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国民食えず株主・重役ボロ儲け
              トヨタ役員は年収1億円     2007年12月10日付

 若者が必死で働いても食べていける職がない。求人はアルバイトや派遣、契約社員のような不安定雇用ばかりで将来設計がたたない。「試用期間」をへて正社員になっても、増えるのは責任の押しつけばかりで、過労死や「心の病」に追いやられる。家庭不和、生活苦、借金苦を理由にした痛ましい自殺や殺人、一家心中がたえず、餓死者まで出る異常事態となっている。日本の国民が貧乏で食えなくなる一方で、破格のボロもうけを続けるのが大企業とそれに群がる欧米株主である。その給与額は年収で見れば1兆円をこす。この大資本家のために日本政府は法人減税をやるといい、「かわりに庶民から消費税をとる」と叫んでいる。全産業で「労働者の給与が高い」「人を減らせ」と大合唱しているが、真先に削るべきムダ遣いは放蕩大資本家に対する法外な報酬の方である。

 非正規雇用5年で280万人増
 労働者のなかで「生活できる職がない」「食える職をよこせ!」との憤りは年齢、性別を問わず渦巻いている。北九州の職安で職を探す30代の男性は「求人票の数はある。でも全部派遣や契約社員ばかり。かりに就職しても契約前に首を切られるし、賃金未払いもある。出ている求人票は職安仲間で“あそこはやめた方がいい”と話される良くない会社ばかり」と話す。「職安は“仕事を選ぶから悪い”というが派遣社員では先行きが不安。体を壊せば次の就職もなくなる。なぜまじめに働いても生活できないのか!」と憤りをぶつけた。
 近年リュックと携帯電話を片手に職探しでさまよう派遣労働者などの非正規雇用労働者が急増してきた。仕事は正社員と同じなのに、日当は交通費込みで8000円程度。食事はハンバーガーやカップラーメンなどで済ませ、夜はネットカフェやマンガ喫茶を渡り歩く。
 なかでも「スポット派遣」「ワンコール・ワーカー」「デジハケ」と呼ばれる、手前勝手な働かせ方が増えている。携帯電話で求人があると連絡し「やる」と応じれば契約成立。翌日集合場所に集まって移動し、働いたあとには解散場所で解散する。拘束時間が長くても日給は6000円程度。「データ登録費」など意味不明の引かれものが多いのも特徴だ。
 昨夏に表面化した「偽装請負」問題は、ますます形を変えて拡大している。大手メーカー直結の請負業者が、派遣会社を通じて東北や九州の若い人材を集め、都心部の製造ラインに放り込む。昔の奴隷商人と同じ「人買い」業であるが、最近は海外からも外国人を連れてきてラインに送り込むようになっている。
 この「偽装請負」で働くのは20代が主力。時給は1000円程度でボーナスや昇給はない。年収は生活保護世帯と同じ200万円前後。劣悪な労働条件の改善を求めるとメーカー、請負会社、派遣会社をたらい回しにされ「契約うち切り」にされてしまう。
 そして「給料が高い」といわれる正社員は「クビ」になる以前に過労死や精神病に追い込まれる。過労死ラインの年間3000時間以上働く正社員は6人に1人。「心の病」は1525件(05年)に上っている。

 労働者の変化 5年で総給与8兆円減
 ここ5年間の変化を見ると、4940万人(02年)いた労働者総数は、5181万人(07年)となり241万人増加した。だが正社員数は3489万人(02年)から3449万人(07年)へと推移し40万人減となった。そして増えたのは非正規雇用だ。1451万人(02年)から1731万人(07年)へと推移し280万人も増加した。全労働者の3人に1人が非正規労働者となっている。
 収入で見ると労働者全体に払われた給与総額(国税庁調べ)は200兆円(06年)で、02年の208兆円から激減した。5年間で全労働者から8兆円も給与カットしたことになる。
 民間企業労働者の平均給与は、年収435万円(06年・月額約36万円)で、前年より2万円減。9年連続で減少しており97年から見れば年間32万円減少した。
 最低賃金(時給)の全国平均は687円(07年)で4年前の664円(03年)より23円上がっている。だがこのわずかな賃上げは、ほぼ守られていない。違反事業場数は03年の760件から倍増し1373件(07年)となっている。
 このなかでしっかり増えたのは税金である。労働者全体への所得税額は02年の9兆177億円から9兆9321億円(06年)となり、9144億円も増加した。労働者1人で見るなら、4年間で18万6000円の増税である。こうして年収200万円以下(月給約16万円)の労働者は1023万人(06年)に達した。全労働者の5人に1人が「ワーキングプア(働く貧困層)」なのである。
 さらに、2人以上の勤労者世帯を「家計調査」で見ると、1家族の平均実収入は、02年の53万1268円(月額)から52万8113円(06年)に減少。毎月の平均生活費(消費支出)も、32万8749円(02年)から31万9474万円(06年)に減り、1万円程度の支出減となった。深刻なのは生活費に占める食費の割合を示すエンゲル係数がジリジリ減少していることだ。食費を徹底的に切りつめている困窮状態を浮き彫りにしている。
 生活できず生活保護に助けを求めた世帯は1カ月平均108万世帯(06年)で前年度を3万世帯上回り過去最高を更新した。大手メディアは「わざと働かずに生活保護をもらうものがいる」と大騒ぎしているが、まじめに働いても生活保護以下の生活しかさせない社会の方が異常なのである。
 労働者家庭へ自己負担増や増税は政府の政策によって押しつけられてきた。02年は、サラリーマンの健保本人負担を2割から3割に引き上げ。03年は発泡酒やたばこ税、65歳以上の介護保険料などを引き上げた。04年は、消費税免税となる課税売上上限を1000万円(従来は3000万円)にした。05年は定率減税を半減し、介護保険法改正で施設入所者の食費、居住費を全額自己負担にした。06年は定率減税を廃止し、たばこ税の更なる引き上げを強行した。
 その一方で法人税、法人事業税は年間約1兆4000億円も減税し大企業を優遇した。今後も政府は法人減税をやる気で、経団連が主張する10%引き下げなら、大企業は約4兆円規模の減税となる。このために消費税を7%に引き上げて穴埋めする、と主張している。消費税は1%引き上げで2兆5000億円もの税収増になる。経団連は2010年までに消費税を16%に引き上げ、法人実効税率の大幅引き下げを要求している。

 大企業側の変化 4年で15兆円も利益増
 労働者を徹底的にしぼることで大企業はボロ儲けを続けてきた。07年3月期決算は東証1部上場企業全体で5期連続の増益。経常利益総額は4期連続で過去最高を更新した。トヨタ自動車の営業利益は2兆円突破。売上高は自動車業界7社、石油大手4社が過去最高、大手商社は当期利益が過去最高に到達した。
 法人企業統計調査によると資本金10億円以上の大企業全体は経常利益が約33兆円(06年)。02年が約18兆円だったのにここ4年で15兆円も利益をふくらませた。大企業の配当金合計も02年は約7兆円だったが、06年になると16兆円に到達。勤労家庭が貧乏になると株主配当は約9兆円も膨張したのである。
 個別報酬を見ると、トヨタ自動車が役員33人(取締役と監査役)に払った役員報酬や配当などの総額は33億5200万円(06年)。1人当り1億157万円で月額846万円にもなる。さらに高いのは日産自動車で、取締役9人で総額は25億円。1人当り2億7777万円(06年)で、日額76万円となる。
 他社も似たようなものでマツダの役員が年間4280万円(月額357万円)。ホンダの役員は年間2424万円。今年初めて個別の役員報酬を公開した日興コーディアルグループは金子会長が年7100万円、有村社長が7000万円、弘中副社長が5800万円、杉岡副社長が4000万円である。しかしこの規模では長者番付上位には名前すらない。ちなみに07年度の日本人資産家上位5人の資産を見ると1位が孫正義(ソフトバンク、6786億円)、2位・森章(森トラスト・6669億円)、3位・佐治信忠(サントリー、5499億円)、4位・毒島邦雄(SANKYO、5148億円)、5位・武井家(武富士創業者一家、5031億円)となっている。

 米CEOの06年年収 アップル社は775億円に
 だが、これとケタが違うのが日本企業に投資して上前を吸い上げる外資の大富豪である。米CEOの年収ランキング上位5人(06年)を見ると1位がアップル社のスティーブ・ジョブズで775億円。日額約2億円で時給(1日8時間換算)にすれば、2654万円にもなる。2位以下はレイ・イラニ(オキシデンタル石油・386億円)、バリー・デイラー(インタラクティブ・コープ、354億円)ウィリアム・フォーリー2世の(金融大手フィデリティ・ナショナル、215億円)、テリー・セメル(ヤフー・209億円)と続いている。 
 ボーナス額も破格である。昨年冬の実績では、米証券会社ゴールドマン・サックスのブランクフェイン会長が63億円、モルガン・スタンレー社のジョン・マックCEOは、47億2000万円だった。メディアは「公務員の給料やボーナスが高いから下げろ」などと宣伝するが、米国の大富豪は公務員(100万円で計算)の6300倍ものボーナスを手にしている。
 さらにとんでもないのが米国の億万長者だ。上位5人の純資産額(2007年)を見ると、1位がビル・ゲイツ(マイクロソフト)で7兆800億円。2位がウォーレン・バフェット(バークシャー・ハザウェイ、6兆2400億円)、3位がシェルドン・アデルソン(カジノ・3兆3600億円)、4位がラリー・エリソン(オラクル・3兆1200億円)。5位はグーグルのサーゲイ・ブリンとラリー・ペイジで共に資産額2兆2200億円となっている。
 このなかで年間に資産を急膨張させた上位10人の年間で増やした資産額を見てみると、トップのカーク・カーコリアン(カジノ)は一兆800億円にもなる【表参照】。日本の労働者が200万円に満たない年収であえぎ「最低賃金を守れ!」と声を上げているときに、アメリカの億万長者は年収200万円の労働者54万人分をたった1人でせしめている。米国の億万長者上位400人の純資産合計は前年から34兆8000億円増え、総額184兆8000億円に到達した。それは日本の年間国家予算80兆円の2倍をこす規模となっている。
 労働者が身を粉にして働いても苦しいのは、「景気が悪いから」でも「労働者の給与が高いから」でも「働きようが少ないから」でもない。幾千万人もの労働者が汗まみれになって生み出した富を、働きもせず放蕩三昧で暮らす大資本家の1人占めを保障する不合理な経済構造に根源がある。大企業は「労働者の給与が高い」とか「経営難だ」といって賃下げやリストラを叫ぶが、そんなことを叫ぶ株主や億万長者をクビにすれば、会社の経営難も国家の財政難も簡単に解決するのである。
 労働者の生活を良くし、平和を守るためにも対米従属からの独立の課題、日米同盟に反対する課題が不可欠である。大資本ばかりボロ儲けさせる格差社会について、全国的な追及と運動を強めることが求められている。

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