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「平和教室」、「平和の旅」へ

金子みすゞの詩に心を動かす
             小中高生平和教室 熱入れて絵に表現   2003年2月27日付

 「金子みすゞに親しもう!」との呼びかけで先週16日にひきつづいて23日、下関市の婦人会館で平和教室(小中高生平和の会 代表・今田一恵/中高生代表・本田多恵、南香世主催)が開かれた。今回はじめて参加した小・中・高生20人と2週づつけて参加した子ども合わせて56人の小・中・高生が集まり、教師、母親も20人参加した。金子みすゞの詩を読み深め、異年齢集団のなかで絵を描くことで詩を理解して、子どもたちは工夫をこらしながら作品を完成させた。
 はじめに中・高生6人が自分たちの完成作品をみんなの前で披露し、和紙をはって工夫したことや、なぜこの詩を選んだかなどを発表し手本を見せた。そして全員で「大漁」「雀のかあさん」「犬」「梨の芯」を朗読し、前回参加した子どもと、はじめて参加した子どもで分かれそれぞれ班をつくった。
 今回は絵を完成させようと、さっそく絵を描きはじめた。この日はじめて参加した子どもたちの班は、平和の会手づくりの詩集を読み合わせ、好きな詩を決めて絵を描く作業にとりかかった。下関市唐戸商店街の商店主が会場を訪れ、声をかけてアドバイスをするなど、子どもたちが詩に親しみ熱心に絵にとりくむ姿に感嘆していた。
 前回は下絵だけで終わった子も完成間近だった子もはじめて描く子も、金子みすゞの詩の心が表現できるように工夫しながら仕上げていった。子どもたちは「仕上げるぞ!」とはりきり、用意された図鑑などを参考にしながら前回の平和教室以上の集中力でもくもくととりくんだ。

 犬
 うちのだりあのさいた日に/酒屋のクロは死にました。
 おもてであそぶわたしら を/いつでもおこるおばさん が
 おろおろ泣いておりまし た。

 その日、学校でそのことを/おもしろそうに、話してて、
ふっとさみしくなりまし た。

 この詩を読んで自分と犬しか描いていなかった子は「酒屋のおばさんはいつも怒っているのに泣いていたんだって」「寂しくなった人はだれ?」などと先生や大きい子にアドバイスされ詩の意味を理解しながら描いていった。小さい子は、兄ちゃん姉ちゃんのさまざまな工夫に刺激され「もっとじょうずに描こう」と挑戦した。
 「大漁」を描いた小学1年の女子は和紙をはって海を表現し、「人は、いわしがいっぱいとれてうれしいけど海の中では何万のいわしのとむらいするだろう、というところの場面を描きました。とてもむずかしかったです」と仕上がった感想を書いた。

 朝顔のつる
垣がひくうて
朝顔は、
どこへすがろと
さがしてる。

西もひがしも
みんなみて、
さがしあぐねて
かんがえる。

それでも
お日さまこいしゅうて、
きょうも一寸
またのびる。

のびろ、朝顔、
まっすぐに、
納屋のひさしが
もう近い。

 「朝顔のつる」の詩を描いた小学1年の女子は、6年のお姉さんに教えてもらいながら、和紙を使って朝顔の花をあらわしていた。参加した母親は「こんなにわかりやすい詩を書いていることは知らなかった」と子どもの心にすっと入っていく金子みすゞの詩に感動し、上級生に教えてもらいながら絵を描く娘の姿をうれしそうに見ていた。
 仕上がるとほかの人を手伝ったり、アドバイスし、1人1人の絵は描けば描くほど深みのある作品になっていった。

自らの経験重ねて共鳴全員が作品発表しあう
 作品ができあがると、なぜこの詩が描きたかったか、どの場面を描いたのかなどを短作文にし絵といっしょに発表した。はじめて参加した子は舞台で緊張しながら、一生懸命発表していた。

 雀のかあさん
子供が
小雀
つかまえた。

その子の
かあさん
笑ってた。

雀の
かあさん
それみてた。

お屋根で
鳴かずに
それ見てた。
 「雀のかあさんは、雀の子どもと母さんを描くのがむずかしかった。だけどはじめてでうまくできたのがうれしかったです。カラスにいじめられた雀を育てたから、雀が大好きになったのでこの詩を描きました『雀のかあさん』」(小学2年女子)、「ぼくは、梨の芯を捨てた子は悪いけどありにとっては大だすかりというとこがおもしろくてこの詩を選びました。男の子がうしろむきに梨の芯を投げてそれにありがたくさん集まったところをあらわしています『梨の芯』」(小学3年男子)、「班の人たちと金子みすゞの詩を読んだら絵のイメージがすぐにわいてきた。工夫したところは子どもとお母さんを黒くしたところです『雀のかあさん』」(小学6年男子)、「星とたんぽぽは、いつも見えないところでがんばっているんだなと思いました『星とたんぽぽ』」(中学3年男子)。
 「わたしは最初絵が下手だから、いやだなーと思いました。でも阿部先生が絵が下手でもいいといったので安心しました。きょう絵ができてうれしかったです。それと楽しかったです。窓の雪と下にある雪も大変でした。工夫は3つの窓が大きく描いたからでっかいなーと思いました。あと犬も大変でした。またやりたいなーと思いました。これはすごく楽しかったです『硝子』」(小学5年女子)、「わたしのおばあちゃんも病気だから、おばあちゃんの気持ちがわかるからこの詩を選びました『お祖母様の病気』」(小学2年女子)。
 子どもたちは自分が経験したことと重ね合わせて金子みすゞの詩に共感し、その気持ちを絵にあらわしていた。

描くのが好
きになった
絵がきらいだった子も
 全員が発表したあと、「金子みすゞのいろいろな詩が読めて楽しかった」「絵を描くのが好きになった」「絵がじょうずに描けてうれしかった」など感想を出していた。ほぼ全員が絵を描きあげ子どもたちはいきいきしていた。
 日ごろなかなかいうことを聞かない子が、一心不乱に画用紙にむかっている姿に引率した教師も驚いていた。わが子とともに参加した教師は「学校とはぜんぜん違う子どもたちの姿だった。この子どもたちの一生懸命さをお母さんや担任の先生に見せたい」と話した。2年生の孫の姿を見に来たおばあさんは、「はずかしがり屋の子だったのに、すごく楽しそうにしている。小さいころからこんな経験をさせることが大事。雰囲気がとてもいい」と話していた。
 代表の今田一恵氏は「異年齢の集団だから影響しあっていい作品ができていったと思う。絵が好きな子も嫌いな子もいたが、子どもたち自身が絵に満足していることがとてもいい」と話していた。

唐戸商店街
に展示計画
「みすゞ祭」にも出展
 子どもたちが描いた絵は、3月9日に下関市市民会館でおこなわれる「金子みすゞ祭」に出展する。その後、金子みすゞとひじょうにゆかりの深い下関市の唐戸商店街に展示することも計画されている。


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