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国民の生命二の次の再稼働
川内に続き伊方も「合意」
                福島事故反省もなく暴走     2015年10月28日付

 伊方町長に続いて愛媛県の中村時広知事が26日、四国電力伊方原発3号機の再稼働に同意を表明し、「地元同意手続き完了」として今冬以降に再稼働する見通しとなった。安倍政府のもとで「地元同意」を従来通り立地自治体のみに切り縮め、日本列島の西側から次次と原発を再稼働させる暴挙がくり広げられている。四年前の福島第一原発の事故を経て、原発は悲惨な爆発事故を起こし、その惨状をコントロールする技術など持ちあわせていないこと、科学の傲慢は自然から痛烈なしっぺ返しをくらい、「絶対」の安全などないことが誰の目にも疑いないものとなった。福島では十数万人もの住民たちが故郷を追われて難民のような生活を余儀なくされ、いまだに立地自治体周辺はゴーストタウンと化しているのが現実である。地震、津波、火山噴火に加えて、今後はアメリカの肩代わりで戦争を仕掛け、世界から標的にされかねない日本列島において、その起爆装置ともいえる原発を再稼働させていくことが、如何に危険な道かはいうまでもない。
 
 テロの標的になる自爆行為

 安倍政府は福島第1原発からもっとも離れた鹿児島県の川内原発を再稼働させたのに続いて、今度は四国の伊方原発に手をつけた。佐賀の玄海原発なども再稼働の対象で、その手続きは福島事故前と同じように、立地自治体および県知事の同意だけで突っ走っている。川内原発を巡っても周辺自治体が「同意」手続きの権限や発言機会を持たせるべきだと猛烈に反発したが強行した。もともと原発漬け、電源交付金漬けになってきた自治体が地獄の沙汰もカネ次第で合意することはわかりきっているが、その「政策判断」以外には周辺住民なり危険にさらされる可能性がある地域の意見には聞く耳を持たないというものだ。
 立地自治体のみの「合意」で良しとすることが如何にデタラメであるかは、福島第一原発の事故の経験を見れば歴然としている。30`圏内は「避難地域」にされ、住民は自宅に帰ることもままならず、いつ故郷に戻れるかもわからない状態におかれた。陸上の汚染範囲も広範囲に及んだ。そして海洋汚染は福島沖だけにとどまらず三陸全般に影響を及ぼし、仙台湾で水揚げされた魚が驚くような汚染数値を叩き出したり、230`離れた首都圏でも水道水の汚染が確認されるなど、ひとたび大気や海洋に放射性物質がばらまかれるなら、影響は広範囲に及ぶことが明らかになった。
 当時、原子炉が臨界爆発を起こした場合、220〜230`離れた首都圏からも避難すべきと学者たちは指摘し、外国大使館などはいち早く関西に機能移転を実行した。横須賀の米空母が一目散に遠い海洋へと逃げ出したのも、危険地域が100〜200`圏におさまらないと判断していたからにほかならない。時の首相だった菅直人が、最悪の場合、首都圏全域も危険だと天皇に進言していたとかの話も、事故後何年かたってから報道されたことだ。
 それほど広範囲に影響を及ぼすことが明らかになっていながら、何食わぬ顔をして以前と同様の立地手続きに切り縮め、立地自治体のみの合意で周辺100〜200`圏内の全自治体、住民が危険にさらされるという暴挙がまかり通っている。
 伊方原発は老朽化(1、2号機)や活断層の存在からして、地震学者たちが浜岡原発と並んで「全国でもっとも危険」と指摘してきた原発である。直線距離にすると同じく原発建設計画が進められている上関町の中心部まで約40`。八島は緊急事態に対応しなければならない30`圏内に入る。岩国市まで約70`。人口100万人を超える広島市まで約100`。西側にいくと下関市まで約125`。大分県の別府市まで約70`という距離に位置している。これが最悪の事故を引き起こすなら、数百万人の生活に影響が及ぶ。伊方3号機で計画されているのはプルサーマルで、重大事故を引き起こして大気や海洋にはき出される放射性物質はヨウ素やセシウムだけでは済まない。MOX燃料の原子炉が爆発事故を引き起こした場合、滞在的ガン発生率は格段に高まると指摘され、極めて危険なことがわかっている。
 伊予灘、周防灘をまたいだ大分県、愛媛県、山口県が接している瀬戸内海沿岸では、伊方原発の目の前には中央構造線断層帯が横たわり、今後は四国沖のプレートが引き起こす東南海、南海地震、それにともなう津波の驚異が現実問題として迫っている。こうした状況をわかっていながらあえて再稼働に踏み出すものだが、前提となる「合意」が従来通り地元自治体のみで済まされる、電力会社や経済産業省とズブズブの関係が出来上がっている立地自治体の買収だけで強行されることは許されない。

 半島の五千人の不安 避難計画のいい加減さ

 川内原発もそうだったように、伊方原発の再稼働を巡っても佐田岬半島に暮らしている原発西側の5000人の住民の避難計画がきわめていい加減で、仮に事故が起きたなら逃げ場を失うことが明らかになっている。
 愛媛県の避難計画では原発から西側の半島に暮らしている5000人は、半島先端の三崎港から船で大分県などに避難するとしている。陸路ならば原発を見下ろす山道を走らなければならず、交通渋滞になることは疑いない。その道が地震等で寸断されれば行き場はない。船で大分へ避難するというのも、5000人もの住民を運搬するフェリー等が派遣されるのに、いったいどれほどの時間を要するのかわからない。大型船は進入できないため、乗り降りは沖でやらなければならないが、三陸同様に地震で港湾が地盤沈下したり破壊された場合、さらに津波で漁船が大量に流出した場合はその術も失う。
 事故が起きたら住民を見殺しにするのは福島でも経験したことだった。3・11の時も政府はSPEEDIで汚染の拡散状況を知っていながら、パニックを抑えるために住民には知らせず、放射性物質を浴びるに任せた。福島県の中通りにつながる国道は逃げようとする住民たちによって大渋滞となり、日頃は30分程度でたどりつける場所に4〜5時間を要するなど、「避難」対応は何もなかったのが事故で暴露された。住民の生命や安全は二の次で、原発再稼働によって後がどうなろうが知ったことではないという政府の無責任が、真顔で実行されているのである。

 民主党も自民党も米国いいなりの売国性

 戦後の原子力行政がもたらした犯罪的な原発災害が福島事故だった。地震列島に54基も原発をこしらえ、これを再稼働させるなら東日本だけでなく西日本でも同じような事態に直面する可能性は十分にある。
 震災後、「脱原発」を掲げた民主党がアメリカから叱られ、野田政府のもとで再稼働に舵を切ったが、引き続く安倍政府が震災前と同じ枠組みで事を動かし、まさに国民にとっての存立危機事態を産み出そうとしている。一方でアメリカの戦争の片棒を担いでテロの標的に立候補しようとしている者が、腹部にダイナマイトを巻き付けているような自爆行為をやる。これは反知性だからといって許されるものではなく、その代償として郷土を廃虚にしかねないことは明かである。ところが財界は開き直って原発推進を主張し、政府は国民の生命、財産を守る任務を放棄して、福島事故前と変わらない手続きによって、あのような原子力災害が再び起きても構わないといわんばかりに暴走をくり広げている。反省などないのである。
 もっとも強力に再稼働を求めているのがアメリカで、「日米原子力協定」の鎖につながれた為政者どもが、その意に沿って自国領土が崩壊しかねないような売国政治を実行しているのである。
 半径20〜30`の行政区だけで手続きを進めていく手法など認められず、100〜200`圏内も含めて全国的な再稼働阻止の斗争を盛り上げていくこと、安保法制やTPPなど国を売り飛ばす亡国政治に対して、共同の斗争として発展させていくことが重要な課題となっている。反知性主義者が思い上がり、後は野となれで突っ走っていくのに対して、強烈な鉄槌を加える行動が求められている。


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