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苦学生の授業料にたかる犯罪
下関市立大問題
             バイト掛け持ちで勉学に励む   2012年5月11日付

 独立行政法人化して以後、 大学事務局が不可解な工事を乱発して利権の道具にしてきたことが問題になっている下関市立大学であるが、 事務方トップや政治家、 特定企業が群がっていた大学資金は、 市立大学に通っている多くの苦学生やその父母らが、 必死に働いて納めてきた授業料や後援会費などにほかならない。 現在学生たちの経済的な困難はひじょうに大きなものがある。 親たちの生活が困難であり、 そのなかで多くの学生が奨学金を受け、 アルバイトというが本格的な仕事をしながら学業に励んでいる。2000人の学生が納める授業料は毎年10億円をこえる。 その苦学生たちの納める授業料を食い物にし、 学問の場を投機の具にする社会的犯罪性は徹底して糾弾され解決されなければならない。 学生たちの現状を取材してみた。

 生活費も学費も稼ぐ学生

 4年間で200万円をこえる学費や毎月の家賃・光熱費・食費は、 仕送りをする親たちにとって重たい負担だ。 年収500万〜600万円であったとしても子どもとの二重生活を送るのには覚悟が必要といわれている。 親の仕送りが近年は経済情勢の悪化にともなって減っていることから、 奨学金を受ける学生が増えている。 それだけでは足りずに自分でアルバイトを掛け持ちして、 働きながら勉学に励んでいる学生が増えている。
 昼間は学校に行き、 講義が終わるとその足で走って職場に駆けつけ、 夜になるとコンビニや居酒屋で夜中の11〜12時まで働くといった過密なスケジュールをこなす学生も少なくない。 スーパーやコンビニ、 飲食店、 引っ越しのアルバイトや企業のイベント設営、 撤収といった日雇い労働など、 19〜22歳の若者たちが向かう業種はさまざま。 イズミのゆめシティでも市大生のアルバイトが多い。 下関の経済活動の一翼を担っているといっても過言でないくらい、 学生たちが有力な労働力になっている。
 3回生の男子学生は、 基本的に親からの仕送りは2万〜3万円の家賃のみ。 学費は奨学金で払って、 生活費はバイトでまかなっている。 まわりもそういう人が多い。 バイトといっても頑張って8万円ほどだが、 ゼミが忙しすぎてバイトができないときもある。 そういうときは仕送りのみ という。
 九州から来た4回生は 今は就活で休んでいるが、 動けるときは週4日間のアルバイトと週2日のバイトを掛け持ちしていた。 学校のある日は終わってから夜のバイトで、 土日は朝から晩までバイトをして生活費に当てていた。 しんどかったけど頑張った。 年50万円余りの学費は親が払ってくれ、 生活費とその他にかかるお金は自分でまかなっていると話した。
 奨学金を受けながら、 生活費も学費もすべて自分で稼ぎながら頑張っている学生もいる。 下関に学問をしに来ているのか、 働きに来ているのかわからなくなるほど学生たちが各職場で戦力になっていることが市民のなかでも語られ、 経済的な厳しさに負けずに踏ん張っている様子が話題になっている。 バブル時期にいわれていた 遊びほうける学生 像ではなく、 たくましい勤労学生の印象を強めている。
 教授の一人は、 以前なら夕方にゼミや講義が終われば、 その後2〜3時間は大学にいて書籍に目を通したり勉強に励む学生が多かったが、 部屋を飛び出してアルバイトに向かうのだといった。 ○月○日にゼミで社会見学に行くぞと声をかけても その日はアルバイトがあって行けません… という返事が返ってきたりする。 母子家庭の女の子が働きながら通っていたり、 経済的な困難さを抱えている学生が多いから叱責するつもりもない。 ただ、 学問に集中できる環境ではない と心配していた。
 また、 こうして4年間の大学生活を過ごしても就職戦線は厳しく、 5月の連休明けには有名どころの大手企業は 神様スペック といわれる一部の優秀な人材だけを囲い込んで内定してしまい、 その後はあぶれた多くの学生たちが 死の行軍 ともいわれるような、 100社試験 を受けてすべて振るい落とされるといった就活戦争に投げ込まれるのだといった。 以前と比べると大企業は国内採用を三分の一から四分の一まで絞っているため、 行き先が見つからずに大学院に避難したり、 留年して翌年に備える学生もいる。 大卒 だからといって正社員になれる保証などなく、 厳しい現実であることを語っていた。
 奨学金という大きな借金を抱えて大学卒業を迎え、 仕事のない社会に放り出される残酷さも問題になっている。
 
 学費値上げし散財 投機の具にした独法化 学問の場を破壊

 下関市立大学はもともと勤労青年の 大学で学びたい という思いを叶えるために設置され、 安い授業料で勤労子弟が入学でき、 しかも一定のレベルの大学として全国的にも認知され、 受験生の多さでは公立大学のなかでもグンを抜いていた。 しかし独法化後に経営陣が目先の収入アップを見込んで学費を値上げしたために、 全国平均よりも授業料が約2万5000円安かった魅力がなくなり、 優秀な苦学生たちが敬遠しはじめて入試志願者は激減。 国公立で最低水準にまでなった。
 1人1万5000円値上げしたことで、 大学の収入は約3000万円アップした。 加えて、 独法化した見返りとして、 市からは毎年約1億〜2億円の運営交付金が下りるようにもなった。 その結果、 市立大学が保有している余剰資金は4億円近くにものぼる。 毎年のように7000万〜8000万円近い 当期利益 が発生してプールされている。
 2000人の学生が学んでいることで、 下関市には毎年約5億円の地方交付税が下りるのに、 長年下関市から運営交付金をもらった試しがなかった。学生の授業料・受験料で大学運営のすべてがまかなわれていた。 独法化後に運営交付金が入るようになったが、 5億円のうちの1億〜2億円で、 3億〜4億円は別のハコモノで使い果たしている関係。 しかもグラウンド整備やトイレ改修といった怪しげな箱物事業で散財するようになった。
 勉学意欲は高いが経済的な理由で大学に行けないという学生に、 どこよりも安い授業料にして、 優秀な学生を社会に送り出すということにはなんの関心もない。 経営が苦しいから授業料を値上げしたのではなく、 以前よりもはるかに経営的余裕は増したことによって大学トップが利権に大盤振舞するようになったのである。 本来なら学生のために使われるべき運営交付金5億円を30年間で換算すれば150億円、 40年で算定すれば200億円にもなるが、 そのお金は市の箱物事業で消化される関係になっている。
 そして、 約10億円の授業料収入で経営を回すために、 学生数に対して教員数は全国平均の五分の一と少ない。 公的助成がないに等しい異様なる大学経営のもとで、 よその大学の五倍もの学生たちを教員が担当して育てていく体制にもなっている。
 また、 独立行政法人になってから、「 大学改革」 といってやられたのは、 経費節減や職員の嘱託・アルバイト化で、 事務局も各部門の責任者以外は短期雇用の嘱託やアルバイトに切り替わり、 非正規雇用が格段に増えた。 その結果、 大学の専門業務が慣れない人員によって滞る事態もうまれてきた。 毎年の「黒字 」経営は大学機能をマヒさせてきた結果にほかならない。 理事長には市長に見込まれた市退職者が就き、 1600万円もの報酬を得るようになった。 部長ポストで退職すれば、 その時点で5000万円近い退職金があるのに、 余生も高額報酬を与えられ、 理事長を退任する際にも400万円の退職金が用意される。

 真相究明求める声噴出 学生にとって大問題

 今回、 トイレ改修工事の問題で職員の書類送検まで至ったことについて、 4回生の女子学生は、 保護者や学生にも知らされるのが筋だと思う。 緊急保護者会のようなものは規模からして無理だとしても、 手紙でもなんでも知らせる責任があると思う。 そんなふうに使われたお金を返してほしい。 学生にも説明するべきだと思う と気持ちを語った。 また、 気付けばずっと学内どこかの工事がされている。 グラウンド整備にしてもトイレ工事にしても、 何の必要があるのかと思うようなことが多い。 学校に納めるお金がこういうことに使われると思ったら腹が立ちます。 大学なんだから学生に役に立つ使い方をしてほしい と語っていた。
 大学トップが元市長が所有するアパートを借り上げて小遣いを面倒見たり、 特定企業の資金繰りを支援したり、 釘が出るようなグラウンド工事を幼なじみに発注するなど、 かれらの利権のために学生たちが苦労して授業料を納めているというのではまことに残酷、 冷酷である。 学生や親たちの必死さの裏側でなにがやられてきたのか、 真相解明を求める声も強まっている。 学長にオフィスアワーの時間を利用して聞いてみよう の声もある。
 必死に子どもを通わせる保護者からも憤りが語られる。 娘を市立大学に通わせている母親は、 うちは親が二人とも働いているし、 実家から通っているから奨学金をもらうこともせずに娘を大学に通わせているが、 娘の周りには奨学金を受けながらバイトをして頑張っている子はたくさんいるようだ。 部活でもみんなバイトで忙しいから人数が集まらず、 急きょ休みになることもあるという。 私も朝から夕方になるまで一人で美容室を切り盛りして働いている。 親はみんな、 子どもに勉強をさせてあげようと思って、 一生懸命に朝から晩まで働いて学費を納めている。 そのお金を利権に使われていると思ったらすごく腹が立つ と怒りをこめて話していた。
 授業料とは別に後援会費として入学時に5万数千円を納めるのも、 大学本体とは切り離れた別会計として毎年2500万円も積み上がる。 この資金についてもグラウンド整備や、 元事務局長の知人を介した700万円もの楽器購入など、 恣意的な散財が繰り返されてきたことに疑問が募っている。 学費や後援会費を納める保護者の会である後援会には、 その顧問にシモケン (トイレ改修で談合疑惑が指摘されている) の兄弟企業に勤めていた長秀龍市議 (公明党、 副議長経験者) が就き、 後援会長は江島市長時代の秘書課長をやっていた人物だったこともある。 親たちの前で、 学生たちの前でどんな顔ができるのだろうと語られている。 6月初旬に開催される後援会の総会で、 そうした疑問点もぶつけるべきだと論議が広がっている。
 下関市立大学の現状は、 独立行政法人化がいかなるものかを典型的に暴露するものとなっている。 社会的な責任など知ったことではないというがさつな金もうけに走る金融機関の流儀の採用であり、 学生を搾りとる道具とし、 学問の場を一握りの権力者の投機の具にするというものである。 そして市立大のもう一面の現状は、 独法化の犯罪性をうち破って大学を正常化する全国的な先端の位置に立っていることを示している。
 市立大学では、 関係職員の書類送検まできて、 関係する議員が何人も警察に呼び出されているといううわさ話も聞くなかで、 教官のあいだでは元気が出てきている。 しかしこの問題は学生にとってもっとも大きな問題となっている。 事情を知る教官は、 学生たちに真相を知らせるべきである。 学生たちが広く真相究明に参加し、 自分たちのためだけではなく、 今から入ってくる後輩たちのため、 全国の学生の共通した問題としても、 学問の場を投機の具にするものを断固糾弾し、 大学としてまともなものにする正義の行動を広げることがひじょうに重要な役割を果たすことになる。 学生のそのような行動は、 すべての市民が心から支持することは疑いない。


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