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際立つ婦人の運動意欲
             ゴミ袋値下げ署名取組む看護婦座談会  2003年6月21日付

出席者
西山幸子 50代 看護師 娘夫婦と孫2人と同居
永見光恵 40代 看護師 高校生の娘
秋吉愛子 50代 看護師 夫と娘2人
東 君枝 40代 看護師 夫と小学4年生、息子夫 婦と同居
     (名前は仮名)
 有料指定ゴミ袋を値下げさせる署名運動をとりくむ看護師さんに、下関市内のある老人医療施設で昼休みに集まってもらい、生活や仕事、さまざまな問題意識について語ってもらった。
   
 政治家と全く違う「1袋50円」の重さ
 編集部
 ゴミ袋値下げ署名のとりくみは、母親のパワーが圧倒している。その力はどこからくるのか。
 西山 とにかく給料に引かれものが多すぎる。社会保険料、厚生年金、介護保険料、住民税、雇用保険料と、手元に来るまえに何万、何万と引かれていく。このたびからボーナスはぐっと少なくなっているうえに、社会保険料と厚生年金が引かれるようになり、手取りは14万円もへった。
 永見 うちの息子が仕事をやめて失業するなり、すぐに市役所から国民年金の請求がきた。前年の収入をもとに、6万円も請求してきた。就職すれば社会保険になると思い、そのままにしていたら、市役所から係員が訪ねて来た。「滞納しているのだから、払ってもらいます」「払わないと、なにかが起きても保険はおりませんよ」「国民の義務ですから」と、もうなかば脅しだ。
 秋吉 とれるところは、容赦しないということだろう。
 永見 息子は25歳で住んでいるところも別なのに、「世帯主はお母さんでしょう。一括で支払ってください」という。いまわたしは高校生の女の子を扶養している。家族にごはんもたべさせて、ローンも払ってやりくりしているのに、とても払えない。
 西山 わたしも主人といっしょに社会保険事務所に行って年金の額を聞いてびっくりした。まえ調べたときより低い。「どうしてか」と聞くと、0・9%減額したとのことで、国が決めたことだからしかたがないといわれた。毎月、社会保険料をしっかりとって、ボーナスまでとっているのに。
  わたしの息子は国の保険制度に入っていない。国保の請求がきても、滞納額がいくらふえても気にしない。かわりに民間生命保険の生涯年金をかけている。だけど生保の利率を下げられ、国も支給額を下げるではみんなたまらないと思う。
 西山 いまからはかけていても、もらえなくなる。国民に納税の義務というが、国は約束を守らない。
 秋吉 大きな会社の部長さんが、介護の資格をとりにきた。「この人がなぜ」と思うのだが、みんな将来にたいして不安になっている。もし首が飛んでも資格を持っておれば、なんとかなるかもと考えている。
 西山 将来の不安を反映してか、職場にまで「20万円でケアマネージャーの資格をとらないか」などと、勧誘の電話がよくかかるようになった。どこの家庭も年収は下がっているのに、消費税は2ケタという。介護保険料もとるようになった。そのうえにゴミ袋の有料化だ。
 永見 ゴミ袋の原価は5円もかからないのに、50円もとられる。このたいへんなときに、10枚で500円はきつい。
 西山 これまで市政のことなど、考えたこともなかった。政治家など上の人たちが考えることと、わたしたちの考えている50円の重さは全然違う。防府では同じ指定ゴミ袋でも、全種類をセットで買っても六百数十円だ。なぜ下関では2000円以上もするのか。
 永見 署名をするなかで、みんなに1枚50円もすることを話したら、半分あきらめていた人が協力してくれた。
 秋吉 市はこの指定ゴミ袋代で、年間何億円もの収入を見こんでいる。市民からまた別に税金をとろうとしているのだ。そのお金がいったいどこにいくのだろうか。
 永見 りっぱなリサイクルプラザができている。なぜ何十億円もかかるような建物が必要だったのだろうか。分別収集にしたら現業職員もたいへんになるといっていた。
 西山 高くしたらゴミの量がへるといっているが、市民をばかにしていると思う。よその市では決めたところに、市民はきちんと分けて出している。ビニール袋、パックなど、出す人たちがビシッとしている。子どもたちの世代のためにできることはやろうと、市民は市が考えているよりしっかりしている。
   
 安心して子どもを育てることもできぬ
 永見 収入は決まっている。引かれものがあり、それから住宅費を引かれて、あとは食費、水道代、光熱費、ここの部分からケチるしかない。娘とも話したのだがファミリーレストランで定食を三百数十円で食べ、銭湯でも利用した方が安くつくのではないか。ゴミも出ないことだし。主婦は一家をあずかっているからどこも必死だ。
 西山 うちも1日の食費を1000円に抑えるよう、なるべく使わないようにしている。家庭では主婦しか削る人はいないのだから。
 東 公共のものがどんどん高くなっていく。水道代、電気代、ガス代にゴミ袋代と家計はたいへんだ。主人は造船所に勤めており、いい給料をもらっていたころ、マイホームを建てた。会社が赤字を出して賃金は下がってしまい、いまはローンを払うのに一生懸命で、まさかこんなことになるとは思わなかった。
 永見 女性はいくら銀行に勤めていても、子どもを産むと一時休まなければならず、出てみると仕事がなくなっている。つぎに働くところは見つからない。だから子どもには一生を困らせたくないから、むりをしてでも高い学費を払うようになる。
 秋吉 大学に行かせると、4年間でゆうに1000万円はかかる。子どもを大学にやるために借金をしている人が、どれだけいることか。それでも大学を卒業しても給料はほんとうに少なく、うちの職場でも若い人は結婚もできないといっている。
 西山 保育料もすごく高い。病院に勤めている娘には2人の幼児がいるが、1カ月で合わせて9万円かかる。半分は保育料のために働いているようなものだ。
  親は時間をくぐりぬけて、お迎えに行っている。親がいない家では、兄弟2人が必死にがんばっていた。小・中学校も給食費や教材費、修学旅行の積立金、アルバム代など、学校に月に1万円ぐらいは持っていっている。
 永見 子どもにしてやれることは、離婚をするにしても、夫が死んでも、首を切られても、自分で稼げるようにどうするかどうか。わたしは家にコメがなくなったり、借金で苦労した親の背中を見て育ってきた世代だから、子どもにはそうなってほしくないと思っている。
 秋吉 わたしたちのころは、まだ夢があふれていた。好きなことができると思っていた。いまの子どもたちは食べるために、どう生きていくかせっぱつまっている。また、老人を見れば食べるものさえろくにない、悲惨な人たちがたくさんいる。
   
 年寄りまで生活苦 心苦しい介護現場
 西山 訪問介護に行くと土間に布団を敷いて、そこで寝起きから尿や大便までしている人、ラーメンのカップで、食事をしている人など、年金だけでなんとか生活していた人は、もろにしわ寄せがきている。
 永見 1週間で大根1本だけを、7切れに分けて食べているお年寄りがいた。なぜそんなことをするのかと聞くと、「子どもにお金を残さないといけない」という。
 西山 介護保険も自宅でめんどうを見るためにつくったのに、以前より待機者が多くなっている。介護保険で安心したという人が、それほどいないということだ。
 秋吉 あるおじいさんが、いい気持ちで施設に来た。子どもから1000円もらって、好きなお酒を買って飲んだという。1000円がうれしくてたまらないくらい、その1000円に困る生活をしている。
 西山 納屋に住んではうようにして庭に出て、キュウリやナスをもいでたべていた人や、ぬかを食べてしのいでいた人もいた。わたしたちが考えられない状態になっている。現役世代はみんな中流意識をもっているが、リタイヤすればそうなりかねないということだ。
 秋吉 明治、大正、昭和を生きぬいてこられた人たちが、最後になって食べるものも保証されないような、あんな姿を見ると心苦しく情けなくなってくる。
 西山 うちの母でも年金は7万円しか出ていない。あれでやっていけるわけがない。ボーナスから年金をとるようなことをして、いったいどんな運営をしているのだろうか。
 秋吉 国のことを信用できなくなる。みんなギリギリのところで生活している。5〜6まえだとまさか給料が下がると思っていた人は少なかった。わかっていたら家も建てなかったと思う。ローンや税金で首をしめられて、みんないっぱいいっぱいだ。有料指定ゴミ袋にこだわっているのは、そのほかのこともあるからだ。いおうにも機会も手段もなかった、母たちの叫びだと思う。

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