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国有地叩き売りの黒幕は誰か
大阪「森友学園」巡る疑惑
           二転三転する政府答弁   2017年2月27日付
 
 国有地の不正取引疑惑が取りざたされている「森友学園」問題をめぐり、安倍首相が関与を全面的に否定するなか、財務省、国交省、大阪府の許認可の不透明さが、日に日に暴露されている。政府見解と現実が明らかに食い違っているのが実際だが、安倍首相が「隠蔽とは侮辱だ! レッテル貼りだ!」と気色ばむ一方で、学園関係者や担当職員の参考人招致もなく、私学審議会の議事録も不開示、交渉記録も「廃棄」するなどことごとく証拠は隠滅され、検証不能にして逃げ回る姿を見せつけている。かつて田中角栄が辞職に追い込まれたロッキード事件は五億円の収賄であり、小沢一郎が強制起訴された陸山会事件は四億円の会計処理をめぐるものだった。学校建設を媒体にして、10億円もの国有地が首相夫人が名誉校長に就く学校法人にタダ同然で払い下げられた問題は、許認可問題も含めて曖昧にできないものだ。検証を避けて幕引きを図れば図るほど疑惑への注目は高まっている。
建設中の瑞穂の國記念小學院校舎(大阪府豊中市)

 関係者は皆国会に招致せよ! 白々しい嘘とずるい黙殺

 国会衆院予算委員会のなかで安倍首相の答弁は二転三転し、明らかな食い違いが露呈している。
 森友学園問題がとりあげられた2月17日の衆院予算委員会で、森友学園が建設中の「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長に安倍昭恵夫人が就き、当初は「安倍晋三記念小学校」と銘打って寄付を募っていたことについて問われた安倍首相は「私そもそも、今話をうかがって初めて知った」といいながら、「これは私が総理を辞めたとき(2007年)に、いわば私の考え方に非常に共鳴している方で、その方から『小学校をつくりたいので、安倍晋三小学校にしたい』という話があったが、私はそこでお断りをしている」とのべていた。
 ところが21日、安倍昭恵氏が2015年9月に森友学園でおこなった名誉校長就任の記念講演の映像をテレビ東京がニュース番組で放映。この講演の中で昭恵氏は「こちら(森友学園)の教育方針は、主人(安倍首相)もすばらしいと思っている。先生(籠池氏)からは、安倍晋三記念小学校という名前にしたいと当初はいっていただいていたが、主人が(中略)『もし名前をつけていただくなら、総理大臣を辞めてからにしていただきたい』」とのべている。記念講演は午前午後の2回に渡っておこなわれており、その発言は首相在任中に話を受けたうえに、名前を冠する件も首相退任後との条件を付けて同意していたことを裏付けている。
 一方、籠池理事長(日本会議大阪役員)も2月20日のTBSラジオ番組に生出演し、学校に安倍氏の名前を冠しようとしていたことについて「無断使用という認識はない」「安倍先生の方が、これを断ろうかどうしようかと考えている間のタイムラグの問題だ」とのべ、内諾を受けていたことをうかがわせている。
 これについて安倍首相は「妻は講演の前の待合室で、名誉校長にと頼まれ、そこでは断ったが、その後の講演の場で突然、名誉校長をお願いしたいと紹介され、拍手で承認された。父兄もいるため断れなかったようだ」と釈明し、「籠池氏とはお断りの電話をしたのがほとんど唯一に近い。個人的に会ったことは一回もない」「パンフレットをちらっと見せられただけ」「学校がやっていることの詳細はまったく承知していない」「非常にしつこいなかにおいて…何回も何回も熱心にいってこられるなかにあって…うちの家内のある種苦し紛れ」の発言だったとのべ、勝手に名前を使用した「学園側に抗議している」と、これまでとは打ってかわってトカゲの尻尾切りを思わせる対応を見せた。
 安倍首相は「(妻の)名誉校長の辞任を先方に申し入れた」とのべており、森友学園の小学校ホームページには「安倍晋三内閣総理大臣夫人」として紹介された昭恵氏の顔写真とともに「籠池先生の教育に対する熱き想いに感銘を受け、このたび名誉校長に就任させていただきました。瑞穂の國記念小學院は、優れた道徳教育を基として、日本人としての誇りを持つ、芯の通った子どもを育てます」とする挨拶が掲載されていたが、この日をもって削除されている。
 これに対する、民主党議員の「また隠蔽か」という言葉に首相は逆上。「隠蔽というのは失礼だ! 侮辱だ。あなたたちはすぐにそうやってレッテル貼りをしようとしている! 私が関与しているかのごとくのイメージ操作をやっている。私が隠蔽したのか! 隠蔽という言葉をとり消せ」と気色ばんだ。この経緯について真相を解明するためには、昭恵夫人か籠池理事長を参考人として国会招致しなければならず、「私も妻も全く関与していない」のか否か、すべての経緯について関係した役人や行政機関担当者も招致して、一つ一つの疑問を解いていくしかない。
 なお、森友学園が運営する塚本幼稚園の運動会で園児たちに右手を突き上げさせ、「大人の人たちは、日本が他の国に負けぬよう、尖閣列島・竹島・北方領土を守り、日本を悪者として扱っている中国・韓国が心改め、歴史教科書で嘘を教えないようお願いいたします! 安倍首相がんばれ! 安倍首相がんばれ! 安保法制国会通過よかったです!」と選手宣誓をおこなわせている映像がニュースでも放映されており、首相夫人、自民党議員らが絶賛し、文科省が「認可適当」とした同学園の教育内容についても物議を醸している。

 謎だらけの値引き査定 ゴミ処理の実態なし

 一方、森友学園の国有地取得をめぐる不可解な経緯については、その異常さが次次に明らかになっている。豊中市の国有地売却額を評価額から9割カットし、別途補助金までを与えてタダ同然で森友学園に払い下げていた事実について、麻生財務大臣をはじめ政府担当者は「適正な取引」といいはるだけで根拠は何一つ示していない。
 森友学園に払い下げた土地の8億2000万円の値引きを査定した大阪航空局(国交省)は、全敷地の約六割を対象に、校舎の基礎杭を打つ場所では9・9㍍、その他の場所は3・8㍍まで地下から1万9500㌧の埋設物(ダンプカー4000台分)を運び出した計算で見積もっている。航空局長は「学校用地であるため、瑕疵(落ち度)のないものにするため」と強調した。
 ところが国交省も財務省も、その八億円分の埋設物の存在や、場所すら確認しておらず、森友学園側からの申し出を丸呑みして算定していた。さらに、「撤去されたかどうかは、契約上も確認をおこなう必要はなく、詳細は承知してない」(近畿財務局理財局長)と開き直っている。
 だが、森友学園の籠池理事長はTBSラジオのインタビューで「運動場の地下からの撤去工事はやっていないから、そこに金がかかることはない」と証言しており、民主党議員団の現地調査で証言に応じた土木業者は「汚染土は処分費がかかるので運び出す量は少なくして、半分は運動場西側に埋めてある。アンモニア臭で作業中は食事もできなかった」と証言。やらない工事のために少なくとも3億6000万円が値引きされた事実が明らかになっている。
 そもそも8億2000万円の値引き査定は謎だらけで、大阪航空局は2009年の調査段階で、この土地の地下に埋設物が存在すること、2011年11月の調査では、土地の一部に基準値をこえる鉛やヒ素などの土壌汚染があることを認識しており、昨年4月、土地を貸し付た森友学園に地下3㍍までの埋設物の撤去・土壌汚染除去費用として1億3176万円を支払っている。そのうちの埋設物対策費は約8632万円。ところが、その後、森友学園から「新たな埋設物が見つかった」という申し出を受けての査定では、基礎杭が打たれる場所以外の区域では3・8㍍掘り下げるために8億2000万円の値引きを査定している。わずか80㌢掘るために、3㍍掘ったときの10倍もの費用を見積もるという不可解さが露呈している。
 なお、この算定について財務省理財局長は、専門業者への見積もり依頼はせず、国交省大阪航空局としておこなったことを認めている。専門性が求められる工事費の見積もりを国の機関が直接おこなうのは極めて異例である。

 「記録廃棄」し証拠隠滅 首相関与の疑い増す

 また、2014年10月31日に森友学園の学校設置認可の申請が認められたが、大阪府の私立小中学校設置認可の審査基準では「校地・校舎その他の施設は自己所有を原則」とし、借地の場合は「当該借地の上に校舎がないこと」と定められている。借地の上に校舎を建てる計画だった森友学園の認可申請は、本来なら基準違反で突き返されるべきものだが、文科省は「今後購入することを念頭に置いた定期借地による国有地の借用を目指していると聞いていたので、自己所有と同等とみなした」とのべた。売買契約の7カ月前に、森友学園が「10年契約で土地を借り、買い取るという契約」をすることを前提に認可申請を受け付けていたことになる。
 航空局と財務局は森友学園に国有地を売るうえで、他者を排除して公益法人を優先する「公共随意契約」としたが、そのためには学校設置認可が必須条件となる。そのため不動産鑑定士に土地価格の評価を依頼するまえに、当事者間で土地価格や売却手順をすり合わせ、担当各省が「国の信用」を担保にして認可をゴリ押ししてきたことを露呈している。森友学園の「認可適当」の判断を出すために臨時招集された大阪府私学審(15年1月)では、大阪府私学課が「(土地売却と学校設置の)双方で認可が下りるということを前提で話を進めてきた。条件付きで認可しかるべしとなると、国は契約に走る手はずになっている」「国と話が付いている。何かあっても国が相手だから大丈夫」と発言していたことが議事録に記されている。昨年6月、国有地は評価額の10分の1の価格で売却されたが、その後の私学審ではこの経緯について審議はおろか、報告すらされていない。
 さらに、近畿財務局が昨年六月に売買契約を締結した国有地の売却に関する交渉記録について、財務局は「行政文書管理規則に基づき、“保存期間は1年未満”であり、平成28年6月の売買契約の締結をもって廃棄した」と答弁。南スーダンの自衛隊日報と同様に「証拠隠滅」で防衛策を敷いているが、隠せば隠すほど疑惑を膨らませるだけとなっている。
 明らかになった一連の経過を見てみると、2012年に大阪府(松井知事)が「幼稚園を設置する学校法人が小中学校等を設置する場合でも借入れを認める」よう学校設置認可基準を改正し、13年9月に森友学園が豊中市の国有地取得を要望。14年10月に大阪府に「瑞穂の國記念小學院」の認可を申請した。
 そして、森友学園が「瑞穂の國記念小學院」の開校延期を発表した2015年、9月3日に安倍首相が国有地の処分を管轄する財務省理財局長と面会し、翌4日には異例にも国会を休んで大阪へ飛び、公明党の冬柴元国交相(故人)の親族が経営する料亭で会食をしている。まったく同じ日に、近畿財務局九階で森友学園の工事関係者と近畿財務局、大阪航空局が面談し、森友学園への補助金交付を決定。翌5日に前述の安倍昭恵氏による塚本幼稚園での講演会がおこなわれ、「瑞穂の國記念小學院」名誉校長への就任が報告された。森友学園をめぐる不可解な土地取引がスタートを切った日を前後して、首相と首相夫人が同時に大阪入りしていたという事実が、「はじめて知った」とシラを切り、「まったく関与していない!」と全否定する安倍首相の必死さもあいまって疑惑を膨らませている。
 森友学園をめぐっては、「教育勅語」を柱にした「日本人精神の育成」「愛国心の醸成」などを謳う一方で、運営する幼稚園での保護者、園児に対する人種差別発言や虐待なども取りざたされている。理事長(兼校長)自身が、憲法を「無効」「破棄すべきもの」として改憲を主張する政治団体「日本会議」の大阪代表をつとめ、その延長線上で開校する「神道小学校」が、教育基本法、学校教育法からも逸脱していることも指摘され、4月の開校まで1カ月あまりとなるなかで、このような小学校を大阪府・文科省がどのような基準で認可するのかも注目されている。
 3月末までに認可が下りなければ、学校の開校どころか、森友学園の土地所有の前提が崩れることを意味しており、無理をゴリ押ししてきた財務省、「認可適当」の評価を与えた大阪府、文科省の責任問題にも波及する。これら国の機関を同時に動かすには、通常なら政治家の関与なしには考えられない。「愛国」を唱えながら国有財産を私物化する国賊行為は誰の介在によって実現したのか、一連の関係者の禊ぎなしには収拾がつかない様相となっている。

 

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