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 下関市が155億円を20年間で投じる大型公共事業・社会教育複合施設を、三菱商事グループに高値落札させたことは、初めに結論ありきの官製談合だとして山口地裁に26日、排除された原弘産グループが「基本協定及び基本契約を締結してはならない」と訴えて、江島潔市長を裁判にかけた。

 ”市民への背任行為だ”
 訴状によると入札価格が約9億円高いとされる三菱商事グループを選んだことは、「価格は高いが内容が大変良いという評価で、絶対にあり得ない」としており、違法な税金の莫大なる無駄遣いだと指摘した。社会教育複合施設は今年に入って突如として浮上したもので、外壁を補修したばかりの文化会館や婦人会館等を、急いで巨額の税金をかけてまで市外発注させる必要はないと、市民や地元業者のあいだで憤りが高まっており、市議会(104人)の12月議会の動向が注目されている。
 山口地裁に26日付で出された訴状は、被告を下関市(江島潔市長)として、落札者処分取り消し等を要求しており、10月下旬に予定される基本契約等の差し止めを求めている。原告は原弘産PFIインヴェストエント(原将昭代表)で、訴訟代理人は沖田哲義弁護士。訴状のなかで原弘産グループの入札価格は、設計・建設・運営で合計73億8450万円と明らかにしたうえで、三菱商事グループは同83億円(推定)として、9億円以上の差があったとしている。「これは莫大かつ違法な税金の出損ということになる」と市民への背任行為を指摘している。
 そのうえで総合評価一般競争入札で、三菱商事グループが高得点となった配点が、「到底常識では考えられないものである」としている。総合評価では100点満点として、入札価格をはじめ設計・建設、維持管理、運営の4項目の合計得点が、多い方を落札者とするものだった。このうち入札価格の1項目が50点を占めており、高値のグループが差が4000万円ごとに1点マイナスされる方式であることから、三菱商事グループはすでに23点低くなっていたという。逆転することは「通常であれば、限りなく不可能に近い数字」であったのに、主観の点数を加えた総合得点では、三菱商事グループが合計66・2点で原弘産グループの63・8点を上回るという、不可解な結果となった。

 六対二をひっくり返し落札
 さらに背景事情として、審査委員会(8人)はいったんは9億円以上安かった原弘産グループを、6対2で勝ちとしていたにもかかわらず、下関市の委員である山村重彰副市長と松田雅昭教育長の2人に下駄預けする形になり、三菱商事グループが勝ちとなった経緯を、「見聞」としたうえで出している。その他の6人は、石田壽一委員長(九大大学院教授)、本杉省三委員(日大教授)、大串夏身委員(昭和女子大教授)、上野善信委員(山口県立図書館主査)、松田武男委員(市連合自治会長)、山本誠二委員(市文化協会会長)であった。
 また訴状では、佐藤総合計画(東京)が下関市内では公共事業を相当数手がけている点にふれている。「正に形を変えた官製談合である。“初めに結論ありき”の下関市側委員が、他の6人の結論をひっくり返し、三菱商事グループを勝たせたというのであるから、あきれるばかりである」とはげしく糾弾して、「総合評価」というきれいな衣に包んだ、汚い官製談合だとのべている。原氏は「税金の無駄遣いであり、こんなことで下関市は大丈夫なのかということを、市民に知らせたい」とコメントした。
 同複合施設は初めから、三菱商事の落札が決まっていると語られていたもので、今月13日に、地元の原弘産グループを排除して、安倍首相の兄・安倍寛信氏が中国支社長をやる三菱商事グループに落札させたものである。ピンハネするだけで丸投げするほかない商事会社に建築事業をやらせ高い方を選ぶという異常なものである。さらに落札金額や審査内容を伏せ続けており、10月末に公表するとしたものをいまだ明らかにしない。
 一方で江島市長は14日夜におこなった中央地区自治連合会との会合で、「社会教育施設も事業案が2つ出ているが、簡単にいうと1つは安い、しかし機能が劣っている。1つは高いが、いろいろ施設が充実している。審査会が高いけどいい方を選んできたので、これをもとに最終的に市が判断をまかされた」などと、高値落札に喜べという内容で自治会長たちを仰天させた。この会合は、あるかぽーとの複合型商業施設誘致をめぐり、江島市長が自治会長1本釣りをして、容認に誘導しようとしたことに、抗議して緊急で開いたものであるのに、社会教育複合施設の三菱商事グループの高値落札PRまでしていく自己主張ばかりで、疑念を一層いだかせるものだったという。また山村副市長は26日、「意見を求められてもいいようがない。ダンマリです」といい、市教委社会教育課は「(審査の)内容は非公開であり、お答えできない」と伏せたいとの対応をとり続けている。
 地元の建設業界では、市外大手の発注による税金たれ流しに、みなで力を合わせて歯止めをかけようではないかと、期待を持って受け止められている。市発注の公共事業が激減したうえに、ダンピング競争政策のために、老舗の建設関連業者があいついで倒産して、連鎖倒産の危機に脅かされている。建設労働者をはじめ市民は食えなくなっている。汚泥し尿処理場、リサイクルプラザ、奥山工場ごみ焼却炉など、大型公共事業は安倍首相がらみの大手が入り、地元はまともな仕事からは排除されてきた。下関をつぶしてしまおうとする江島市政にたいして、市民の大衆的な世論と行動が最大の力である。

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