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「郷土下関守れ」熱気溢れる
自治会、商店主市民300人
              市庁舎建て替え撤回決起大会   2008年10月31日付

 下関市の勤労福祉会館で29日、市役所庁舎の建て替え撤回を求める総決起大会が開催された。今春以後、江島市長が唐突に総事業費200億円もの建て替え・移転計画を動かしはじめたのにたいし、市民のなかでは「箱物むだ遣いはやめろ!」の世論が高まっていた。仕事帰りに駆けつけた市民や自治会関係者、商店主、中小企業経営者など300人が参加し(写真)、郷土・下関を守れと郷土愛に燃えた白熱の論議を交わした。
 大会を主催した東部自治連合会・岡村芳雄会長は「市役所を新下関に移転するという市報が今月出てきた。その後、市長に会いに行って30分ほど話したが、安岡の近所が下関の中心なので新下関に決定したといっていた。海峡の街・下関の市役所は、これまでの歴史を見ても唐戸になければならない。この歳になって私も最後の奉公と思ってがんばることを決意している。みなさんの力でなんとしても庁舎の位置を現在地にとどめたい」と挨拶した。
 唐戸商店会・中尾代表は、「“向こうに行ったら唐戸は終わるなぁ”と思いながらも、商売しているから反対しているのだといわれそうで先頭に立つのを控えていた。しかし江島通信(市報)に決まった話のように書かれていたのを見て、これではいけないと思った。下関存亡の危機であり生きるか死ぬかの瀬戸際だ。今日は遠慮せずに意見を出してもらいたい」と力強く訴えた。
 壇上に座った平岡泰彦、田辺ヨシ子、大田幸夫、林真一郎の4議員、平場で意見を聞いていた兼田一郎、兵頭典将、松村正剛の3議員をあわせて、市議会からの出席者は7人だった。
 保守系会派や連合、公明党は“集団ボイコット”した。
 はじめに平岡議員が現況を説明。江島市長が打ち出している市役所移転のためには条例改正が必要になり本会議で出席議員の3分の2以上の同意が求められること、現在市議会は37人なので、25人が賛成しなければならないことを明らかにした。合併時の付帯決議が取り沙汰されることについては「あれを決めたのは、旧町からそれぞれ3人、下関市から3人の代表(市長、議長、自治会代表)が出て15人で多数決で決めた。人口規模から見てもおかしなものだ」とした。さらに、「合併特例債の使途は庁舎建設に限定されるものではなく、他市と比べても遅れている市内の小・中学校の耐震構造に回す事の方が急がれる。新庁舎計画は貯金(庁舎建設基金)もせずに出てきた計画だ。下関市では毎年入札残が約50億円出る。そのうちの10億円でも貯金しながら計画を練ればいい。無駄な使い方はしないで補修すればいい」と述べた。
 参加議員からは、「中心市街地活性化計画の打ち合わせに行った際、総務省から市担当部局が“何とぼけているんだ。庁舎を移転するらしいじゃないか”といわれている。建て替え反対には若干の意見の違いがあるが、今の時点で新下関というのはありえない」(林真一郎)。「金融恐慌の煽りで、アメリカの誰かさんが儲けた尻拭いを日本がおしつけられている。日本国内も早晩たいへんなことになりかねない。県は来年度予算が400億円足りないといっているが、下関もないはずだ。そのなかで200億円も使うなど、計画性がなく無責任。“100年の計”と江島市長はいっているが、50〜100年後に彼がいるかどうかわからない。来年3月以後いるかもわからない。市政の主役は市民の皆様で、声を上げることが重要だ」(田辺ヨシ子)などの意見発表があった。
 なお、3月15日に市長選があるなかで、通常ならば秋口にかけての予算編成作業は来年度以降だれが次の市長になってもいいように概略予算を組むのに、江島市長は本格予算をまとめにかかっていることも明らかにされた。

 市民が次次と発言 会場から挙手で・郷土愛に燃えて
 その後、司会が「本日のメインイベント」と銘打って会場から市民の意見を求めると、ひっきりなしに挙手発言が続いた。
 長府に住んでいる婦人は、「10月15日号の江島通信を見て驚いた。私物化されたあのページは必要ないのでやめてもらいたい。最近市長は下関の財政について自分がたくさん使っておいて“硬直化している”といっていた。世界経済が混沌としてみなが真っ青になっているのに、まだお金がたくさんもらえると思っているようだ。議員も、顔を真っ赤にして怒らないといけないし、いまの事態について真っ青にならないとおかしいではないか。市長が議会をバカにしているから、しっかりしてもらいたい。あるかぽーと開発計画も議会で正式に否決したものを再び出してきたし、いったいどうなっているのかと思う。ヘリポートがそんなに必要ならば、広い空き地のあるかぽーとを使えばよい。むだな箱物は必要ない」と述べた。
 6歳から中之町で暮らしているという60代の男性は、「付帯決議というが、下関側の3票のなかには市長、議長も含まれるのだから八百長だと思う。現庁舎は解体して自衛隊ヘリポート・緊急物資の貯蔵庫を備えた防災公園にするといっている。防災公園が必要なのは安定した世の中ではない忙しい時だ。唐戸のど真ん中にそんなものはいらない。市職員のお昼時の胃袋をまかなってきたのは唐戸であるが、新たに市庁舎がやってくる地域と、いまから出ていかれる地域とでは影響が違いすぎる。唐戸はゴーストタウンになってしまう。まずは市民が団結しよう! 議員任せではダメだ。市民の本気を見せようではないか」と会場全体に訴えた。

 下関市全体の重大問題
 60代の男性は「市全体の問題として考えたい。新下関地区も幡生地区ももちろん大事な地域だが、下関市は海峡の街だ。国際的な交流もそうだし、国内でもほかにない歴史と文化を持つ、全世界に誇れる街だ。源平の合戦で歴史を決定づける舞台となり、武蔵と小次郎の決斗もあった。明治維新では若き志士らが活躍して新しい時代の幕開けを成し遂げたこの街で、いま新庁舎の建て替え・移転などというどうしようもないことをもめている。情けないではないか。下関の中心がどこなのかははっきりしている。下関市民の誇りにかけて必ずや計画を撤回させよう」と熱弁をふるった。
 30年来唐戸で飲食店を営んでいる男性は「青果市場が勝山に移転してからの寂れ方はひどい。それ以前の唐戸が1番安定していた。先の見えない世の中でむだ使いしてどうするのか。新たに200億円を使う必要などない。建物が立派ならいいのか! 問題は中身だ! 市役所だけが耐震化されたらいいのか。それならわしらの家もみんな耐震化されないといけない。概観はボロでもいい。ボロボロになるまで修理して大事に使ったらいい」と発言すると、会場から大きな拍手が起きた。
 続いて発言した男性は「建て替え反対でいくべきだ。現在の庁舎が古いというが崩れるような建物ではない。市長が100年の計を何も持っていないことが問題だ。下関をよくするためにどうするのか、マスタープランが必要だ。物事がうまくいくのは、市民みなが納得したときだ。市役所に行くと職員が暗いし、もっと職員が笑顔で元気に働くことができて、自由に発言できるような市政にするべきだ」といった。
 21世紀協会に所属している男性は、人口減少、少子高齢化が加速度的に進行している下関の現状について、深刻に危惧している気持ちを述べた。人口20万〜50万人の全国84都市のなかで、02〜07年3月末までの5カ年の統計で人口減少率が多い方から6位、65歳以上の高齢者割合が多い方から2位、9歳以下の子どもの割合が少ない方から4位であることを指摘した。
 「下関の最悪な状況が認識されていない。歯止めをかけることが必要だ。それぞれの地区が単純な引っ張り合いに終始して、真に下関市の為にどうするべきか根本的な議論が欠如したまま進んでしまっている。山口県において人口の多い拠点都市としての下関市の地位は近年失われようとしている。大手企業の山口支店も急速に下関市から山口市に移動しており、そのことで市内業者の仕事受注量が減少したり、就労の場が失われている。中心市街地から優良企業がいなくなると、地元の若い人たち、旧4町から出てきて働いている人人への影響も大きい。危機的な状況にもかかわらず、中心市街地からさらに市庁舎を移転させるなど常識的に考えてナンセンスだ」とした。
 「亀山(八幡宮)さんでラジオ体操のハンコをもらって育った」と自己紹介した男性医師は、壇上に掲げられた「下関市庁舎建て替え反対総決起大会」のタイトルを指して「“建て替え反対”でいくべきだ。懐が寂しいときに家を建て替えようなんておかしいではないか。市民アンケートも引っかけ問題のようなもので、建て替えしないでよいという選択項目はなかった。WBC監督を星野と決めていたのと同じじゃないか。箱物を次次とつくっているが下関市の借金を返せるのか疑問だ。できるなら、建て替え反対の下にサブタイトルとして“下関を第2の夕張にするな!”を入れたらどうでしょう?」と会場に問うと、大きな拍手が起きて「そうだ!」の声も飛んだ。
 昔、唐戸で食堂を経営していたという高齢男性は「幡生に住んでおり、署名を集めている。精一杯がんばりたい」と気持ちを込めて語った。
 阿弥陀寺町の自治会関係者は「“建て替え反対”という文字を見てわたしもホッとした。ムダなお金を使わないでもらいたい。わたしは大正時代につくった家を増改築しながら住んでいる。市役所はわたしの家より頑丈だと思う」といった。
 総決起大会では、今後さらに署名を全市に広げていくこと、大会で出された意見を議長、市長に伝えることが確認され、最後に、がんばろうコールを三唱して締めくくった。会場は熱気に溢れ、参加者のやる気がみなぎっていた。

 注目あびる議員の態度
 建て替え移転するためには今後、市議会の3分の2の議決で条例改正しなければならず、クリアできなければ廃案になる。現状では議会審議すら諮られておらず、建設するか否かの論議を飛び越えて「候補地選定アンケート」がおこなわれ、現在に至っている。新市庁舎建設準備室は基本計画を策定するためのコンサルタント業務を公募で発注することになっており、具体的な青写真が出てくるのは市長選挙後だ。3月の市長選で江島市長が当選すると、来年度以降はさらに基本設計、実施設計へと手続きを進めていくことになる。議会が条例改正案を否決すれば、その時点でムダな経費を使わずに決着がつく。立場が曖昧なのが、市議会議員たちで、集団ボイコット組が「(9月に)話し合いを持って新下関移転で頭数が揃った(自民党議員)」とまことしやかに話している状況もある。今後は、署名運動を全市的に広げていくこと、たかだか13〜14人の反対議員を集めたところであてにならず、議会全体を縛り付ける全市的な市民の世論と運動を強めることが要になっている。

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