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国差し出す売国かいらい政府
段階画した隷属関係暴露
                オバマ訪日で直接圧力     2014年4月28日付

 「アジア重視戦略」をうち出している米国大統領のオバマが23日に来日し、行き詰まっているTPP交渉の妥結に向けて日本側に直接圧力を加え、次の訪問国である韓国へと飛び立っていった。本来、国賓待遇で招かれる外国要人は迎賓館に宿泊し、なおかつ夫人を同伴させ、国会演説をするのがしきたりだったところ、今回は米国側の要求でみな省略され、さらに期間中は「前代未聞の共同声明延期」が取り沙汰されるなど、異例づくしの三日間となった。TPP交渉については、両国首脳の間でどのようなやりとりが交わされたのか真相は公表されていない。「ともに政治事情がある」(オバマ)なかで、さも難航しているように見せかけて、実質合意をとりつけている可能性すら取り沙汰され、日本側が相当に譲歩を迫られたことを伺わせている。
 
 日本側に利益なにもないTPP「交渉」

 米国大統領が国賓として訪日するのは18年ぶりで、首都圏には1万6000人の警察官が動員されるなど、戒厳令が敷かれたような騒ぎとなった。今回の訪日の目的が友好親善という抽象的なものでないことは、米国側の態度に如実にあらわれた。国賓級という安倍政府にとって最大のもてなしをあえて拒否し、米国大使館に近いホテルニューオータニに宿泊したり、大統領護送車も日本側が用意するものではなく、米国本国から飛行機で持ち込んだり、さらに首脳会談後の共同会見で、ファーストネームで呼びあおうとする安倍首相の誘いを最後まで拒否していた姿も、現在の日米関係を端的にあらわした。そうした「同盟国」首脳に笑いかけたり、苦心すればするほど、隷属的でみっともない印象を強めたのが安倍首相だった。
 23日に訪日すると、安倍首相主催の非公式夕食会が銀座の「すきやばし次郎」(米国側が店を指定)でもたれ、翌日には赤坂の迎賓館で首脳会談が開かれた。共同記者会見では「日米同盟がアジア太平洋地域で主導的な役割を果たすことで一致した」とアピールし、オバマが尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象であると述べたことをもって、「大統領みずからが明言した」と意味合いの大きさが強調された。また、安倍首相が「バラクから集団的自衛権について評価された」と喜んでいる姿もテレビで生中継された。ただ、24日段階ではTPP交渉については決着に至らず、共同声明は延期された。ひき続き秘密の閣僚級協議が続けられ、甘利担当大臣がテレビに登場してはくたびれた顔をして、「合意には至っていない」とくり返すことになった。
 「尖閣諸島は日米安全保障条約第五条の適用範囲内にある」という米国側の態度や表現は、既にオバマ政府がうち出してきた見解で目新しいものではない。ところが、これを「大きな成果」として、その交換としてTPPを日本側が呑むか、呑まないかを問う構図になった。TPPをめぐっては牛肉や豚肉について大幅な関税率のひき下げが米国から求められ、さらに自動車についても日本側の安全基準を緩めるよう要求されてきた。自国の輸出産業をテコ入れして、1億2000万人の人口を擁する日本市場をはけ口にするという、米国側の死活がかかった要求として関税撤廃が突きつけられた。これに対して、「合意ではない」としながら、「大筋合意」が報道されたり、フロマン米通商代表部代表から夜通ししごかれていた甘利大臣が「(山登りに例えると)八合目くらい」と発言するなどして、合意の詳細については煙に巻いている。
 国賓というより米国大統領みずからが直接殴り込みをかけて、煩わしい国会演説や儀式を省いて果実だけとっていく。そのさい、オバマ訪日にともなうTPP合意というのではあまりに露骨で、傀儡の安倍政府にとっても痛手が大きすぎる。実は秘密裏に全面合意しながら、公表の仕方を検討中という状況であっても何ら不思議ではない。対応の一つ一つを見ただけでも、こけにされてなおしがみつく安倍政府の卑屈さを感じさせるものとなった。
 TPPにしても、「評価された」と喜んでいる集団的自衛権の問題にしても、日本側の国益は何もなく、みな米国の国益のために要求されてきたものにほかならない。日本側が得をするようなことは何一つないなかで、求めるものがない「交渉」がやられ、次次と譲歩を迫られる関係を暴露している。
 TPPのひき替えに米国が尖閣を「守る」「中国との平和的な問題解決を望む」というのもたいへんな欺瞞で、もともと米国詣でをした石原慎太郎を通じて焚きつけた領土問題や衝突にほかならない。日中関係の激化も米国の関与抜きに考えられるものではない。世界経済が破綻に瀕して、太平洋のアジア各国をブロック経済に囲い込むために「アジア重視戦略」をうち出し、直接には中国と対抗していくためのTPP包囲網、アジア市場の争奪戦に、米国が身を乗り出している。この軍事的な緊張関係を日本側の売国奴たちが肩代わりして、調子づいているだけである。
 無人島の尖閣諸島が安保条約の範囲に含まれるといって喜び、そのために集団的自衛権の行使、すなわち尖閣どころか地球の裏側まで米軍の鉄砲玉になって駆り出されるような、バカげた政治が真顔でやられている。「守られる」のではなく、標的になる道を「評価された」と自慢し、今や日米「安保」条約からもはるかに段階を画した対米従属の関係を深めている。
 国益のすべてを差し出していく為政者のだらしなさや卑屈さと同時に、米国の横暴なる振る舞いを見せつけたオバマ訪日となった。

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