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「根底にあるのは軍港化」
下関市民の会の署名
                若者職なく年寄り生活苦      2013年2月4日付

 民主主義と生活を守る下関市民の会が、年明けに開始した「大型箱物事業と軍港化をやめ、働く場を作ることを求める署名」は、市民のなかで下関の経済、市民生活の現状と合わせて論議されながら、共感を持って広がっている。商店主や理美容店、建設業者や病院、労働者、年金生活者などのなかで、さまざまに起こってくる問題の根底にあるのはなんなのかが論議となり、市長選が近づくなかで「だれが市長になろうと、市民の要求はこれだと突きつけたい」と意欲的にとりくまれている。
 
 市民の要求つきつける 市長選に向け

 「身近にMCSをやめて失業した若者がいる」「息子が失業中だ」「20代の息子はバイトで月八万円の収入しかない」など、働く場がなく市民の収入がないという問題はどこでも切実な問題として語られている。また唐戸商店街や長府商店街、市内の商店主たちのなかでは、年年物が売れなくなって、一軒、二軒と店が閉まっていくことがどこでも話題になり、下関の商業の衰退が異常であることへの危惧と合わせて署名が広がっている。
 唐戸周辺で待機するタクシー運転手たちは、タクシーが年始もまったく動かないとのべ、「市内に働く場がない。市民がよくならないと、自分たちの仕事も全然ないんだ」と署名用紙を1枚、2枚と預かっている。
 運転手の1人は「自分たちに仕事がないということも、市民がよくならないと結局解決しない。年金生活の年寄りも、前は買い物帰りに乗る人があったが、年金が少なくなっていって、バスに乗るようになった人、歩く人もいる。不自由だけど頑張るしかないといって生活している人もいる。足の痛い人なんかが気楽にタクシーを使えるくらいの収入がないといけない」といった。また運転手仲間のなかで税金の督促状が来てあわてて払った人や差押えにあった人もおり、「恥ずかしい話だが、手取りが10万円いかないくらい。そんななかでどうしろというのか。悪循環のなかでお客がいない、収入がないという仕組みになっている」と話し、市長選に向けても市民の要求を突きつけていこうとの呼びかけに、「やってみよう」と署名用紙を預かった。
 美容室をしている婦人は、「若者に仕事がないというのが一番いけないこと」と積極的に署名をとりくんでいる。年寄りのお客が多いが、すでに2枚をいっぱいにして、「今度ある集まりの場でもう一度訴えてみよう」と追加で預かった。
 食品関係の業者は、市民税を滞納していたら、取引先の売掛金を差し押さえられたことを語った。「先方が詐欺かと思って心配して電話をしてきたのでわかったのだが、それを押さえられたらうちは廃業だ。たまたま良心的な取引先だったので、“今後もよろしく”ということでよかったのだが、取引先との信頼関係を壊しかねない。すぐに支払ったが、大事なお客をなくすところだった。以前は市の職員が訪ねて来て、少しずつでも税金を納めていたのだが、今は容赦ないし、やり方があくどすぎる」と中尾市政への怒りを込めて語った。これまではパートを雇ってゴボウのささがきなどの加工をしていたが、今は一人で作業している。先日も里芋の皮むきとゴボウ20`のささがきを請け負い、1人で夕方六時から夜中の2時までかかってやったのだという。「こうでもしないと人は雇えないし…。必死で経営しているのに、中尾市長はその税金をいったいなにに使っているのか」と話した。
 酒屋を営む男性は、居酒屋や焼肉店の全国チェーンが下関に入って来始め、その影響で、今から数年間で市内の小さな居酒屋や焼肉店が200〜300店つぶれると話題になっていることを語った。「そういう全国チェーンは、地元の酒屋から酒をとらず、全国チェーン発祥地の酒屋からとるようになっている。だからそこに入ろうと思えば、発祥の地の酒屋の孫請の孫請に入らないといけない。しかし、酒屋とすれば、これまで地元の居酒屋との関係では100万円の売上で20万円の利益があったとするとそれが1万円程度となり、そのための労力さえまかなえないほどだ。これまでは大手スーパーが進出して地元の商店をつぶしてきたが、今度は全国チェーンの居酒屋だ。地元にとっては大迷惑。下関で働く場をなくすものだ」と話し、署名用紙を3枚預かった。
 商店街が疲弊していく状況を見てきた年配の商店主のなかでは、「署名にあるように商店街の意図的な破壊だ」との実感が語られている。80代の商店主は「商店街でシャッターを閉めてももう入る者がいないが、それに対して市の対応がまったくなく、なすがままだ。その一方で市役所は立派な建物になっていく。役所を立派にするなら、なぜ地元の生活に対応しないのか。“意図的に疲弊させて軍港化する”というのはよくわかる。自分たちがやっていけないのは意図的としか思えない」と語った。
 70代の男性は、「娘が東京でリストラにあい、高校生の娘もいるため職を探しているが、50代だから職が見つからない。下関に帰って来ようにも仕事がないから帰れない。今まで年金で生活してきたが、これからは一定生活費を送らないといけなくなる。まさか自分の身に降りかかってくるとは思わなかった」と話した。これまでは毎月月命日にはお坊さんを呼んでお経をあげてもらっていたが、それも毎月呼ぶのをやめようと考えていると話した。

 問われる市政のあり方 教育への影響も深刻

 80代の婦人は「国民年金で生活しているけど、恥ずかしいけどうちは家計が赤字。年金が増えるところがどんどん減ってきて足りない」と話した。若者にも働く場がなく、高齢者も生活できない市政のあり方が論議になり、署名用紙を預かった。
 またある民生委員は、独居老人が増えていることや、その世話をする民生委員のなり手がいないことなどを語りながら署名用紙を預かった。「今介護保険も厳しくなり、ケアマネもお年寄りが“帰りたい”というと自立にしてしまう。要介護度4で入院していた人が要介護度1になったが実際は1人で生活できないため、病院をたらい回しにされている。市の方もなるべく介護保険を使わないようにしている。介護保険料は去年値上がりして、今まで2人で7万円だったのが8万円になった。年寄りは年金が上がるわけではないのに。生活保護費も下がるといっているが、市の方は合併特例債が使えるからといって箱物をどんどんつくっている。今に夕張みたいになる。嘘をついた中尾は絶対に落とさないといけない」と話していた。
 またPTA関係者が、市内で子どもが荒れる問題も、雇用がなく下関が疲弊している親の直面する生活の問題の解決なしに解決しない、根底に勉強がわからないことがあると問題意識を語り、上宇部小学校での鉄棒やかけ算九九全員達成の教育実践に期待を寄せながら署名を広げるなど、各層のなかで意欲的なとりくみとなりつつある。
 市民の会の婦人たちは、こうした市民の実情を聞きながら、人工島を中心にして下関を軍港化しようとしていることを訴え「私たちは戦争を体験したが、戦争になると下関は基地になる。絶対にそんなことをしてはいけない」と、雇用をつくる問題と合わせて訴え、署名を広げている。署名運動は市民各層の切実な要求と現状変革の力を一つに束ねるものとして広がりをみせている。

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