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関門で全国初のテロ訓練
            日本を戦場にする体制   2004年9月23日付

 下関国際ターミナルと関釜フェリーで20日、門司海上保安部や山口県警、福岡県警など約700人を動員して、全国初という大規模なテロ対策訓練がおこなわれた。下関市内は彦島から吉見にかけて、響灘に面する自治会などから住民が集められ、なにをおこなうのか説明もないまま“シージャック”中の船室にとじこめられ、首に救命具をつけて避難して、なにがやられているのかは、あとでテレビを見て知る羽目となった。辺りではヘリコプターが飛びかい、爆発物処理で防護服姿の警官や、機動隊の突入シーンがくり広げられるなど、騒然とした雰囲気につつまれた。動員された住民や港湾労働者のあいだからは、「テロ対策」の名のもとに訓練といえども説明なく自由だけは拘束されていく“有事態勢づくり”に、不安と憤りの声が上がった。

 シージャックなどを想定
 テロ対策訓練は、内閣水際危機管理チームから「関門地区をターゲットとしたテロ情報があるなか、着岸中の外国貨物船がテロ関係船舶であるとの情報が、門司海上保安部に入った」「関釜フェリーにテロリスト3人が、乗客を人質に立てこもり、国際ターミナルに爆発物が仕かけられた」との設定でおこなわれた。現地対策調整本部として、海上保安部、警察、市港湾局、消防など十数機関がつめて、乗客役ふくめて700人が参加。巡視船や警備艇など船艇が14隻、車両は30台、ヘリコプター1台が投入された。
 本部にはヘリコプターから送られた関釜フェリーの様子や、船内からの映像が映し出され、内閣府参事官が見守るもとで、突入部隊らに命令が下されていた。国際ターミナルの一階では爆発物処理の訓練がおこなわれ、普段は観光客や市民の行きかう通路は警官のバリケードではばまれ、ものものしい防護服で身をつつんだ警官や重機が行きかった。
 乗客役を担わされたのは、県下の警察署内に事務局がおかれている「山口県沿岸警備協力会」に入っている自治会や企業から、子どもをふくめた家族だった。警察署からの号令で集められて、関釜フェリーに乗船してから正午まで、子どもからお年寄りまで首かせに似たオレンジ色の救命具をはめたまま、テロ訓練から“解放”されるのを待った。

 動員された住民からも怒り
 自治会に警察署や海上保安部から、参加要請がきたのは1カ月ほどまえ。文書には「イラク情勢等をめぐり、国際テロの脅威が世界に拡散するなか、テロをはじめとした有事に的確に対応していくため」とテロ訓練の目的についてのべられていた。自治会長の60代男性は、「集合場所に指定された水上警察の駐車場から、囚人護送のような金網入りバスに乗って国際ターミナルに行った。行き先もわからないまま関釜フェリーに乗りこみ、しばらくして係員のいわれるまま首に救命具をつけてホールに並ばされた。一時間くらい首も動かせず、なにがあっているのかさっぱりわからなかった。人をなんと思っているのか。家に帰ってニュースを見て、はじめて本部があって命令してやられていたことがわかった」と怒る。
 下関市内に住む中年男性は、「警察署から“テロ対策のことで用があるから、会社から1出してくれ”といわれたから来たが、来てみてびっくりした。なんの説明もなしに、大の大人を2時間も3時間も連れ回して、どう思っているのだろうか」と、テロ対策でなんでも強行していこうとする警察や海上保安部に、強い抵抗感を覚えたという。乗客役のある男性は、「外でなにがおこなわれているのか、なぜ一カ所に集められて拘束状態になっているのかわからないまま、ときおり窓ごしに見える機動隊員や、ホールをかけぬける消防隊員を見ていた」「なんと下関も物騒なところになってしまったものだ」と、濃くなっていく戦時色に危機感を訴えた。
 国際ターミナルでは荷役作業がおこなわれており、港湾労働者や関係者のあいだからは「テロ対策訓練をやられたら、仕事にならない」と声が上がった。戦後59年のあいだ下関商港では他の港湾と同様にテロなどということはいっさいなく、中国や朝鮮半島をはじめアジアとのあいだでは、ぼう大な食料品や工業製品が、平和共存の考えにもとづいて輸出入(03年の輸出額は4076億円)されてきた。港湾労働者のあいだでは「テロ対策というなら、アメリカがイラクなどいろんな国への武力攻撃をやめることだ。小泉首相はアメリカのいうとおりに自衛隊をイラクに派遣するのだから、相手が狙うように仕むけているようなもの」などと論議されている。
 とりわけ下関商港でフェンスをはったり監視カメラや照明器具がつけられたのは、3年まえの9・11テロ、アフガン・イラク侵攻がおこなわれ、アメリカの要求でソーラス条約が結ばれたことで、いっきに軍港化にすすんだ。下関市港湾局では軍港化にたいする市民の懸念にたいして、「もし寄港先の下関港が保安対策をしていないということになると、アメリカなど相手国の港湾管理者から船舶が入港拒否を受けることになる」などと話している。
 平和共存と平等互恵の各国関係を築いてきた下関商港の戦後の努力を踏みにじって、アメリカ追随を深めることでテロがいつ起きてもおかしくない、テロ誘発態勢がつくられているのである。そのもとで市民にはテロ対策に協力しないものや自由が拘束されるなどというものは、即テロ同調者や支援者とみなして、アメリカの「愛国法」のように非国民にする有事態勢づくりがすすめられている。

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