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経験したことのない失業と貧困
              下関 市外発注継続する中尾市政    2009年12月28日付

 下関市では今年3月の市長選で江島暴走市政に終止符が打たれ、中尾市政が発足した。安倍・林代議士の代理で郷土をさんざんに食いつぶしてきた江島市政が、4期14年をへて完全に市民から拒絶され、新市政へ移行することとなった。ところが安堵したのも束の間、登場した中尾市長がつぎつぎと公約を覆し、江島政治の踏襲で奔走しはじめて市民の怒りを買ってきた。「新庁舎は建て替えない」と熱弁を振るい、「公共事業を地元優先で前倒し発注する」と叫び、老人休養ホーム・満珠荘を早期再開すると約束したものが、へっちゃらで市民を欺いていく。大不況で、みなが経験したことがないような貧困状況に直面するなか、果てしもなく市外発注の大型箱物と都市開発バブルだけが繰り返される様子を見て、「代理人をチェンジするだけでは変わらないのだ」「本丸をやっつけなければ」の市民論議が活性化している。下関市政をめぐる1年を振り返ってみた。
 大不況の嵐は下関の街でも吹き荒れ、80代の経営者が「経験したことがない…」「昭和の恐慌よりひどいのでは」と語るほどになっている。三井金属系のMCSだけでも昨年から2000人の従業員を首切りし、他にも従業員を半減させた中小企業や老舗の倒産も相次いで、職を失った人人の数は一万人を超えている。職安窓口は大わらわで、臨時駐車場を設ける事態にもなっている。勤め人でもボーナスなしが当たり前、高校に行くと内定をもらえない生徒たちがたくさんいる。「師走の雰囲気がない」とどこでも語られている。
 中小企業経営者の男性は「こういう時こそ行政が機能して雇用確保や市民生活の拠り所にならなければならないのに…。財源が乏しくてもカンフル剤として公共事業を出したり、細細とでも乗り切れるような政策ができないものなのか。外来種ばかり潤う政策は異様だ」といった。
 別の企業関係者は「ただでさえ苦しいのに市外発注ばかり熱心で、大手が潤う箱物ばかりがやられる。私らが税金を滞納するとすぐに差押えで、市民から奪い取るのが当たり前みたいな顔をしている。市長選で公共事業前倒しなど叫んでいたが、結局全て放り投げではないか」と怒っていた。
 生活保護の申請が増え、児童手当の受給者も右肩上がりであることが、市内の深刻さを端的に物語っている。
 みなが貧乏で苦斗しているなかで、新庁舎建設、150億円の駅前開発、あるかぽーと開発、ペンギン御殿オープン、60億円の社会教育複合施設オープンと景気が良いのが下関の箱物行政で、嫌みのように開発利権だけが活況を呈している。社会教育複合施設では建設工事に参加した160社のうち、市内企業は2〜4次下請の19社であったことが波紋を広げたが、代議士周辺が引っ張ってきた市外企業が奪い取って、“日干し”にされた地元企業がバタバタと倒れる格好。

 次次と公約投げ捨てる 市民はあ然

 この10カ月で市民があ然としたのは、新庁舎建設にせよ、あるかぽーと開発にせよ、満珠荘にせよ、つぎつぎと公約を投げ捨てていく事だった。「あの市長選は何だったのか」「江島も中尾も同じではないか」の論議が広がっている。
 12月議会では、ついに新庁舎の実質的な建て替え方針が示された。現在の本庁舎部分を約30億円で改修・補強すること、議会棟・教育委員会棟・保健所棟は解体して、あらたに「市民サービス棟」(費用不明)を建設するというものだった。具体案は3月議会に示される予定で、業者が青写真をつくっている。
 明らかにしているところでは、新庁舎は現在の1〜4階部分に入っている市民サービス、福祉、財政、企画などの各課と議会棟、教育委員会棟、保健所棟を入れた建物ということで、大規模な庁舎になると予想されている。「保存」する本庁舎は1〜4階部分が移転すると、5階の市長部局、6階の建設部、都市整備部、7階の農林水産部、市民部、8階の港湾局だけになり、「残す意味があるのか?」といわれる内容。
 ほぼ全面建て替えで舵を切ったことをあらわした。市議会も「実質の建て替えなので我我の主張が受け入れられた」といい、市長本人は市長選で「庁舎は建て替えない」と叫んでいたことについて、「庁舎整備をやみくもに行わないということを意味するものではない。私は、すべてを新たに建て直すことに疑問を呈したのであって、効率的で経済的な計画に見直す必要があると申し上げていたのだ」と弁明。双方合意のもとに進みはじめた。
 10カ月前に「この不況のご時世に借金で本社建物を建て替える経営者がどこにいますか!」と絶叫していたのが、当選後は「凍結」に変化し、10カ月して「解凍」となった。ただし、これは初めからのプログラムで、当選の翌日から選対事務所で「庁舎はやっぱり建て替えだな」といって支援者を驚かせていたのが実態だった。
 代議士周辺や銀行関係者、議会などが唐突に「古い」「ボロい」と現庁舎にケチをつけはじめたのが一昨年くらいで、江島市長が建設の是非を飛び越えて「新庁舎はどこにつくりたいですか?」と動かしはじめていた。合併特例債450億円のうちの約半分近くを市外大手が回収していく事業で、色めき立っているのはゼネコン・銀行・政治家だった。新下関地区で副都心バブルをやろうとバラマキを開始し、一方では市民の反発が高まり、市長選の重大な争点にもなった。
 中尾氏はマニフェスト『下関再生計画』のなかで、@市役所は建て替えず支所機能の強化充実を図る。Aあるかぽーとは芝生の公園に!B満珠荘は老人休養ホームとして以前の営業形態にて早期再開を目指す。C学校は地域社会の財産。地元の要望がない限り統合は行わない。D緊急景気対策、の5つを柱にしていた。10カ月たってみて、学校統廃合以外はみなウソだった。
 あるかぽーと開発は担当部局が白紙撤回の案まで作成して相談に上がったところ、中尾氏本人が躊躇なく江島案の事業継続を選択。職員の方が拍子抜けしたのだと庁舎内では話題になった。老人休養ホームとしての早期再開を求めて、10万人近い署名が集まっている満珠荘は「良いものになるのだから、いいではないか!」「公約の進化なのだ!」と開き直って、江島市長案を丸ごと踏襲。海峡ビューの付帯施設として某旅館経営者が営利活動をする為の案を引き継いだ。「大型店の出店には反対です」といっていたのも撤回で、イズミの出店式典に駆けつけて「税収が入る」と歓迎して商店主たちを驚かせた。
 江島前市長が「人工島白紙撤回」など掲げて登場し、3カ月後に「若気の至りでした」といって公約を覆したのと同じように、ことごとく市民を裏切っていくことへの怒りが語られはじめることとなった。

 背後勢力縛る力結集へ 市民の運動が活発化

 国政をそっくり丸写しで、悪政日本一を競ってきたのが、この十数年来の安倍晋三&林芳正&江島潔らによる下関市政だった。デタラメな道楽・箱物利権政治なら全国bP、教育・福祉の切り捨て、中小企業・零細商店の淘汰と大資本の市場略奪奨励、“効率化”推進と初物趣味の先進地として鳴らしてきた。
 小・中学校や保育園の統合計画も全国でも稀に見る規模の大整理が打ち出されたり、“全国で最大規模”の教科教室型中学校をつくったり、生活はますます世知辛くなるのに、目の前では1匹200万円で購入したペンギンたちに22億円もかけて御殿(世界最大の専用水槽)をつくったり、犬猫安楽死施設(全国初)を11億円かけてつくったり、新市庁舎200億円とか、社会教育複合施設60億円とか、150億円投入の駅前開発といった利権事業が目白押し。環境利権は代議士出身企業の神戸製鋼がつかみ取りで、全国ダントツの高額を自慢した有料指定ゴミ袋など「全国初」「全国最先端」が様様に導入されてきたのも特徴だった。
 公共事業の入札はダンピング奨励で、小泉元首相の地元・横須賀に次いで全国で二番目に電子入札が導入されたのも下関だった。大型箱物になると、いつも決まって安倍派の政治ブローカー・疋田氏のような人物が暗躍して、パシフィックコンサルタンツ社介在の不可解な業者決定がなされ、外部業者ばかりが潤って街は疲弊した。一連の市場原理市政が親分ともども国政の場で手柄になる関係で、度外れた市政の私物化と突っ走りを、バックアップする安倍・林支配の構造もろとも突き崩すことが切望されてきた。
 少子高齢化が全国の同規模の都市と比較しても飛び抜けて進行していることや、若者が就労する場所がなく人口流出が止まらないこと。箱物三昧なのに市内がまったく潤わないこと。教育予算が極端に少なく、トイレットペーパー代まで父母負担というデタラメ。全国でも最大規模の教科教室型を導入しようとしている川中中学校の目の前に“ゆめシティ”を建設したり、行財政改革で旧四町を切り捨てるなど、学校統合に見られるような前代未聞の行政サービス縮小。大型店の野放し誘致で、商店街は疲弊しきっていること。利権優先で市街地開発を進めた結果、サブプライムのような土地が出現し、中心市街地の疲弊や過疎高齢化にもつながっていること。農漁業政策がないがしろであることなど、山ほど課題が山積し、「このままでは下関が食いつぶされる」の怒りが爆発したのが今春の市長選だった。
 ところが選挙をやって安倍代理市政を打倒したと思ったら、背後勢力がさっそくうごめいて新しい市長が平然と裏切って元の木阿弥にする。安倍事務所・林事務所をはじめとした支配勢力が好き勝手に有権者と選挙を冒涜し、市政を私物化する姿が暴露されている。
 江島市政を打倒した市民の力は半端ではない。就任早早、公約を放り投げる中尾市長であるが、今度は中尾市政打倒に向き始めている。市内では市民の会が呼びかけている「市外発注をやめろ」の署名運動が旺盛に取り組まれはじめ、論議が広がっている。市民の大衆的な運動だけが、背後勢力ともども規制する力であり、江島市長引退後の市民との対立が鋭いものとなっている。
 

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