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高利益企業が大量首切り
自動車業界やキヤノン先頭
                 労組結成し反撃も始まる      2008年12月13日付

 アメリカ発の世界恐慌は、アメリカはじめ各国の消費需要を減退させ、実体経済を冷え込ませている。とくに対米輸出を中心に暴利をむさぼってきた日本の自動車、電機、光学機器・レンズ企業などは、軒並み減産・減益を理由に派遣労働者や期間工などの大規模な首切りを始めた。師走の街頭に放り出される労働者らは、「モノ扱いは許さない。もう泣き寝入りはしないぞ」と労働組合をつくってたたかいに立ち上がっている。
 日本自動車工業会は11月28日、10月の国内自動車生産実績が前年同月比で6・8%減少して2カ月ぶりのマイナスとなった、金融危機のあおりを受けた世界的な販売低迷で大手各社は減産を強化していると発表した。とくに輸出実績が4・2%減少、輸出先別ではアメリカ向けが16・1%減、欧州連合(EU)向けが17・6%減と、ともに3カ月連続のマイナスになったことを明らかにした。

 5年で10兆円も増加 自動車10社の内部留保
 自動車関連の主要10社はそれを理由に非正規雇用の労働者約1万5000人の大量解雇を発表した。トヨタ6000人をはじめ日産1500人、いすゞ1400人、マツダ1400人、三菱1100人のほか、デンソー、富士重工業、ホンダ、スズキ、日野なども500人から1000人を解雇するとしている。
 派遣労働者の場合は、解雇されれば同時に寮から追い出され、わずかな貯金も底をつく状態に追いやられ、スーパーの残飯を食べ、ネットカフェなどで寒さをしのがなければならない。家族や子どもがいても退職金もなく放り出されるし、次の職がすぐに決まるわけでもない。大企業の仕打ちは労働者とその家族を死地に追いやっても胸も痛まない、まさしくモノとして扱う非情きわまるものである。
 会社は、口を開けば「減益になった」というが、大うそである。リストラを出した自動車関連企業10社の経常利益は、この5年間で約3兆6000億円から5兆700億円へと1・5倍、内部留保も17兆円から27兆円へと10兆円もふくらんでいる。株主への配当も、昨年度だけで6000億円にも達する。非正規労働者を低賃金でこき使って大もうけしたあげく、輸出不振で減産せざるをえないとして有無をいわさず街頭に放り出すのである。
 光学機器のキヤノンは、大分県の2つの会社で、あわせて約1200人、青森県のキヤノンプレシジョンで約500人計1700人にのぼる派遣・請負の非正規労働者の解雇を計画している。御手洗会長は経団連の現会長で、株式の50%以上がアメリカ資本に握られている。

 雇用維持可能な体力を確保 キヤノンの場合
 御手洗氏は先日、非正規社員の解雇は「世界的な景気の急激な落ち込みにより、各社も減産に追い込まれ、苦渋の選択として雇用調整がおこなわれている」と説明して見せた。
 ところが、キヤノンの業績を見ると、今年1月から12月までの1年間に5800億円もの営業利益を見込み、株主への8月の中間配当だけで715億円だ。解雇された1700人の雇用維持に必要な額は、中間配当の5%にもならない。しかも剰余金も9月末までに3兆3000億円ため込んでおり、雇用維持に十分な体力を持っている。非正規労働者は時給1000円、1日8時間、月21日勤務として計算すると年収200万円余り(残業代は含まず)である。解雇された1700人の雇用維持には約34億円で可能である。
 日本IBMは、2007年の税引き前利益が1000億円から950億円に減ることを理由に、正社員1000人の解雇を開始し、最終的には全従業員の15%、2400人を削減するとしている。そのリストラ計画のマニュアルが各部門に配布され、10月から一斉に退職の強要が始まっている。「48時間以内に退職届けを出さなければ解雇する」と迫り、退職を拒否した社員には「業績不良による解雇」をちらつかせたり、執ような面談を求めてノイローゼになる社員も出ている。
 自動車の減産は、自動車部品用工作機械の森精機の減産、派遣社員の削減や、新日本製鐵や神戸製鋼などの減産と下請従業員の切り捨てなど、多くの企業に影響を及ぼしている。また、自動車の輸出とくに対米輸出の減少は、鉄鋼など材料輸出の減少と相まって商船三井や川崎汽船のアジアと北米、欧州を結ぶ定期コンテナ航路を減便させるなど、海運も停滞させている。空輸の方も日本航空が来年1月から北米路線の貨物便を大幅に減便することになった。
 小泉・竹中、麻生と続いてきた自民党政府は、グローバル化・構造改革・規制緩和を進めて、日本をアメリカの植民地的な経済構造に変えた。金融ばかりでなく各業種にアメリカ資本が食いこみ、東京株式市場の四割を外国機関投資家が占めるようになった。郵政民営化が示したように、日本人の預金までがアメリカに流れ、アメリカ国債の最大の買い手としてイラク戦争まで支える関係となった。
 そのなかで、日本の自動車、電機、光学機械、鉄鋼などの独占資本は、アメリカのサブプライムローンによる住宅需要をはじめクレジットカードによる架空の消費をあてにして、対米輸出でボロもうけしてきた。今回の金融危機が実体経済に波及するなかで、アメリカ国民の消費購買力がどん底に落ち込むと、たちまち日本経済を「けん引」していたという自動車など輸出中心の産業がアウトになった。もはや農漁業などを犠牲にした「国際競争力強化」「輸出立国論」も吹き飛んでしまったわけだ。
 また、それが派遣労働者や期間工、ひいては正社員の職を奪い、貧富の格差を果てしなく拡大し、生産労働を破壊し、社会の荒廃を招いている。
 現在、解雇される非正規雇用の労働者らが「もう黙ってはおれない」と労働組合を結成し、会社の横暴との斗争を始めている。非正規雇用労働者の首切りは、労働者全体の地位を引き下げ、過酷な労働を強いて失業予備軍にしていく問題である。全産業の労働者が一致団結して、労働者の生きる権利をたたかいとるため、独立した平和な日本社会への変革に立ち上がらなければならない。

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