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国民生活襲う値上げラッシュ
             下関 介護、医療、保育、光熱水費も  2012年4月11日付
 
 この4月から、介護保険料、後期高齢者医療制度の保険料、協会けんぽの保険料が値上げされ、住民税の年少扶養控除廃止による市県民税増税など、さまざまな料金が軒並み値上がりする。失業、賃金カット、不安定雇用、倒産など、リーマン・ショック以後国民生活の貧困化が深刻な事態となっている。そのなかで燃油をはじめ野菜、食料品など毎日の生活用品は高騰し、消費税増税に加えて公共料金の値上げラッシュ。「税と社会保障の一体改革」といって、若い世代から高齢者まで、国民からは搾れるだけ搾りとるという、財界とアメリカの意を受けた野田政府に、下関市内でも深い怒りが語られている。
 
 消費増税や失業・倒産のうえに

 65歳以上の介護保険料は下関の場合、月1100円上がって5300円(基準額)となり、初めて5000円台に突入した。県内でも最高額だ。またこれまで国が負担していた「処遇改善費」も加算に組み込んだため、1割の約1000円が利用者の負担になった。
 後期高齢者医療保険制度の保険料も2205円上がって年額6万6504円に、国民健康保険料も値上げ。病院に行っても、再診料が1日2回までになるなど窓口での負担も多くなる。一方で国民年金・厚生年金は「昨年の物価下落にあわせる」として減額された。
 子どもを抱える若い世帯に対しても、「子ども手当があるから」と16歳未満の扶養控除33万円を廃止。19歳未満の子どもも「高校無償化で恩恵を受けている」として扶養控除の上乗せ部分12万円を廃止したため、昨年度からすでに所得税は増税となっており、今年度からは市県民税も約一割増えることになる。市はこの年少扶養控除廃止で6億5000万円の市税収入増を見込んでいる。
 下関市では小・中学校の給食費も4月から値上げとなり、小学校は1食当り23円(月額382円)のアップで、年額4202円の負担増に、中学校では1食当り25円(月額397円)、年額4367円の負担増になっており、新学期を迎えて母親たちのなかで話題にされている。
 水道料金はすでに昨年4月から15%値上げされて家計を直撃しているが、この4月から電気料金も先月に続いて値上げ。高校生の通学や高齢者の足となるサンデンバスも料金を値上げしており、収入は減るのに出費はどんどん増えていく。

 高齢者 年金下がるが料金は増

 国民年金で生活している83歳の婦人は、「今でもなんとか生活しているのに、また年金は下がるし料金は上がる。いったいどうやって生活していけというのだろうか」と憤りを語る。本来は月6万円の国民年金だが、そこから介護保険料が月約4000円、後期高齢者医療制度の保険料が月約5000円引かれるので、入ってくるのは月5万円しかない。
 一方、家賃が月3万円、光熱水道料金、医療費に加え、週に1回ヘルパーに来てもらうのが月1230円とデイサービスに月1回行っているので、全部あわせると月6万円は必要だという。年金だけでは足りないので、カラオケの講師をして入ってくる月5万円が頼りだ。だんだん足が悪くなり、思うように歩くことができないので、最近は出かけるときはタクシーになる。「仕事もいつまでできるかわからないが、子どもたちに頼れる状況ではない。逆に娘のところは生活が厳しいから逆に月3万円ずつ仕送りをしているくらい。はいつくばってでも頑張り抜かないといけない状態」と話す。足りない分は貯金をとり崩してきたので、残りわずかだ。
 近所の高齢者が集まると、「これだけ大変だったら、貯金を全部子どもたちにあげて生活保護を受けた方がいいのではないか」と話になるという。「また年金は少なくなるし、介護保険料も後期高齢者保険料も値上げ。国の方は真っ先に天引きしていくから、どうしても買い物は安い物、輸入物になっていく。そしたら国内の農家が困るという悪循環だ」と指摘した。「年寄りは早く死ねといわれるが、生きている以上せめて最低限の生活がしたいと思う。この何年間、全部値上がりしているが、値下がりしたのは人間の値段だけ。国民がいて国が成り立つのに、それを忘れて金持ちのためにだけお金を使うようになったら江戸時代末期の徳川幕府と同じだ。私たちがいうのはごまめの歯ぎしりかもしれないが、集まって合唱したら大きな声になるのではないか」と話していた。
 保険料は値上げだが、介護は縮小。ヘルパーをしている婦人は「これからお金のある高齢者はいくらでも介護を受けられるが、お金のない人は受けたくても受けられなくなるのではないか」と危惧を語る。今まで一時間単位で掃除や洗濯、食事づくりに出向いていたが、4月からは45分に短縮された。「1時間でも時間が足りず、ヘルパーの善意のボランティアで支えられているようなものだった。それが45分になると、決まり通りにすると“今日洗濯をしたから、明日干します”ということになる。お金を払えば延長できるが、厳しい世帯にそんなことはできない。保険料は上げておいて介護は削るというのでは、高齢者はどうなるのか」と語った。
 特別養護老人ホームの経営者も、介護報酬の改定で年間800万円の減収になることを明かした。「特養は重度の人も多いから、最低ラインの3対1では回らない。職員数も入所者数も変わらないのに、これだけ下がったら施設の運営自体が厳しくなる。介護事業に株式会社が参入して、利益を追求しているところは人数をギリギリに抑えたりして利益を出しているが、それを見て“利益が出ているから、まだ減らせる”と報酬を下げていく。まじめに高齢者のためにやるほど運営が厳しくなっていく」と語った。介護報酬の切り下げでデイサービスなどでは職員の非正規雇用化が広がっているという。「本来福祉である介護を利潤追求にしてしまったこの制度自体が限界に来ている」と話していた。

 若い世代も生活苦に加え出費増加

 失業や賃金カットで生活の厳しさが増すなかで、パートで働きながら家計を支えている母親たちのなかでも、所得税が突然増えて驚いたこと、水道料金が値上がりして家計を直撃していることなどが話題にされている。「子ども手当」や「高校無償化」で恩恵を受けているといわれるが出て行くものはそれ以上。
 4歳と8歳の子どもを持つ母親は、「出産手当でも“10万円増えたので産みましょう”といわれているが、出産にかかる費用も同じ分増えているから意味がない。その後の保育園でも上の子と下の子で四年違うだけなのに、その間にいろいろ変わってかかる費用が全然違う。一番苦しいのは保育料が月約1000円増えていること」と話す。学校は保育園ほどかからないが、教材費の出費が多い。4月から3年生に上がったので、今年はリコーダーや習字道具もそろえなければならない。「3年生までは塾に行かすまいと話していたが、授業がどんどん進んでいく。本当は友だちとたくさん遊ばせないといけないと思うが、今年は塾に行かせようかと考えている」と話した。しかし『公文』は1教科で月6000円。給食費の値上げもあり、また出費が増える。
 5人の子どもを育てながら食料品店を営んでいる母親も、「保険料やガソリンが上がっているから、明らかに入るものより出るものの方が多くなっている」と話す。客もみな同じで、「うちは少し安いので、日頃来ない人が話を聞いて買いに来たり、年金の出た日だけ少し安売りをするとすごい人が来る。いつもは100円で売っているので、一二〇120円にしたら絶対に買わないなど、すごくシビアになっている」という。「うちも買い物は一番安いトライアル。食べ盛りなので輸入物の肉を食べさせるなど、質より量を重視せざるを得ない。今から学校の給食費も上がる。一食分の値上がりは微微たるものだが、トータルしたら結構な金額。これに消費税が上がったら、食べ物まですべて値上がりしていくのではないか」と危惧を語っていた。
 食堂を経営している婦人は「今でも消費の落ち込みはひどい。スーパーも夕方の半額セールにしか人が集まらないし、シーモールは店が次次なくなっていく。大丸でさえ昼間はガラガラで、地下の惣菜売場が割引になる時間帯だけ高齢者や共働きの人でにぎわう状態だ」と話す。最近仕入れる野菜の値段は次第に上がっており、「スーパーに行くと、キャベツは200円するし、レンコンも小さいのが1つで298円、大根も半分で199円など、全体的に値上がりしている。電気代もガス代も油代も上がるから、みな値上がりしていく。支払い物がこれだけ軒並み上がったら、みんな本当に消費を抑えるようになってもっと冷え込んでいく。増税しても所得が減れば増収になるかどうかはわからない。政治家には怒りを通り越してあきれてしまう」と話していた。
 食料品店を営んでいる婦人は、「一番問題なのは、下関でも日本国内でも若い人に職がないこと。国も県も市も金がない金がないといって、なんでも庶民からとり立てていくが、それが目の前で箱物などに消えていくのが腹が立って仕方がない。若い人に職をつくることが先ではないのか」と憤りを語った。「MCSを首になって今も職が見つかっていない人も多い。お金がないところに、これだけ増税したらもっと冷え込んでいく。お客もみんな怒っているが、この声を表に出していかないと、今の状態は変わらないと思う」と話していた。

 甚しい二極分化 大企業や米国は大儲け

 働く者はまともに食っていけず、働かずにマネーゲームに興じるものがボロもうけをしていく。二百数十兆円もの内部留保をかかえる大企業は工場閉鎖、海外移転で日本社会を食いつぶして自分がもうけることだけに躍起。野田政府は、消費税増税のほかに、さまざまな増税、料金値上げをやりながら、新幹線や高速道路の増設など公共事業重視でゼネコンを喜ばせ、大企業の海外移転のためのインフラ整備で何兆円もの予算を使う。新技術開発といっては大企業や御用学者に気前よく予算を投じる。円高対策などといってポンと10兆円もアメリカ国債を買い込む。米軍のグアムやテニアンの整備のために増額を要求される。
 世の中はまさに搾取するものと搾取されるものの二極分化がはなはだしいものとなっている。みんなが貧乏なのではないのだ。もうけるものはボロもうけをしている。政府およびあらゆる政党は、日本の国民経済を守るとか、国民生活を心配するというものはおらず、もっぱら目先の自分の損得しか考えない財界とアメリカの道具の姿をあらわして恥じない。
 権力をほしいままにする連中であるが、その権力者の権力の源泉は働く勤労人民の存在である。幕末は全国的な農民一揆から維新革命の大政治斗争となっていったが、まさに働く大衆がそれぞれの職場、地域を基礎に全国的に連携して大衆行動を起こすしか、権力者を懲らしめ社会を正常化する道はないことを物語っている。事態はそのような方向に進む以外にない。


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