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購買力減り大型店は増える
            下関 一年で五千人以上職失う   2009年12月9日付

 下関市では、伊倉地区にイズミ(広島市)のショッピングモール「ゆめシティ」がオープンした。「県内最大規模」「新規出店が60店」など、ものすごい前宣伝で商業界は戦戦恐恐としていた。が、オープンしてみると思ったよりも客足が少ないうえ「買い物袋を下げている人が少ない。なにも買っていない人が多いようだ」と話題となっている。大型店ばかりがあちこちにできるが、市民の方は「100年に1度の不況」のなかで、昨年末から失業や倒産・廃業があいつぎ、仕事がある者も給料もボーナスもカットされて買い物をする金がない。中尾市長はこのうえに駅前開発でも大型商業施設、あるかぽーと開発と商業施設をつくることに一生懸命。市の仕事も市外発注で市内業者に仕事を回さない。「市民の現金収入を増やすことをしないで、いったいなにをバカなことをしているのか」との世論は強まっている。
 市内では昨年末からMCSが1700人(大牟田を含む)の非正規雇用労働者の首切りを始めたのを皮切りに、神戸製鋼所の下請会社が昨年末で契約社員を、今年に入って正社員まで解雇した。ハローワーク下関によると下関市内の求職者は10月末現在で6678人。当初MCSの大量首切りが大きかったため、対策本部などを設置したが、その後、その他の企業からも希望退職や早期退職などの形をとっての首切りが次次と出てきた。その数はMCSの規模を上回っているという。この一年で、5000〜6000人が職を失ったことになる。巨大な購買力減少である。「自己都合退職」という失業者に事情を聞くと、休業が多すぎて生活ができないなど、「自己都合」ではない場合が多い。
 対する求人は4336件。求人倍率は0・65倍で一人に一つも職がない状況だ。とくに中小企業の経営は厳しく、中小企業緊急雇用安定助成金(従業員の解雇をしない企業に対して出される)を申請する中小企業が多く、新規雇用をする状態ではない。イズミの出店で求人が若干あったものの、ほとんどが女性のパートやアルバイトで、一家を養う父親の職がない。「“選ばなければ”というのは景気のいいときの話で、今は技能を持っていても生かす先がなく、最低の生活費を稼ごうと思うと本当に職がないのが実情。“どんな条件でもいい”と面接に行っても雇われない場合が多い」という。
 大手企業の下請で機械部品を製造してきたある男性は「今年は数年前の売上から九割減。仕事がなく毎日本を読んでいる状態だ。家や工場を建て替えたローンを自分たちでつくり出さないといけないから、夜の仕事を探して職安に通うが仕事がない。イズミに行くガソリン代ももったいないくらい。弟の子どもが来春高校に上がるが、授業料減免も奨学金も受けないと通えないから、やる気も失ってしまう」と話す。「スーパーが安売りをするから人が集まるが、人件費を削って安くしたうえ、その金は市外に流れていくのだからよくなるはずがない。市長がかわって少しは変わるのかと期待したが、建設現場を見ても市外業者ばかり。なんの変化もないではないか」と憤りを語った。
 20代のある母親は「だんなの給料が10万円ちょっとになった。休みが多く“金がないから外に出られない”と一日中家にいる。唯一の楽しみが友だちと飲みに行くことだったが、子どもにお金もかかるし、最近はそれもできなくなった」と話す。毎日の食べ物は田舎の祖母からもらう魚と米に助けられている。自分で買うときはもっぱら鶏の胸肉。ハローデイやレッドキャベツでグラム60円が半額になる日に買うのだという。「イズミができても高い専門店の物を買うようなお金はない」と話す。
 今年一月までは減少傾向だった生活保護世帯も、2月から増加し始めた。とくに7月からの増加が大きいという。現在、市内全体で約3200世帯・4200人が生活保護を受けている。人口的にも多い高齢者世帯が多いものの、離職して思うように仕事が見つからない50歳代の男性なども増え始めた。母子家庭もそのうち約260世帯あるという。就学援助を受けている児童・生徒もここ数年増加し続けている。平成19年度には706八人(小・中学生)だったのが、20年度には7247人と179人も増えた。子どもの数が減少するなかで、就学援助を受けなければならない子どもが増えていることは、市民の生活がいかに厳しくなっているかをあらわしている。

 商店街も深刻な消費落込み 年末の時期でも

 こうしたなかで商業関係者のあいだでも深刻な消費の落ち込みが語られる。下関で一番の繁華街である豊前田でもこの年末の時期に飲み屋が11時で店を閉めて、中通りは真っ暗になるという。「とくに今年の後半頃からひどくなった。年明けにはまた10店くらい閉める店が出るのではないか」といわれている。
 下関大丸内の専門店の人人も「客数が目に見えて減った。歩く人がまったくいない日もあるくらいだ」と口口に語る。とくにイズミがオープンして駅前方面の客足は激減した。売上ゼロは出せないので、自分で商品を買う店員もいる。「大丸のなかでは売上が去年より上がっている店もあるが、買い控えはみんなが感じている。中に着るインナーなどは落ちて、上着など大きな物は去年よりも出るという現象があり、買う人は買うが買わない人は買わないと格差が広がっている」という。
 シーモール下関のある専門店は「去年の年末はまだ落ち込みは少なかったが、今年に入ってから落ち込み始めた。イズミのオープンでこの一カ月はかなり厳しい。下関全体の購買力が上がっていないのに店ばかりできるから、客の奪い合いになっている」と、憤りを込めて語っていた。
 年末を迎えているが「建設関係でも年を越せないところが出てくる。仕事がまったく回ってこない。江島のときよりまだ悪い」「市内の中小企業の三分の二が赤字決算という話だ。これからまだ悪くなっていくのではないか」と語られている。「市内業者に発注するという中尾市長の公約はどうなったのか。市民の現金収入が増えるようなことをしないで大型店ばかりつくってどうするのか」との市民の怒りは強まっている。

 

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