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金融資本救済に血税使うな
世界恐慌の犠牲転嫁と対決
               世界各国で抗議行動広がる    2008年10月15日付

 アメリカの住宅バブル崩壊に始まった金融恐慌は、欧州、アジア、中南米、アフリカと全世界に広がり、米日欧政府がどんな方策を出そうと、金融危機が実体経済の危機に波及し、世界恐慌への拡大を押しとどめることができなくなった。しかもその犠牲はすべて各国の勤労人民に押しつけられている。ホームレス化、失業、賃金引き下げ、医療や福祉の切り捨てなどで自殺者まで出ているのに、米日欧の政府や独占資本は、国民の税金を使って危機の元凶である金融巨頭を救済することにきゅうきゅうとしている。「銀行ではなく勤労者を救え」「金融巨頭に血税を渡すな」を合い言葉にして、アメリカをはじめ世界五大陸でさまざまな抗議行動が巻き起こっている。

 莫大な戦費負担も許さぬ 米国200都市で抗議
 アメリカでは9月25日、全国約200都市で労働者や貧困人民が、ブッシュ政府が金融独占救済のために7000億j(約70兆円)の血税をつぎ込むことに反対して、激しい抗議行動をくり広げた。各地の集会では、現在の経済危機が労働者に対する攻撃であること、またその危機がイラクやアフガニスタンでの戦争に2兆j(約200兆円)をつぎ込んだ戦争政治と不可分であることが訴えられた。ニューヨーク市では、市中央労働評議会が証券取引所前で「金融機関のために白紙の小切手を振り出すな」などと書かれたプラカードを掲げて、抗議行動をおこなった。2日前の緊急の呼びかけであったが、1500人以上が参加した。
 抗議行動は連日展開され、金融支援策が一度下院で否決された9月29日、首都ワシントンでは数百人のデモ参加者がホワイトハウスに押しかけ、「人民の生活を最優先に守れ」と要求した。
 このほか、ボルチモア市、トゥーソン市、フラグスタッフ市、フィラデルフィア市、デトロイト市などでデモ行進がおこなわれた。そこでは、「住宅を差し押さえるのでなく、イラク戦争に終止符を打て」「際限のない戦争や金融機関の救済を中止せよ」など、国内の勤労人民への抑圧・搾取と国外での侵略戦争はひとつながりのものだという主張が大きな共感を呼んだ。
 アメリカではこの4日、さまざまな青年組織、労働組合、市民団体、反戦団体から約100人の代表が参加してニューヨーク市で合同会議を開き7000億jの血税で大手金融機関を救済し、労働者や貧困層に犠牲を転嫁しようとする圧政に立ち向かうため、全国的規模の抗議行動をこの24日から27日にかけて巻き起こすことで一致した。
 抗議行動の要求には、住宅の差押えと立ち退きをただちに凍結すること、教育や医療など人民生活関連予算を削減しないこと、一時解雇を中止し失業手当給付期間を延長すること、水道や電気、ガスなどの供給を停止しないこと学生や低所得者、勤労人民の債務を減免すること、公的年金や私的年金を保護すること、生活できる賃金で雇用を保障することが含まれている。
 具体的な行動計画には、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、シティバンクや、各地の連邦準備銀行の前で抗議集会やデモ行進にとりくむこと、アメリカ発の金融危機について討論集会を開くことなどがあげられている。

 失業や賃下げとも斗う 英・仏・ベルギー等で
 欧州ではイギリスやフランス、ベルギー、スペインなどで、政府が大手金融機関に対する「預金保護」とか「公的資金投入」とかの救済策にうつつをぬかし、労働者や勤労人民に石油など物価高騰、住宅立ち退き、賃下げなどあらゆる犠牲を押しつけていることに抗議行動が起こっている。
 イギリス政府は8日、金融危機を押さえこむとの口実で大手八金融グループに対して500億O(約9兆円)を年末までに投入すると発表した。勤労人民のあいだでは、なぜわれわれの税金を銀行救済に注ぐのかと怒りの声が噴き上がっている。
 8日、ロンドンの中心街では政府の銀行救済計画に反対するデモ行進がおこなわれた。デモ隊は「いったいだれのカネか、われわれのカネ」と書いたプラカードを掲げ、イングランド銀行に向けて行進し、抗議の意志をあらわした。
 同じ日、北部スコットランドのエジンバラにある住宅金融の最大手HBOSの本社に、多数の市民が押しかけて政府による銀行救済に反対した。同社は、ロイズ銀行に吸収・合併されることになっている。
 イギリスでは、アメリカ発の金融危機の衝撃によって、今年末までの3カ月間に、ロンドンシティーで働く4万人を含む11万人が失業し、失業者は、ここ11年来最高の200万人に達すると予測されている。ロンドンシティーでは、リーマン・ブラザーズが破産すると、そのイギリス支社の5000人が失業に直面した。
 自治体労働者やロンドン地下鉄労働者などは、石油や食料値上げなど物価高騰に見合う賃金を要求してストを続けてきた。スコットランドでは9月24日、15万を超える自治体労働者が政府に生活できる賃金を要求して24時間ストをおこなった。労組側は、政府が大手銀行に緊急融資をしながら、物価高騰に苦しむ労働者の賃金を上げないのはなぜかと追及している。
 この4日には、首都ロンドンに労働者や青年、教師や父母ら数千人が各地から集まり、政府に対し「子どもの貧困状態を解決するために本気でとりくむべきだ」と要求した。集会では、大手金融機関に投入する資金を子どもの貧困に終止符を打つために使うべきだとの発言が相次いだ。
 フランス、ベルギー、ルクセンブルクの三国政府は9月30日、仏・ベルギー系の大手銀行デクシアに総額64億(約9000億円)の公的資金を投入すると発表した。
 ベルギーでは6日、大手銀行への手厚い保護をする政府が労働者の要求する電気・ガスの付加価値税率低減など、家計を助ける施策をとらないことに抗議して、三大全国労組が一斉にストライキをおこなった。
 イギリスやフランス、ドイツやオランダに向かう高速鉄道並びに国内のバス、地下鉄、路面電車など公共交通機関の運行がマヒした。郵便局労働者、商店従業員、学校教師らもストに参加し、すべての業務や授業がストップした。
 フランスでは7日、国際労働組合総連合の呼びかけに応えて、全土で90のデモや集会がおこなわれ、10万人以上が参加した。アメリカ発の金融恐慌が欧州に波及、労働者が生産した富を銀行や投機家が食いつぶしたことを糾弾し、雇用の安定や賃上げを要求した。
 欧州労連のモンスク事務局長は「カジノ資本主義」を批判し、「行き過ぎた金融の時代は幕を閉じるべきだ」と訴えた。欧州労連は組合員6000万人を擁する欧州最大の労組。先日、アメリカ発の世界金融危機について声明を発表、少数者の利益のために多数者が搾取されてきたアメリカ型金融資本主義の強欲と無謀に責任があることを指摘。「国家を破綻のふちに追いやるようなことは二度とあってはならない」と、金融機関への野放図な資金投入に反対を表明している。

 民営化反対で全国スト ギリシャでも
 欧州ではこのほか、ドイツの医療労働者や医師など3万人が9月25日、医療サービスの劣悪化に憤激し、「病院を守ろう」「医療従事者を増やせ」と訴えて大規模な抗議デモをくり広げた。労組側は、この10年間の病院民営化、業務の外部委託化によって、労働者の雇用や患者の安全がますます脅かされるようになったこと、政府の医療予算削減によって、公立病院の3分の1以上が債務超過におちいっていると指摘。現政府の市場原理主義にもとづいた医療改革が元凶であることを明らかにしている。
 この8日、ギリシャでは公共交通機関の労働者が経営難の国営オリンピック航空の民営化に反対し、24時間の全国ストをおこなった。国営電力会社、一部民営化された電話会社、国立病院、郵便部門などの労働者がストに合流した。ここでも、市場原理主義にもとづく民営化反対が労働者の共通要求であることが確認された。
 アメリカ発の金融危機は、アジアでも株安と為替相場の混乱をひき起こし、アジア経済を揺さぶっている。欧米のような大規模な抗議行動はまだ伝えられていないが、香港では、リーマン・ブラザーズの金融商品「ミニボンド」を買った投資家が、銀行や証券に元本の返還を求めて金融街をデモ行進した。
 10年前の通貨危機で国際通貨基金(IMF)に支配されるようになった「韓国」では、9月23日に労組や人権擁護団体、宗教者団体など200の社会団体の代表1万人余りが、「非正規雇用労働者のいない社会を実現するための1万人宣言、1万人行動」のスローガンのもとに集会を開き、非正規雇用の撤廃を求める共同声明を発表した。
 「韓国」では現在、全労働者の60%が非正規雇用であり、そのうち70%が女性労働者である。IMFのプログラムにもとづく規制緩和、自由化、構造調整と称する新自由主義がもたらした結果である。「韓国」はアメリカの金融独占が首根っこを押さえるようになっているだけに、これから金融危機転嫁に反対する斗争が激化するすう勢となっている。
 インドでは9月24日、100万人近くの銀行職員が国営銀行や州営銀行の合併にともなう人員削減に反対し、生活できる賃金、年金制度の改善を要求して、2日間の全国統一ストライキをたたかった。
 このストも、インド政府がIMF、世界銀行、世界貿易機関(WTO)の要求に従い、経済自由化と規制緩和政策の一環として、銀行の合併、民営化、銀行業務の下請化、正社員の請負労働者化などを進める労働法制の改悪に反対するものであった。
 今回の金融危機にはじまった世界同時恐慌は、1975年世界恐慌の打開策として80年代、レーガン、サッチャー、中曽根らが実行した規制緩和を軸とする構造改革、市場原理主義にもとづく金融資本主義の崩壊を示している。それは資本主義の末日の到来を示しており、真に力を持っているのは生産を担っている世界の労働者、勤労人民であることをあらためて示すものとなった。

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