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小泉モデル市政への審判
合併に伴う下関市長選
             安倍支配の植民地政治   2004年12月9日付

 下関市と豊浦郡四町は、来年2月13日の合併と、それから50日以内の市長選挙へむけて動き出している。7日には江島潔・下関市長が出馬表明をし、そのほかに中尾友昭県議、亀田博元市長などの名前も上がっている。市民のなかでは、3期つづいた江島市政への嫌悪感はうっ積したものとなっている。「市民のいうことをまったく聞かずに好き勝手をする市長」という評価は渦巻いている。だが選挙では、市民の支持のない市長がとおってきた。今度名乗りを上げている部分も、結局のところ自民党・安倍晋三事務所の支持をとりつけるかどうかが焦点のようで、そこまでが下関の市長選挙で、あとはセレモニーといったパターンをくり返してきた。この状況はなぜできあがっているのか、市民はどうすれば民意を反映する市政をつくれるのか、この間の出来事を締めくくって考えてみたい。
   
 市民無視の江島市長 選挙安泰の構図で横暴
 下関市と豊浦郡4町の合併まで2カ月とわずかとなり、新市長を決める選挙までは、3カ月半ほどと迫った。江島下関市長は12月市議会の本会議で出馬表明をおこなった。江島市長は「合併をめざしてとりくんできた新市で、リーダーとしての役割について有権者に信を問いたい」「新市建設計画を着実に実行していく」などと、合併特例債400億円以上をかけた新市づくり、すなわち大規模箱物である新市庁舎建設に意欲を燃やしていることを示した。
 市長選では、ほかに中尾県議や亀田市議が動いているが、公に名のりを上げるところまでいっていない。自民党安倍事務所に認められるかどうかに勝負をかけているのか、わが身を削ってそれと対決してやる気なのか、市民の目からは判然としない。こうして、下関市政はじまって以来の不評な市長にたいして、無投票の心配すらささやかれている。
 自民党下関支部と豊浦郡4町各支部が11月28日、県議、市議、町議など役員を集めて、「安倍晋三先生を総理にする会」の発足会をやった。その場で、非党員の江島市長が招かれたこと、そして「下関市長はあと1期江島氏でやり、つぎは友田有県議」と話され、不満も出たが、安倍事務所をあげて江島市長選応援をやる意志表示と受けとめられている。 
  「江島市長は市民のいうことをまったく聞かず、大企業利権で突っ走ってきた」といわれる。昨年12月、有料指定ゴミ袋値下げを求める署名10万人分を、母親や職場、自治会などが集めて提出しても、江島市長は「10万人でも20万人でも下げる気はない」と拒絶した。地元建設業界から、ダンピング入札政策をやめるよう要求があがっても、「1万人の建設業者にとおしてもらっているわけではない」と、頭ごなしにはねつけた。海外視察は3期目の1年9カ月で15回、そのほか国内出張に出かけて市役所にいないから、地元の業界団体や市民からの陳情すらほとんど受けつけない。
 なぜ市民のいうことを聞かずに市長をつづけられるのか。選挙が安泰だからである。下関では安倍代議士に飼われたなら、市民に嫌われても市長ができることが定説になっているのである。江島市長は後援会を持たない。選対本部は安倍代議士が事務所をあげて、秘書、人手をくり入れなければ、テント一つもはれない。そして市長をつづけている。

 実態は野党の自民 実際的な与党は公明・連合の方
 安倍事務所も不可解なところで、下関の自民党員のほとんどは、建設業者を先頭に商工業者にしても、自治会などの老人層にしても、農民や漁民にしても、応援はするがしめあげられるばかりで、動きも鈍くなってしまった。安倍事務所選挙で、近年活躍しているのは公明党と三菱や神鋼などを中心とする連合下関などである。安倍事務所は看板は自民党だが、実態は「公明・連合」党のようになっている。下関の自民党員の方は看板だけが与党で実態は野党であり、公明、連合の方が実際的な与党になっている。
  連合下関は三菱重工労組が議長を務め、サンデン労組、神鋼労組など、選挙のたびに安倍事務所と呼応してきた。安倍元幹事長の出身企業でもある神戸製鋼所関連会社は、この4年間で奥山工場ゴミ焼却炉を約110億円、リサイクルプラザ60億円をはじめ、環境行政を独占した。三菱重工は新水族館機械設備で三十数億円、し尿処理施設に食いこんだ。大型公共事業の落札率は、1件をのぞいてすべてが100〜96%と鈴木宗男被告もうならせる官制談合がおこなわれた。ちゃんと企業が選挙の見返りを得ているのである。
 自民党でも、林派は安倍派に対抗する意欲がなく、利権のおこぼれで安住する状態。とくに安倍晋三氏が先に幹事長になったことで、芳正氏の落胆はピークに達したと語られている。民主党も、連合は安倍派であり、まったく力がない。「共産党」の看板をかける連中も、労組関係は企業乗っ取りに憂き身をやつしたり、商工関係も利権のおこぼれで票をつなぎ、弁護士は裏世界で活躍状態で、対抗軸にはならない。
 市議会は、江島横暴市政になんのチェックもせず、オール翼賛議会となり、去勢された飼いネコのような姿となっている。こうして、下関の市長になるには、市民の声を聞くのでなく、安倍事務所の機嫌をとっておれば大丈夫という構造ができてしまった。

 下関の選挙自体を破壊
 江島市長がはじめて当選した選挙は、反自民党の格好をして、自民党批判勢力を結集していたが、裏の方では安倍事務所の支持を受けており、反自民票に加えて自民票も集めるわけだから、当選まちがいなしという芸当を演じた。
 当選すると、人工島建設をやめるという公約などすぐにとり下げ、安倍事務所ににらまれながら応援した反自民勢力を簡単に切り捨て、裏切りをやった。再選された江島市長は、1期目に協力し幻滅した業者をA級、B級戦犯と分類した「戦犯リスト」なるものをつくり、入札排除するという義理も人情も縁もゆかりもない無慈悲な報復を加えた。ちなみに現在では、オール業者入札排除状態となった。
 あとの選挙は、安倍事務所の力頼みで、選挙本部へのスパイ配置、警察の露骨なとりしまりや誹謗文書の配布など、謀略じみた手口でつぶす構造が働いた。つぎの選挙は、対抗者が出るまえにつぶし、選挙ははじめから安泰体勢をつくった。そして今回である。
 この選挙は、安倍氏にとっても大事な選挙とみられている。「総理候補」とはやし立てられているが、すでに破れかぶれ状態になった小泉首相がつぶれたら、それで消えてしまう運命もチラついている。実弟の岸氏の選挙でも、下関では弱体の民主党候補と拮抗状態の票しか集まらず、下関市民の批判がいかに強いかをあらわした。地元で恥をかいたのではたいへんだという関係がある。
 こうして下関では、まともな選挙ではなくなっているのである。これは戦後日本の選挙をもとにした「議会制民主主義」というインチキが、この下関で模範的に実行されていることを教えている。リトル小泉の安倍氏、超リトル・江島氏とつらなって、小泉政治の全国的に突出したモデル市政になっているのである。
   
 候補者縛る力結集を 市民各層の運動広げよう
 そのような選挙構図のなかで、さんざんな目にあっている市民はどうすればよいか。いい人が出てくれればと期待しても、なんともならない。これはだれとだれがどのように対立しているかを鮮明にして、真の抑圧者にたいして市民の大衆的な運動を強める以外に活路はない。市政の主人公は、理念の上というより実際的に勤労市民であり、市民が働くから市の税金も入り、いかなる権力者といえども、それがなければ利権あさりもできないし、支配者にもなれないのが実際である。
 安倍事務所のカイライというべき江島市政はなにをしてきたか。
 3期目の江島市政は、神鋼や三菱などと組んだ利権事業に大盤ぶるまいをしながら、地元の中小企業を切り捨て、市内の労働者を人間的生活ができないような労働条件にさせる旗振りをし、ゴミ袋では高い料金をとり、教育費としておりてくる交付税は利権事業にとりこんで、失業か半失業にある親たちからとりたてて、子どもたちに暗い顔をさせる方向を突っ走ってきた。保育、幼稚園などは高負担と閉鎖政策、高い国保料で滞納者は医者にかかれぬようにし、生産的な企業は流出にまかせて下関の富を持って逃げるだけの大型店ばかりを出店させ、下関を失業と生活難と自殺の町にした。

 奴隷労働を強いるダンピング入札
 江島市長は2002年8月から全国2番目で、条件つき一般競争入札および電子入札を導入した。ダンピング入札による地元つぶしである。これは小泉首相の地元・横須賀市についで安倍内閣官房副長官(当時)の下関市がつづいた。最低制限価格を75%としたが、今年6月からはそれも撤廃して、底なしのダンピング競争にたたきこんだ。
 このため、経営を行きづまらせ、みずから命を絶つ中小業者があいついだ。建設業者は仕事が担保であり、金融機関から融資を止められれば倒産しかないから、ダンピング競争をしてでも仕事をとる。市内で約1万2500人の建設業にたずさわる勤労市民が、半失業状態と劣悪な低賃金におかれている。家族もふくめると3万人以上の市民が、師走の寒空の下で不安定な状態に追いこまれている。
 建設労働者が、夜は代行タクシーや人材派遣会社などと、かけ持ちで働くため体はボロボロで、まさに奴隷生活となっている。昨年1年間の労災死亡事故は5件にのぼり、過去20年間で最悪となった。高校生の就職口はなくなり、ベテランも使い捨てされている。行政の主導で、最低賃金制度も労働時間制限もない、不安定雇用など、その地位の低下に全市内の労働者を追いやる旗振りをしている。

 子供の笑顔を奪う教育費ピンハネ
 小・中学校の教育費は毎年10%前後カットで、小学校の学校図書購入費は県下の市で低い方から3番目(2002年度調べ)だった。地方交付税としておりてきても、利権事業の方にピンハネされるから現場には回ってこない。校舎改築は2年に1校のペースで、小・中学校50校あることから100年間待たなければならない。老朽化による外壁はく離で進入禁止ロープをはっているところもある。壊れたままのトイレ、机やイスが破損したまま子どもに使わせている。プリント代、トイレットペーパー、理科の実験代などと、教材費まで親に負担をかぶせ、不平等で親だけでなく子どもたちの心を暗くさせている。
 文科省が国庫負担を削減しているが、江島市政は山口県の他の市町と比べても極端に教育予算をピンハネしている。給食費すら払えない家庭もふえるなかで、下関の教育に深刻な傷を残している。
 市立第三幼稚園の休園計画が今年6月に明らかにされ、保護者や地域に反発が広がった。昨年9月には、第二、桜山幼稚園の2園が、園児募集基準の数が満たなかったとして、休園発表がおこなわれている。「突然の休園は納得できない」と、親や地域住民が署名運動をとりくみ、計画撤回にまで追いこんだ。市立幼稚園・17園に子どもをかよわせる父母、関係者は、少子化対策がとられずに論議や納得のいく説明がされないまま、マスコミ発表がおこなわれたものだった。
 下関市立大の2004年度予算は12億5400万円で、学生の授業・入学料と141万円の差しかなく、自主財源比率は全国公立大でワースト1。地方交付税3億〜7億円は過去10年間、ピンハネされつづけている。体育館はカベがゆがんで基礎にヒビが入ったままで、田舎の中学校よりひどいが、改築は来年度も先送りされるすう勢。パソコン台数はふやされたものの17人に1台で、市内の大学でもっとも少ない。市大の教員1人当りの学生数は41・5人(全国の公立大学61校のうち2番目の多さ)で、非常勤ばかりで時間外は質問をすることもできず、職員数も少ない。地元はもとより全国から集まる市大生のなかからは2〜3年のあいだに、市役所前で抗議ビラを配り集会を持ったり、市長に問いつめるなど行動も起きている。
 昨年7月から新ゴミ収集体制がスタートした。全国でも笑いものになった高額な有料ゴミ袋の値下げを求める署名運動は、台所を切りもりする母親たちを先頭に全市的なとりくみとなった。自治会や病院、工場など、署名簿が手から手へと渡されて、10万数千人分の署名が集められた。とりくんだ自治会や婦人会からは、地域に不法ゴミがふえつづけ衛生上も悪いと危惧(ぐ)が語られた。民生委員など地域の世話をおこなう人人からは、年金切り下げなど食べることもやっとの高齢者や、収入が少ない学生、子育て世代に負担が大きいことがのべられた。このなかで母親たちは街頭や地域での署名活動とあわせて、学習討論会を開き、ゴミ袋の値段を提案した坂本紘二・審議会会長に質問をぶつけたり、下関市に環境行政について問題点を明らかにしていった。
 リサイクルプラザや奥山工場ゴミ焼却炉が、170億円以上もかけた豪華なもので、建設から運営管理にいたるまで、神戸製鋼所と江島市政の利権になっていることが知られるところとなった。有料ゴミ袋値下げにとどまらず、市民からピンハネして利権事業に注ぎこむ江島市政に、まともな市政運営を迫るたたかいとなった。

 甚しい歴史文化の破壊
 文化政策も、下関図書館は山口県でも突出した貧相なもので、歴史的な建造物として保存運動が起きた第一別館は放置したまま、郷土の誇りである吉田の東行記念館から高杉晋作史料が持ち出されたが、それを容認。下関の歴史の冒涜、文化の破壊ははなはだしい。
 そして、海外旅行は県知事よりもはるかに多く、遊びほうけているとの批判が渦巻いている。さらに家庭崩壊ぶりと女性関係の醜悪さも市民の評判となった。11月中旬には9日間にわたり“失踪”したが、「リフレッシュしてきました」と、真相は明らかにされないまま居なおり状態。
 今年春には、山口家庭裁判所下関支部で夫人相手に離婚訴訟を起こした。「原告と被告は性格と生活の仕方があわず…ふたたび婚姻生活を送る意志は毛頭なく、二人の生活はすでに破たんしている」という訴状を出した。市民のあいだに驚きが広がると離婚訴訟をとり下げて、「つくりごとだ」「天地神明に誓って(女性関係は)ありません」といって、夫人同伴で人前に出ていって芝居が平気でできる人物であることがまた人人をビックリさせている。
 豊浦郡4町の住民は、下関市への吸収合併にたいして危機感を大きくしている。4町の財政もあわせて下関市が握るため、「内日のようになってしまう」と語られている。町役場はなくなり、学校は統廃合されて、農漁村や山間部はさびれるにまかされることになる。郷土の生産、生活を守るたたかいが、切実なものとなっている。
 以上のような江島市政の特質は、市民の市政ではなく、植民地略奪者の市政である。それはアメリカ育ちを心の古里にし、下関を略奪しにあらわれた政治ということができる。それこそアメリカのカイライ政府の姿を露骨にあらわす小泉政治の忠実なモデル市政にほかならない。
 このような政治にたいして、市民の大衆的な運動がもっとも力になる。ゴミ有料化反対の力、さらにダンピング入札をやめさせる力の結集、教育費をまともに出させる要求、大型店出店を規制させる要求、東行庵再建など郷土の歴史をたいせつにさせる要求、豊浦郡をふくめた農漁業をまともに振興させる要求など、各層の要求での世論と運動を広げることである。
 それらの市民の要求をもとに、候補者に圧力を加え、実行を確約させるとともに、当選後もしめあげる力を結集することである。その力が強まるなら、よりまともな候補者をかつぐこともできる。下関の市長選挙をあやつる自民党安倍事務所支配をガタつかせるような力の結集が最大の注目点である。

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