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国際的な投機資本規制せよ
                燃料・食料高騰させ暴利     2008年7月11日付

 あらゆる物価の高騰が、庶民の暮らしを直撃している。一昨年来、ガソリンも小麦製品も、すべての生活必需品があれよあれよという間に値上がりした。今後も、価格上昇に歯止めがかかるめどはたっていない。世界的にも、原油や穀物相場で史上最高値の更新ラッシュが続き、各国でデモや暴動が多発している。アメリカを中心とする巨大金融資本と投機集団は、世界的な金余りのなかITバブルやサブプライムローンで暴利をむさぼってきた。それが破たんすると、今度は人間生活にとって必要不可欠な物への投機を始め、価格をつり上げている。

 原油価格は10数年で10倍以上
 ウナギ登りで高騰を続ける原油価格は、今月4日、ニューヨーク商業取引所の米国産標準油種(WTI)の先物相場で、1時1バレル145・85jを突破。3日連続で市場最高値を更新した。その後は、140j台を割り込むなど小康状態だが、さらに値上がりしていく趨勢はさけられない状態だ。
 原油市場では5月に米証券大手ゴールドマン・サックスが「6〜24カ月の間に、1バレル150j〜200jに達する可能性」と発表し、投機資金流入を誘った。予言通りになるかは不透明だが、うごめく投機や中国・インドでの需要増加によって、数年内に「1バレル200j突破」は、確実視されている。
 原油価格は、この10数年で10倍以上となる異常な上昇を続けてきた。世界的に資源から鉄鉱石、金、穀物にいたるまであらゆる物が高騰しているが、製造・加工・輸送などすべてに関連する原油が、その主因となっている。「食品小売り価格1jのうち、0・8jは原油高の影響を受ける」との試算も発表されており、世界的に大問題となっている。
 原油高騰と同時に異常な高騰となっているのが、穀物相場だ。アメリカの穀物先物価格は、近年、原油と同じく過去最高値を更新し続けている。小麦のシカゴ先物価格は、3月に1ブッシェル(25・4`)=11jをつけ、2005年初頭から約4倍に跳ね上がった。
 小麦価格は2000年から8年間で1時5倍以上を記録する暴騰ぶり。大豆も1ブッシェル=14jと3倍に、トウモロコシは、同5j強と約5倍になった。
 今年4月はじめには、シカゴ商品取引所のトウモロコシ先物価格が1ブッシェル=6jを突破。従来の最高値は、1996年につけた5・48jで、その後も下がる気配をまるで見せていない。
 原油と穀物の高騰は、世界中で「物があり余っているのに買えない」インフレをひき起こし、産業の衰退と生活の破壊、食糧危機を招いている。真っ先に、中国やインド、アフリカ、中南米など「新興国」でインフレが深刻化し、「先進国」へも影響が拡大中だ。
 アフリカでは米の価格が、シエラレオネで300%上昇、コートジボワール、セネガル、カメルーンなどでも50%上昇。ケニアでは、4月のインフレ率が26・6%にまで達した。インドネシアでもインフレ率が12%となり、政府はガソリンなど石油製品価格を平均28・7%引き上げた。中国でもインフレが10年ぶりの高水準となり、欧州でもディーゼル油の価格が高騰、数カ月の間に倍増する事態となった。
 物価の高騰によって、中国では食料価格統制と配給制度が実施され、パキスタンでは、小麦の備蓄の推進とともに製粉工場を軍が管理。マレーシアでは、砂糖、小麦粉、食用油の国外持ち出しが禁止される統制状態となっている。

 日本国内漁業や運送業にも打撃
 日本国内では、上がり続けてきたガソリン価格が、今月に入りとうとう1g180円を突破。各販売店にはさらなる値上げ通知が来ており、来月以降もガソリン価格は上がる見通しだ。
 燃料代の高騰は、「走ってなんぼ」の運送業者や漁業者にも大きな影響を与えている。漁業界では今年に入り、イカ釣り漁船やマグロ延縄漁船など各漁業団体が休漁・出漁控えを実施してきた。今月15日には、全国漁業協同組合や大日本水産会など全国主要漁業16団体が、一斉休漁を予定。漁業者の窮状を訴えると同時に政府に対し燃料代の補填や融資条件の緩和、価格をつり上げる投資マネーの規制などを要求している。
 油代の急騰とともに深刻なのが相次ぐ食品の値上げだ。一昨年からパンや小麦粉、パスタ、麺類、菓子類などの小麦製品、醤油や味噌などの大豆製品、食用油やマヨネーズ、ソーセージやハムなど、あらゆる食べ物が上昇してきた。2度、3度と値上がりした食品はざらだが、「食べることをやめる」わけにはいかず、ただでさえ楽でない家計に重い負担をかける。
 これも高騰に歯止めはかからず、七7月から8月にかけ食用油や、ハム・ソーセージ類、マヨネーズ類などの値上げを各メーカーが発表。今月からは、電気やガス料金も上昇する。
 「燃料代高騰」が理由だが、今回の価格転嫁は今年1月〜3月期分のもの。原油価格はその後、5割近く上昇しており9月以降値上げはさらに進む見通しだ。
 あらゆる物価の高騰は、政府統計の消費者物価指数にも示されており、5月発表の物価上昇率は101・6%(生鮮食品除く)と、消費税率が引き上げられた98年3月以来の高水準となり「ふざけるな!」の思いが充満するものとなっている。

 異常な物価高騰 投機マネー流入が原因
 原油価格にしても穀物価格にしても異常な高騰をひき起こしているのは、投機マネーの流入だ。原油価格は、2001年以後のアフガン・イラク戦争以来上昇を始めたが、アメリカのサブプライムローン破たん以後、世界中でだぶついた余剰マネーが原油や穀物などの実物投資に向かい始めた。
 穀物価格の急騰も、過去最低水準である1970年代並に穀物在庫率が落ち込み、中国やインドなどで需要が増大するところへ、投機資金が流入。ブッシュの推進するバイオ燃料急増政策が拍車をかけた。第2次大戦後、3度おきた穀物価格急騰は世界的な不作を原因としていたが、それ以上の事態をひき起こしている。
 アメリカを中心とする巨大金融資本は20世紀に入って以後、住宅バブルやサブプライムローンを中心とする株取引や債権などによる金融経済の拡大のなか肥大化してきた。世界の金融資産は、90年代の39・6兆jから、06年には151兆jまで増大してきた。
 欧米では、サブプライム問題で2800億j(約29兆円)の損失を計上し、最終的に損害は1兆jを超えるとされる。株価下落による損失を含めると10兆jあまりの損失になるとされるが、それらを差し引いても50兆j近い金融資産が手元に残り、行き場を失ったそれらの資金が怒濤のように原油や穀物相場へ流入している。
 通常、相場ではその年の商品の需要と供給関係を予測して、売ったり買ったりがなされる。ところが05年ぐらいから需要と供給など関係のない巨大ファンドが、市場に流入を始め、価格高騰と同時に相場を大混乱に陥れてきた。かれらの投資先は、現物ではなく将来を予測した先物であり、現実の需給関係などはまるで関係がない。
 原油や貴金属、農産物の先物大手である「ゴールドマン・サックス・コモディディ・インデックス」や「ダウ・ジョーンズAIGインデックス」は今年初めの1960億jから、4月末時点までに2500億j(約25兆7500億円)と急激に膨張している。ゴールドマン・サックスやモルガンスタンレーなど、大手金融は今年に入り、原油や農産物などへの投資体制を急速に強化中であり、投資マネーの商品市場への流入は、今後さらに本格化していく事態となっている。
 あらゆる物の異常高騰が続く中、世界中で穀物価格や燃料代引き下げを求める暴動やデモが多発している。インドネシアでは、1月に大豆価格高騰に対する1万人の消費者デモが実施され、メキシコでも、主食のトウモロコシ高騰に対する数千人規模のデモ。バングラデシュやハイチ、アフリカの国国で、食料価格高騰に対する抗議デモや暴動が発生している。
 食料輸出国であるエジプトでもパン暴動が勃発し政府が売る低価格のパンを市民が奪い合って、死者が出る事件にまで発展。イタリアでも、パスタ高騰に対する非難デモがおこなわれ、欧州では漁業者やトラック運転手らによる海峡封鎖やストライキが発生している。今年に入ってからだけで30カ国で、原油価格や穀物高騰に抗議するデモや暴動が起こっており、世界的な「米騒動」が広がろうとしている。
 実物経済が衰退するなか、巨大金融資本によって人間生活にとり必要不可欠な物までが投機の対象とされ一握りのものが巨額の利益を上げる事態。世界的な飢餓状態や生活破壊は、深刻化しており投機の規制や、国内産業を守る行動が求められている。

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