している自分たちにとってはよそ事ではない。なにか起これば、内海の魚は価値がなくなる」と危惧(ぐ)している。また全国各地の原発が地震などで破損しても「大したことはなかった」とか「大丈夫だ」などといって、いつもうやむやにしていく報道を指摘し、「なにが本当のことなのかわからないように隠している。危ないとわかっていながら、県の二井知事はなぜ推進の立場に立っているのか」と話した。
 防府市の漁師は、「祝島はブリとかハマチを釣るのに有名なところだが、原発で温排水が出るようになったら祝島どころか内海全体に広がる。以前、山口県庁に行ったときに、県庁まで祝島の人たちが原発反対で座りこみをしていた。内海の漁師だといって声をかけたら喜ばれた。みなこの辺りの漁師は反対している。漁師のなかでは漁獲が減って漁師だけでは食べていけないからとアルバイトをするなどして生活する漁師もいる。山口県は漁協の合併でやめた漁師も多いが、原発ができれば山口県の漁業がなくなる」と話していた。

 祝島に頑張ってほしい 萩・漁民
 上関原発の建設問題が今、大きな問題になっているが、同じ漁師として祝島には絶対、反対でがんばってもらいたい。
 今、漁師は漁が少ないうえにしけも多く、とても苦しい状況にはあるが、絶対に海を手渡してはダメだ。補償金でも1人当りにしたら、たかだか1000万円から1500万円ではないか。漁師は海を守らないかん。そうでなければだれが海を守るか! (日本人の胃袋は漁師が握っている)。

 岩国基地核にした広島湾の軍事要塞化許さぬ 岩国基地沖合拡張反対連絡会議 森脇政保
 米軍再編は岩国を極東最大の米軍基地にしようとする企みである。岩国基地の増強は、戦斗機と米兵が倍増され、犯罪と騒音がまきちらされるだけでなく、基地の性格を変え、沖縄と並ぶ先制核攻撃基地にすることを意味している。広島湾には、広、川上、秋月に米軍の巨大な弾薬庫があり、呉には海自、海田には陸自があり、岩国を核にこの地一帯を軍事要塞化する企みである。これは再び祖国日本を廃虚にする危険なものだ。
 この広島湾の南端の上関に、原発を建設するなど狂気の沙汰としかいいようがない。数ある原発のうち、4基が爆発すれば日本はなくなるといわれているが、中国・ソ連との戦争を想定した、極東最大の軍事基地のかたわらに、原発弾薬庫をつくるあやまちを犯してはなるまい。
 だからこそ上関の人は、岩国のたたかいに、岩国の人も上関のたたかいに、広島湾の人人は、上関と岩国のことに深い関心と同情を寄せている。
 また、岩国と上関はともに国と県によってひどい仕打ちを受け、騙され続けた歴史を刻んでおり、日本の将来を思う愛郷の心で1つに結ばれている。
 世の中は大きく動いている。子や孫のため、祖国日本の平和な未来のために、アメリカの指揮棒に従って進めている戦争政治に、キッパリと終止符を打たなければならない。
 そうしなければ、あの大戦で物いうこともできず無念の死をとげた320万の人人とその遺族に対して申し開きが立たないではないか。

 豊北斗争の様に全県全国の団結発展させ斗う 豊北原発建設阻止山口地区共斗 安村直行
 小泉から安倍、福田政府が強行した「規制緩和」「構造改革」が、アメリカの国益に日本の国益を売り渡し、日本社会をデタラメにするものであったことが生活と労働を通して明らかになるなかで自民党政府への怒りが日本国中で噴き上がっている。加えて昨年からアメリカ発の“100年来の大恐慌”の波が押し寄せるなかで、英語はしゃべるが漢字が読めない麻生政府が「経済対策」と称して15兆円もの補正予算を組み、アメリカと日本の財閥・大企業救済の経済政策を採決し、年寄りや子ども、病人を大切にしない国民無視の政治に国民の怒りは頂点に達している。こうしたなかで、日本をアメリカの核戦争の戦場にさせない原水爆禁止の人民運動が全国で発展し、岩国の米軍基地の再編強化を許さない岩国市民の10万を越える署名運動、安倍元首相の代理市長として14年間市民不在市政で下関を破壊した江島市長が、下関市民によって打倒された。
 また、柳井市では市長選挙、県議補選で「保守地盤」を豪語してきた自民党候補が惨敗するなど、社会で本当に力を持っているのは勤労市民であることが昨年から今年にかけて次次と立証されている。
 上関原発建設を強行する二井県政の“しっかり聞いてしっかり実行”が大企業向けという正体は広範な県民に見抜かれている。二井県政の膝元の山口市では、福祉医療費助成制度を見直し個人負担を決めた県議会の弱者切り捨ての決定を反故にしてこれまでどおり自治体が肩代わりするなど二井県政の権威は失墜している。
 山口県民は、30年前に国策と対決して、豊北原発建設計画を木っ端みじんに粉砕し、県内には1基も建てさせないという輝かしい誇りと伝統を持っている。27年不屈の斗争を堅持している上関町民にこの誇りと伝統は受け継がれている。この27年の斗争で原発が「電力不足を解決する」というペテンを引きはがし、北朝鮮の核脅威騒動が示しているように、原発と核兵器が一体のものであり、売国、亡国、戦争政治のカナメであることはいまや常識になっている。
 上関原発計画に終止符を打つために、豊北斗争の教訓で全県、全国の団結した斗争を発展させることが求められている。二井県政の膝元で奮斗する決意である。

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