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東アジアで戦争の危機煽るな
北朝鮮情勢巡る記者座談会
世界戦略破綻の末冒険主義
                         2017年4月24日付

トランプが繰り広げる恫喝外交 標的にされる日本列島

 トランプ登場後のアメリカがシリアにトマホークを打ち込んだのに続いてアフガニスタンには大規模爆風爆弾を投げつけ、さらに北朝鮮への武力攻撃もほのめかすなど、世界を股にかけて恫喝外交をくり広げ、中東や東アジア情勢が緊迫している。第二次大戦後から続いてきたパクスアメリカーナが終焉を迎えつつあるなかで、それに抗うかのようになおも一極主義で各国をねじ伏せていく動きが顕在化しているが、この世界情勢をどう見て対峙するかが問われている。対米従属の鎖につながれた日本社会の現実と重ねながら、記者座談会をもって論議した。

対米従属で盾にされる愚かさ

 A 北朝鮮情勢が緊迫して極東最大の米軍基地を抱えている岩国でも相当な緊張が走っている。アメリカが煽るおかげで、日本本土が盾にされてミサイル攻撃の標的にされかねないからだ。日米安保で「日本を守る」といってきたが、「安全を保障されるどころかまるで逆ではないか」と多くの人が話題にしている。
 B 北朝鮮のミサイル騒動は昨日今日にはじまった話ではないが、アメリカが後先考えずに突っ込みかねないことをみなが危惧している。安倍晋三がシリア攻撃でも北朝鮮対応でも、なんでもかんでも無条件反射でトランプに支持表明するから、余計に危機を引き寄せている。日本の立ち位置を考えたうえでの慎重さとか、武力衝突を回避させるための外交努力が何もないまま、傷を負うのは日本なのにいきり立っている。
 それで海峡を挟んで一触即発ばかりを煽っている。韓国の方が冷静で、日本が前のめりすぎることを批判している始末だ。米朝の矛盾に首を突っ込んで、わざわざ日本列島を標的に晒す。コンビナートや原発群をこれほど抱えて戦争などできる国土ではないのに、何を考えているのかだ。日本を盾にして米軍が戦争を起こすというなら、日本政府なり国民の承認もなく戦場に晒すなど言語道断だ。むしろ主権のある国なら、穏やかでない双方に対して地域の安定を重視した対応をすべき問題だ。
 C この間、広島県の廿日市市で原爆と戦争展が開催されていたが、岩国と隣接しているだけに「今からどうなるのだろうか」という市民の危機感は強かった。北朝鮮が「米軍基地を標的にする」と公言しているから、なおさら切迫した問題としてみなが考えている。呉港にはヘリ空母の「かが」が配置され、7月には厚木から空母艦載機部隊が岩国に移駐して一大出撃拠点に膨れあがる。瀬戸内沿岸がそのような軍事拠点に変貌している。有事の際に最も狙われるのが基地なのは誰でもわかる。岩国だけでなく、周囲の瀬戸内海沿岸もミサイル攻撃の標的になるということだ。アメリカ本国は安泰で、日本列島が報復攻撃をまともに受ける。
 カール・ビンソンを連れてこなくても横須賀にロナルド・レーガンが配置されているが、日本列島そのものが不沈空母で、132カ所も米軍基地や施設が置かれている現実を直視しないといけない。第二次大戦後はアメリカに単独占領されたが、東アジアの緊張で常にアメリカの盾にされ、為政者がその尻馬に乗ってお先棒を担ぐおかげで国民生活が脅威にさらされる関係だ。
 対中国、対ロシアでも同じことがいえる。北方領土問題でもロシアが気にしているのは、返還したとしてそこに米軍基地をつくられてはたまらないというのが最大の問題だ。対米従属に縛られて日本は東アジア地域のなかに存在している。従って、これらの国から見たときには、日本列島に米軍が配置されていること自体が脅威になってきた。冷戦構造が崩壊した後も引き続きその関係は変わらない。東アジアの緊張を誰が作り出しているのかは見る者によって真反対になる。
 D 岩国は沖縄の辺野古問題に国民的な視線が釘付けにされている傍らで、極東最大の基地へと変貌してきた。都市改造もすさまじく市街地が原型をとどめていない。巨大な道路群はみな米軍基地に接続してつながり、出撃の際だけでなく米軍が一目散に本国へ緊急避難する際にも大活躍する仕組みだ。愛宕山の米軍住宅といっても基地の飛び地みたいなもので、米軍領を市街地にまで拡大した。インフラ整備もすべてが基地優先だ。地下施設や官舎などいたるものを日本の税金で新規リニューアルしている。東北の被災地以上にゼネコンや関連業者が活況を呈している有様だ。戦後70年も経っているのに真新しい基地に更新して、いったい何年居座るつもりなのか! と話題になっている。
 米軍再編やこうした体制整備はトランプになったからではなく、ブッシュやオバマからの継続で動いている。日本列島に132カ所も米軍施設があることについて、「日本を守るため」と長年にわたって安全保障の欺瞞を振りまいてきたが、アメリカにとっては東アジアへの軍事恫喝の最前線基地にほかならないし、恫喝を加えられる各国もそのように見なしている。そして「アメリカが守ってくれる」どころか、米兵は基地の街でレイプばかりしてきた。オスプレイが墜落しても開き直っている。日本人の生命を守ったことなど一度もない。アメリカのアジア戦略の要衝として単独占領して今日に至っているし、そこから朝鮮戦争やベトナム戦争、イラク戦争などに出撃していった。
 E 北朝鮮情勢が緊迫しているのは、朝鮮半島界隈で32万人を動員した過去最大の米韓軍事演習をしていることが直接の原因だ。米原子力空母カール・ビンソンを中心とする米空母打撃群、佐世保基地配備の強襲揚陸艦ボノム・リシャール、韓国海軍のイージス駆逐艦、原子力潜水艦など60隻余りを朝鮮半島近辺に集結させ、事実上の軍事包囲体制をとって北朝鮮に恫喝を加えてきた。岩国基地所属のF35やグアム配備の戦略爆撃機のB2やB52、米国本土のステルス爆撃機、在韓米軍基地のステルス戦闘機F22など最新戦闘機も動員していた。各国の首脳暗殺や政権転覆作戦を実行するシールズ(米海軍特殊精鋭部隊)やグリーン・ベレー、デルタフォースなどの特殊暗殺部隊も参加させていた。
 そして演習内容たるや「北朝鮮の核・ミサイル発射の兆候があれば30分以内に先制打撃する」というものだ。さらに先制攻撃を仕掛けて北朝鮮のミサイル基地を破壊した後、首脳陣の斬首・除去を実行し、平壌を占領することまで想定したものだ。つまり軍事挑発をやっていたわけだ。この前段をなかったことにしているが、唐突にミサイル騒動に発展したわけではない。
 B アメリカが軍事的脅威を煽って、それに反応する形で北朝鮮がミサイル発射などで対抗している。シリアやイラク、アフガン、リビアなどにアメリカが一方的にミサイルを撃ち込んで、フセインやカダフィを殺害してきたが、報復攻撃できないか核攻撃の脅威がない国に対しては好き放題に軍事力を行使する。無抵抗か対抗力のない者はなぶりものにされる。このなかで、北朝鮮からすると核保有国になってミサイル発射の能力を持つことが自国防衛にとって切迫した問題になっている関係だ。北朝鮮だけでなく中国やロシア、欧米各国の核保有や軍拡もみなアメリカの軍事的脅威との関係において広がってきたものだ。
 第二次大戦後のパクスアメリカーナといっても、その世界支配の根幹にあるのは軍事力だ。トランプが露骨にその力を誇示し始めている意味については、腐朽衰退著しいアメリカの姿ともかかわって考えさせるものがある。
 A 東アジアの緊張を冷静に考えたとき、北朝鮮が先制攻撃することなどまずあり得ない。なぜなら、一発撃ち込んだら最後、それを理由に米軍が圧倒的な軍事力でもって蜂の巣にすることが目に見えているからだ。核開発とかミサイル発射実験は、北朝鮮の側からすると圧倒的な軍事的脅威に対抗するものでしかない。理由もなく日本に発射するような代物ではないし、その場合は自爆を覚悟しなければならない関係だ。「北朝鮮が攻めてくる」とかバカみたいな言説を振りまく者もいるが、そもそも攻める理由がない。北朝鮮の政治支配の体制がどうであれ、それは当事国が決めることであって、善し悪しを部外者がとやかくいっても仕方がない。そのような違いも含めてアジアの近隣諸国として平和外交で関係を切り結ぶことが、地域の安定にとって最も最善の道だ。喧嘩腰外交では話にならない。
 E アメリカとしては、この恫喝外交によって要するに北朝鮮を交渉のテーブルに引きずり出したいわけだ。しかし、北朝鮮はそのつもりはない。中国にも経済制裁を強めるようトランプは要求したが、軍事的にも経済的にも締め上げて軍門に降らせたいという願望がありありだ。朝鮮半島を巡って、米、露、中がせめぎ合っているような構造にもなっている。ロシアが北朝鮮との国境付近に軍隊を配置していることも報道されている。
 C 朝鮮半島に向かっているはずの米空母カール・ビンソンがインド洋あたりをウロウロしていたことが報道されたが、大きいことをいったり踏み込んだ恫喝を加えてみて、各国の反応を見ているというのが特徴だ。北朝鮮が先制攻撃する可能性もないが、アメリカが本格的に攻撃を加えたとして泥沼になることは目に見えている。中東及びシリアの火種に加えてアジアの火種を抱えるような体力がアメリカにあるのかだ。これほどの緊張を作り出しながら、一方で在韓米国人15万人や日本国内の米国人5万人を本国に連れ出すような措置はとっていない。つまり、本人たちは戦争までは想定していないことを伺わせている。ミサイル騒動を煽りながら、安倍晋三が桜を見る会ではしゃいでいるのもその反映だろう。
 B シリアにトマホークを59発打ち込んだのは、中国の習近平と首脳会談をしていた真っ最中だった。これも北朝鮮への恫喝で「武力行使も厭わないぞ」のメッセージだった。他国に恫喝を加えるために見世物のようにシリアに撃ってみせる。シリアからするとたまらないものがある。そして、アメリカの軍事冒険主義に対応してロシアや中国など各国がピリピリする。

急騰みせる軍事関連株 軍産複合体は活況

 D 六カ国協議が開かれていたのは8年も前のことだ。それが決裂して、アメリカ側としては「非核化」すなわち脅威除去のための術がない。それで出口のない挑発の応酬というか恫喝外交に身を乗り出している。一方でこの間みなが目撃したのは、戦争の危機が迫るのと連動して軍事関連株が高騰したことだ。危機を煽ることによって米軍産複合体は日本に高額の戦闘機やミサイルを売りつけてきたし、韓国にもTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備を進めたり、在韓米軍への戦略核兵器の再配備の検討などをしている。他人が血を流すことでドルを稼ぐ武器商人たちが、在庫一掃のミサイル攻撃を大歓迎するし、日本や韓国の国家財政にたかって武器を売りつけていく関係も見過ごすわけにはいかない。彼らにとっては北朝鮮様様だろう。
 E 民需が落ち込んでいるなかで軍需に傾斜していく趨勢は日本も同じだが、軍産複合体という戦争渇望勢力が存在している。アメリカは戦争ビジネスの仕組みが発達して、正規の米軍以上に民間軍事会社などがCIAと組んで作戦を実行したり、まさに戦争がビジネスになっている。イラク戦争やその復興特需に寄生して息を吹き返したハリバートンが代表的だが、政府高官にチェイニーのような軍産複合体出身者が就き、戦争によってみずからがCEOを務めていた会社に利益誘導したりする。戦争がなければ、あるいは紛争がなければ武器商人たちは生活の糧がない。だから謀略でも平気で仕掛けるし、彼らは血に飢えている。
 A 日本は経済的にも軍事的にもアメリカのカモにされている。そして一方で北朝鮮の脅威を煽ることで軍産複合体が大喜びして商売繁盛をやっている。資本主義も末期にきていることを示している。戦争によって打開するのが資本主義の常套手段で、歴史的に見ても“スクラップ&ビルド”をくり返してきた。過剰生産恐慌という不治の病にかかる度に、破壊することによって需要をひねり出していくし、大規模な破壊によってしか資本主義の次なる相対的安定期はもたらされない。第一次大戦だけでは不十分で、第二次大戦によって世界を破壊し尽くしたことによって、ようやく株価が持ち直したことが象徴的だ。
 戦争が接近しているというのは、個別の理由や好き嫌いに拠るものではない。資本主義が行き詰まってしまい、国家財政もデタラメで、打開の方策がガラガラポンしかないという矛盾からきている。これにどう対峙するのかだ。平時に預金封鎖とかデノミをやったときには統治どころではなくなる。戦争のドサクサに紛れて「非常時だ」といってやるのが常套手段だ。それですべてチャラにしたのは、第二次大戦後の日本の経験を見ても歴然としている。

従属下で進む政治腐敗 万事アメリカを忖度

 D 東アジアの緊張を生み出しているのは紛れもなくアメリカだ。この軍事挑発をやめさせることがこの地域にとっての最重要課題だ。森友学園問題などが吹っ飛んで安倍晋三からすると神風になった側面すらあるが、一連の問題を通じて日本列島の置かれている状況が改めて浮き彫りになった。対米従属の鎖につながれたまま近隣諸国と喧嘩腰外交を続けて孤立するのか、平等互恵の関係を切り結んでアジアでの安定を基礎にした独自外交を展開するのか、大きくは二つの選択肢しかない。その際に対米従属に浸りきったパブロフの犬では悲惨な末路しかない。
 A 「国民を守る」といって安保関連法案や特定秘密保護法、国民保護法など整備して、ついに共謀罪まできたが、すべてアメリカの戦争のために準備していたのがあからさまに暴露されている。年次改革要望書や「アーミテージ・ナイ・レポート」の丸写しでこれらを実行してきたが、みなアメリカの要求をなぞっているだけだ。自衛隊を米軍の下請軍隊にして海外に武力参戦させるのも、日本人を身代わりにするためだ。日本列島そのものがアメリカ本土防衛の盾であるし、終いには最前線で鉄砲玉にするというのがアメリカだ。こんなものにいつまで媚びを売っているのかだ。経済的にも米多国籍企業に丸裸にされ、日米FTAで根こそぎ持って行かれるのが現実だ。
 B 一方でAIIB(アジアインフラ投資銀行)を見てもそうだが、アメリカが没落しているのと対照的に成長の余地がある中国が自由貿易を叫んでおり、かつての資本主義とか社会主義とかの世界がひっくり返っている。このなかでアメリカ一辺倒では共倒れの道に引きずり込まれるのが関の山だ。経済発展だけを純粋に追求するなら、アジアの近隣諸国との貿易が日本社会にとってはアメリカ以上に重要な要素を占めているわけで、ここと切り離れて東アジアで存在することはできない。中国人による爆買いを大喜びしているのが象徴的だが、経団連もわかっているくせにアメリカに遠慮して中国からも見透かされている。
 E 東アジア地域において、アメリカの番犬というかハシカ犬みたいな真似をさせられていることが不幸をもたらしている。このハシカ犬が根っからの親米根性を丸出しにしながら、一方で教育勅語を唱えたり、なんだか時代錯誤を連発して世間は驚愕している。この脳味噌の構造はどうなっているのか? という問題意識がある。
 A いわゆる右傾化が心配されてきたが、やっていることは森友学園で暴露されているように国有財産の払い下げであったり、盗人かと思うような低俗なものだ。知識人が「反知性主義者」と高尚な呼び名をつけて品位を持たせているが、要するに「バカ」が跋扈していると嘆いている。閣僚の問題発言とか重婚不倫とかを見るまでもなく、まことに低俗極まりない出来事が連続している。政府が体を為していない。これは対米従属構造のもとでいかに統治機構が腐り果ててしまったかを暴露している。主権がなく思考停止の指示待ちであれば、賢くなくても誰でも大臣になれる。終いには国会答弁を官僚に丸投げするような体たらくで、議院内閣制の建前なども吹っ飛んでいる。対米従属の罪深さを痛感させる。
 B アメリカからすると、賢い人間であったり日本社会に腰を下ろして物事を峻別するような人間よりも、あまり深く物事を考えない者の方が扱いやすいと見なしてきたことは疑いない。問題なのは安倍晋三がバカであるか賢いかにかかわらず、そのような「反知性主義者」のレッテルを貼られまくっているような男を担ぎ上げている背後勢力こそ問題にしないといけない。メディアを抑えたり、官僚機構を抑えたり、安倍晋三の個人的な力量でできることは、せいぜい森友学園への便宜程度だろう。官僚機構がもっとも忖度しているのは安倍晋三以上にワシントンやホワイトハウスだ。メディアもしかり。官房機密費で買収されたり首相と会食をする以前から、海の向こうの判断を忖度してきたのが実際だ。
 E 世界でも稀なる対米従属構造に目を向けなければならない。教育勅語の復活とか銃剣道の導入とか、戦争体験者たちが激怒するような事態が続いている。まるで天皇制軍国主義の亡霊が往生しきれずに、開き直って復活戦に挑んでいるかのような印象だ。しかし、これは偶然ではない。いまになってA級戦犯の孫が調子付いているが、この根は第二次大戦が正しく戦後処理されていないところにある。

売国の根は戦後出発に 未決着の第二次大戦

 D 対米従属におんぶにだっこでやってきて、今や政府や統治機構が腐敗しきっている。さかのぼって考えてみると、やはり第二次大戦に決着がついていないことが最大の問題だ。戦後72年にわたって沖縄や岩国、首都圏など全国各地に米軍基地が置かれ、アメリカによる植民地状態が続いてきたが、天皇制軍国主義の犯罪者たちはその責任を問われることなく、ずるい形で戦後も生き延びた。アメリカは独占企業や統治機構を丸ごと目下の同盟者として従え、アジア侵略の拠点として単独占領した。そのために利用できるものは天皇含めてみな免罪符を与えた。カダフィとかフセインは殺されたが、天皇制軍国主義の戦犯たちは一部を除いて殺されなかった。その違いは何か。揉み手をしてアメリカに屈服したし、アメリカも使えると見なしたからだ。岸信介や大物フィクサーといわれた児玉誉士夫に至るまでCIAのエージェントだったことが暴露されているが、その残りかすが親米派として登用され、「右」風情をやっているに過ぎない。
 C 終戦の過程についてオレンジプランを上げるまでもないが、天皇自身がアメリカとつながって敗戦処理も含めて蠢いている。敗戦になることは44年1月くらいにはわかりきっていた。それで和平の準備を始めるが、そのときに木戸幸一(昭和天皇の側近。戦犯容疑でGHQに逮捕され終身刑がいい渡されたが、その後仮釈放)がいっているのが、天皇の財産をスイスに移すのは容易だが、問題は和平で、国民の反発がすごいことを上げている。それまでさんざん「天皇陛下の為に!」といって親兄弟を失った国民から打倒されることを恐れたわけだ。近衛文麿の上奏文を見てもわかるが、アメリカに敗北することで彼らは国体護持を取引した。原爆投下を待ち望んでいた関係だ。そして駐日大使のグルーとかが天皇を免罪せよとやるわけだ。示し合わせてどのようにして戦後の対米従属をやっていくか画策している。原爆を投げつけ、沖縄戦で県民を殺戮し、全国の都市という都市を焼き払って単独占領したが、統治機構が丸ごとアメリカと結託していたから武装解除がすんなりと進み、無抵抗で米軍は乗り込んだ。統治機構が反発していたらイラクのように泥沼になるのが普通だ。売国の根が72年前の戦後出発にある。
 A アジア各国に対しても正しい対処ができずに、戦後からこの方アメリカ一辺倒できた。70年以上が経過してパクスアメリカーナの終焉と共に一緒に沈んでいこうとしている。終いには日本の若者を米軍の鉄砲玉としてかり出すところまできた。諸悪の根源である日米安保と対米従属の鎖を断ち切らない限り、どこまでも民族的利益をむしりとられることは疑いない。落ち目のアメリカに抱きつかれて盾になるのか、真に独立と平和を勝ちとり、平等互恵の関係をもとに国際社会と渡り合っていくのか、日本社会にとっては命運がかかったものだ。

狂暴性は危機の裏返し トランプ登場の米国

 B トランプになってアメリカの狂暴性は露骨になっているが、危機の裏返しでもある。中東はどうしようもないほど泥沼化しており、シリアでもミサイルを撃ち込むだけでその後の戦略はまるでない。確かに軍事的な緊張は高まっているが、アメリカの世界戦略はみな破たんの危機に瀕している。軍事力による恫喝外交でどうにかなるのなら、オバマが「核なき世界」を叫んで欺瞞したり、苦労することなどなかった。世界各国も見透かしている。70年以上を経て一極支配は終わろうとしている。
 E 新自由主義を唱えて市場原理主義によって一極支配をはかってきたものの、半世紀近くを経て、そのグローバル化・新自由主義の総本山である米英でこそ階級矛盾が先鋭化している。足下から大衆的な反撃の狼煙が上がっている。だいたいトランプの存在自体がアメリカの危機の産物だ。それが多極化する世界を向こうに回して恫喝外交をやり、大きい声を出してみせている。しかし、すべてが思い通りになるわけではない。思い通りにならないからこそ、最終手段である軍事恫喝に訴えている関係だ。
 B 戦争の時代をどう乗りこえるかだ。資本主義末期の死にあがきに際して、世界的な人民世論とつながって戦争を阻止することが重要課題だ。リーマン・ショックまできて、資本主義の次の未来を誰もが渇望している。そうした世界的な潮流とつながって進むことが大切だ。グローバル化は反面で世界各国の人民同士もつないで、共通の敵を見やすくしている。二度も三度も世界中が殺し合うような真似をしていたのでは、人類は猿以下といって笑われる。戦争や軍事的脅威を煽る者を炙り出して、自国だけでなく各国の人民生活を互いに尊重しあう関係を切り結ばなければ始まらない。放火魔が油をまいて回るような状況を各国で押しとどめなければならないし、日本社会にとっては何より対米従属の打破こそが重要課題だ。

 

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