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国民生活襲う物価高騰
食品も日用品も値上がり
                低収入・低賃金のうえに      2008年2月25日付

 「なんでもかんでも物が高くなっていくこれから先どうなるのだろうか」と、市民のなかで大きな話題となっている。近年、原油や穀物相場の高騰による燃料代、原材料の高騰が問題となってきたが、パンやハム・ソーセージなどの食料品、洗剤やコピー用紙などの日用品にいたるまで、一斉に値上がりを始めた。物価高騰は、今後さらに深刻さを増す様相を見せている。国民は、ただでさえ低収入・低賃金のうえに法外な税金までとられて困窮状態にあるのに、生活必需品まで値上がりをするというとんでもない事態となっている。

 原油や小麦急騰の影響が拡大
 レギュラーガソリンの価格は、最近では150円台が当たり前になってきた。7、8年前には、1リットル当り90円台が常識で、なかには87円というスタンドもあったのに、今では140円台の前半が「安い!」といわれる。石油情報センターの発表を見ても今月18日現在、レギュラーガソリンの価格は、1リットル当り全国平均152・1円。灯油は、1缶18g当り1737円で、配達になると1850円という数字になっている。
 しかし、原油の高騰は、これでとどまる様子はみられない。今月20日には、ニューヨークの原油先物相場で、代表的指標である米国産標準油種の限月3月物が、1時1バレル=101・32ドル(電子取引)の史上最高値をつけた。2003年頃には、1バレル=一〇j台だったことと比べると雲泥の差だが、今後もさらに上昇する趨勢で、「一ヲ=120j台に到達する可能性もある」ともいわれている。
 原油の高騰は、製造業から運輸、農業・漁業にいたるまで、全産業に大きな打撃を与えてきた。燃料代の上昇だけでなく、関連するゴムやビニール、化学繊維、石けんまですべてが値上がりした。さらに、小麦や大豆など穀物相場も暴騰を始め、昨年から今年にかけて食料品から日用品まですべての物価が上昇し、国民の生活に深刻な影響を及ぼし始めている。
 長府で商店を営んでいる婦人の1人は、「なんでも物が高くなった。とくに食料品で、そのなかでも小麦製品が1番。お客さんがきても、みんな話題にしていく」と語る。
 「毎回1週間分の買いだめをしている」という婦人が、最近大手スーパーに行ったところ、「ブルガリアヨーグルトが、139円だったのに149円になっていた」という。ほかにも、特売日はいつも108円だったカップラーメンが128円になっていたりで、「物価が上がり始めた」と実感したのだといった。
 「体が悪い奥さんのかわりに、毎日買い物に行っている」という80代の男性が、いつも楽しみに食べていた山崎の83円のあんパンは、昨年末から店になくなった。5コ入り126円だったあんパンやクリームパンも、137円になった。また、大手スーパーのパン屋では「パンが最近小さくなった」と語る。男性は、「まだなんとか持ちこたえているが、4月から小麦がさらに30%値上がりすると聞くし、今後は不安だらけだ。安いスーパーもあるが、最近は梅干しや漬け物まで中国産の物が多く、気が進まない」と話した。
 市民からは、「ミニパウンドケーキが150円から160円に、パウンドケーキが600円から750円になった」とか、大手スーパーの食パンが3斤で690円だったのに、いつのまにか700円台になった」「孫がくるので、冷凍ピザを久しぶりに買ったら、350円が400円少しに。中身はちっとも変わらないのに」「醤油を買いに行ったら、3月から1本350円が400円になるといわれた」など、気がつけば物価がどんどん上がっていく様子が語られる。

 小売商店や食堂も直撃
 小売りをする商店や食堂を営む関係者にも、影響は深刻だ。商店主からは、「小麦や大豆、クルミ、バターやチーズ、クリームまで原材料が驚くほど上がっている」「包装用のビニールや肉・魚をのせるパック、サンドウィッチを入れる容器も値上がりした」「肉の下に敷く業務用のシートも、1ロール当り500円高くなった」「家畜の飼料が高くなったから、鳥も豚も牛も卸値が上がった」などと語られている。
 下関市内でパン屋を営んでいる男性は、「燃料代も上がっているし経営は大変だが、すぐに上乗せというわけにはいかない。あんパンや食パンなど定番商品には、だいたい決まった価格があるから、新商品の値上げでなんとか対応している」と語る。
 喫茶店の店主は、「昨年末から材料が上がり始めたが、この3月から小麦や乳製品がまた値上がりすると卸屋から通知がきた。喫茶店は日常生活のうえで、どうしても必要なものではないから、売上が落ちている。しかし、まだ市場価格に転嫁されていない部分が多く、今後のほうが影響が大きい。頭を抱えている状態だ」と話した。
 靴屋の男性は、「靴や衣料品などは影響が見えにくい。中敷きなどのゴム製品や、ブランド物のなかには4000円近く定価が上がった物もある。しかし大部分は同じような形でも“新製品”として出てくるから、実感がわきにくい状態。ただ、子どもの靴は従来通り買うが、1万円で自分の靴を買っていた母親が5000円以下の物を選んだりすることがめだってきた」と語った。
 様様な食品や日用品の値上げは、昨年の夏から秋にかけ、各種のメーカーが一斉に発表して、始まった。昨年中には、食パンや菓子パンが八%程度、キューピーマヨネーズが約10%、シーチキンが10〜30円、ハム・ソーセージが平均10%など値上げされた。
 しかし、値上げを発表したものの開始時期に数カ月の余裕を持たせたところがあり、大手スーパーのなかでも「昨年内にかぎり価格を据え置いた」ところもあった。そのため、猶予期限が切れた今年1月から2月にかけて「一気に物が値上がりを始めた」という実感となった。
 主な物を見ると、即席麺が1月から10〜20円上昇し、カップヌードルの希望小売価格が150円から170円に、チキンラーメン(袋)が90円から100円になった。また食用油も1月から10%上がった。今月は、ビール類が3〜5%上昇しており、3月からはパスタが15〜40%、香辛料が5〜10%、チーズ・マーガリンが6〜25%値上がりする予定だ。

 中身減った商品も増加
 また、値上がりはしていなくても、「中身が減った」物も結構ある。グリコのポッキーは内容量が10%減少し、スライスチーズは10枚入りが、8枚入りに変わった。「子どもが好きなクッキーが、以前は14枚入っていたのに10枚になった」という話もある。そのほか、洗剤やシャンプー類も中身を減らした「実質値上げ組」となっている。
 今月には、政府が製粉会社に売り渡す輸入小麦の価格が、4月からまた30%引き上げられることも発表された。アメリカやカナダ、オーストラリアから輸入されている小麦の値段は、1d当り5万3270円から6万9120円となる。小麦の価格引き上げは、昨年春、秋に続き3度目となるが、「今秋にはさらに30%引き上げ」も業界のなかで語られる。食品の値上げは4月以降も激しくなるのは確実で、長崎県や山梨県などでは給食費の値上げも問題になり始めている。
 原油や穀物相場の急騰は、アメリカでのサブプライムローンのパンクと、それにともなう株価下落が直接のきっかけとなっている。世界的な金余りのなか、株式や不動産売買など架空のバブルをつくりだし、余剰資本を投じて金融投機で稼いできた。しかしこのたびサブプライムローンが破たんしたことによって、世界的な過剰マネーは、原油、穀物、金などの実物の投機にまわり始め、異常な価格高騰をひき起こしている。
 原油価格は2003年の10倍近くに上昇しているが、需要のひっ迫、油田地域の紛争などの影響は微微たるものにすぎず、高騰原因の四割から五割は、ヘッジファンドなどによる投機資金の流入といわれる。1バレル=90ドル超の場合、投機資金による押し上げが40ドルから50ドルを占めており、投機がなければ原油価格は、現在でも半値になる関係だ。
 小麦価格など穀物価格の上昇も、経済成長する中国やインドなどでの需要の拡大、バイオエタノールの原料として小麦からトウモロコシへの転作など世界的な供給不足の影響、オーストラリアの干ばつによる不作などが理由とされる。しかし、そこへさらに投機資金が投入され、先物取引が活発化することによって高騰に拍車がかかっており、昨年6月から今年1月までのあいだに、世界の小麦相場が60%もの高騰をすることとなった。
 一方で日本国内では、過去10年の間に正規雇用者が420万人も削減され、逆に、パートやアルバイト、派遣など非正規雇用者は574万人に増加した。その結果、非正規雇用者の比率は全雇用者の34%を占めるようになり、平均現金給与額も8・6%減少している。「働く貧困層」とよばれる年収200万円未満のワーキングプア人口は、就労人口の4人に1人とも5人に1人ともいわれる状況だ。
 その陰で、大企業は空前の好景気を謳歌してきた。国民は、給料が下がり今でも物が買えない状態で不景気なのに、さらに物価が上昇する。ほんの一部分のなかに世界の富が集中されて、貧困層が増大していくという資本主義の根本的な矛盾が露呈している。

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