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国民から遊離する政党政治
統一地方選結果
          人民的な政治勢力切望   2007年4月9日付

 7月の参議員選挙をまえにした統一地方選前半戦は、翼賛政党にたいする不信を鮮明に突きつけた。似たもの同士のポスト争いは争点が不透明で、投票率は「戦後最低」が続出。国民にそっぽを向かれた政党政治の崩壊と、支配勢力の権威崩壊を印象づけた。自民党の凋落が浮き彫りになる一方で、それにたいして全国民世論を喚起するような対抗勢力がおらず、既存の野党の貧弱さ、無力さが落ち目の自民党を助けた格好にもなった。

 投票率は各地で「戦後最低」
 大騒ぎした東京都知事選挙では、オリンピック招致云云が「小泉郵政劇場」ばりに連日商業マスコミによって騒がれた。そのなかでいわゆる「対立候補」というのが石原慎太郎氏のファッショ政治にたいする対抗勢力と見なされなかった結果になった。首都の約104〇万人の有権者のうち石原氏の得票は約281万人で、過去最高の300万票を上回った前回からはガタ減りとなった。13知事選のなかでも有権者全体のなかに占める得票率は27・5%で最下位。都民の4分の1にしか認められない知事となった。約760万人が批判票を投じるか、あるいは棄権した。
 投票率が49%だった福岡でも、自民党・麻生渡氏の得票率は27・8%で、石原氏を0・3ポイント上回った程度。連合など労組の8割が支持するという翼賛体制にもかかわらず、有権者の7割以上が批判票を投じるか、選挙そのものを相手にしない行動となった。
 13知事選のなかでは、東京都、北海道、福岡県以外の10県で投票率が軒並み下がった。自治省出身候補を自民、民主、公明、国民新党の「与野党相乗り」でおす構図になった福井県では、12・35ポイントも下落した。同じく厚生政務次官出身候補に自民、民主、公明、社民まで相乗りした三重県は5・6ポイント減少した。「日共」が、負け候補を出しただけの「消化試合」になったところでは、奈良県の10・5ポイント減少が大きかった。
 道府県議選では、44あったうちの28県で戦後最低の投票率を記録した。しかも冷めたなかで、自民党が各地で惨敗したのが特徴となった。44道府県の前回当選と比較すると、自民党は1309あった議席が1212にまで落ち込んだ。批判世論の隙間で伸びたのが民主党で、205から375になった。「日共」が微減となったほか、社民は73から52まで凋落した。
 自民が97議席減らしたうちの6議席が山口県(選挙前の自民会派の人数からは10議席減)で、そのほか中国・九州地方では長崎県で8議席減。福岡県・大分県で5議席、熊本県では4議席、佐賀県で3議席、島根県・宮崎県では、1議席をそれぞれ減らした。政党看板(公認・推薦)を正面に掲げた選挙で、全国的に共通した傾向があらわれた。
 長崎県は自民が12年ぶりに過半数割れに追いこまれ、今回の選挙では公認した29人のうち10人が落選。小泉構造改革による切り捨てが著しい壱岐・対馬の4離島区ですべて振るい落とされている。税金を投入した、新幹線駅舎建設でもめている滋賀県では、計画凍結を掲げた「無党派」知事が誕生したばかり。今回の選挙では引き続いて、最大会派だった自民党が24人の公認候補のうち8人落とされて過半数割れに追いこまれた。過半数をかつがつ確保したものの、「安定多数」議席を失った山口県議会・自民党会派は、無所属を取り込む始末。各地で支配勢力を震撼させる結末となった。

 中央官僚の配置目立つ地方政治のトップ
 統一地方選がおわって、自民も民主も不景気な顔つきで「勝った」「躍進した」といい、安倍首相は「7月の参議院選につながる」と強がった。塩崎官房長官は東京都知事選の石原氏当選のみ抽出して「信任を背に重要法案を成立させたい」と発言。中川秀直幹事長は「圧倒的な勝利を得た。北海道もとれた意味は大きい」とした。民主党・鳩山幹事長は「道府県議選では民主が勢力を拡大した」のだと強調した。
 今回の統一地方選のなかでは東京都知事選をはじめ、政党不信の高まりを反映して「政党隠し」がおこなわれた。そして全般として争点が不鮮明であった。近年、国民の5割ともいわれる「無党派層」すなわち信任できる政党や候補がいないと見なしている人人が、投票に行かない選挙ほど自民党が少ない組織票で切り抜ける構図で、自民党本部は、今回も「寝た子を起こすな」「無党派を刺激するな」という戦術に徹したことも一部暴露される始末である。
 そして「対抗勢力」と描かれる民主党もアメリカ仕込みの企業利益代弁者のようなもので、いわゆる2大政党のどちらが天下をとるかは国民にとってさほど意味合いを持たないという点で世論は踊らず、低投票率という極めて冷めた結果となった。アメリカで共和党・ブッシュが大統領になろうが、民主党・クリントンが天下をとろうが、大資本代弁の戦争狂に変わりないのと同じである。また、社民や「日共」という堕落野党には批判票が集まらないことも鮮明になった。
 多くの人人にとって真に大衆世論を代表する政党・候補が見あたらず、受け皿がない状況を反映した。凋落していく支配勢力にとって変わる、大衆の代弁者たる政治勢力の登場が切実に求められていることを物語っている。
 なお低調だった選挙では、道州制論議が本格化するのと合わせて、中央官僚がつぎつぎに地方政治のトップに君臨する配置も目立った。47都道府県のうち官僚出身が29人を占め、今回の13選挙区で当選した10人が元官僚だったのも1つの特徴となった。政党政治とともに議会制政治が色あせる一方で、中央集権の官僚国家、圧制国家の様相が強まっている。

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